積算の基準 公共建築設備数量積算基準 令和7年改定
リクエストにお応えした記事です
サイト内検索から「公共建築設備数量積算基準が大きく改定した(その他率等)のですが、考えられる改定理由、改定内容等についての記事を書いていただきたいです」というリクエストをいただきました。公表資料にあたって、その他率の改定内容と、読み取れる範囲の改定理由を整理しています。取り上げてほしいテーマがありましたら、お問い合わせからお寄せください。

「積算基準、また改定されたらしい」——毎年3月ごろに聞く話です。ただ積算基準類は6つに分かれていて、それぞれ別々に改定されます。名前を取り違えたまま話を進めると、見ている資料が違う、ということが起きます。

この記事では、リクエストにあった「その他率」の改定内容と考えられる改定理由を中心に、あわせて公共建築設備数量積算基準そのものの最新版と改定内容も整理します。結論から言うと、大きく動いたのは標準単価積算基準の「その他率」で、設備数量積算基準は令和7年改定のままです。

結論|「その他率」が変わったのは、この基準ではない

トピック①:「その他率」が変わったのは、どの基準か
公共建築設備数量積算基準の版
  • 平成15年3月31日 国営計第196号
  • 最終改定 令和7年3月19日 国営積第4号(令和7年改定)
  • 令和7年3月12日、官庁営繕関係基準類等の統一化に関する関係省庁連絡会議において改定が決定

一方、令和8年(2026年)3月11日にも積算基準類の改定がありました。ただしそこに公共建築設備数量積算基準は含まれていません。動いたのは標準単価積算基準・共通費積算基準・書式類です。

公共建築工事の積算基準類6つと、それぞれの改定日を示した図
同じ「積算基準」でも、改定のタイミングは別々です。
ペン太ペン太
設備数量積算基準、今年また変わったんですよね。
はりたはりた
いや、令和8年度の改定に設備数量積算基準は入っていないんだ。最新は令和7年改定のまま。
ペン太ペン太
じゃあ何が変わったんですか。
はりたはりた
標準単価積算基準と共通費積算基準、それと内訳書・見積の書式。基準類は別々に改定されるから、名前を取り違えると話が噛み合わなくなる。
ここまでのポイント
  • 公共建築設備数量積算基準の最新版は令和7年改定(令和7年3月19日 国営積第4号)
  • もとは平成15年3月31日 国営計第196号
  • 令和8年3月11日の改定では、本基準は対象になっていない
  • 電気設備・機械設備の新営工事と改修工事に適用される

「その他率」とは、何だった数字か

トピック②:「その他率」とは、何だった数字か
工事費の構成と、複合単価の中にあった「その他」の位置を示した図
「その他率」は、複合単価の中の「その他」に掛ける率のことでした。

リクエストにあった「その他率」は、公共建築設備数量積算基準ではなく、公共建築工事標準単価積算基準で使われていた率の通称です。数量の測り方ではなく、単価のつくり方を決めている基準の側にありました。

設備工事の直接工事費は「数量 × 複合単価」で出します。その複合単価は、材料・労務・機械器具に加えて「その他」という要素で組み立てられていました。この「その他」に掛ける率が、実務で「その他率」と呼ばれていたものです。

改定前の「その他」に入っていたもの

製造業者・専門工事業者の諸経費(下請経費)/小器材の損耗費/現場労働者に関する法定福利費等(雇用保険・健康保険・介護保険・厚生年金の事業主負担額)

率の決め方

工種ごとに率を定め(表3-1-1〜3)、その工種ごとに「率対象」(材料費・労務費・運搬費及び消耗材料費等)を指定していました。

つまり「その他」は雑材料のことではなく、下請の経費と、現場労働者の法定福利費をまとめて見込む枠でした。名前と中身が一致していない項目だった、とも言えます。

ペン太ペン太
「その他」って、雑材料のことだと思っていました。
ペン太ペン太
中身は下請経費と法定福利費が中心なんだ。だから金額としては小さくない。
ペン太ペン太
それが率ひとつでまとめられていた、と。
ペン太ペン太
そう。何にいくら掛かっているかが見えない。そこが今回の改定の出発点になっている。
ここまでのポイント
  • 「その他率」は公共建築工事標準単価積算基準の用語で、設備数量積算基準の用語ではない
  • 複合単価は「材料・労務・機械器具・その他」で構成されていた
  • 「その他」の中身は下請経費・小器材の損耗費・現場労働者の法定福利費等
  • 率も率対象も、工種ごとに決められていた


