この記事の要点

9種類
おもな防爆構造
4要素
Ex表示に含まれる情報
T1〜T6等級
最高表面温度の区分
  • 防爆構造は「爆発させない」ものと「爆発しても外へ出さない」ものに大きく分かれる。
  • Ex表示は、構造の種類・機器グループ・温度等級の3つを一度に示している。
  • 温度等級は機器の側の値であり、扱うガスの発火温度と突き合わせて選ぶ。

考え方は2つに分かれる

ひとことで言うと:内部で爆発してもよいとする構造と、そもそも点火させない構造がある。

防爆構造は数が多いが、根っこの考え方は2つしかない。ひとつは、容器の中に爆発性の雰囲気が入ることを認めたうえで、内部で爆発しても容器が耐え、外へ火炎を出さないようにするもの。耐圧防爆がこれに当たる。

もうひとつは、そもそも点火に至らせないもの。回路のエネルギーを抑える本質安全防爆、内部にガスを入れない内圧防爆、火花や高温部を作らない安全増防爆などが含まれる。

お​も​な​防​爆​構​造​の​種​類お​も​な​防​爆​構​造​と​、​点​火​を​防​ぐ​考​え​方「​爆​発​さ​せ​な​い​」​か​「​爆​発​し​て​も​外​へ​出​さ​な​い​」​か​で​分​か​れ​るd耐​圧​防​爆内​部​で​爆​発​し​て​も​容​器​が​耐​え​、​外​へ​火​炎​を​出​さ​な​いe安​全​増​防​爆火​花​や​高​温​部​を​生​じ​な​い​よ​う​、​構​造​上​の​余​裕​を​増​すi​a​ ​/​ ​i​b本​質​安​全​防​爆回​路​の​エ​ネ​ル​ギ​ー​を​、​点​火​に​至​ら​な​い​水​準​に​抑​え​るp内​圧​防​爆保​護​気​体​を​入​れ​て​、​内​部​へ​ガ​ス​を​侵​入​さ​せ​な​いo​ ​/​ ​q​ ​/​ ​m油​入​・​充​填​・​樹​脂油​・​粉​体​・​樹​脂​で​覆​い​、​爆​発​性​雰​囲​気​と​接​触​さ​せ​な​いn非​点​火​防​爆通​常​の​状​態​で​点​火​源​に​な​ら​な​い​。​ゾ​ー​ン​2​向​け※​こ​こ​に​挙​げ​た​ほ​か​、​粉​じ​ん​用​の​「​t​」​や​特​殊​防​爆​の​「​s​」​が​あ​る​。

現場で多いのは、耐圧防爆と安全増防爆、そして計装まわりの本質安全防爆である。それぞれ得意な用途が違う。開閉部を持つ機器は耐圧防爆、端子箱や接続箱は安全増防爆、センサや発信器の低電力回路は本質安全防爆、というのが典型的な組み合わせになる。

構造 使えるゾーン 向いている機器 施工上の要点
耐圧防爆 d ゾーン1・2 開閉器電動機、照明器具 容器の合わせ面と締付けが命。ボルトの欠品や締め忘れは致命的になる。
安全増防爆 e ゾーン1・2 端子箱、接続箱、かご形電動機 沿面・空間距離と締付トルク。端子の増し締めが保守の要点になる。
本質安全防爆 ia ゾーン0・1・2 センサ、発信器、計装の低電力回路 バリアの選定と、本安回路と非本安回路の分離。
本質安全防爆 ib ゾーン1・2 同上 iaより保護の水準が1段低い。ゾーン0には使えない。
内圧防爆 p ゾーン1・2 大型盤、分析計小屋 保護気体の供給と圧力監視。停止時のパージ手順が要る。
非点火防爆 n ゾーン2のみ ゾーン2の一般機器 ゾーン1へ流用できない。区分図との突き合わせが要る。

