第2回 危険場所の区分
この記事の要点
- 危険場所の区分は、爆発性雰囲気がどれだけの時間存在しうるかで決まる。距離で決めるものではない。
- ゾーン0・1・2は、従来の0種・第1種・第2種危険場所に対応する。
- 区分は電気の側だけでは決められない。物質の性質と放出・換気の評価が先に要る。
区分は「時間」で決まる
ひとことで言うと:危険場所の区分は、爆発性雰囲気がどれだけの時間存在しうるかで分けたものである。
防爆の設計は、危険場所の区分から始まる。ここを取り違えると、機器の選定も工事方法もまとめてずれる。区分は3つで、分け方は単純である。爆発性雰囲気が存在する時間の長さで分ける。
目安として示される年間時間は、法令が数値で定めているものではない。区分は最終的に、その設備を持つ事業者が、物質と工程の実態にもとづいて決めるものである。数値は判断の物差しとして使われる。
間違えやすいのは、危険場所を「危険物のタンクから何メートル」と距離だけで捉えることである。距離は結果であって、根拠ではない。同じ距離でも、屋外で風が抜ける場所と、換気の悪い屋内のピットとでは区分が変わる。
旧区分とどう対応するのか
ひとことで言うと:0種・第1種・第2種という従来の呼び方は、そのままゾーン0・1・2に対応する。
古い図面や社内基準には、0種危険場所、第1種危険場所という表記が残っていることが多い。国際整合指針ではゾーン0・ゾーン1・ゾーン2という呼び方になるが、区分の考え方は対応している。
粉じんを扱う場所については、ゾーン20・21・22という別の系列がある。可燃性の粉じんは、堆積したものが舞い上がって爆発性の雰囲気を作るため、清掃と堆積の管理が区分に直結する。ガスの区分をそのまま当てはめることはできない。
誰が、どうやって決めるのか
ひとことで言うと:区分の決定は電気の仕事ではない。プロセスの情報を受けて、図面に落とすところが電気の仕事になる。
危険場所の区分は、扱う物質の性質と、どこからどれだけ漏れうるか、そして換気がどれだけ効くかで決まる。したがって、区分を決める作業はプロセス側と一緒に進めることになる。手順は次のようになる。
| 調べる項目 | なぜ要るのか |
|---|---|
| 引火点 | 常温で可燃性の蒸気を出すかどうかが決まる。 |
| 爆発範囲(爆発下限界・上限界) | 漏れた蒸気が着火しうる濃度の幅がわかる。 |
| 蒸気密度(空気との比) | 空気より重ければ低い場所に、軽ければ高い場所にたまる。区分の範囲の形が変わる。 |
| 発火温度 | 機器の温度等級を決める根拠になる。第3回で扱う。 |
| 最大安全すきま・最小点火電流比 | 機器グループ(IIA・IIB・IIC)の判定に使う。 |
これらは安全データシート(SDS)や物性の資料から拾う。電気の設計者も、最低限どこに書いてあるかは知っておきたい。
区分が決まったら、平面図と断面図の両方に境界を描く。ゾーンの境界は立体で、床面から一定の高さまで、開口部から一定の距離まで、といった形になる。図面に落ちていない区分は、施工の段階で必ず解釈のずれを生む。
危険場所の区分は、防爆設計の入口であると同時に、あとから直しにくい部分でもある。区分が1段階厳しくなれば、機器も工事方法もまとめて変わる。着工前に、区分図が確定しているかを確かめておきたい。
一次資料で確認するには
- 工場電気設備防爆指針(国際整合技術指針)── 危険場所の区分の考え方と手順を確認する。
- 扱う物質の安全データシート ── 引火点、爆発範囲、蒸気密度、発火温度を確認する。
- 発注者の社内基準や既存の区分図 ── 同じ構内で区分の考え方が統一されているかを確認する。
本記事は公開情報にもとづく一般的な解説です。危険場所の区分は設備の実態にもとづいて事業者が決定するものであり、実際の判断は所轄官庁および発注者の基準に従ってください。
出典
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