令和8年改定|「その他」は「専門工事業者等の諸経費」になった

トピック③:「その他」から「専門工事業者等の諸経費」へ
改定前の「その他」と改定後の「専門工事業者等の諸経費」を並べて比較した図
率の建て方が、工種別の1本から、全工種共通の2本立てに変わりました。

令和8年3月11日の改定で、「その他」という呼び名がなくなりました。改定後の名前は専門工事業者等の諸経費で、中身も「専門工事業者等の現場管理費及び一般管理費等」と定義し直されています。

改定前 総則2(2)ホ

「その他」は、製造業者・専門工事業者の諸経費(下請経費)、小器材の損耗費、現場労働者に関する法定福利費等であり、「その他」の率対象に「その他」の率を乗じて算定する。

改定後 総則2(2)ホ

専門工事業者等の諸経費は、専門工事業者等の現場管理費及び一般管理費等であり、材料、労務、機械器具の各要素に対して率を乗じ、その合計により算定する。

変わったのは名前だけではありません。率の建て方が根本から変わっています。工種ごとに率を決めていたのをやめ、全工種共通で次の2本立てになりました。

労務費(労)
42〜52%
設計労務単価 × 歩掛りの所要量 に乗じる
材料費、消耗材料費等(労以外)
9〜13%
材料等の単価 × 歩掛りの所要量 に乗じる

歩掛表の中の行名も「その他」から「諸経費」に変わり、各行の右に「率を乗ずる歩掛りの区分」として(労)(労以外)が付きました。表を開いたときの見た目が変わっているのは、このためです。

ここまでのポイント
  • 令和8年3月11日改定で「その他」は「専門工事業者等の諸経費」に改称された
  • 中身は「専門工事業者等の現場管理費及び一般管理費等」と定義し直された
  • 率は全工種共通で、労務費42〜52%/材料費・消耗材料費等9〜13%の2本立て
  • 歩掛表の行名も「その他」→「諸経費」に変わり、(労)(労以外)の区分が付いた
  • 適用は令和8年4月以降に入札手続きを開始する官庁営繕工事から

電気設備工事では、どこがどう効くか

トピック④:電気設備工事への影響
改定前の電気設備工事における工種別の「その他」の率と率対象を並べた表
改定前は、率を掛ける相手が「労(電工)」だけの工種がほとんどでした。

改定前の電気設備工事は、配管も配線も受変電も、率対象が「労(電工)」だけでした。つまり材料費には率が掛かっていません。ケーブルや盤のように材料費の比重が大きい工事ほど、諸経費が乗る部分は小さかったことになります。

二種金属製可とう電線管の歩掛りについて、改定前と改定後の率の掛かり方を比較した図
同じ歩掛りでも、率を掛ける相手と率の水準が変わりました。

改定後は、同じ歩掛りで材料にも9〜13%電工に42〜52%が掛かります。率を掛ける相手が増え、労務側の率も上がりました。人手のかかる工事ほど諸経費が積み上がる形です。

あわせて、電気設備工事では絶縁ケーブルに単位施工単価が新設されました。対象は600Vポリエチレン絶縁耐燃性ポリエチレンシースケーブル平形(EM-EEF)の二重天井内・二重床内・ピット内及びトラフ内配線です。令和7年12月の鉄筋・型枠に続くもので、材工一式だった市場単価が、労務費の見える形に置き換わっていきます。

