電気設備の基本知識 #002【ケーブルの結線・接続方法】
天井裏のジョイントボックスを開けると、何本もの電線がひとまとめにつながれています。このつなぎ目は、配線のなかでいちばんトラブルが起きやすい場所です。ゆるければ熱を持ち、抜ければ停電し、絶縁が甘ければ漏電します。この記事では、電線接続の5原則と、リングスリーブ・差込形コネクタの使い方、絶縁テープの巻き方、つないでよい場所を、図とたとえで1つずつ解説します。第二種電気工事士の筆記・技能試験でもよく出るところです。
結論
電線のつなぎ目は抵抗・強さ・絶縁を元の電線より悪くしないこと。つなぐのはボックスの中で、リングスリーブは太さと本数で刻印が決まる。
- 電気抵抗を増やさない・引張強さを20%以上減らさない・器具かろう付け・同等以上の絶縁(解釈第12条)
- リングスリーブは1.6mm2本なら小スリーブで刻印「○」、1.6mm3〜4本・2.0mm2本などは「小」
- 差込形コネクタは奥まで差し込めば絶縁処理まで完了
- ビニルテープは半幅以上重ねて2回以上。接続は管の中でなくボックスの中で
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接続の5原則 ― つなぎ目を「弱い輪」にしない
鎖の強さは、いちばん弱い輪で決まります。電線も同じで、どれだけ太くて丈夫な電線を使っても、つなぎ目が弱ければそこから熱が出たり、抜けたり、漏電したりします。そこで、電気設備技術基準の解釈 第12条では、電線をつなぐときの決まりを定めています。
| 原則 | 内容 | なぜ? |
|---|---|---|
| ① 電気抵抗 | 電気抵抗を増加させない | 抵抗が増えると、つなぎ目が熱を持つ |
| ② 引張強さ | 電線の引張強さを20%以上減少させない | 引っぱられて抜けたり切れたりしないように |
| ③ 接続のしかた | 接続管その他の器具を使う、またはろう付けする | 手でねじっただけでは、ゆるみやすい |
| ④ 絶縁 | 元の絶縁物と同等以上の絶縁効力のある接続器を使う、または同等以上のもので十分に被覆する | つなぎ目から漏電・感電しないように |
| ⑤ つなぐ場所 | 電線管などの中ではつながず、ボックスの中でつなぐ | あとから点検・修理できるように |
コードどうし、キャブタイヤケーブルどうしをつなぐときは、コード接続器や接続箱などの器具を使います(断面積8mm²以上のキャブタイヤケーブルは除く)。コードの種類は「電気設備の基本知識 #012【コードの種類と用途】」で解説しています。
- 抵抗を増やさない、強さを20%以上落とさない
- 器具(スリーブ・コネクタ)かろう付けでつなぐ
- 元と同等以上に絶縁し、ボックスの中でつなぐ
リングスリーブ ― むいて、入れて、ぎゅっと圧着
リングスリーブは、金属の筒に電線をまとめて通し、専用の圧着ペンチで握りつぶしてつなぐ部品です。おにぎりをぎゅっと握って形を決めるように、筒ごと電線を押しつぶして一体にします。リングスリーブ用の圧着ペンチは柄が黄色で、裸圧着端子用(柄が赤色)とは別の工具です。
| スリーブ | 刻印 | 電線の組み合わせ(例) |
|---|---|---|
| 小 | ○ | 1.6mm×2本 |
| 小 | 小 | 1.6mm×3〜4本、2.0mm×2本、1.6mm×2本+2.0mm×1本 |
| 中 | 中 | 1.6mm×5〜6本、2.0mm×3〜4本、1.6mm×1〜2本+2.0mm×2本、1.6mm×3本+2.0mm×1本 |
ペン太
ハリタ- リングスリーブは黄色の柄の圧着ペンチで圧着
- 1.6mm2本は刻印○、1.6mm3〜4本や2.0mm2本は刻印小
- 刻印を見れば、正しく圧着したかがわかる
差込形コネクタ ― むいて、奥まで差し込むだけ
差込形コネクタは、被覆をむいた電線を差し込むだけでつなげる器具です。圧着工具がいらず、本体が絶縁物なのでテープを巻く必要もありません。そのぶん、次の3点を必ず確かめます。
- むく長さ:本体に付いているゲージ(ストリップゲージ)に合わせる。長すぎると心線が外に見え、短すぎると奥まで届かない
- 差し込み:透明な本体の先端まで、心線が届いているかを目で見る
- 抜けないか:軽く引っぱって、抜けないことを確かめる
- 差込形コネクタは差し込むだけで接続と絶縁が完了
- むく長さは本体のゲージで合わせる
- 先端まで届いているか、抜けないかを確かめる
絶縁テープ ― テープの種類で回数が変わる
リングスリーブで圧着したあとは、むき出しの金属をテープで包んで絶縁します。テープは包帯のように、前の巻きの半分以上にかぶせながら巻いていきます。これを「半幅以上重ねて巻く」といいます。
