技術図書館低圧配線方法は感電と火災を防ぐが前提全方法に共通する大前提、使用電線の条件、適用範囲と配線方法の種類この資料をスライドで見る資料一覧を見る
この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。
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出典:電気設備に関する技術基準を定める省令 第56条・第57条、電気設備の技術基準の解釈 第144条・第156条・解釈の解説

低圧配線方法は、一般の場所における低圧の屋内・屋側・屋外配線の基本ルールです。押さえるポイントは 「基本ルール/使用電線と裸電線/工事の選び方」 の3つです。

感電・火災を防ぐように 場所の状況と電圧に応じて施設します。
強度と絶縁性能のある電線 裸電線は、原則として使わない。
工事は、場所と電圧で選ぶ 解釈第156条の表で決まります。
特別高圧の移動電線は原則不可 接触電線も、特別高圧では不可。
ペン太ペン太
低圧配線って、いろんなやり方がありますよね。共通のルールはあるんですか?
ハリタハリタ
あるよ。まず「感電・火災を防ぐように施設する」「十分な強度と絶縁の電線を使う(裸電線は原則NG)」が大前提。そのうえで工事を、場所と電圧に合わせて解釈第156条の表から選ぶんだ。

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ペン太ペン太
低圧配線方法って種類が多いですよね。どれを選んでも自由なんですか?
ハリタハリタ
大前提は感電・火災を防ぐように施設することです。そのうえで、場所と電圧に応じて使える工事が決まっています。

この記事で押さえる3つのこと

  • 配線は、場所の状況と電圧に応じて感電・火災を防ぐように。特別高圧の移動電線は原則施設しない。
  • 電線は十分な強度と絶縁性能のあるもの。裸電線は原則使わず、例外は解釈第144条。
  • 工事は、施設場所・乾燥か湿気水気か・300V以下か超かで選ぶ(解釈第156条)。
この記事の道案内
電気設備に関する技術基準を定める省令と、電気設備の技術基準の解釈にそって、低圧配線方法の大前提を4つの視点で整理します。

① 基本ルール(感電・火災の防止)

場所の状況と電圧に応じて 感電・火災のおそれがないように。
移動電線の接続 接続不良による感電・火災を防ぐ。
特別高圧の移動電線は原則不可 人体に危害がなく必要不可欠なら例外。
省令第56条の決まり 配線の種類を問わない大前提。
区分 内容(根拠)
基本ルール 施設場所の状況と電圧に応じ、感電・火災のおそれがないように施設。特別高圧の移動電線は原則施設しない(省令第56条)
使用電線 十分な強度と絶縁性能をもつ電線。裸電線は原則使用しない。特別高圧の配線に接触電線は使用しない(省令第57条)
裸電線の例外 がいし引きの電気炉用電線など、バスダクト工事、ライティングダクト工事、接触電線など(解釈第144条)
工事の選び方 施設場所(展開・点検できる隠ぺい・点検できない隠ぺい)、乾燥か湿気・水気か、300V以下か超かで決まる(解釈第156条)
  • 配線は、施設場所の状況と電圧に応じ、感電・火災のおそれがないように施設する(省令第56条第1項)
  • 移動電線を電気機械器具と接続するときは、接続不良による感電・火災のおそれがないように施設する(第2項)
  • 特別高圧の移動電線は施設しない。人体に危害を及ぼすおそれがなく、接続が必要不可欠な器具に接続するものは例外(第3項)
たとえるなら
配線の大前提は、料理の「やけどと火事に気をつける」のようなもの
料理はレシピがいろいろあっても、「やけどと火事に気をつける」は全部に共通ですよね。配線も、がいし引き・管・ダクト・ケーブルと方法はいろいろですが、施設場所の状況と電圧に応じて感電・火災のおそれがないように施設する、が全部に共通する大前提です。
ここに注意!
「特別高圧の移動電線も、工夫すれば使える」ではありません。
特別高圧の移動電線は、施設してはなりません。例外は、充電部分に人が触れても人体に危害を及ぼすおそれがなく、移動電線と接続することが必要不可欠な電気機械器具に接続するものだけです(省令第56条第3項)。
ここに注意!
「この決まりは、屋内配線だけ」ではありません。
省令でいう「配線」は、電気使用場所において施設する電線(電気機械器具内の電線と電線路の電線を除く)です(省令第1条)。屋内だけでなく、屋側・屋外の配線にも、感電・火災の防止と使用電線の決まりがかかります。
ペン太ペン太
裸電線って完全に禁止だと思ってました。違うんですか?
ハリタハリタ
原則禁止です。例外は解釈第144条で、バスダクト工事や、立入りを制限した場所のがいし引きなどに限られます。基本は十分な強度と絶縁性能のある電線を使います。
ここまでのポイント
  • 施設場所の状況や電圧に応じ、感電・火災のおそれがないように施設する。
  • 移動電線を機械器具と接続するときは、接続不良による感電・火災のないように施設する。
  • 特別高圧の移動電線は原則施設禁止(人体に危害のおそれがなく必要不可欠な場合を除く)。


