第二種電気工事士 合格カリキュラム学科② 配電理論と配線設計
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分電盤を開けると、小さなブレーカーがずらりと並んでいます。1つ1つが分岐回路の入口です。分岐回路は、ブレーカー・電線・コンセントの3つをセットで決めるのがポイントです。この記事では、分岐回路とは何か、3点セットの組み合わせ、分岐回路の種類、過電流遮断器の位置、組み合わせを間違えたときの危険を、図とたとえで1つずつ解説します。

結論

分岐回路はブレーカー・電線・コンセントの3点セットで決めます。20Aのブレーカーなら電線1.6mm以上・コンセント20A以下。過電流遮断器は分岐点から3m以下が原則です。

  • 1つの分岐ブレーカー=1つの分岐回路
  • 15A・20A(ブレーカー)は1.6mm、30Aは2.6mm以上
  • 20Aでもヒューズなら2.0mm以上
  • ブレーカーは電線を守れる大きさにする
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。全部を読まなくても、必要なところだけで解決します。
分電盤の主幹から分岐ブレーカーを経て、照明、リビングのコンセント、キッチンのコンセント、エアコン(専用)、IH(200V・専用)へ分岐回路が分かれる様子を示した図
1つの分岐ブレーカーが、1つの分岐回路を受け持ちます。

分岐回路とは ― 分電盤からの専用レーン

分岐回路は、分電盤の分岐ブレーカーから、照明やコンセントなどの負荷までの回路です。たとえるなら高速道路の料金所のレーンです。レーンを分けておけば、1つのレーンが止まっても、ほかのレーンは流れ続けます。

たとえば、キッチンで電子レンジと電気ケトルを同時に使ってブレーカーが落ちても、照明や冷蔵庫の回路が別なら止まりません。エアコンやIHのような大きな機器は、専用の分岐回路にするのが一般的です。幹線との関係は「電気設備の基本知識 #017【屋内幹線と分岐回路】」で解説しています。

ペン太ペン太
分岐回路は、たくさん分けたほうが安心なんですか?
ハリタハリタ
そうですね。回路を分けておけば、1つの回路に負荷が集中せず、トラブルがあっても影響が小さくて済みます。とくに電子レンジやドライヤーのように電流の大きい機器が集まる場所は、回路を分けておくのがおすすめです。
ここまでのポイント
  • 分岐回路は分岐ブレーカーから負荷まで
  • 回路を分けると、トラブルの影響が小さい
  • 大きな機器は専用の分岐回路に

3点セット ― ブレーカー・電線・コンセント

分岐回路の15A・20A・30Aごとに、分岐ブレーカー、電線の太さ(1.6mm以上・1.6mm以上・2.6mm以上)、コンセントの定格(15A以下・20A以下・20A以上30A以下)の組み合わせが切り替わる動く図解
動く図解:ブレーカーの大きさで、電線とコンセントが決まります。

分岐回路は、ブレーカーの定格で種類が決まります。そして、その種類に合わせて、電線の太さの下限と、コンセントの定格の範囲が決まります。3つはいつもセットで考えます。

ここまでのポイント
  • ブレーカーの定格で分岐回路の種類が決まる
  • 電線は太さの下限が決まる
  • コンセントは定格の範囲が決まる

分岐回路の種類 ― 組み合わせの表

分岐回路の種類ごとの電線の太さとコンセントの定格の表。15Aは1.6mm以上・15A以下、20A(配線用遮断器)は1.6mm以上・20A以下、20A(ヒューズ)は2.0mm以上・20A、30Aは2.6mm以上・20A以上30A以下、40Aは8mm²以上・30A以上40A以下、50Aは14mm²以上・40A以上50A以下
分岐回路の種類と、電線・コンセントの組み合わせ。
分岐回路の種類 電線の太さ(軟銅線) コンセントの定格
15A 直径1.6mm以上 15A以下
20A(配線用遮断器) 直径1.6mm以上 20A以下
20A(ヒューズ) 直径2.0mm以上 20A
30A 直径2.6mm(断面積5.5mm²)以上 20A以上30A以下
40A 断面積8mm²以上 30A以上40A以下
50A 断面積14mm²以上 40A以上50A以下
電気設備技術基準の解釈(分岐回路の施設)をもとに作成

⚠️ 20Aはブレーカーかヒューズかで違う

同じ20Aの分岐回路でも、ブレーカーなら1.6mm以上、ヒューズなら2.0mm以上です。コンセントも、ブレーカーなら「20A以下」、ヒューズなら「20A」と違います。試験でもよく問われるポイントです。

