技術図書館幹線は高速道路、分岐回路は一般道幹線と分岐回路の役割、負荷のつなぎ方、細い幹線への分岐と遮断器を省く条件この資料をスライドで見る資料一覧を見る
第二種電気工事士 合格カリキュラム学科② 配電理論と配線設計
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建物の電気の通り道は、木に似ています。引込口から分電盤までの太い幹線が「幹」、分電盤から照明やコンセントへ向かう分岐回路が「枝」です。この記事では、幹線と分岐回路の違い、幹線の許容電流の決め方、幹線を守る過電流遮断器、細い幹線へ分岐するときのルールを、図とたとえで1つずつ解説します。

結論

幹線の許容電流は機器の定格電流の合計以上。モータが多いときは1.25IM+IH(IM≦50A)などで割り増します。細い幹線の遮断器は分岐点から3m以下(35%以上で8m、55%以上で制限なし)です。

  • 幹線=幹、分岐回路=枝
  • IM>IHなら、IMを1.25倍(50A超は1.1倍)して合計する
  • 幹線の遮断器は3IM+IH以下、かつ2.5IW以下
  • 細い幹線へ分岐するときは遮断器の位置に決まりがある
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。全部を読まなくても、必要なところだけで解決します。
木の幹と枝のたとえで、引込口から分電盤までの太い幹線と、分電盤から照明・コンセントへ向かう細い分岐回路を示した図
幹線は幹、分岐回路は枝です。

幹線と分岐回路 ― 幹と枝

幹線は、引込口から分電盤まで、または分電盤どうしを結ぶ太い電線です。建物全体、あるいはフロア全体の電気をまとめて運びます。分岐回路は、分電盤の分岐ブレーカーから、照明やコンセントなどの負荷までの回路です。

たとえるなら木です。幹(幹線)が太くて丈夫でないと、たくさんの枝(分岐回路)を支えられません。設計の順序は「電気設備の基本知識 #016【屋内配線の設計】」で解説しています。

たとえるなら
幹線と分岐回路は、「幹と枝」です。
引込口から分電盤までの太い幹(幹線)が、分電盤から負荷へ伸びる枝(分岐回路)全体を支えます。枝が増えれば、幹も太くしなければなりません。
ここまでのポイント
  • 幹線は引込口〜分電盤、分電盤どうしを結ぶ
  • 分岐回路は分電盤〜負荷
  • 幹線は、つながる分岐回路全体を支える

幹線の許容電流 ― モータ分を割り増す

電動機などの定格電流の合計IMが30A、それ以外の合計IHが20Aのとき、IM>IHでIMは50A以下なので、30×1.25+20=57.5A以上の幹線を選ぶ計算を示した動く図解
動く図解:モータの分を1.25倍して足し合わせます。

幹線の許容電流は、つながる機器の定格電流の合計以上にします。ただし、電動機(モータ)などが多い場合は注意が必要です。モータは始動電流が大きく、運転中も熱をもちやすいので、その分を割り増して考えます。

📘 計算してみよう

電動機などの合計IMが30A、それ以外の合計IHが20Aのとき、IM>IHで、IMは50A以下なので
IW ≧ 1.25×30+20 = 57.5A。許容電流が57.5A以上の幹線を選びます。

ひっかけ注意
「モータがあれば必ず1.25倍」ではありません。
割り増すのは電動機の合計IMが他の負荷IHより大きいときだけです。IM≦IHなら単純な合計、IM>IHでIM≦50Aなら1.25倍、IM>50Aなら1.1倍です。
ここまでのポイント
  • 基本は定格電流の合計以上
  • モータが多いときは割り増す
  • IM=30A、IH=20Aなら57.5A以上


IWのルール ― 3つの場合分け

幹線の許容電流IWの決め方として、IM≦IHならIM+IH、IM>IHでIM≦50Aなら1.25IM+IH、IM>IHでIM>50Aなら1.1IM+IHであることを示した図
IMとIHの大小と、IMの大きさで式が変わります。
条件 幹線の許容電流 IW
IM ≦ IH IW ≧ IM+IH
IM > IH で、IM ≦ 50A IW ≧ 1.25IM+IH
IM > IH で、IM > 50A IW ≧ 1.1IM+IH
IM:電動機などの定格電流の合計、IH:それ以外の定格電流の合計。電気設備技術基準の解釈(低圧幹線)をもとに作成

需要率や力率がわかっている場合は、それを使って補正してよいとされています。需要率については「電気設備の基本知識 #016【屋内配線の設計】」で解説しています。

ひっかけ注意
「3mを超えたら必ず35%以上」ではありません。
3m以下なら許容電流の条件はありません。8m以下なら35%以上、長さの制限をなくすなら55%以上です。割合は幹線側の過電流遮断器の定格電流に対する値です。
ここまでのポイント
  • IM≦IHなら単純に合計
  • IM>IHでIM≦50Aなら1.25倍
  • IM>IHでIM>50Aなら1.1倍

