避雷器LAの設置基準と接地線の太さ|PAS・A種接地の共用条件
避雷器(LA)は「容量が大きい建物に付けるもの」ではありません。電気設備技術基準の解釈が義務としているのは高圧架空電線路から受電し、受電電力が500kW以上の場合の引込口で、地中引込にはこの義務がかかりません。この記事では、条文どおりの設置条件、A種10Ωと接地線の太さの根拠の違い、そしてPAS本体・SOG制御装置と接地を共用するときの条件を整理します。
結論
義務になるのは架空引込 + 受電電力500kW以上。接地はA種10Ω以下で、共用すると厳しい側に引き上げられます。
避雷器は何を、どこまで守るのか
避雷器は、雷サージのような異常電圧が加わったときだけ導通して電流を大地へ逃がし、機器に加わる電圧を制限する装置です。通常の運転電圧では絶縁物としてふるまいます。
大事なのは置く位置です。高圧受電設備規程は「避雷器は、それによって保護される機器のもっとも近い位置に施設すること」を推奨しています。PASに内蔵しても、そこからキュービクルまでが長ければ、受電設備側にも避雷器を設ける多段保護を検討します。
- 避雷器は異常電圧のときだけ導通して、機器に加わる電圧を制限する
- 守れるのは近くの機器。規程も「保護される機器のもっとも近い位置に」としている
- PAS内蔵と受電設備側の多段保護という考え方がある
設置が義務になる条件(電技解釈 第37条)
条文は「高圧及び特別高圧の電路中、次の各号に掲げる箇所又はこれに近接する箇所には、避雷器を施設すること」として、4つの箇所を挙げています。需要家の設計で効いてくるのは第三号です。
| 号 | 施設する箇所 | 需要家との関係 |
|---|---|---|
| 一 | 発電所、蓄電所又は変電所若しくはこれに準ずる場所の架空電線の引込口(需要場所の引込口を除く)及び引出口 | 括弧書きで需要場所は除かれる |
| 二 | 架空電線路に接続する、第26条に規定する配電用変圧器の高圧側及び特別高圧側 | 電気事業者側の設備 |
| 三 | 高圧架空電線路から電気の供給を受ける受電電力が500kW以上の需要場所の引込口 | ここが高圧需要家の義務 |
| 四 | 特別高圧架空電線路から電気の供給を受ける需要場所の引込口 | 特別高圧受電の場合 |
⚠ 判定でつまずきやすい2点
- 「受電容量500kVA」ではない 条文は受電電力500kWです。変圧器の合計容量で判定すると、要否を取り違えます
- 「高圧架空電線路から電気の供給を受ける」が前提 地中引込には第37条の義務がかかりません。UGS・UASにLA内蔵品が一般的でないのはこのためです。ただし配電線路が架空で引込だけ地中というケースもあるので、供給形態を電力会社と確認します
出典:電気設備の技術基準の解釈 第37条(避雷器等の施設)、同 第17条(接地工事の種類及び施設方法)、高圧受電設備規程(JEAC 8011)
ペン太
ハリタ- 義務は 架空引込 + 受電電力500kW以上(解釈 第37条第三号)
- 判定は受電「容量(kVA)」ではなく受電「電力(kW)」
- 第一号には「需要場所の引込口を除く」という括弧書きがある
- 地中引込には第37条の義務がかからない
500kW未満はどうするか
法的な義務はありません。それでも架空引込ならLA内蔵形のPASを選ぶのが実務の定番です。理由は単純で、雷サージで失うのはPASだけでなく、その先のキュービクル一式だからです。内蔵形なら現地でLAを別置きする手間もなくなります。
| 条件 | 法的な位置づけ | 実務での選び方 |
|---|---|---|
| 架空引込・500kW以上 | 義務(解釈 第37条第三号) | 引込口に施設。LA内蔵形PASが一般的 |
| 架空引込・500kW未満 | 義務ではない | LA内蔵形を選ぶのが定番。雷害の多い地域では特に |
| 地中引込 | 第37条の義務なし | UGS・UASにはLA内蔵品が少ない。必要なら受電設備側で検討 |
| 構内が長い | ― | PAS内蔵+受電設備側の多段保護を検討する |
- 500kW未満に義務はないが、架空引込ならLA内蔵形が実務の定番
- 守る対象はPASではなく、その先の受電設備一式
- 構内が長いときは受電設備側にも避雷器を検討する
接地の仕様 ― 10Ω・14mm²・埋設方法
| 項目 | 値 | 根拠 |
|---|---|---|
| 接地工事の種類 | A種接地工事 | 解釈 第37条第3項 |
| 接地抵抗値 | 10Ω以下 | 解釈 第17条第1項第一号(A種接地工事) |
| 接地線の太さ(法規上の最小) | 直径2.6mm(約5.5mm²)以上 | 解釈 第17条第1項(引張強さ1.04kN以上の軟銅線) |
| 接地線の太さ(実務) | 14mm² 以上 | 民間規格・メーカー指定として広く使われる値 |
| 接地極の埋設深さ | 地下75cm以上 | 解釈 第17条第1項第二号イ |
| 金属体との離隔 | 地中で1m以上 | 解釈 第17条第1項第二号ロ(金属体に近接して施設する場合) |
⚠ 「他の接地極から1m以上」という言い方に注意
