【電気工事の基本】なぜ電線に流せる電流は決まっている?許容電流の考え方 電線はなぜ、太さに応じて流せる電流の最大値が決められているのでしょうか?それは、電流を流しすぎると電線が発熱し、被覆が溶けて火災に至る危険があるためです。この安全限界値を「許容電流」と呼びます。 この記事では、安全な電気工事の根幹となる許容電流の基本を解説します。
  • 電線が太いほど許容電流が大きくなる理由
  • 複数の電線を束ねると許容電流が下がる理由(電流減少係数)
  • 同じ太さでも、ケーブルとコードで許容電流が違うのはなぜか
許容電流の概念を正しく理解することは、安全な配線設計の第一歩です。すべての電気工事に携わる方が知っておくべき基本知識を学びましょう。

絶縁電線の許容電流

学習進捗0%

この章でわかること

🦔

ハリタ先生

今回は絶縁電線の許容電流について学びます。電線の太さや、何本まとめて配線するかによって安全に流せる電流の量が変わる、重要なポイントですよ!

ペン太

はい、絶縁電線の許容電流ですね。計算問題でよく見るやつだ!頑張って覚えます!

🐧

基本の解説

電線の絶縁物(ビニルなど)は、温度が上がりすぎると性能が落ちてしまいます。そのため、絶縁物の種類ごとに最高許容温度が定められています。電線に電流を流し続けると熱が発生しますが、この最高許容温度を超えない限界の電流値を許容電流といいます。周囲の温度が高い場合は、その分だけ許容電流は小さくなります。

また、複数の電線を1本の電線管に収めると熱がこもりやすくなるため、電流減少係数を掛けて許容電流を調整する必要があります。

なぜ許容電流があるの?

❌ 大電流を流しすぎると…

🥵

電線に大きな電流が流れると、電気抵抗によって多くの熱が発生します。この熱で絶縁物が劣化してしまい、火災などの危険があります。

✅ 許容電流を守ると…

😊

発熱を抑えるために、安全に流せる電流が「許容電流」として制限されています。これにより、電線を安全に使い続けることができます。

電線管に収めた場合は?

電線管やケーブル外装に複数の電線を収めると、熱が放散しにくくなり電線の温度が上昇します。そのため、安全に流せる電流の量を減らす必要があります。これが電流減少係数を掛ける理由です。

同一管内の電線数電流減少係数
3本以下0.70
4本0.63
5本または6本0.56
7~15本0.49
16~40本0.43
41~60本0.39
61本以上0.34
【計算例】

単体で35Aまで流せる電線でも…

4本を同じ管に収めると、電流減少係数の0.63を掛けます。

35[A] × 0.63 = 22.05[A]

7捨8入で端数処理をすると…

1本あたりの許容電流は 22A になります。

電線の太さの表し方

単線

1本の導体でできており、太さは直径(mm)で表します。

より線

細い素線をより合わせて1本にしたもので、太さは断面積(mm²)で表します。

図解で覚える!ポイント

許容電流の基本値

ビニル絶縁電線(IV線)の基本の許容電流です。まずこの2つを暗記しましょう。
1.6mm → 27A
2.0mm → 35A

電流減少係数

複数の電線を同じ管に収めると熱がこもり危険です。そのため、許容電流を補正(減少)する必要があり、この時に使うのが電流減少係数です。

端数処理「7捨8入」

係数を掛けた後の値は、小数点第一位を「7捨8入」します。7以下は切り捨て、8以上は切り上げます。
(例: 15.7A → 15A, 15.8A → 16A)

許容電流値 一覧表

600Vビニル絶縁電線をがいし引き配線した場合の、基本的な許容電流値です(周囲温度30℃以下)。太さをクリックすると対応する許容電流がハイライトされます。

単線より線
太さ(直径)許容電流値太さ(断面積)許容電流値
1.6 [mm]27 [A]2 [mm²]27 [A]
2.0 [mm]35 [A]3.5 [mm²]37 [A]
2.6 [mm]48 [A]5.5 [mm²]49 [A]
3.2 [mm]62 [A]8 [mm²]61 [A]
14 [mm²]88 [A]

許容電流をコップで例えると?

電線の太さと許容電流の関係は、コップの大きさと入る水の量に例えることができます。太い電線(大きいコップ)ほど、たくさんの電流(水)を安全に流すことができます。電流減少係数を適用すると、コップが小さくなるイメージです。

27A

1.6mmの電線

19A

係数適用後 (0.70)

重要ポイントまとめ

単線1.6mmは27A、2.0mmは35A

電線管に収める本数が増えると電流減少係数を掛ける。

係数は3本で0.70、4本で0.63、5〜6本で0.56

計算結果の端数処理は7捨8入

許容電流計算ツール

重要用語フラッシュカード

カードをクリックして、用語と意味を確認し、記憶を定着させましょう。

理解度チェックテスト

テスト履歴

実施日時スコア正答率

よくある質問(FAQ)

Q. なぜ電線に許容電流が定められているのですか?
A. 電流を流しすぎると電線が発熱し、絶縁物が劣化して火災に至る危険があるためです。絶縁物の最高許容温度を超えない限界の電流値が許容電流です。

Q. IV線(600Vビニル絶縁電線)の基本の許容電流は?
A. 単線1.6mmが27A、2.0mmが35Aです(周囲温度30℃以下)。

Q. 複数の電線を1本の電線管に収めるとどうなりますか?
A. 熱がこもるため電流減少係数を掛けて許容電流を補正します。3本以下で0.70、4本で0.63、5〜6本で0.56です。

Q. 端数処理「7捨8入」とは何ですか?
A. 係数を掛けた後の値の小数点第一位を、7以下は切り捨て、8以上は切り上げる処理です(例:22.05A→22A)。

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