幹線の遮断器 ― 3IM+IHと2.5IW

幹線を守る過電流遮断器の定格IBの決め方として、電動機などがない場合はIW以下、ある場合は3IM+IH以下かつ2.5IW以下であることと、計算例を示した図
幹線の遮断器は、幹線を守れる大きさに選びます。

幹線を守る過電流遮断器の定格(IB)は、ふつうは幹線の許容電流IW以下にします。ただし、電動機などがある場合は、始動電流で遮断器が切れてしまわないよう、3IM+IH以下まで大きくできます。それでも、幹線を守れなくなっては困るので、2.5IW以下という上限があります。

ここまでのポイント
  • 電動機などがなければIB≦IW
  • 電動機などがあればIB≦3IM+IH
  • ただし2.5IWを超えない


細い幹線 ― 遮断器の位置のルール

太い幹線から細い幹線へ分岐するとき、細い幹線を守る過電流遮断器を分岐点から3m以下に設けるのが原則で、細い幹線の許容電流が太い幹線の過電流遮断器の定格の35%以上なら8m以下、55%以上なら長さの制限なしであることを示した動く図解
動く図解:細い幹線の許容電流が大きいほど、遮断器を離して置けます。

太い幹線から細い幹線へ分岐すると、太い幹線の遮断器では細い幹線を守りきれません。そこで、細い幹線を守る過電流遮断器を、分岐点の近くに設けます。

分岐点から遮断器までの長さ 条件
3m以下 細い幹線の許容電流の条件なし(負荷側に別の幹線をつながない場合)
8m以下 細い幹線の許容電流が、太い幹線の遮断器の定格の35%以上
長さの制限なし 細い幹線の許容電流が、太い幹線の遮断器の定格の55%以上
電気設備技術基準の解釈(低圧幹線)をもとに作成。細かな条件は条文で確認する

たとえるなら、細い枝ほど、幹の近くで支えが必要です。枝が太くて丈夫なら、支えは少し離れていても大丈夫です。分岐回路の過電流遮断器にも同じ考え方があり、「電気設備の基本知識 #018【分岐回路の設計】」で解説しています。

ここまでのポイント
  • 原則は分岐点から3m以下
  • 35%以上なら8m以下
  • 55%以上なら長さの制限なし

押さえる要点 ― 式と数字

幹線と分岐回路で押さえる要点として、幹線と分岐回路の範囲、IWの式(1.25IM+IH、1.1IM+IH)、IBの上限(3IM+IH、2.5IW)、細い幹線のルール(3m、35%で8m、55%で制限なし)を並べた図
幹線と分岐回路で押さえる要点のまとめ。

過電流遮断器の動作のしくみは「電気設備の基本知識 #015【過電流遮断器】」で解説しています。

ブラウザでそのまま使える登録不要ツール

この記事の選定手順を系統全体でまとめてチェックするなら、姉妹サイト「セコサポ」の幹線つながりチェック(電線・ブレーカー整合と電圧降下の自動診断・登録不要)が便利です。

ここまでのポイント
  • IWは1.25IM+IH(IM≦50A)、1.1IM+IH(IM>50A)
  • IBは3IM+IH以下、かつ2.5IW以下
  • 細い幹線は3m・8m(35%)・制限なし(55%)

よくある質問

幹線と分岐回路の違いは?

幹線は、引込口から分電盤まで、または分電盤どうしを結ぶ太い電線です。分岐回路は、分電盤の分岐ブレーカーから照明やコンセントなどの負荷までの回路です。木にたとえると、幹線が「幹」、分岐回路が「枝」です。

幹線の許容電流はどう決めますか?

接続する機器の定格電流の合計以上とします。ただし、電動機などの定格電流の合計IMがそれ以外の合計IHより大きい場合は、IMが50A以下なら1.25IM+IH以上、50Aを超えるなら1.1IM+IH以上とします。需要率や力率がわかっている場合は、それで補正できます。

幹線を守る過電流遮断器の定格はどう決めますか?

電動機などがない場合は、幹線の許容電流IW以下とします。電動機などがある場合は、3IM+IH以下とし、その値が2.5IWを超えるときは2.5IW以下とします。

細い幹線へ分岐するときのルールは?

細い幹線を守る過電流遮断器は、原則として分岐点から3m以下の場所に設けます。細い幹線の許容電流が太い幹線の過電流遮断器の定格の35%以上なら8m以下、55%以上なら長さの制限なく離して設けられます。

IM=30A、IH=20Aのとき、幹線の許容電流は?

IM>IHで、IMは50A以下なので、1.25×30+20=57.5A以上の許容電流の幹線を選びます。

ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。内線規程・電気工事士資格・住宅の電気設備を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。