この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。
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出典:電気設備の技術基準の解釈 第144条・第146条・第156条・第167条・解釈の解説

低圧配線方法の共通事項は、どの配線方法でも守るべき土台のルールです。押さえるポイントは 「工事の選び方/電線の太さと許容電流/接近するとき」 の3つです。

工事は、場所と電圧で選ぶ 解釈第156条の表から選びます。
電線は、1.6mm軟銅線以上 MIケーブルは1mm²以上。
許容電流は、表と係数で 周囲温度と、同一管内の本数。
弱電流電線・水管と接近するとき 第167条で、離隔や同じ管の禁止。
ペン太ペン太
配線方法っていろいろあるけど、共通して守ることってあるんですか?
ハリタハリタ
あるよ。まず施設場所と電圧で工事を選ぶ(解釈第156条の表)。電線は1.6mm軟銅線以上で、許容電流は表と係数で決まる。弱電流電線や水管と接近するときの決まりも共通なんだ。
共通事項 決まり(根拠)
工事の選び方 施設場所・乾燥か湿気水気か・300V以下か超かで、156-1表の○の工事(解釈第156条)
電線の太さ 直径1.6mmの軟銅線と同等以上、MIケーブルは1mm²以上(解釈第146条第1項)
許容電流 146-1表・146-2表の値×許容電流補正係数×電流減少係数(第146条第2項)
接近・交差 弱電流電線・水管などと接触しない。同じ管に弱電流電線を入れない(解釈第167条)

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ペン太ペン太
配線方法の選定って、結局どの表を見ればいいんですか?
ハリタハリタ
解釈では、第156条の表(156-1表)1つです。300V以下か超かは、表の中の行で分かれています。

この記事で押さえる3つのこと

  • 工事は、施設場所と電圧で、解釈第156条の表から選ぶ。管とケーブルの工事はどこでも使える。
  • 電線は直径1.6mm軟銅線以上。許容電流は、表の値×補正係数×電流減少係数。
  • 弱電流電線・水管とは接触しないように。弱電流電線と同じ管には原則入れない。
この記事の道案内
電気設備の技術基準の解釈にそって、低圧配線方法の共通事項を4つの視点で整理します。

① 工事の選び方

1つの表で、行ごとに決まる 300V以下と超は、行の違いです。
どの行でも使える4つの工事 合成樹脂管・金属管・可とう管・ケーブル。
表によらないもの ショウウィンドーや、特殊な場所のもの。
細部は、各工事の条文で 第157条〜第165条などで確かめる。
  • 低圧屋内配線の工事は、施設場所と使用電圧で選ぶ(解釈第156条)
  • 表は156-1表の1つで、展開した場所・点検できる隠ぺい場所・点検できない隠ぺい場所、乾燥か湿気水気か、300V以下か超かの行ごとに○の工事を使う
  • 合成樹脂管・金属管・金属可とう電線管・ケーブルの工事は、どの行でも使える
  • ショウウィンドー・ショウケース内の配線(第172条第1項)や、第175〜178条の場所に施設するものは、この表によらない
ペン太ペン太
電線って、流せる電流さえ足りればどんなに細くてもいいんですよね?
ハリタハリタ
直径1.6mmの軟銅線以上が基本で、そのうえ許容電流も満たす必要があります。管に何本入れるかでも変わりますよ。
表の行を決めるもの 区分
施設場所 展開した場所/点検できる隠ぺい場所/点検できない隠ぺい場所
場所の状態 乾燥した場所/湿気の多い場所又は水気のある場所
使用電圧 300V以下/300V超過
たとえるなら
工事の選び方の表は、天気と服装の早見表のようなもの
晴れ・雨・雪の行と、暑い・寒いの組み合わせで、着る服が決まる早見表を思い浮かべてください。解釈第156条の表も、施設場所・乾燥か湿気水気か・300V以下か超かの行ごとに、使える工事に○がついています。
ここに注意!
「300V以下と超で、別の表を見る」ではありません。
解釈で工事を選ぶ表は、第156条の表(156-1表)1つです。表の中で、施設場所・乾燥か湿気水気か・300V以下か超か、の行に分かれています。「3102-1表・3102-2表」という表番号は、ここでは確かめられないので使いません。
ここまでのポイント
  • 工事は、施設場所と使用電圧で156-1表から選ぶ。
  • 表は1つで、300V以下と超は行の違い。
  • 管とケーブルの工事は、どの行でも使える。


