技術図書館屋内配線とは別物で、屋上専用の数値がある絶縁電線は離隔2m以上・支持点間15m以下。ケーブルは離隔1m以上、管やトラフに収めれば離隔は不要この資料をスライドで見る資料一覧を見る
この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。
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出典:電気設備の技術基準の解釈 第113条・第114条・第115条・第116条・解釈の解説

屋上電線路は、建物の屋上に施設する電線路です。施設できるのは1構内等の電線路として施設する場合などで、低圧の施設方法は 「絶縁電線」「ケーブル」「バスダクト工事」 の3つです。

屋上に施設する電線路 引込線の屋上部分は除きます。
施設できるのは、1構内等など 1構内等の電線路として施設する場合などです。
低圧は、3つの方法 絶縁電線・ケーブル・バスダクト工事。
高圧はケーブル、特別高圧は不可 高圧は造営材と1.2m以上などです。
ペン太ペン太
屋上に電線を引くのって、ふつうの配線と違うんですか?
ハリタハリタ
そう、屋上専用のルールがあるんだ。施設できるのは1構内等の電線路などに限られるし、低圧は絶縁電線・ケーブル・バスダクト工事のどれかで、それぞれ数値が決まっているよ。

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ペン太ペン太
屋上に電線を通すのって、屋内配線と同じ感覚でいいんですよね?
ハリタハリタ
屋上電線路は別の基準です。絶縁電線なら造営材から2m以上の離隔が要るなど、条件が厳しめですよ。

この記事で押さえる3つのこと

  • 屋上電線路を施設できるのは、1構内等の電線路として施設する場合など。引込線の屋上部分は除く。
  • 絶縁電線は支持点間15m以下・造営材と2m以上。ケーブルは支持柱なら1m以上。
  • ケーブルは管・トラフやラックでも施設できる。高圧はケーブルだけで、特別高圧は施設しない。
この記事の道案内
電気設備の技術基準の解釈にそって、屋上電線路のルールを3つの視点で整理します。
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① 施設できる場合と絶縁電線

1構内等の電線路として 1構内等専用の電線路の構内等の部分も可。
引込線の屋上部分は除く 第116条第2項で、屋側の規定に準じます。
高圧は、送受電の場合も可 屋外の複数の電線路から送受電する場合です。
特別高圧は、施設しない 特別高圧の引込線の屋上部分は別です。
  • 建物の屋上に施設する電線路。低圧は解釈第113条、高圧は第114条、特別高圧は第115条
  • 低圧の引込線と連接引込線の屋上部分は除く。引込線の屋上部分は、第116条第2項で、屋側電線路の規定に準じて施設する
  • 施設できる場合:1構内等に施設する電線路の全部又は一部として施設する場合などに限られる(第113条第1項)
  • 1構内等には、同一基礎構造物とこれに構築された複数の建物や、構造的に一体化した1つの建物も含まれる
たとえるなら
屋上電線路の決まりは、自分の家の庭だけに張る物干しロープのようなもの
物干しロープは、自分の家の庭やベランダに張りますよね。となりの家の屋根まで張り渡したりはしません。屋上電線路も、施設できるのは1構内等の電線路として施設する場合などに限られます。
ここに注意!
「屋上に電気を引き込む線が、屋上電線路」ではありません。
低圧屋上電線路からは、低圧の引込線と連接引込線の屋上部分が除かれています(解釈第113条第1項)。引込線の屋上部分は、第116条第2項で、屋側電線路の規定(第110条第2項など)に準じて施設します。
ここに注意!
「屋上なら、どこでも施設できる」ではありません。
低圧屋上電線路を施設できるのは、1構内等に施設する電線路の全部又は一部として施設する場合と、1構内等専用の電線路中その構内等に施設する部分として施設する場合に限られます(解釈第113条第1項)。
支持柱・支持台に、がいしで支持 絶縁性・難燃性・耐水性のあるがいし。
支持点間は、15m以下 造営材に堅ろうに取り付けた支持柱など。
造営材と、2m以上 高圧絶縁電線などは1m以上です。
2.30kN以上か、2.6mm硬銅線 展開した場所に、危険のおそれがないように。
  • 展開した場所に、危険のおそれがないように施設する(解釈第113条第2項第一号)
  • 電線:引張強さ2.30kN以上のもの又は直径2.6mm以上の硬銅線
  • 支持点間距離:15m以下。造営材に堅ろうに取り付けた支持柱・支持台に、絶縁性・難燃性・耐水性のあるがいしで支持
  • 造営材との離隔:2m以上(高圧絶縁電線・特別高圧絶縁電線は1m以上)
  • 他の工作物と接近・交差するときは、113-1表の離隔以上。植物と接触しないように施設する
ペン太ペン太
え、ケーブルなら離隔1m以上でいいんですか?絶縁電線の2mと違うんですね。
ハリタハリタ
そこが分かれ目です。ケーブルは支持柱で1m以上離すほか、堅ろうな管・トラフに収める方法や、ラックに施設する方法もあります。
確かめること 決まり
施設できる場合 1構内等に施設する電線路の全部又は一部として施設する場合、又は1構内等専用の電線路中その構内等に施設する部分として施設する場合(解釈第113条第1項)
除くもの 低圧の引込線と連接引込線の屋上部分
絶縁電線の強さ 引張強さ2.30kN以上のもの又は直径2.6mm以上の硬銅線
支持 造営材に堅ろうに取り付けた支持柱・支持台に、絶縁性・難燃性・耐水性のあるがいしで支持。支持点間15m以下
造営材との離隔 2m以上(高圧絶縁電線・特別高圧絶縁電線は1m以上)
たとえるなら
絶縁電線の離隔は、刃物を高い棚にしまうようなもの
刃物は、手の届きにくい高い棚にしまいますよね。屋上は人が上がることもある場所なので、絶縁電線は支持柱で張り、造営材から2m以上離します。高圧絶縁電線や特別高圧絶縁電線なら1m以上です。
ここに注意!
「がいしは、屋外用なら何でもよい」ではありません。
絶縁電線は、造営材に堅ろうに取り付けた支持柱又は支持台に、絶縁性・難燃性・耐水性のあるがいしを用いて支持します。支持点間の距離は15m以下です(解釈第113条第2項第一号)。
ここまでのポイント
  • 施設できるのは1構内等の電線路など。引込線の屋上部分は除く。
  • 絶縁電線は2.30kN以上か2.6mm硬銅線。支持点間15m以下。
  • 造営材との離隔は2m以上(高圧・特別高圧絶縁電線は1m以上)。


