分電盤のブレーカーに「20A」と書いてある。では、この回路で家電は何ワットまで使えるのか――。この記事は、その計算と、使いすぎたときに何が起きるかだけにしぼって説明します。

結論

20Aのブレーカーは、100Vの回路で上限2,000W、200Vの回路で上限4,000Wです。ただし長い時間続けて使うなら、80%の1,600W(200Vなら3,200W)を目安にします。数えるのは、同じブレーカーにつながる家電の合計です。

  • 計算は W = V × A(20A × 100V = 2,000W)
  • 続けて使う負荷は、定格の80%までが目安
  • コンセント1か所(15A)で使えるのは1,500Wまで
  • 少し超えてもすぐには落ちない。25Aで60分以内、40Aで2分以内
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。

20Aのブレーカーは何ワットまで? ― 100Vで2,000W、続けて使うなら1,600W

ブレーカーの「20A」は、その回路に流してよい電流の大きさです。家電のワット数(W)は、電圧(V)×電流(A)で求めます。家庭のコンセントの回路は100Vなので、20A × 100V = 2,000Wが上限です。エアコンやIHクッキングヒーターなどの200Vの回路なら、同じ20Aでも4,000Wになります。

100Vなら上限2,000W
続けて使うなら80%の1,600W
200Vなら上限4,000W
計算はW = V × A

ただし、上限いっぱいまで使い続けるのはおすすめできません。内線規程では、冷蔵ケースや電気ストーブのように長い時間続けて流れる負荷がある分岐回路は、負荷をブレーカーの定格電流の80%以下にするよう勧めています(内線規程 3605-3)。20Aなら16A、100Vの回路で1,600Wが目安です。

ブレーカー 100Vの回路 80%の目安(100V) 200Vの回路 80%の目安(200V)
15A 1,500W 1,200W 3,000W 2,400W
20A 2,000W 1,600W 4,000W 3,200W
30A 3,000W 2,400W 6,000W 4,800W

表の値は、電気ストーブやドライヤーのような電熱器を前提にした目安です。モーターやインバーターを使う家電は、同じワット数でも電流が少し大きくなることがあります。本体に「定格電流(A)」の表示があれば、その数字で足し算すると確実です。

たとえるなら
80%は、コップに注ぐ量の目安
コップの縁まで注ぐこともできますが、持って歩くとこぼれますよね。ブレーカーも、20Aまでは流せますが、長い時間その近くで使い続けると、電線やブレーカーが熱を持ちます。8分目までにしておくと、こぼれる心配がありません。
ここまでのポイント
  • 20A × 100V = 2,000W、200Vなら4,000W
  • 続けて使うなら、80%の1,600W(200Vは3,200W)が目安
  • 表示に定格電流(A)があれば、その数字で数える


家電を足すと何ワット? ― 20Aは、つながるコンセント全部の合計

ここで間違えやすいのが、ブレーカー1つに、コンセントがいくつもつながっていることです。台所なら、レンジ台・カウンター・冷蔵庫の横のコンセントが、同じ20Aの回路ということがよくあります。2,000Wは、そのコンセント全部で使う家電の合計です。

20Aは回路全体の合計
コンセント1か所15Aなら1,500Wまで
レンジ+ケトル2,500Wで超える
見る数字本体の消費電力

また、家庭の一般的なコンセントは定格15Aです。ブレーカーが20Aでも、コンセント1か所で使えるのは1,500Wまでです。延長コードや電源タップにも、「合計1,500Wまで」のように上限が書いてあります。

家電 消費電力の目安
ドライヤー 1,000〜1,200W
電気ケトル 1,000〜1,300W
電子レンジ(レンジ加熱) 1,000〜1,500W
IH炊飯器(炊飯中) 600〜1,400W
電気ストーブ 400〜1,200W
冷蔵庫 100〜300W(運転中)

表の値は一般的な製品の目安で、機種によって違います。実際の数字は、本体の銘板や取扱説明書の「消費電力」で確かめます。この表で見ると、電子レンジと電気ケトルを同じ回路で同時に使うだけで、2,000Wを超えることが分かります。

ここに注意!
「電子レンジは600Wだから、ブレーカーには600W分」ではありません。
電子レンジの「600W」「500W」は、食品を温める出力です。ブレーカーの計算に使うのは、本体の表示や取扱説明書にある「消費電力」で、出力より大きな値になります。ほかの家電も、表示の消費電力(W)か定格電流(A)で数えます。

どのコンセントがどのブレーカーにつながっているかは、分電盤の回路表示で確かめられます。同時に使う家電の組み合わせから、落ちるかどうかを確かめたいときは、ブレーカー落ちるかな?判定が使えます。