② 電線の太さと許容電流

基本は、直径1.6mmの軟銅線 300V超でも同じ決まりです。
MIケーブルは、1mm²以上 断面積で決まっています。
制御回路等は、1.2mmなどの例外 300V以下で、工事などの条件つき。
許容電流は、表×係数 補正係数と電流減少係数。
  • 低圧配線は、直径1.6mmの軟銅線か同等以上の強さと太さのもの、又は断面積1mm²以上のMIケーブル(解釈第146条第1項)
  • 300V以下の電光サイン・出退表示灯・制御回路等は、管・線ぴ・ダクトなどの工事で1.2mm以上の軟銅線、過電流遮断装置を設けて0.75mm²以上の多心ケーブルなどが使える
  • 許容電流は、146-1表(単線)・146-2表(より線)の値に、許容電流補正係数と、管などに収めるときの電流減少係数を掛ける(第2項)
  • 裸電線は原則使わない。例外は解釈第144条(がいし引きの電気炉用電線など、バスダクト、ライティングダクト、接触電線、特別低電圧照明回路、電気さく)
表の値は、27A 146-1表、軟銅線1.6以上2.0未満。
補正係数は、1.00 ビニル・周囲30℃の場合です。
3本以下の管なら、×0.70 146-4表の電流減少係数。
約19A 27×1.00×0.70で求めます。
同一管内の電線数 電流減少係数 1.6mm(27A)の例
3以下 0.70 約19A
4 0.63 約17A
5又は6 0.56 約15A
7以上15以下 0.49 約13A

600Vビニル絶縁電線(耐熱でないもの)、周囲温度30℃(補正係数1.00)の場合。146-4表の値で計算。

たとえるなら
電流減少係数は、満員電車で暑くなるようなもの
電車に人がぎゅうぎゅうに乗ると、車内が暑くなりますよね。電線も、1本の管にたくさん収めると熱がこもるので、許容電流を減らします。同一管内3本以下なら0.70、本数が増えるほど小さな係数を掛けます。
ここに注意!
「1.6mmは、300V以下の決まり」ではありません。
直径1.6mmの軟銅線(又は同等以上の強さと太さのもの、MIケーブルなら断面積1mm²以上)は、低圧配線全体の決まりです。300V以下の場合に限って、電光サインや制御回路等の配線などで細い電線が使える例外があります(解釈第146条第1項)。
ここに注意!
「太さが1.6mm以上なら、電流はいくらでもよい」ではありません。
許容電流は、146-1表・146-2表の値に、周囲温度による許容電流補正係数と、同一管内の本数による電流減少係数を掛けて求めます。1.6mmの600Vビニル絶縁電線を管に3本収めると、27×1.00×0.70で約19Aです(30℃の場合)。
ここに注意!
「裸電線の例外は、高温の場所など」ではありません。
解釈第144条の例外は、がいし引き工事の電気炉用電線・被覆が腐食する場所のもの・取扱者以外が出入りできない場所のもの(展開した場所)、バスダクト工事、ライティングダクト工事、接触電線、特別低電圧照明回路、電気さくの電線です。
ここまでのポイント
  • 電線は直径1.6mmの軟銅線以上、MIケーブルは1mm²以上。
  • 許容電流は、表の値×補正係数×電流減少係数。
  • 裸電線は原則使わない。例外は解釈第144条。


③ 弱電流電線・水管と接近するとき

がいし引きは、10cm以上 裸電線は30cm以上。隔壁なども可。
管やケーブルは、接触しない 弱電流電線・水管と接触しないように。
同じ管に入れない 弱電流電線とは別にします。
例外は、隔壁とC種接地など 制御用の弱電流電線なども例外です。
  • がいし引き工事の低圧配線は、弱電流電線や水管・ガス管などと10cm(裸電線は30cm)以上離す。300V以下なら、隔壁や絶縁管による方法も(解釈第167条第1項)
  • 管・ダクト・ケーブルなどの工事は、弱電流電線や水管などと接触しないように施設する(第2項)
  • 低圧配線の電線と弱電流電線は、同じ管・線ぴ・ダクトやボックスの中に施設しない(第3項)
  • 例外は、隔壁を設けて金属製部分にC種接地工事を施す場合、絶縁電線と同等以上の絶縁効力があり識別が容易な制御用の弱電流電線、C種接地した遮へい層をもつ通信用ケーブルなど
たとえるなら
弱電流電線と分けるのは、食器と洗剤を別の棚にしまうようなもの
口に入れる食器と洗剤は、同じ棚に混ぜてしまいませんよね。低圧配線と弱電流電線も、同じ管やダクト、ボックスに入れないのが原則です。入れるなら、隔壁を設けて金属製部分にC種接地を施すなどの条件があります。
ここに注意!
「管の工事なら、水管に触れてもよい」ではありません。
合成樹脂管・金属管・ケーブルなどの工事による低圧配線は、弱電流電線や水管・ガス管などと接触しないように施設します(解釈第167条第2項)。がいし引き工事なら10cm(裸電線は30cm)以上離します。
ここに注意!
「弱電流電線も、同じ管に入れてよい」ではありません。
低圧配線の電線と弱電流電線は、同じ管・線ぴ・ダクトやボックスの中に施設しないのが原則です。例外は、隔壁を設けて金属製部分にC種接地工事を施す場合や、絶縁電線と同等以上の絶縁効力をもつ制御用の弱電流電線などです(解釈第167条第3項)。
取り違えやすいところ 正しくは
300V以下と超で別の表を見る 156-1表は1つ。300V以下と超は行の違い
1.6mmは300V以下の決まり 低圧配線全体の決まり。300V以下の制御回路等に例外
1.6mm以上なら電流はいくらでもよい 許容電流=表の値×補正係数×電流減少係数
裸電線の例外は高温の場所など 電気炉用電線・腐食・立入り制限、バスダクトなど(第144条)
管の工事なら水管に触れてもよい 弱電流電線・水管などと接触しないように
弱電流電線も同じ管に入れてよい 原則入れない。隔壁+C種接地などは例外
ここまでのポイント
  • がいし引きは、弱電流電線・水管などと10cm以上。
  • 管・ケーブルなどの工事は、接触しないように。
  • 低圧配線と弱電流電線は、同じ管・ボックスに入れない。
  • 例外は、隔壁+C種接地、制御用の弱電流電線など。