一般管理費等率が工事種別ごとの3本の式から1本に統合されたことを示す図
電気設備工事は、3百万円以下で17.49%から20.11%になりました。

共通費の側では、一般管理費等率が工事種別ごとの3本の式から1本に統合されました。電気設備工事でみると、工事原価3百万円以下は17.49%→20.11%、30億円超は8.06%→9.34%です。算定式も Gp=32.597−3.591×log10(Cp)に一本化されています。

ペン太ペン太
去年と同じ数量なのに、金額が合わないわけです。
ペン太ペン太
率の掛かり方が変わっているからね。材料にも乗るし、労務の率も上がっている。
ペン太ペン太
古い積算書と比べるときは、どう見ればいいですか。
ペン太ペン太
まず適用時期を確認する。令和8年4月以降に入札手続きを開始した工事かどうか。そこが違えば、率の建て方から違う。
ここまでのポイント
  • 改定前の電気設備工事は、率対象が「労(電工)」だけの工種がほとんどだった
  • 改定後は材料にも9〜13%、労務に42〜52%が掛かる
  • 絶縁ケーブル(EM-EEF)に単位施工単価が新設された
  • 一般管理費等率は3本の式から1本に統合。電気設備は17.49%→20.11%(3百万円以下)
  • 30億円超は8.06%→9.34%


考えられる改定理由

トピック⑤:考えられる改定理由
担い手3法から労務費に関する基準、入札契約適正化法、単位施工単価、諸経費率の分離へと続く流れを示した図
公表資料から読み取れる範囲で、背景を時系列に並べたものです。

国土交通省は、この改定の報道発表に「雇用に伴う必要経費の確保に向けて」という見出しを付けています。前回(令和7年12月)の見出しは「労務費等の見える化へ」でした。ここが、改定理由を読むときの手がかりになります。

  1. 労務費を見える形にする流れがある
    第三次・担い手3法に基づき、令和7年12月に中央建設業審議会から「労務費に関する基準」が勧告されました。適正な労務費の相場観を、職種分野別・都道府県別に示すものです。
  2. 入札金額の内訳明示が義務になった
    入札契約適正化法第12条により、建設業者は材料費・労務費・法定福利費等を記載した書類の提出が必要になり、第13条で発注者側にその内容を確認する責務が課されました。発注者の積算側でも、内訳が分かる形が求められます。
  3. 旧「その他」では、何にいくら掛かっているかが見えなかった
    下請経費・小器材の損耗費・法定福利費が率ひとつにまとまっていたため、雇用に伴う必要経費がどれだけ含まれているかを取り出せませんでした。労務と材料等に分ければ、労務側の率が雇用に伴う経費に対応していることが読み取れます。
  4. 実態調査の結果が反映された
    専門工事業者等の諸経費の率も、一般管理費等率も、実態調査(一般管理費等率は業界団体の協力を得たもの)の結果を踏まえた改定だと明記されています。
  5. 工事種別ごとに分かれていた式を揃える整理
    一般管理費等率は建築・電気設備・機械設備等で別々の式でしたが、今回1本にまとめられました。基準類全体で、算定の入口を揃える方向の整理と読めます。

注意しておきたいのは、国土交通省が「なぜ変えたか」を理由の形で列挙した資料は出していないことです。ここに挙げたのは、報道発表の見出しと別紙、そして関係する制度改正から読み取れる範囲にとどまります。社内資料に引用するときは、根拠として示せるのは公表資料の記載そのものである点を添えておくと安全です。

ペン太ペン太
結局、値上げということですか。
ペン太ペン太
結果として直接工事費は上がる方向だけど、目的は「雇用に伴う必要経費が確保されていることを、発注者の積算で明確にする」ことだと書かれている。
ペン太ペン太
見えるようにするための改定、ということですね。
ペン太ペン太
そう。鉄筋・型枠・絶縁ケーブルの単位施工単価も、同じ流れの中にある。
ここまでのポイント
  • 改定の報道発表の見出しは「雇用に伴う必要経費の確保に向けて」
  • 背景に第三次・担い手3法と「労務費に関する基準」(令和7年12月勧告)がある
  • 入札契約適正化法第12条・第13条で、内訳の明示と確認が求められるようになった
  • 諸経費の率も一般管理費等率も、実態調査の結果を踏まえた改定と明記されている
  • ただし「改定理由」を列挙した公表資料はなく、ここまでが読み取れる範囲