解釈 第17条第1項第二号ロが求めているのは、接地極を金属体に近接して施設する場合に、地中でその金属体から1m以上離すことです。「他の接地極から1m以上離す」という実務の言い方は、これと、電力会社の配電線路側の規定(JESC E2018など)が混ざって広まったものと考えられます。図面に書くときは、何から何を1m離すのかを明記してください。
なお接地抵抗値の緩和規定(30Ωなど)は電気事業者の高圧架空配電線路を対象としたもので、需要家の引込口の避雷器にそのまま当てはめられるとは限りません。緩和を前提にするなら、電力会社・保安管理者に確認してください。
- 避雷器の接地はA種接地工事(解釈 第37条第3項)、A種は10Ω以下(第17条第1項第一号)
- 法規上の接地線の最小は直径2.6mm(約5.5mm²)。14mm²は実務の標準値
- 「1m以上」は金属体との離隔の規定。何から離すのかを明確にする
- 接地抵抗の緩和規定は適用範囲が違うので、そのまま当てはめない
PAS本体・SOG制御装置との接地の共用
| 対象 | 単独のとき | 共用したとき |
|---|---|---|
| 避雷器(LA) | A種接地工事 10Ω以下 | ― |
| PAS本体(金属製外箱) | A種接地工事 10Ω以下 | LAと共用してよい |
| SOG制御装置 | D種接地工事 100Ω以下 | A種と共用するなら10Ω以下が必要 |
⚠ よくある誤解
「SOG制御装置はD種だから100Ωでよい。まとめて1系統にすれば工事が楽になる」——これは成立しません。A種と共用した接地線は、共用しているすべてが10Ω以下を満たす必要があります。工事を簡素にしたいなら10Ω以下で施工し、10Ωが確保できない土地なら分離して施工します。どちらにするかは施工前に決めて、接地の系統を図面に書いておきます。
- LAとPAS本体はどちらもA種10Ω以下。共用してよい
- SOG制御装置は単独ならD種100Ω以下だが、A種と共用するなら10Ω以下
- 「D種100Ωのまま1系統にまとめる」はできない
- 共用するかどうかは施工前に決めて、接地の系統を図面に残す
よくある質問
避雷器の設置が義務になるのはどんなときですか?
高圧架空電線路から電気の供給を受ける、受電電力が500kW以上の需要場所の引込口です(電気設備技術基準の解釈 第37条第三号)。
500kVAの受電設備なら義務ですか?
条文は受電「電力」500kW以上です。変圧器の合計容量(kVA)とは別なので、契約の受電電力で判定してください。
地中引込でも避雷器は必要ですか?
第37条の義務は「高圧架空電線路から電気の供給を受ける」場合にかかるため、地中引込には義務がかかりません。UGS・UASにLA内蔵品が一般的でないのはこのためです。
500kW未満なら付けなくてよいですか?
法的な義務はありません。ただし架空引込なら、雷サージで受電設備一式を失うリスクを下げるためにLA内蔵形を選ぶのが実務の定番です。
避雷器の接地は何種ですか?
A種接地工事です(解釈 第37条第3項)。A種の接地抵抗値は10Ω以下(解釈 第17条第1項第一号)です。
接地線は14mm²でないといけませんか?
法規上のA種の最小は直径2.6mm(約5.5mm²)で、14mm²は民間規格・メーカー指定として広く使われている値です。「14mm²でなければ違反」ではありませんが、実務では14mm²が標準です。
PAS本体の接地と避雷器の接地は共用できますか?
できます。どちらもA種接地工事なので、共用して10Ω以下を確保します。
SOG制御装置の接地も一緒にまとめてよいですか?
共用は可能ですが、A種と共用した時点で10Ω以下が必要です。「D種だから100Ωでよい」とはなりません。
まとめ ― 取り違えやすいところ
| 取り違えやすいところ | 正しくは |
|---|---|
| 受電容量500kVA以上で義務 | 受電電力500kW以上(解釈 第37条第三号) |
| 容量が大きければ引込方式に関係なく義務 | 義務がかかるのは高圧架空電線路から受電する場合。地中引込は対象外 |
| 接地線は14mm²が法規の最小 | 法規上の最小は直径2.6mm(約5.5mm²)。14mm²は実務の標準値 |
| 「他の接地極から1m以上」が条文 | 条文は「金属体に近接する場合、地中で1m以上離す」 |
| SOGはD種なので100Ωでまとめてよい | A種と共用したら10Ω以下が必要 |
| 避雷器はどこに付けても効果は同じ | 保護される機器のもっとも近い位置に。離れるほど効果が落ちる |
📘 あわせて確認したいこと
本体の定格はPASの選定方法と定格電流の計算、制御電源とVTはPAS内蔵VTの選定と設置基準、接地全体の考え方は高圧受変電設備の設計マニュアル⑤で扱っています。
出典:電気設備の技術基準の解釈 第17条・第37条、高圧受電設備規程(JEAC 8011)、戸上電機製作所 GR付PAS 取扱説明書。接地抵抗の緩和規定は適用範囲が異なるため、適用の可否は電力会社・保安管理者にご確認ください。
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