逆走は危険です
PASの方向性ってどうやって決めるの?
設置基準にかかわらず地絡継電器の方向性機能は付けることをお勧めします
理由
- もらい事故を防ぐことができる
- 方向性の有無によるコスト差が小さい(数万円程度)
(取付無しにしたことによるリスクのほうが大きい)
- PASの方向性について知りたい方
- 方向性の選定方法について知りたい方…など
方向性の機能(もらい事故の防止)
- もらい事故とは(波及事故)
- 近隣の需要家を【需要家A】、自身の需要家を【需要家B】とします
需要家【A】(例えば隣の敷地の建物)で
地絡事故が発生したとします。
その場合、需要家【A】のPASは電力会社の配電線側への
事故電流の流出を防ぐためPASを解放させます。(SOG動作)
その事故電流が需要家【B】にも流れてしまい、
自身の需要家のPASも解放されてしまう現象のことになります。
(全館停電を起こしてしまいます)
波及事故のおはなし | 北海道でんき保安協会 (hochan.jp)
方向性の設置基準
方向性の有無がケーブル長さによって決まる理由
地絡を生じると需要家側での対地静電容量に応じた電流が流れます。
この時地絡継電器に地絡電流が流れ、無方向性の地絡継電器では
設定値以上になると開閉器を遮断することになります。
方向性地絡継電器を設置すると、地絡電流の向き(ベクトル)を
判定するため配電線路からのもらい事故の影響を受けなくてすみます。
方向性の有無について|対地静電容量を求めるフロー
高圧電路に地絡が生じた際、自動的に電路を遮断する必要があります
事業者・他の需要家側で地絡が生じた場合、
需要家側に対地静電容量に応じた電流が流れます
対地静電容量に応じた電流が地絡継電器の設定値以上になると
開閉器を遮断します(もらい事故・波及事故)
地絡継電器の設定値以下であれば地絡継電器は作動しないため
方向性の有無は”対地静電容量=ケーブルの長さ”
によって選定することができます
公称断面積(mm2) | 無方向性で0.2A設定の時の最大使用可能ケーブル長さ(m) | |
CVおよびCVTケーブル | ||
60Hz | 50Hz | |
22 | 50 | 60 |
38 | 42 | 51 |
60 | 36 | 43 |
100 | 29 | 35 |
推奨ケーブル長さの求め方
計算例
地絡継電装置の検出感度を ”Ig=0.2A” とする
0.06[μF]50Hzの場合
0.0464[μF]60Hzの場合
先ほど求めた対地静電容量をケーブルごとの
1線あたりの静電容量(μF/km)で割り戻し長さを求めましょう
=145[m]となります
実際の地絡電流は計算より大きく流れるため計算値の0.3~0.5を推奨値とします
出典:(高圧受変電設備規程)より
無方向性の場合|推奨ケーブル長さ
まとめ
方向性地絡継電器の目的
- もらい事故の防止
方向性設置有無の基準
- 負荷側の高圧電路が長いなどの条件により対地静電容量が大きい場合
- 電気事業者側で地絡が発生
- 需要家側での対地静電容量に応じ電流が流れる
- 電流Igが地絡継電器の設定値以上になると開閉器が遮断する[もらい事故]
方向性付にするとこのIgのベクトルを判定(配電系統からの地絡電流である)するためもらい事故の影響を受けない
不要なもらい事故防止のためにも方向性の設置を推奨するが基準としてケーブルの長さによる方向性の要否判断基準を示す