設備数量積算基準は、何を決めている基準か

トピック⑥:設備数量積算基準は何を決めているか

適用範囲は「電気設備及び機械設備の新営工事(新築及び増築)及び改修工事(模様替え及び修繕)」です。建築工事の数量は別の基準(公共建築数量積算基準)が受け持ちます。

公共建築設備数量積算基準の編構成と、設計数量・計画数量の違いを示した図
今回の改定は、第2編の「直接仮設」だけに入っています。
数量の2つの種類
  • 設計数量 設計図書に記載されている台数、組数及び個数並びに設計寸法から求めた長さ、面積、体積等の数量
  • 計画数量 設計図書に基づいた施工計画により求めた数量

今回の改定は、この「計画数量」をいつ求めるのか、という話に関わってきます。

ここまでのポイント
  • 第1編 総則/第2編 共通事項/第3編 電気設備工事/第4編 機械設備工事
  • 設計数量は設計図書に記載された数量、計画数量は施工計画から求めた数量
  • 直接仮設は第2編 第1章 第6節にある
  • 今回の改定は、すべてこの「直接仮設」の節

設備数量積算基準・令和7年改定で変わった3項目

トピック⑦:令和7年改定で変わった3項目

改定はすべて第2編 第1章 第6節「直接仮設」の3か所(3(1)、3(2)②、3(4)①)に入っています。文言の差はわずかですが、拾い方の考え方が変わる部分です。

令和7年改定で変わった3項目の改定前と改定後を並べた図
どれも「どんなときに、何で拾うのか」を明確にする方向です。
① 計測・計算の書き出し(3(1))

改定前 「数量の記載がない場合は、次による」
改定後 「数量の記載がなく計画数量を求める必要がある場合は、次による」

直接仮設は、設計図書に数量の記載があればその数量によります。記載がないときに、そもそも計画数量を求める必要があるのかどうかを判断する——その順番が明確になりました。

② 内部足場の数量(3(2)②)

改定前 「数量は足場の区分に応じた足場設置対象の床面積とする」
改定後 「数量は足場の区分に応じた足場設置対象の床面積又は台数とする」

ローリングタワーのように台数で数えるほうが実態に合う足場があります。床面積か台数か、計画に合わせて選べることが明示されました。

③ 資材搬入通路の養生(3(4)①)

改定前 「通路幅を2mとした床面積」「通路幅が2m未満の場合」
改定後 「通路幅を2.0mとした床面積」「通路幅が2.0m未満の場合」

数値そのものは変わっていません。表記を小数第1位までに揃えたもので、基準類全体で数値の書き方を統一する流れの一環です。

ここまでのポイント
  • ①「数量の記載がない場合は」→「数量の記載がなく計画数量を求める必要がある場合は」
  • ②内部足場「床面積とする」→「床面積又は台数とする」
  • ③資材搬入通路の養生「2m」→「2.0m」
  • いずれも、どんなときに何で拾うのかをはっきりさせる改定


直接仮設は「まず設計図書を見る」

トピック⑧:直接仮設の拾い方
直接仮設の数量を拾うときの判断の順番を示した図
記載がない=とにかく計画数量、ではありません。
ペン太ペン太
直接仮設、図面に数量が書いてなかったので計画数量を出しました。
はりたはりた
必要だったなら正しい。ただ改定後の文言は「数量の記載がなく計画数量を求める必要がある場合は」なんだ。
ペン太ペン太
必要かどうか、という判断が入るんですね。
はりたはりた
そう。書いてない=全部拾う、ではない。どういう考えでその数量を出したのかを、積算根拠に一行残しておくといい。