よくある質問(FAQ)

Q1. 選び方は? 施設場所と電圧で、第156条の表から。
Q2. 電線の太さは? 1.6mm軟銅線以上、MIは1mm²以上。
Q3. 許容電流は? 表の値×補正係数×電流減少係数。
Q4. 接近するときは? 接触しない。同じ管に入れない。

Q. 配線方法はどうやって選ぶの?

A. 施設場所と使用電圧で選びます。解釈第156条の表(156-1表)で、展開した場所・点検できる隠ぺい場所・点検できない隠ぺい場所、乾燥か湿気水気か、300V以下か超かの行ごとに、使える工事が決まっています。合成樹脂管・金属管・金属可とう電線管・ケーブルの工事は、どの行でも使えます。

Q. 配線に使う電線の太さの目安は?

A. 低圧配線は、直径1.6mmの軟銅線か同等以上の強さと太さのもの、又は断面積1mm²以上のMIケーブルです(解釈第146条第1項)。300V以下の電光サインや制御回路等には、条件つきで1.2mmの軟銅線などを使える例外があります。

Q. 施工時に注意することは?

A. 弱電流電線や水管・ガス管などと接近・交差するときは、解釈第167条によります。がいし引き工事なら10cm(裸電線は30cm)以上離し、管・ダクト・ケーブルなどの工事なら接触しないように施設します。低圧配線の電線と弱電流電線は、原則として同じ管やボックスに入れません。

Q. 許容電流はどうやって求める?

A. 146-1表・146-2表の値に、周囲温度による許容電流補正係数と、管などに収めるときの電流減少係数を掛けます(解釈第146条第2項)。たとえば600Vビニル絶縁電線1.6mmを管に3本収める場合、30℃なら27×1.00×0.70で約19Aです。

まとめ|方法・電線・施工の3つが共通の土台

低圧配線の共通事項は、場所と電圧から工事を選び、1.6mm以上で許容電流を満たす電線を使い、弱電流電線や水管と接触しないように施工するという流れで整理できます。

確認する項目 決まり(根拠)
工事の選び方 施設場所・乾燥か湿気水気か・300V以下か超かで、156-1表から(解釈第156条)
どこでも使える工事 合成樹脂管・金属管・金属可とう電線管・ケーブル
表によらないもの ショウウィンドー等(第172条第1項)、第175〜178条の場所
電線の太さ 直径1.6mmの軟銅線と同等以上、MIケーブル1mm²以上(第146条第1項)
細い電線の例外 300V以下の電光サイン・制御回路等(1.2mm、0.75mm²など)
許容電流 表の値×許容電流補正係数×電流減少係数(第146条第2項)
裸電線 原則使わない。例外は第144条
がいし引きの接近 弱電流電線・水管などと10cm(裸電線30cm)以上(第167条第1項)
管・ケーブル等の接近 接触しないように(第167条第2項)
同じ管 低圧配線と弱電流電線は原則入れない(第167条第3項)

方法を選ぶときに押さえること

  • 施設場所と使用電圧の組合せ。
  • 156-1表のどの行にあたるか。
  • 表によらない場所・配線ではないか。

電線を選ぶときに押さえること

  • 裸電線の原則と例外。
  • 許容電流(補正係数・電流減少係数)。
  • 1.6mm以上と、制御回路等の例外。

接近するときに押さえること

  • がいし引きの離隔(10cm・裸電線30cm)。
  • 管・ケーブルなどは接触しないように。
  • 弱電流電線と同じ管に入れていないか。

ここで扱っているのは、どの配線方法を選んでも共通してかかるルールです。個別の工法の記事を読む前にこの3点を押さえておくと、条文どうしの関係がつかみやすくなります。

ペン太ペン太
施工段階では、どんなところでミスが起きやすいですか?
ハリタハリタ
管に入れる本数を増やしたのに、許容電流を見直さない誤りが典型です。弱電流電線を同じ管に入れていないかも確かめましょう。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。