ゾーンとの対応は代表的な組み合わせを示したもの。実際の可否は機器の保護レベル(EPL)の表示で確認する。


表示を分解して読む

ひとことで言うと:Ex d IIB T4 は、構造・ガスの区分・温度の3つを同時に示している。

国際整合指針にもとづく機器には、Exで始まる表示がある。並んでいる記号は、それぞれ別のことを言っているので、順に分解すると読みやすい。

防​爆​表​示​の​読​み​方表​示​の​読​み​方​ ​─​─​ ​E​x​ ​d​ ​I​I​B​ ​T​4​ ​を​分​解​す​る4​つ​の​要​素​が​、​そ​れ​ぞ​れ​別​の​こ​と​を​言​っ​て​い​るE​xdI​I​BT​4E​x国​際​整​合​指​針​に​も​と​づ​く​表​示​で​あ​る​こ​とd防​爆​構​造​の​種​類​(​こ​の​例​で​は​耐​圧​防​爆​)I​I​B機​器​グ​ル​ー​プ​(​対​象​と​す​る​ガ​ス​の​区​分​)T​4温​度​等​級​(​最​高​表​面​温​度​1​3​5​℃​以​下​)※​構​造​規​格​に​よ​る​表​示​で​は​「​d​2​G​4​」​の​よ​う​に​、​爆​発​等​級​(​2​)​と​発​火​度​(​G​4​)​で​表​す​。

機器グループは、対象とするガスをすきまの通りやすさで分けたものである。IIAが最も緩く、IICが最も厳しい。IICの機器はIIBやIIAの場所でも使えるが、逆はできない。水素やアセチレンを扱う場所ではIICが必要になる。

機器グループ 最大安全すきま 代表的なガス 使える場所
IIA 0.9mm以上 プロパン など IIAの場所
IIB 0.5mmを超え0.9mm未満 エチレン など IIAとIIBの場所
IIC 0.5mm以下 水素、アセチレン IIA・IIB・IICすべての場所

上位のグループの機器は、下位のグループの場所でも使える。

温度等級は、ガスの発火温度と突き合わせる

ひとことで言うと:T4は「機器の表面が135℃を超えない」という意味。ガスの発火温度がそれより高いことを確認して選ぶ。

温度等級は、機器の最高表面温度の上限を表す。数字が大きいほど許される温度が高く、T1が最も緩い。選定では、扱うガスの発火温度より低い等級を選ぶ。

温度等級 機器の最高表面温度 考え方
T1 450℃以下 発火温度が450℃を超えるガスに対応できる。
T2 300℃以下
T3 200℃以下
T4 135℃以下 実務で指定されることが多い等級。
T5 100℃以下
T6 85℃以下 最も厳しい。発火温度の低いガスに使う。

等級が厳しくなるほど機器の選択肢は狭くなる。区分と物質が確定してから選定に入りたい。

構造規格による表示では、発火度がG1からG5で表される。たとえばG4は135℃以上200℃未満の範囲を指し、国際整合指針のT4とは数値の意味が違う。古い機器と新しい機器が混在する現場では、表示の系統を確かめてから読むことになる。

表示は、機器が「どこまでなら安全か」を示した約束事である。区分図と物質の情報がそろっていれば、表示を読むだけで使える機器かどうかは判断できる。逆に言えば、そのどちらかが欠けたまま機器を選ぶことはできない。

一次資料で確認するには

  • 機器の銘板と型式検定合格証 ── 表示の系統と内容が一致しているかを確認する。
  • 工場電気設備防爆指針(国際整合技術指針)── 保護レベル(EPL)とゾーンの対応を確認する。
  • 扱う物質の資料 ── 発火温度と、機器グループの判定に使う値を確認する。

本記事は公開情報にもとづく一般的な解説です。機器の選定にあたっては、機器メーカーの取扱説明書と型式検定合格証、および発注者の基準を確認してください。

出典

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。