技術図書館がいしで支える配線は3つの数値で決まる使う電線、支持点の間隔、造営材を貫通する部分。この3つを数値で押さえれば判断に迷わないこの資料をスライドで見る資料一覧を見る
この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。
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出典:電気設備の技術基準の解釈 第157条・第144条・第167条・解釈の解説

がいし引き配線は、がいし(絶縁体)で電線を支持して配線する方法です。押さえるポイントは 「使用電線/間隔・支持点間・防護/貫通部と接近」 の3つです。

電線は、絶縁電線 OW・DV・DEは使えません。
相互6cm、造営材2.5cm 300V超は4.5cm(乾燥なら2.5cm)。
支持点間は、2m以下 上面又は側面に沿うときです。
貫通部は、電線ごとに絶縁 難燃性・耐水性のある物で。
ペン太ペン太
がいし引き配線って、電線を何で支えるんですか?
ハリタハリタ
「がいし」という絶縁体で支えるんだ。電線は絶縁電線(OW・DV・DEはNG)、電線どうしは6cm以上、造営材の上面や側面に沿うなら支持点間2m以下。造営材を貫通するところは電線ごとに別個に絶縁するよ。
項目 決まり(解釈第157条)
電線 絶縁電線(屋外用ビニル・引込用ビニル・引込用ポリエチレン絶縁電線を除く)
間隔・離隔 電線相互6cm以上。造営材と2.5cm以上(300V超は4.5cm、乾燥した場所なら2.5cm)
支持点間 造営材の上面又は側面に沿うとき2m以下。それ以外で300V超は6m以下
防護 300V以下は簡易接触防護措置、300V超は接触防護措置
貫通部 電線ごとに別個の難燃性・耐水性のある物で絶縁(150V以下・乾燥は絶縁テープも可)

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ペン太ペン太
がいし引き配線って、絶縁電線なら何でも使えるんですよね?DV電線とか。
ハリタハリタ
DV電線とDE電線、それに屋外用ビニル絶縁電線(OW)も使えません。原則は絶縁電線ですが、この除外を見落とすと不適合になります。

この記事で押さえる3つのこと

  • 電線は絶縁電線。OW・DV・DE電線は使えない。裸電線は電気炉用など3つの場合だけ。
  • 電線相互6cm、造営材2.5cm(300V超4.5cm)。上面・側面に沿えば支持点間2m以下。
  • 貫通部は電線ごとに別個の難燃性・耐水性の物で絶縁。他の配線とは10cm以上。
この記事の道案内
電気設備の技術基準の解釈 第157条にそって、がいし引き配線のルールを4つの視点で整理します。

① 使用電線

原則は、絶縁電線 IV電線など。
OW・DV・DEは使えない DVとDEだけではありません。
裸電線は、3つの場合だけ 電気炉用・腐食・立入り制限の場所。
裸電線は、展開した場所に 他の配線とは30cm以上離します。
  • 原則は絶縁電線(解釈第157条第一号)
  • 屋外用ビニル絶縁電線(OW)・引込用ビニル絶縁電線(DV)・引込用ポリエチレン絶縁電線(DE)は使えない
  • 裸電線は、電気炉用電線・被覆が腐食する場所のもの・取扱者以外が出入りできない場所のものを、展開した場所に施設する場合に限る(第144条第一号)
ペン太ペン太
支持点間の距離って、だいたい等間隔なら感覚で決めていいんですか?
ハリタハリタ
造営材の上面や側面に沿うなら2m以下、それ以外で300Vを超えるなら6m以下と決まっています。感覚ではなく数値で押さえましょう。
電線 使用の可否
絶縁電線(IVなど) 使える(原則)
OW・DV・DE電線 使えない
裸電線 電気炉用電線、被覆が腐食する場所、取扱者以外が出入りできない場所のものを、展開した場所に施設する場合だけ
たとえるなら
使えない電線は、屋外用の靴を家の中で履かないようなもの
屋外用の長靴やサンダルは、家の中では履きませんよね。がいし引き配線も、屋外用ビニル絶縁電線(OW)や、引込用ビニル(DV)・引込用ポリエチレン(DE)絶縁電線のような屋外・引込用の電線は使わず、屋内用の絶縁電線を使います。
ここに注意!
「使えないのは、DV電線とDE電線だけ」ではありません。
がいし引き工事の電線は、絶縁電線のうち、屋外用ビニル絶縁電線(OW)、引込用ビニル絶縁電線(DV)、引込用ポリエチレン絶縁電線(DE)を除いたものです(解釈第157条第一号)。OWも使えません。
ここに注意!
「裸電線は、高温の場所や電気さくで使える」ではありません。
がいし引き工事で裸電線が使えるのは、電気炉用電線、電線の被覆絶縁物が腐食する場所のもの、取扱者以外の者が出入りできないようにした場所のもので、展開した場所に施設する場合です(解釈第144条第一号)。電気さくや特別低電圧照明は、がいし引きとは別の決まりです。
ここまでのポイント
  • 原則は絶縁電線を使用する。
  • OW・DV・DE電線は使用不可。
  • 裸電線は、電気炉用・腐食・立入り制限の場所のものを展開した場所に施設する場合だけ。