② 使用電線と裸電線

十分な強度と絶縁性能 施設場所の状況と電圧に応じて。
裸電線は、原則使わない 例外は解釈第144条で。
特別高圧に、接触電線は不可 省令第57条第3項です。
省令第57条の決まり 配線の使用電線の大前提です。
  • 施設場所の状況と電圧に応じ、使用上十分な強度と絶縁性能をもつ電線を使う(省令第57条第1項)
  • 配線には裸電線を使用しない。十分な強度があり、絶縁性がないことを考慮して感電・火災のおそれがないように施設する場合は例外(第2項)
  • 特別高圧の配線には、接触電線を使用しない(第3項)
がいし引きの低圧電線 電気炉用・腐食・立入り制限の場所。
バスダクト工事 第163条の規定で施設するもの。
ライティングダクト工事 第165条第3項の規定で施設するもの。
接触電線・特別低電圧照明など 電気さくの電線も含みます。
  • 裸電線が使えるのは、解釈第144条の場合:がいし引き工事の低圧電線のうち電気炉用電線・被覆が腐食する場所のもの・取扱者以外が出入りできない場所のものを展開した場所に施設する場合
  • バスダクト工事(第163条)、ライティングダクト工事(第165条第3項)の低圧電線
  • 接触電線(第173条・第174条・第189条)、特別低電圧照明回路(第183条)、電気さくの電線(第192条)
たとえるなら
裸電線の決まりは、包丁を出しっぱなしにしないようなもの
包丁は、ふだんはケースに入れてしまいますよね。むき出しで置くのは、子どもの手が届かない調理場など、限られた場面だけです。電線も絶縁された電線を使うのが基本で、裸電線は、立入りを制限した場所やバスダクト工事など、解釈第144条の場合に限られます。
ここに注意!
「裸電線は、どんな場合も禁止」ではありません。
配線には裸電線を使用しないのが原則ですが、解釈第144条で例外が決まっています。がいし引き工事の電気炉用電線などを展開した場所に施設する場合、バスダクト工事、ライティングダクト工事、接触電線、特別低電圧照明回路、電気さくの電線です。
ここに注意!
「接触電線は、どの電圧でも使える」ではありません。
特別高圧の配線には、接触電線を使用してはなりません(省令第57条第3項)。
ここまでのポイント
  • 施設場所・電圧に応じ、十分な強度と絶縁性能をもつ電線を使う。
  • 裸電線は原則使用禁止。例外は解釈第144条(バスダクト工事など)。
  • 特別高圧の配線には接触電線を使用できない。


③ 工事の選び方

施設場所は、3つの区分 展開した場所と、2種類の隠ぺい場所。
乾燥か、湿気・水気か 場所の状態でも分かれます。
300V以下か、超えるか 電圧でも、使える工事が変わる。
管とケーブルは、どこでも使える 合成樹脂管・金属管・可とう管・ケーブル。
  • 低圧屋内配線の工事は、解釈第156条の表(156-1表)で、施設場所と電圧の区分ごとに使えるものが決まる
  • 施設場所:展開した場所/点検できる隠ぺい場所/点検できない隠ぺい場所、それぞれ乾燥した場所か、湿気の多い場所・水気のある場所か
  • 電圧:300V以下か、300V超過か
  • 工事は、がいし引き・合成樹脂管・金属管・金属可とう電線管・金属線ぴ・金属ダクト・バスダクト・ケーブル・フロアダクト・セルラダクト・ライティングダクト・平形保護層の12種類
  • 合成樹脂管・金属管・金属可とう電線管・ケーブルの工事は、表のどの区分でも使える。各工事の詳細は、それぞれの回で解説
たとえるなら
工事の選び方は、場所に合わせて選ぶ靴のようなもの
晴れの日の街なか、雨の日、ぬかるみでは、合う靴が違いますよね。配線の工事も、展開した場所か隠ぺい場所か、乾燥しているか湿気・水気があるか、300V以下か超えるかで、使えるものが変わります。どこでも使える長靴のような工事が、管とケーブルの工事です。
ここに注意!
「湿気や水気があっても、乾燥した場所と同じ工事」ではありません。
解釈第156条の表では、湿気の多い場所や水気のある場所では、使える工事が乾燥した場所より少なくなります。どの区分でも使えるのは、合成樹脂管工事・金属管工事・金属可とう電線管工事・ケーブル工事です。
ここに注意!
「どんな場所でも、156-1表で選べばよい」ではありません。
第175条から第178条の場所(粉じん・可燃性ガス等・危険物等・火薬庫)に施設するものや、第172条第1項によるものは、第156条の表によりません(解釈第156条)。
取り違えやすいところ 正しくは
特別高圧の移動電線も工夫すれば使える 施設しない。人体に危害がなく必要不可欠な器具だけ例外
この決まりは屋内配線だけ 「配線」は電気使用場所の電線。屋側・屋外の配線も含む
裸電線はどんな場合も禁止 原則使用しない。例外は解釈第144条
接触電線はどの電圧でも使える 特別高圧の配線には使用しない
湿気・水気があっても同じ工事 湿気・水気のある場所では使える工事が少なくなる
どんな場所でも156-1表で選ぶ 第175〜178条の場所などは、表によらない
ここまでのポイント
  • 工事は、施設場所・乾燥か湿気水気か・300V以下か超かで選ぶ。
  • 合成樹脂管・金属管・金属可とう電線管・ケーブルの工事は、どの区分でも使える。
  • 第175〜178条の場所などは、表によらない。