② ケーブル・バスダクトと高圧

支持柱・支持台で、1m以上 展開した場所で、第67条に準じます。
堅ろうな管・トラフに収める 取扱者以外が容易に開けられないふた。
ラックに施設する 簡易接触防護措置を施します。
バスダクト工事もできる JESCの規格と、第163条に準じます。
  • 支持柱・支持台:展開した場所で第67条(第五号を除く)に準じ、造営材との離隔1m以上
  • 管・トラフ:堅ろうな管又はトラフに収め、トラフには取扱者以外が容易に開けられない鉄製・鉄筋コンクリート製などの堅ろうなふた
  • ラック:造営材に堅ろうに取り付けたラックに施設し、簡易接触防護措置を施す
  • バスダクト工事:日本電気技術規格委員会の規格「バスダクト工事による低圧屋上電線路の施設」の要件によるほか、第163条に準じる
方法 決まり
支持柱・支持台(イ) 展開した場所で第67条(第五号を除く)に準じ、造営材との離隔1m以上
管・トラフ(ロ) 堅ろうな管又はトラフに収め、トラフには取扱者以外が容易に開けられない鉄製・鉄筋コンクリート製などの堅ろうなふた。第164条第1項第四号・第五号に準じる
ラック(ハ) 造営材に堅ろうに取り付けたラックに施設し、簡易接触防護措置。第164条第1項第二号・第四号・第五号に準じる
バスダクト工事 規格の要件によるほか、第163条に準じる
他の工作物との離隔 113-1表の値以上(電線の種類と相手により0.3m・0.6m・1m)
たとえるなら
ケーブルの3つの方法は、大事な書類のしまい方のようなもの
大事な書類は、手の届かない棚に置くか、鍵のかかる引き出しに入れるか、ファイル棚に整理しますよね。屋上のケーブルも、支持柱で造営材から1m以上離すか、容易に開けられないふたの付いた管・トラフに収めるか、ラックに施設して簡易接触防護措置を施します。
ここに注意!
「ケーブルは、必ず1m離す」ではありません。
支持柱・支持台で支持するときは、造営材との離隔1m以上です。ほかに、容易に開けられないふたを設けた堅ろうな管・トラフに収める方法と、ラックに施設して簡易接触防護措置を施す方法があります(解釈第113条第2項第二号)。
ここに注意!
「合成樹脂管工事でも、施設できる」ではありません。
低圧屋上電線路の方法は、絶縁電線、ケーブル、バスダクト工事の3つです(解釈第113条第2項)。合成樹脂管工事は挙げられていません。また、条文で簡易接触防護措置を求めているのは、ケーブルをラックに施設する方法です。
電線は、ケーブルだけ 高圧屋上電線路は、ケーブルを使います。
支持柱なら、造営材と1.2m以上 管・トラフに収める方法もあります。
他の工作物と、0.6m以上 架空電線を除きます。例外もあります。
植物と接触しないように 平時吹いている風等で触れないように。
  • 高圧屋上電線路の電線はケーブル(解釈第114条第2項)
  • 支持柱・支持台で支持するときは、造営材との離隔1.2m以上。堅ろうな管・トラフに収める方法もある
  • 他の工作物(架空電線を除く)との離隔は0.6m以上(第114条第3項。管・トラフで一定の条件を満たす場合は例外)
  • 特別高圧屋上電線路は、特別高圧の引込線の屋上部分を除き施設しない(第115条)
ここに注意!
「高圧も、低圧と同じ数値で施設できる」ではありません。
高圧屋上電線路の電線はケーブルに限られ、支持柱・支持台で支持するときは、造営材との離隔を1.2m以上にします。他の工作物との離隔も、原則0.6m以上です(解釈第114条)。特別高圧屋上電線路は、特別高圧の引込線の屋上部分を除き施設しません(第115条)。
取り違えやすいところ 正しくは
屋上に電気を引き込む線が屋上電線路 引込線・連接引込線の屋上部分は除く(第116条第2項で準用)
屋上ならどこでも施設できる 1構内等の電線路として施設する場合などに限る
がいしは屋外用なら何でもよい 絶縁性・難燃性・耐水性のあるがいし。支持点間15m以下
ケーブルは必ず1m離す 管・トラフ(容易に開けられないふた)やラックの方法もある
合成樹脂管工事でも施設できる 方法は絶縁電線・ケーブル・バスダクト工事の3つ
高圧も低圧と同じ数値 高圧はケーブルのみ・1.2m以上。特別高圧は施設しない
ここまでのポイント
  • ケーブルは支持柱・支持台で、造営材と1m以上。
  • 管・トラフ(堅ろうなふた)やラックの方法もある。
  • 高圧はケーブルで1.2m以上。特別高圧は施設しない。