② 間隔・支持点間・防護

電線相互は、6cm以上 電圧によらず同じです。
300V以下は、造営材と2.5cm 第157条第三号です。
300V超は、造営材と4.5cm 乾燥した場所なら2.5cmでよい。
がいしの性質 絶縁性・難燃性・耐水性のあるもの。
  • 電線相互の間隔:6cm以上(第二号)
  • 電線と造営材との離隔:300V以下2.5cm以上、300V超4.5cm以上(乾燥した場所の300V超は2.5cm以上)(第三号)
  • 支持点間:造営材の上面又は側面に沿うときは2m以下。それ以外で300V超は6m以下(第四号)
  • 接触の防護:300V以下は簡易接触防護措置、300V超は接触防護措置(第五号・第六号)
  • がいしは、絶縁性・難燃性・耐水性のあるもの(第九号)
上面・側面に沿うと、2m以下 第157条第四号イです。
それ以外で300V超は、6m以下 第157条第四号ロです。
300V以下は、簡易接触防護措置 第157条第五号です。
300V超は、接触防護措置 第157条第六号です。
たとえるなら
がいし引きは、物干し竿をピンチで吊るすようなもの
物干し竿にタオルを掛けるとき、ピンチの間隔が広すぎるとたれ下がって壁にこすれますよね。がいし引き配線も、電線をがいしで支え、造営材に沿うなら支持点間2m以下、電線どうしは6cm以上、造営材とは2.5cm以上(300V超は4.5cm)離して、触れ合わないようにします。
ここに注意!
「取付けは、造営材の下面が基本」ではありません。
支持点間2m以下の決まりは、電線を造営材の「上面又は側面」に沿って取り付ける場合です(解釈第157条第四号イ)。それ以外の取付けで、300Vを超えるものは6m以下です。
ここに注意!
「はり間6mは、300V以下も同じ」ではありません。
解釈第157条第四号ロの6m以下は、上面・側面に沿う以外の場合で、使用電圧が300Vを超えるものの決まりです。300V以下で沿わせない場合の数値は、解釈には書かれていません。
ここに注意!
「造営材との離隔は、電圧によらず同じ」ではありません。
電線と造営材との離隔は、300V以下なら2.5cm以上、300Vを超えるなら4.5cm以上(乾燥した場所なら2.5cm以上)です。電線相互の間隔は6cm以上です(解釈第157条第二号・第三号)。
ここに注意!
「接触の防護は、いらない」ではありません。
使用電圧が300V以下なら電線に簡易接触防護措置を、300Vを超えるなら接触防護措置を施します(解釈第157条第五号・第六号)。
ここまでのポイント
  • 電線相互6cm、造営材2.5cm(300V超は4.5cm)。
  • 上面又は側面に沿う場合の支持点間は2m以下。
  • それ以外で300V超は6m以下。300V以下は簡易接触防護措置、超は接触防護措置。


③ 貫通部と接近

貫通部は、電線ごとに別個 難燃性・耐水性のある物で絶縁。
150V以下・乾燥は、テープも可 耐久性のある絶縁テープ。
他の配線と、10cm以上 裸電線は30cm以上。隔壁なども可。
がいし引き同士の並行は6cm 第157条第八号ニです。
  • 造営材を貫通する部分は、電線ごとにそれぞれ別個の難燃性・耐水性のある物で絶縁する(第七号)
  • 150V以下の電線を乾燥した場所に施設するときは、貫通部に耐久性のある絶縁テープを巻く方法でもよい
  • 他の低圧屋内配線・管灯回路の配線とは10cm以上(裸電線は30cm以上)離す。絶縁性の隔壁や絶縁管による方法も。がいし引き同士が並行するときは6cm以上(第八号)
  • 弱電流電線や水管・ガス管などとの接近は、第167条(10cm以上、裸電線は30cm以上など)
たとえるなら
貫通部の絶縁は、壁の穴に通すホースの保護カバーのようなもの
壁の穴にホースを通すとき、角で傷まないようカバーをかぶせますよね。がいし引き配線も、造営材を貫通する部分の電線を、電線ごとに別個の難燃性・耐水性のある物で絶縁します。150V以下で乾燥した場所なら、耐久性のある絶縁テープでもかまいません。
取り違えやすいところ 正しくは
使えないのはDVとDEだけ OW(屋外用ビニル)も使えない
裸電線は高温の場所や電気さくで使える 電気炉用・腐食・立入り制限の場所のもので、展開した場所
取付けは造営材の下面が基本 2m以下は「上面又は側面」に沿う場合
はり間6mは300V以下も同じ 6m以下は300V超の決まり
造営材との離隔は電圧によらず同じ 300V以下2.5cm、300V超4.5cm(乾燥なら2.5cm)
接触の防護はいらない 300V以下は簡易接触防護措置、300V超は接触防護措置
貫通部は穴に通せばよい 電線ごとに別個の難燃・耐水の物で絶縁
ここまでのポイント
  • がいしは絶縁性・難燃性・耐水性のものとする。
  • 貫通部は、電線ごとに別個の難燃性・耐水性の物で絶縁する。
  • 他の配線とは10cm以上(裸電線30cm)、がいし引き同士の並行は6cm以上。