| テープ | 巻き方 | 層の数 |
|---|---|---|
| ビニルテープ | 半幅以上重ねて2回以上(往復) | 4層以上 |
| 黒色粘着性ポリエチレン絶縁テープ(厚さ約0.5mm) | 半幅以上重ねて1回以上 | 2層以上 |
| 自己融着性絶縁テープ(厚さ約0.5mm) | 半幅以上重ねて1回以上巻き、その上に保護テープを半幅以上重ねて1回以上 | 2層以上+保護 |
- テープは包帯のように半幅以上重ねて巻く
- ビニルテープは2回以上(4層以上)
- 黒色粘着性ポリエチレン・自己融着性は1回以上(自己融着性は保護テープも)
工具 ― 作業ごとに「相棒」を選ぶ
電線の接続では、作業ごとに決まった工具を使います。見た目が似ていても役割がちがうので、取り違えないようにします。
| 工具 | 使いみち | ポイント |
|---|---|---|
| 電工ナイフ | ケーブルの外装や絶縁被覆をむく | 刃を外側に向けて使い、心線を傷つけない |
| ケーブルストリッパ | 外装や被覆を決まった長さでむく | 電線の太さに合った穴を使う |
| ペンチ | 電線を切る・曲げる | 切断は刃の根元で |
| リングスリーブ用圧着ペンチ | リングスリーブを圧着する | 柄が黄色。○・小・中・大のダイスを使い分ける |
| 裸圧着端子用圧着工具 | 圧着端子を圧着する | 柄が赤色。リングスリーブには使わない |
- むくのは電工ナイフやケーブルストリッパ
- リングスリーブは黄色の柄、裸圧着端子は赤色の柄の工具
- 工具は作業ごとに使い分ける
つなぐ場所 ― ボックスの中、管の中ではつながない
接続は、アウトレットボックスやジョイントボックスの中で行います。金属管工事や合成樹脂管工事などでは、管の中に接続点を設けないこととされています。つなぎ目は配線でいちばんトラブルが起きやすい場所なので、あとからふたを開けて点検できることが大切です。管の中でつないでしまうと、見えない・点検できない・電線を引き替えられない、の三重苦になります。
⚠️ 現場で多いつなぎ目のトラブル
- 圧着不足:ダイスを間違えた、握りが足りない → 刻印を確認
- 差し込み不足:コネクタの奥まで届いていない → 透明な本体で確認
- 心線の傷:電工ナイフで心線に切れ目を入れた → 使う前に確認
- テープの巻き不足:回数や重ねが足りない → 巻き方の決まりを守る
電線やケーブルの種類そのものは「電気設備の基本知識 #001【ケーブルの種類】」、ケーブルを使った工事の決まりは「電気設備の基本知識 #022【ケーブル工事】」で解説しています。
- 接続はボックスの中で。管の中ではつながない
- つなぎ目はあとから点検できるように
- 圧着・差し込み・心線の傷・テープを必ず確かめる
よくある質問
電線の接続で守るべき決まりは何ですか?
電気設備技術基準の解釈 第12条では、電線を接続するときは、電気抵抗を増加させないこと、引張強さを20%以上減少させないこと、接続管その他の器具を使うかろう付けすること、絶縁電線どうしなら元の絶縁物と同等以上の絶縁効力をもたせることなどを定めています。さらに、電線管の中では接続せず、ボックスの中で接続します。
リングスリーブの「○」と「小」の刻印はどう使い分けますか?
どちらも小スリーブを使いますが、1.6mmの電線2本をつなぐときだけ刻印「○」で圧着します。1.6mmを3〜4本、2.0mmを2本、1.6mm2本と2.0mm1本などのときは刻印「小」です。電線が増えて1.6mm5〜6本や2.0mm3〜4本などになると、中スリーブで刻印「中」になります。
差込形コネクタを使ったら絶縁テープは必要ですか?
必要ありません。差込形コネクタは本体が絶縁物でできているので、電線を奥まで差し込めば絶縁処理まで済みます。被覆をむく長さは本体のゲージに合わせ、透明な本体の先端まで心線が届いていることを目で確かめます。
ビニルテープは何回巻けばよいですか?
ビニルテープは、半幅以上重ねて2回以上(4層以上)巻きます。黒色粘着性ポリエチレン絶縁テープなら半幅以上重ねて1回以上(2層以上)、自己融着性絶縁テープなら半幅以上重ねて1回以上巻いたうえに、保護テープを半幅以上重ねて1回以上巻きます。
電線管の中で電線をつないでもよいですか?
いけません。金属管工事や合成樹脂管工事などでは、管の中に接続点を設けないこととされています。接続は、アウトレットボックスやジョイントボックスなど、あとから点検できる場所で行います。
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