第3回 防爆構造の種類と、表示の読み方
この記事の要点
- 防爆構造は「爆発させない」ものと「爆発しても外へ出さない」ものに大きく分かれる。
- Ex表示は、構造の種類・機器グループ・温度等級の3つを一度に示している。
- 温度等級は機器の側の値であり、扱うガスの発火温度と突き合わせて選ぶ。
考え方は2つに分かれる
ひとことで言うと:内部で爆発してもよいとする構造と、そもそも点火させない構造がある。
防爆構造は数が多いが、根っこの考え方は2つしかない。ひとつは、容器の中に爆発性の雰囲気が入ることを認めたうえで、内部で爆発しても容器が耐え、外へ火炎を出さないようにするもの。耐圧防爆がこれに当たる。
もうひとつは、そもそも点火に至らせないもの。回路のエネルギーを抑える本質安全防爆、内部にガスを入れない内圧防爆、火花や高温部を作らない安全増防爆などが含まれる。
現場で多いのは、耐圧防爆と安全増防爆、そして計装まわりの本質安全防爆である。それぞれ得意な用途が違う。開閉部を持つ機器は耐圧防爆、端子箱や接続箱は安全増防爆、センサや発信器の低電力回路は本質安全防爆、というのが典型的な組み合わせになる。
| 構造 | 使えるゾーン | 向いている機器 | 施工上の要点 |
|---|---|---|---|
| 耐圧防爆 d | ゾーン1・2 | 開閉器、電動機、照明器具 | 容器の合わせ面と締付けが命。ボルトの欠品や締め忘れは致命的になる。 |
| 安全増防爆 e | ゾーン1・2 | 端子箱、接続箱、かご形電動機 | 沿面・空間距離と締付トルク。端子の増し締めが保守の要点になる。 |
| 本質安全防爆 ia | ゾーン0・1・2 | センサ、発信器、計装の低電力回路 | バリアの選定と、本安回路と非本安回路の分離。 |
| 本質安全防爆 ib | ゾーン1・2 | 同上 | iaより保護の水準が1段低い。ゾーン0には使えない。 |
| 内圧防爆 p | ゾーン1・2 | 大型盤、分析計小屋 | 保護気体の供給と圧力監視。停止時のパージ手順が要る。 |
| 非点火防爆 n | ゾーン2のみ | ゾーン2の一般機器 | ゾーン1へ流用できない。区分図との突き合わせが要る。 |
ゾーンとの対応は代表的な組み合わせを示したもの。実際の可否は機器の保護レベル(EPL)の表示で確認する。
表示を分解して読む
ひとことで言うと:Ex d IIB T4 は、構造・ガスの区分・温度の3つを同時に示している。
国際整合指針にもとづく機器には、Exで始まる表示がある。並んでいる記号は、それぞれ別のことを言っているので、順に分解すると読みやすい。
機器グループは、対象とするガスをすきまの通りやすさで分けたものである。IIAが最も緩く、IICが最も厳しい。IICの機器はIIBやIIAの場所でも使えるが、逆はできない。水素やアセチレンを扱う場所ではIICが必要になる。
| 機器グループ | 最大安全すきま | 代表的なガス | 使える場所 |
|---|---|---|---|
| IIA | 0.9mm以上 | プロパン など | IIAの場所 |
| IIB | 0.5mmを超え0.9mm未満 | エチレン など | IIAとIIBの場所 |
| IIC | 0.5mm以下 | 水素、アセチレン | IIA・IIB・IICすべての場所 |
上位のグループの機器は、下位のグループの場所でも使える。
温度等級は、ガスの発火温度と突き合わせる
ひとことで言うと:T4は「機器の表面が135℃を超えない」という意味。ガスの発火温度がそれより高いことを確認して選ぶ。
温度等級は、機器の最高表面温度の上限を表す。数字が大きいほど許される温度が高く、T1が最も緩い。選定では、扱うガスの発火温度より低い等級を選ぶ。
| 温度等級 | 機器の最高表面温度 | 考え方 |
|---|---|---|
| T1 | 450℃以下 | 発火温度が450℃を超えるガスに対応できる。 |
| T2 | 300℃以下 | |
| T3 | 200℃以下 | |
| T4 | 135℃以下 | 実務で指定されることが多い等級。 |
| T5 | 100℃以下 | |
| T6 | 85℃以下 | 最も厳しい。発火温度の低いガスに使う。 |
等級が厳しくなるほど機器の選択肢は狭くなる。区分と物質が確定してから選定に入りたい。
構造規格による表示では、発火度がG1からG5で表される。たとえばG4は135℃以上200℃未満の範囲を指し、国際整合指針のT4とは数値の意味が違う。古い機器と新しい機器が混在する現場では、表示の系統を確かめてから読むことになる。
表示は、機器が「どこまでなら安全か」を示した約束事である。区分図と物質の情報がそろっていれば、表示を読むだけで使える機器かどうかは判断できる。逆に言えば、そのどちらかが欠けたまま機器を選ぶことはできない。
一次資料で確認するには
- 機器の銘板と型式検定合格証 ── 表示の系統と内容が一致しているかを確認する。
- 工場電気設備防爆指針(国際整合技術指針)── 保護レベル(EPL)とゾーンの対応を確認する。
- 扱う物質の資料 ── 発火温度と、機器グループの判定に使う値を確認する。
本記事は公開情報にもとづく一般的な解説です。機器の選定にあたっては、機器メーカーの取扱説明書と型式検定合格証、および発注者の基準を確認してください。
出典
30秒アンケートこの記事は役に立ちましたか?
タップするだけで完了します。あなたの声でこのサイトは育ちます。
ご回答ありがとうございます!
よければ、あと3つだけ教えてください(任意・答えなくてもOK)
ありがとうございました。いただいた声は記事の改善に使わせていただきます。
