【電気工事業法の解説 第2回】登録・通知・届出の手続き|提出先・期限・書類と費用
手続きは4種類あるが、判定は「一般用電気工作物等を扱うか」から入る。提出先は営業所が1つの都道府県内か2以上かで知事と大臣に分かれ、期限は「開始より前」と「開始した後」の2種類しかない。書類と費用の目安まで整理する。
手続きは4種類あるが、判定は「一般用電気工作物等を扱うか」から入る。提出先は営業所が1つの都道府県内か2以上かで知事と大臣に分かれ、期限は「開始より前」と「開始した後」の2種類しかない。書類と費用の目安まで整理する。
この記事の要点
開始を通知する期限
届出の期限
(更新を落とすと失効)
- 手続きは4種類あるが、判定は「一般用電気工作物等を扱うか」から入る。建設業許可の有無は、登録か届出かという名前を決めるだけである。
- 提出先は営業所の置き方で決まる。1つの都道府県内なら知事、2以上にまたがるなら経済産業大臣(窓口は産業保安監督部)になる。
- 期限は「開始より前」と「開始した後」の2種類しかない。登録と通知は前、みなしの届出と変更届は後である。
まず、どの手続きに当たるかを決める
ひとことで言うと:質問は2つ。一般用電気工作物等を扱うか、建設業許可を持っているか。順番は前者が先。
第1回で見たとおり、区分は4つある。ただし手続きを選ぶときの思考の順番は決まっていて、先に「扱う工作物」、後から「建設業許可」を見る。
一般用電気工作物等を扱うなら登録の系統、自家用だけなら通知の系統。そのうえで建設業許可を持っていれば「みなし」となり、手続きの名前が登録・通知から届出に変わる。
順番を逆にすると迷う。建設業許可から入ると「許可があるから届出だけでよい」と考えてしまい、みなし登録なのかみなし通知なのかを飛ばしてしまう。この2つは主任電気工事士の要否が違うので、飛ばせない。
提出先は営業所の置き方で決まる
登録も通知も、提出先は事業者の本店所在地ではなく、営業所がどこにあるかで決まる。
1つの都道府県の区域内にだけ営業所があるなら、その都道府県知事。2以上の都道府県にまたがるなら経済産業大臣で、実際の窓口は所管の産業保安監督部になる。
ここで見落とされやすいのが、営業所を増やしたときである。同じ県内で増やすなら変更届で済むが、隣県に出した瞬間に知事登録から大臣登録へ移ることになる。単なる変更届では処理できず、手続きそのものをやり直すことになるため、営業所の新設は登録の話とセットで考えておきたい。
なお「営業所」とは、電気工事の請負契約や見積り、作業の指示といった業務を実際に行っている拠点を指す。看板だけの事務所や、単なる資材置場は該当しない一方、実態として工事の管理をしている拠点は営業所として扱われる。
期限 ── 先にやるものと、後でよいもの
4つの手続きは、期限の性格が2つに分かれる。
登録は、電気工事業を営もうとするときに受けるものである。登録を受けてから営業を始める、という順番になる。
通知は、事業を開始する日の10日前までに提出する。届出という名前ではないが、事前に出す点は登録と同じである。
みなし登録・みなし通知の届出は、電気工事業を開始したときに遅滞なく提出する。建設業許可という別の審査を通っているため、事前ではなく事後でよい、という整理になっている。
変更届・承継届・廃止届は、事由が生じた日から30日以内である。氏名や名称、営業所の名称や所在地、営業所の増減、主任電気工事士、法人の役員などが対象になる。主任電気工事士が退職した場合も、この30日の対象である。
落としやすいのは「更新」
用意する書類と、かかる費用
様式は自治体ごとに異なるが、求められている中身は共通している。
登録では、主任電気工事士に関する書類が中心になる。誰を、どの営業所に、どういう資格で置くのかを、免状の写しと従業員証明書で示す。第二種電気工事士を主任電気工事士にする場合は、実務経験証明書も加わる。
通知では主任電気工事士の書類が要らない。ただし備付器具の明細書は求められる。主任電気工事士が不要なだけで、器具の備付け義務まで免除されているわけではない、という点は誤解されやすい。
| 費用の種類 | 金額の例 | 備考 |
|---|---|---|
| 都道府県知事への新規登録 | 22,000円(福岡県の例) | 手数料。自治体により異なる |
| 都道府県知事への更新登録 | 12,000円(福岡県の例) | 手数料。自治体により異なる |
| 登録事項の変更届 | 2,200円(愛知県の例) | 手数料。無料の自治体もある |
| 経済産業大臣への登録 | 90,000円 | 登録免許税 |
金額は自治体と時期によって変わる。申請前に必ず所管窓口の最新の案内で確認する。
費用そのものは大きくない。実務で時間を食うのは、実務経験証明書と従業員証明書である。前職での経験を使う場合、前の勤務先に証明を依頼することになるため、着手から取得までに数週間かかることがある。
登録が拒否されることもある ── 第6条
ひとことで言うと:過去2年以内の処分歴と、営業所に主任電気工事士を置けないこと。この2つが実務上の主な拒否理由になる。
登録は、書類がそろっていれば必ず通るというものではない。第6条は、登録を拒否しなければならない場合を列挙している。実務でこれに引っかかるのは、過去の処分歴か、営業所の体制のどちらかであることが多い。
注意したいのは、法人の場合に役員個人の履歴が見られる点である。以前に登録を取り消された会社の役員だった人が、新しい会社の役員に名を連ねていると、その会社の登録が拒否されることがある。設立時の役員構成を決める段階で確認しておきたい。
もうひとつは営業所の体制である。一般用電気工事を扱う営業所に主任電気工事士を置けなければ、その一点で登録は通らない。人の手当ては、書類の準備より先に始めておくのが安全である。
登録が切れたあと、工事はどうなるのか
ひとことで言うと:契約済みの工事は続けられる。ただし注文者は30日以内なら契約を解除できる。
更新を忘れて登録が失効した場合や、登録が消除された場合でも、すでに請け負っている工事をその場で止めなければならないわけではない。第17条は、従前の契約に基づく工事は引き続き施工できると定めている。
ただし同じ条文で、注文者は30日以内であれば契約を解除できるとされている。また経済産業大臣または都道府県知事は、公益上必要があるときは施工の差止めを命じることができる。「続けられる」というのは、あくまで注文者が解除しない限りの話である。実務では、更新を切らさないことがそのまま信用の維持につながる。
次回
第3回は主任電気工事士を扱う。誰を置けるのか、実務経験3年はどう数えるのか、置いた人に何をさせる義務があるのか、という話になる。
一次資料で確認するには
- 経済産業省「電気工事業法の申請・届出等の手引き」── 手続きの種類ごとに様式が並んでいる
- 所管の都道府県の担当課 ── 手数料と受付時間、更新の受付開始時期
- 産業保安監督部 ── 2以上の都道府県に営業所がある場合の窓口
本記事は公開情報にもとづく一般的な解説です。手続きの様式・手数料・提出先は自治体や時期によって異なり、法令も改正されます。実際の申請にあたっては、所管する都道府県または産業保安監督部の最新の案内を必ず確認してください。
出典
- 経済産業省「電気工事業法の申請・届出等の手引き」
- 経済産業省「自家用電気工事のみに係る電気工事業の開始通知(第17条の2)」
- 関東東北産業保安監督部「登録電気工事業者として登録申請を行う場合」
- 福岡県「電気工事業登録について」
- 愛知県「登録電気工事業者の変更の届出について」
- 兵庫県「電気工事業を営む方へ」
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