この記事の要点

5段階
機器を絞り込む手順
1
型式検定合格証
4
受入れ時に見る表示
  • 選定はゾーンから始める。構造から入ると手戻りが出やすい。
  • 防爆機器は型式検定に合格したものを使う。合格証と現物の表示を突き合わせる。
  • 海外品や旧型機器では、表示の系統と法令上の扱いを個別に確認する必要がある。

絞り込みには順番がある

ひとことで言うと:ゾーン、機器グループ、温度等級、構造の順に条件を重ねる。

防爆機器の選定は、条件を重ねていく作業である。順番を守れば選択肢は自然に絞られるが、順番を崩すと手戻りになる。よくあるのが、先に「耐圧防爆の照明器具」と決めてしまい、あとからその場所がゾーン0だったとわかる例である。

防​爆​機​器​を​選​ぶ​手​順機​器​を​絞​り​込​む​順​番上​か​ら​順​に​条​件​を​重​ね​る​と​、​選​択​肢​は​自​然​に​絞​ら​れ​る1ゾ​ー​ン​を​確​認​す​る区​分​図​で​ゾ​ー​ン​0​か​1​か​2​か​を​読​む2機​器​グ​ル​ー​プ​を​決​め​る扱​う​ガ​ス​か​ら​I​I​A​・​I​I​B​・​I​I​C​を​決​め​る3温​度​等​級​を​決​め​る発​火​温​度​よ​り​低​い​等​級​を​選​ぶ4防​爆​構​造​を​選​ぶ機​器​の​種​類​と​保​守​の​し​や​す​さ​で​選​ぶ5検​定​と​表​示​を​確​認​す​る型​式​検​定​合​格​番​号​と​銘​板​の​表​示​を​突​き​合​わ​せ​る※​順​番​が​逆​に​な​る​と​手​戻​り​が​出​る​。​構​造​か​ら​入​っ​て​、​あ​と​か​ら​ゾ​ー​ン​に​合​わ​な​い​と​わ​か​る​例​が​多​い​。

ゾーン0で使えるのは、保護レベルがGaの機器に限られる。本質安全防爆のiaや、一部の樹脂充填防爆がこれに当たる。ゾーン1にはGb、ゾーン2にはGcの機器が使える。上位の保護レベルの機器は、下位のゾーンでも使える。

ゾーン 必要な保護レベル 使える構造の例
ゾーン0 Ga 本質安全防爆 ia、樹脂充填防爆 ma
ゾーン1 Gb 以上 耐圧防爆 d、安全増防爆 e、本質安全防爆 ib、内圧防爆 p
ゾーン2 Gc 以上 上記に加えて、非点火防爆 n

上位のゾーン向けの機器は下位のゾーンでも使える。逆は使えない。


型式検定という関門

ひとことで言うと:防爆構造の電気機械器具は、型式検定に合格したものを使う。

労働安全衛生法にもとづき、防爆構造の電気機械器具は型式検定の対象になっている。検定を行うのは登録型式検定機関で、合格すると型式検定合格証が交付され、機器には合格の表示がされる。

検定で使われる基準には、従来の構造規格の系統と、国際整合防爆指針の系統がある。メーカーはどちらの基準でも検定を受けられるが、1つの機器に両方を部分的に適用することはできない。交付される合格証の様式は同じで、法令上の扱いにも差はない。

銘​板​で​確​認​す​る​4​点銘​板​で​確​認​す​る​4​点現​物​と​書​類​が​一​致​し​て​い​る​か​を​、​受​入​れ​の​時​点​で​見​る防​爆​機​器​ ​銘​板​(​例​)形​式M​D​R​-​1​0​0防​爆​構​造E​x​ ​d​ ​I​I​B​ ​T​4​ ​G​b型​式​検​定​合​格​番​号第​○​○​○​○​号製​造​者み​ど​り​電​機​ ​株​式​会​社製​造​番​号0​0​0​0​0​0①​ ​表​示​の​系​統E​x​で​始​ま​る​か​、​d​2​G​4​形​式​か②​ ​ゾ​ー​ン​と​の​整​合区​分​図​の​ゾ​ー​ン​で​使​え​る​保​護​レ​ベ​ル​か③​ ​グ​ル​ー​プ​と​温​度​等​級扱​う​ガ​ス​に​対​し​て​足​り​て​い​る​か④​ ​合​格​番​号合​格​証​と​現​物​の​番​号​が​一​致​す​る​か※​銘​板​の​内​容​は​例​示​で​あ​り​、​社​名​・​番​号​は​架​空​の​も​の​。

受入れの段階で見るべきは、書類と現物が一致しているかである。合格証の番号、形式、防爆の表示。この3つが現物の銘板と合っていれば、少なくとも機器としての前提は満たしている。銘板が塗装で埋まっていたり、判読できなくなっていたりする場合は、その時点で指摘しておきたい。


選定でつまずきやすいところ

CHECK 01
海外の認証をそのまま持ち込めない
ATEXやIECExの認証がある機器でも、国内では型式検定の扱いを確認する必要がある。カタログの認証マークだけで判断しない。
CHECK 02
付属品まで防爆の一部である
ケーブルグランドや端子、閉止プラグは機器と一体で評価されていることが多い。現場で汎用品に置き換えると、防爆として成立しなくなる。
CHECK 03
温度等級は周囲温度とセットで見る
銘板の温度等級には、前提となる周囲温度の範囲がある。直射日光や高温の配管に近い場所では、前提を外していないかを確認する。
CHECK 04
更新品は同一形式が最優先
既設の更新では、同一形式が手に入るかをまず確認する。形式が変わると、取付寸法だけでなく引込口の仕様やシールの条件まで変わることがある。

機器の選定は、区分図と物質の情報が確定していれば、機械的な作業に近い。難しいのはむしろ、区分図がないまま、あるいは古い区分図のまま話が進むことである。選定に入る前に、根拠となる図面の日付を確認しておきたい。

一次資料で確認するには

  • 厚生労働省の登録型式検定機関の一覧 ── どの機関の検定かを確認する。
  • 産業安全技術協会の検定合格品情報 ── 合格番号から機器を照合する。
  • 機器メーカーの取扱説明書 ── 周囲温度の前提、付属品の指定、据付条件を確認する。

本記事は公開情報にもとづく一般的な解説です。機器の適合性については、型式検定合格証とメーカーの取扱説明書、および所轄官庁の判断に従ってください。

出典

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。