よくある質問(FAQ)

Q1. 使える電線は? 絶縁電線。OW・DV・DEは不可。
Q2. 支持点間は? 沿うと2m以下。300V超は6mも。
Q3. 貫通するときは? 電線ごとに別個に絶縁する。
Q4. 間隔と離隔は? 相互6cm、造営材2.5cm(超は4.5cm)。

Q. がいし引き配線に使える電線は?

A. 絶縁電線です。ただし、屋外用ビニル絶縁電線(OW)、引込用ビニル絶縁電線(DV)、引込用ポリエチレン絶縁電線(DE)は使えません(解釈第157条第一号)。裸電線は、電気炉用電線、被覆が腐食する場所のもの、取扱者以外が出入りできない場所のものを、展開した場所に施設する場合だけ使えます(第144条第一号)。

Q. 電線の支持点間の距離は?

A. 電線を造営材の上面又は側面に沿って取り付ける場合は2m以下です。それ以外の取付けで、使用電圧が300Vを超えるものは6m以下です(解釈第157条第四号)。

Q. 造営材を貫通するときの注意は?

A. 貫通する部分の電線を、電線ごとにそれぞれ別個の難燃性・耐水性のある物で絶縁します。150V以下の電線を乾燥した場所に施設するときは、耐久性のある絶縁テープを巻く方法でもかまいません(解釈第157条第七号)。

Q. 電線の間隔と造営材との離隔は?

A. 電線相互の間隔は6cm以上です。電線と造営材との離隔は、300V以下なら2.5cm以上、300Vを超えるなら4.5cm以上(乾燥した場所なら2.5cm以上)です(解釈第157条第二号・第三号)。

まとめ|電線の可否・間隔と支持の数値・貫通部

がいし引き配線は、絶縁電線(OW・DV・DEを除く)を使い、間隔・離隔・支持点間の数値を守り、貫通部では電線ごとに別個に絶縁することが基本です。

確認する項目 決まり(解釈第157条など)
使用する電線 絶縁電線
使えない電線 OW・DV・DE電線
裸電線を使える場合 電気炉用・被覆が腐食する場所・立入り制限の場所のもの(展開した場所)
電線相互の間隔 6cm以上
造営材との離隔 300V以下2.5cm、300V超4.5cm(乾燥した場所は2.5cm)
支持点間(上面・側面に沿う) 2m以下
支持点間(それ以外・300V超) 6m以下
接触の防護 300V以下は簡易接触防護措置、300V超は接触防護措置
貫通部 電線ごとに別個の難燃性・耐水性の物で絶縁(150V以下・乾燥はテープも可)
他の配線との接近 10cm以上(裸電線30cm)、がいし引き同士の並行は6cm
がいし 絶縁性・難燃性・耐水性

電線で押さえること

  • 絶縁電線であること。
  • OW・DV・DE電線を使っていないか。
  • 裸電線を使う場合の条件にあてはまるか。

支持で押さえること

  • 電線相互6cm、造営材との離隔(2.5cm・4.5cm)。
  • 上面・側面に沿う場合の支持点間(2m以下)。
  • 300V超のそれ以外の支持点間(6m以下)と防護。

貫通部と接近で押さえること

  • がいしの性質(絶縁性・難燃性・耐水性)。
  • 貫通部は電線ごとに別個に絶縁しているか。
  • 他の配線・弱電流電線・水管との離隔。

がいし引き配線は新設で見る機会こそ減りましたが、既存設備の改修や点検では今も出会う工法です。数値が少ないぶん一つひとつが判定基準になるので、上の表をそのまま点検の確認項目として使えます。

ペン太ペン太
がいし引きを実際に設計するとき、次は何を確認すればいいですか?
ハリタハリタ
貫通部と接近です。貫通部は電線ごとに別個の難燃・耐水の物で絶縁し、他の配線とは10cm以上離します。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。