ここまでのポイント
  • 20Aは、同じ回路のコンセント全部の合計
  • コンセント1か所(15A)は1,500Wまで
  • 数えるのは、本体の表示の消費電力


超えたら、すぐ落ちる? ― 1.25倍で60分以内、2倍で2分以内

20Aを超えたら、すぐにブレーカーが落ちるわけではありません。家庭の分電盤に付いている配線用遮断器は、電線が熱で傷む前に切れるよう、電流の大きさに応じて落ちるまでの時間が決まっています。定格30A以下のブレーカーでは、次のとおりです(電技解釈 第33条)。

20Aちょうど落ちない
25A60分以内に落ちる
40A2分以内に落ちる
落ちた場所分岐・主幹・漏電で違う
流れる電流(20Aの場合) 動き
20A(定格の1倍) 落ちない
25A(定格の1.25倍) 60分以内に落ちる
40A(定格の2倍) 2分以内に落ちる

図の例の2,500Wは、100Vで25Aです。このまま使い続けると、60分以内のどこかで落ちます。「レンジとケトルを同時に使うと、しばらくしてから落ちる」のはこのためです。

たとえるなら
ブレーカーの落ち方は、のぼせるお風呂のようなもの
ぬるめのお湯なら長く入っていられ、熱いお湯ほど早くのぼせます。ブレーカーも同じで、少しの超過なら電線がゆっくり温まるので時間がかかり、大きく超えるほど早く落ちます。すぐ落ちないのは、壊れているからではありません。

落ちたときは、どのブレーカーが落ちたかを見ます。1つの回路だけなら分岐ブレーカーで、その回路の使いすぎです。家じゅうが消えたなら主幹ブレーカー(契約ブレーカー)で、家全体の使いすぎです。漏電ブレーカーが落ちたときは、使いすぎではなく漏電の疑いがあるので、電気工事士か電力会社に相談します。家全体の容量は、契約アンペアの決め方で説明しています。

ここに注意!
「しばらく使えたから、この使い方で大丈夫」ではありません。
25Aで使い続けても、落ちるまでに最大60分かかります。そのあいだ電線とブレーカーは温まり続けています。何度も落ちる回路は、家電を別の回路に分けるか、専用回路を増やします。分電盤の中の工事は電気工事士の仕事です。
ここまでのポイント
  • 20Aちょうどでは落ちない。25Aで60分以内、40Aで2分以内
  • 落ちたのが分岐・主幹・漏電のどれかで、原因が違う
  • 何度も落ちる回路は、家電を分けるか専用回路を増やす


まとめ|結論

結論

20Aのブレーカーは、100Vの回路で2,000W、200Vの回路で4,000Wが上限です。続けて使うなら80%の1,600W(200Vは3,200W)を目安にし、同じ回路の家電の消費電力を合計して確かめます。少し超えてもすぐには落ちませんが、そのあいだ電線は温まっています。

迷ったら、この順で確かめます。

  1. 分電盤で、使いたいコンセントがどのブレーカー(何A)につながっているかを見る
  2. 同じ回路で同時に使う家電の消費電力を、本体の表示で足し算する
  3. 合計が 20A × 100V = 2,000W を超えないか、続けて使うなら1,600W以内かを見る
  4. 超えるなら、家電を別の回路のコンセントに分けるか、専用回路の増設を電気工事士に相談する

よくある質問

20Aのブレーカーで2,000Wの家電を使っても大丈夫ですか?

100Vの回路なら2,000Wで20Aちょうどなので、それだけで上限です。同じ回路のほかの家電を同時に使うと超えてしまいます。続けて使う機器は、80%の1,600Wを目安にすると安心です。

ブレーカーが20Aなら、コンセント1か所で2,000W使えますか?

使えません。家庭の一般的なコンセントは定格15Aなので、1か所で使えるのは100Vで1,500Wまでです。ブレーカーの20Aは、その回路につながるコンセント全部の合計です。

20Aを少し超えたのに、ブレーカーがすぐ落ちないのはなぜですか?

配線用遮断器は、定格電流の1倍では落ちず、1.25倍で60分以内、2倍で2分以内に落ちるように作られています(電技解釈 第33条・定格30A以下の場合)。少しの超過では、しばらく流れ続けます。

200Vの20Aなら何ワットまでですか?

20A×200Vで4,000Wが上限です。続けて使うなら80%の3,200Wが目安です。200Vのエアコンや IH クッキングヒーターは、専用回路につなぎます。

電子レンジの「出力600W」で計算していいですか?

いけません。出力は温める力の大きさで、ブレーカーの計算に使うのは本体の表示の「消費電力」です。電子レンジは出力が600Wでも、消費電力は1,000Wを超える機種が多くあります。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。