よくある質問(FAQ)

Q1. 絶縁電線の基準は? 2.30kN以上か2.6mm硬銅線。支持点15m・離隔2m。
Q2. ケーブルの離隔は? 支持柱なら1m以上。管・トラフやラックも。
Q3. 工事方法は? 絶縁電線・ケーブル・バスダクト工事の3つ。
Q4. 特別高圧は? 引込線の屋上部分を除き、施設しません。

Q. 屋上電線路で絶縁電線を使うときの基準は?

A. 引張強さ2.30kN以上のもの又は直径2.6mm以上の硬銅線の絶縁電線を使い、造営材に堅ろうに取り付けた支持柱・支持台に、絶縁性・難燃性・耐水性のあるがいしで支持します。支持点間距離は15m以下、造営材との離隔距離は2m以上(高圧絶縁電線・特別高圧絶縁電線は1m以上)です(解釈第113条第2項第一号)。

Q. ケーブルを使うときの離隔距離は?

A. 支持柱・支持台で支持する場合は、造営材との離隔距離を1m以上とします。ほかに、堅ろうな管・トラフに収め、トラフには取扱者以外が容易に開けられない堅ろうなふたを設ける方法と、ラックに施設して簡易接触防護措置を施す方法があります(解釈第113条第2項第二号)。高圧屋上電線路では、支持柱の場合1.2m以上です(第114条)。

Q. 屋上電線路はどんな工事方法がある?

A. 低圧屋上電線路は、絶縁電線を使う方法、ケーブルを使う方法、バスダクト工事の3つのいずれかで施設します(解釈第113条第2項)。合成樹脂管工事は挙げられていません。高圧屋上電線路の電線はケーブルに限られます(第114条)。

Q. 特別高圧の屋上電線路は施設できる?

A. 特別高圧屋上電線路は、特別高圧の引込線の屋上部分を除き、施設しません(解釈第115条)。

まとめ|施設できる場合と、方法ごとの数値

屋上電線路は、施設できるのは1構内等の電線路などに限られ、絶縁電線・ケーブル・バスダクト工事で、離隔と支持の方法が分かれる点を押さえておくと判断しやすくなります。

確認する項目 内容
どんな電線路 建物の屋上に施設する電線路。引込線の屋上部分は除く
施設できる場合 1構内等の電線路として施設する場合など(解釈第113条第1項)
絶縁電線 2.30kN以上か2.6mm硬銅線。支持点間15m以下。造営材と2m以上(高圧絶縁電線等は1m)
ケーブル 支持柱で1m以上、管・トラフ(ふた)、ラック(簡易接触防護措置)のいずれか
バスダクト工事 規格の要件によるほか、第163条に準じる
他の工作物 113-1表の離隔以上
高圧 ケーブルのみ。支持柱なら1.2m以上。他の工作物と0.6m以上(第114条)
特別高圧 引込線の屋上部分を除き施設しない(第115条)

絶縁電線で押さえること

  • 引張強さまたは直径の条件。
  • 支持点間距離とがいしの性質。
  • 造営材との離隔(高圧絶縁電線などは1m)。

ケーブルで押さえること

  • 支持柱なら第67条に準じ、離隔1m以上。
  • 管・トラフなら、容易に開けられないふた。
  • ラックなら、簡易接触防護措置。

方法と電圧で押さえること

  • 低圧は絶縁電線・ケーブル・バスダクト工事。
  • 高圧はケーブルだけで、支持柱なら1.2m以上。
  • 特別高圧は、引込線の屋上部分を除き施設しない。

屋上は人が上がる機会もあり、風雨や日射も直接受ける場所です。離隔と支持の数値は、電線に触れさせないことと、たわみや損傷を防ぐことの両方を満たすための基準になっています。

ペン太ペン太
絶縁電線で施設する場合は、次に何を確認しますか?
ハリタハリタ
まず、1構内等の電線路として施設できるかです。そのうえで、引張強さ2.30kN以上か直径2.6mm以上の硬銅線を使い、支持点間は15m以下に収めましょう。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。