ここまでのポイント
  • 15A・20A(ブレーカー)は1.6mm以上
  • 20A(ヒューズ)は2.0mm以上
  • 30Aは2.6mm以上、コンセントは20〜30A


遮断器の位置 ― 分岐点の近くに

分岐回路の過電流遮断器を、幹線からの分岐点から3m以下に設けるのが原則で、分岐電線の許容電流が幹線の過電流遮断器の定格の35%以上なら8m以下、55%以上なら制限なしであることを示した図
分岐点から遮断器までの長さには決まりがあります。

幹線から分岐して、分岐回路の過電流遮断器に着くまでの電線は、幹線の遮断器でしか守られていません。細い電線をあまり長く引くと、守りきれなくなってしまいます。そこで、分岐回路の過電流遮断器は、分岐点から3m以下に設けるのが原則です。

分岐点から遮断器までの長さ 条件
3m以下 原則
8m以下 分岐する電線の許容電流が、幹線の過電流遮断器の定格の35%以上
長さの制限なし 分岐する電線の許容電流が、幹線の過電流遮断器の定格の55%以上
電気設備技術基準の解釈(分岐回路の施設)をもとに作成
ここまでのポイント
  • 原則は分岐点から3m以下
  • 35%以上なら8m以下
  • 55%以上なら長さの制限なし

組み合わせの間違い ― 電線が先に熱くなる

1.6mmの電線(許容電流27A)に20Aのブレーカーならブレーカーが先に切れて電線を守るが、30Aのブレーカーをつけると電線が先に熱くなって被覆が傷むことを比べた動く図解
動く図解:ブレーカーが大きすぎると、電線を守れません。

ブレーカーは、電線を守るためにあります。細い電線に大きなブレーカーをつけると、電線の許容電流を超えても、ブレーカーがなかなか切れません。その間に電線が熱くなり、被覆が傷んでしまいます。

たとえるなら、細いホースに消防車のポンプをつなぐようなものです。ポンプが止まる前に、ホースのほうが破れてしまいます。電線の許容電流は「電気設備の基本知識 #014【絶縁電線の許容電流】」、ブレーカーのしくみは「電気設備の基本知識 #015【過電流遮断器】」で解説しています。

ここまでのポイント
  • ブレーカーは電線を守るためにある
  • 大きすぎるブレーカーでは電線を守れない
  • 電線の許容電流とブレーカーをセットで考える

押さえる要点 ― 3点セットと3m

分岐回路の設計で押さえる要点として、15A・20Aは電線1.6mm以上、30Aは2.6mm以上、40A・50Aは8mm²・14mm²以上、遮断器は分岐点から3m以下、大きな機器は専用回路、ブレーカー・電線・コンセントを3点セットで決めることを並べた図
分岐回路の設計で押さえる要点のまとめ。

次の#019は「電気設備の基本知識 #019【引込線・引込口配線】」です。

ここまでのポイント
  • ブレーカー・電線・コンセントは3点セット
  • 遮断器は分岐点から3m以下が原則
  • 大きな機器は専用の分岐回路に


よくある質問

分岐回路とは何ですか?

分電盤の分岐ブレーカーから、照明やコンセントなどの負荷までの回路です。1つの分岐ブレーカーが1つの分岐回路を受け持ちます。回路を分けておくと、1つの回路でトラブルがあっても、ほかの回路は使い続けられます。

20A分岐回路の電線の太さは?

配線用遮断器(ブレーカー)の場合は直径1.6mm以上、ヒューズの場合は直径2.0mm以上です。コンセントは、ブレーカーなら20A以下、ヒューズなら20Aのものを使います。

30A分岐回路の電線とコンセントは?

電線は直径2.6mm(断面積5.5mm²)以上、コンセントは20A以上30A以下のものを使います。

分岐回路の過電流遮断器はどこに設けますか?

幹線からの分岐点から3m以下の場所が原則です。分岐する電線の許容電流が幹線の過電流遮断器の定格の35%以上なら8m以下、55%以上なら長さの制限なく設けられます。

細い電線に大きなブレーカーをつけるとどうなりますか?

電線の許容電流を超える電流が流れても、ブレーカーがなかなか切れません。先に電線が熱くなって被覆が傷み、漏電や火災の原因になります。ブレーカーは、つながる電線を守れる大きさにします。

ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。内線規程・電気工事士資格・住宅の電気設備を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

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