よくある質問(FAQ)

Q1. 低圧配線方法とは? 低圧配線の大前提のルール。
Q2. 裸電線は使える? 原則使わない。例外は第144条。
Q3. 配線方法の種類は? がいし引き・管・ダクト・ケーブルなど。
Q4. 工事はどう選ぶ? 施設場所の区分と電圧で選ぶ。

Q. 低圧配線方法とは?

A. 低圧の屋内・屋側・屋外配線に共通する大前提のルールです。省令では、配線は施設場所の状況と電圧に応じて感電・火災のおそれがないように施設し(第56条)、十分な強度と絶縁性能をもつ電線を使う(第57条)と定めています。

Q. 裸電線は使ってもいいの?

A. 原則として使用しません(省令第57条第2項)。例外は解釈第144条で、がいし引き工事の電気炉用電線などを展開した場所に施設する場合、バスダクト工事、ライティングダクト工事、接触電線、特別低電圧照明回路、電気さくの電線です。特別高圧の配線には接触電線も使用できません。

Q. 配線方法にはどんな種類がある?

A. 解釈第156条の表では、がいし引き・合成樹脂管・金属管・金属可とう電線管・金属線ぴ・金属ダクト・バスダクト・ケーブル・フロアダクト・セルラダクト・ライティングダクト・平形保護層の12種類の工事があります。各工事の詳細はそれぞれの回で解説します。

Q. 工事はどうやって選ぶ?

A. 施設場所(展開した場所・点検できる隠ぺい場所・点検できない隠ぺい場所)、乾燥した場所か湿気・水気のある場所か、使用電圧が300V以下か超えるかで、使える工事が決まります(解釈第156条)。合成樹脂管・金属管・金属可とう電線管・ケーブルの工事は、どの区分でも使えます。

まとめ|すべての配線方法に共通する大前提

低圧配線方法は、感電・火災を防ぐように施設し、十分な強度と絶縁性能をもつ電線を使うという大前提のうえに、個別の工法のルールが積み上がっています。

区分 決まり(根拠)
施設の基本 施設場所の状況と電圧に応じ、感電・火災のおそれがないように(省令第56条第1項)
移動電線 機械器具との接続で、接続不良による感電・火災がないように(第56条第2項)
特別高圧の移動電線 施設しない。人体に危害がなく必要不可欠な器具は例外(第56条第3項)
使用する電線 十分な強度と絶縁性能をもつもの(省令第57条第1項)
裸電線 原則使用しない。例外は解釈第144条
特別高圧の接触電線 使用しない(省令第57条第3項)
工事の選び方 施設場所・乾燥か湿気水気か・300V以下か超か(解釈第156条)
どこでも使える工事 合成樹脂管・金属管・金属可とう電線管・ケーブル

施設の考え方で押さえること

  • 感電・火災のおそれがないように施設できているか。
  • 施設場所の状況と電圧を踏まえているか。
  • 移動電線の接続不良への配慮。

電線で押さえること

  • 十分な強度と絶縁性能があるか。
  • 裸電線の原則と、解釈第144条の例外。
  • 特別高圧での接触電線の制限。

工事の選び方で押さえること

  • 展開した場所か、隠ぺい場所か。
  • 乾燥か湿気・水気か、300V以下か超か。
  • 選ぶ工事と、その個別規定。

ここから先の条文は、この大前提を具体的な工法に落とし込んだものです。個別の規定で迷ったときは「感電・火災を防げているか」に立ち返ると、判断の軸がぶれにくくなります。

ペン太ペン太
配線方法を選ぶとき、最初に整理すべきことは何ですか?
ハリタハリタ
施設場所と電圧です。この2つが決まれば、解釈第156条の表で使える工事が絞れます。次の共通事項も読んでみてください。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。