実務では、拾った数量そのものよりどういう考えでその数量になったのかが問われます。「設計図書に記載なし。◯◯の理由で計画数量を算出」と一行残しておくと、あとから見た人が同じ判断をたどれます。

令和8年度に、あわせて動いた書式と関連資料

トピック⑨:あわせて動いた書式と関連資料

令和8年3月11日の改定では、諸経費の率のほかに書式と関連資料もあわせて動いています。積算書の様式や社内のチェック表を使っている場合は、こちらの確認も必要です。

令和8年度に改定された積算基準と、その改定内容を示した図
電気設備では、絶縁ケーブルの単位施工単価が効いてきます。
あわせて更新された関連資料

公共建築工事積算基準等資料、営繕積算システム等開発利用協議会歩掛り(暫定版)、公共建築工事積算研究会参考歩掛り、共通費の算定方法及び算定例、工事費積算における数値の取扱い例、営繕工事積算チェックマニュアル(建築・電気設備・機械設備工事編)など。

ここまでのポイント
  • 令和8年3月11日に、標準単価積算基準・共通費積算基準・書式類が改定された
  • 標準単価では、絶縁ケーブルに単位施工単価が導入された
  • 共通費では、一般管理費等率の算定式がひとつにまとめられた
  • 内訳書/見積標準書式(設備工事編)は、エレベーター設備の細目別内訳を見直し

ケース別|こんなとき、どうするか

トピック⑩:ケース別|こんなとき、どうするか

現場で出てくる形に並べ直しました。当てはまるものだけ拾ってください。

ケース別|こんなとき、どうするか
CASE 1設計図書に直接仮設の数量が書かれていない
いきなり拾わず、計画数量を求める必要があるかを先に判断する。
令和7年改定で「数量の記載がなく計画数量を求める必要がある場合は」と条件が付きました。必要かどうかの判断が先、という順番です。
CASE 2内部足場をローリングタワーで計画している
床面積ではなく台数で数量を出せる。
改定後は「床面積又は台数とする」となりました。計画に合わせて、どちらで拾ったかを積算根拠に残しておきます。
CASE 3古い版の基準で拾った数量が手元にある
直接仮設の扱いだけ、令和7年改定と突き合わせる。
変わったのは第2編 第1章 第6節の3項目です。電気設備工事(第3編)の本体部分に今回の改定はありません
CASE 4単価や共通費の数字が去年と合わない
基準そのものではなく、周辺の基準が改定されている。
令和8年3月11日に標準単価積算基準・共通費積算基準・書式類が改定されました。絶縁ケーブルの単位施工単価や、一般管理費等率の算定式の統合が入っています。
CASE 5どの版を使えばよいか分からなくなった
公表資料の「最終改定」の日付で確認する。
公共建築設備数量積算基準は平成15年3月31日 国営計第196号/最終改定 令和7年3月19日 国営積第4号と表記されています。官庁営繕のページで最新版を確認してください。
CASE 6去年と同じ数量なのに、積算金額が上がった
令和8年4月以降の入札手続きなら、諸経費の率の建て方が変わっている。
材料費にも9〜13%が掛かるようになり、労務費の率も42〜52%に変わりました。まず適用時期を確認してから、率の掛かり方を突き合わせます。
CASE 7社内の歩掛様式に「その他」の欄が残っている
改定後の表記は「諸経費」。(労)(労以外)の区分欄も要る。
行名が変わっただけでなく、率を乗ずる歩掛りの区分が各行に付きました。様式を差し替えないと、どちらの率を掛けるのか判断できません。

よくある質問

「その他率」はどの基準の数字ですか?

公共建築工事標準単価積算基準です。数量の測り方を決める公共建築設備数量積算基準とは別の基準で、複合単価の中の「その他」に掛ける率の通称でした。令和8年3月11日の改定で、名前が「専門工事業者等の諸経費」に変わっています。

その他率は、どのくらい変わったのですか?

工種ごとに18〜30%程度で定められていた率が、全工種共通で労務費(労)42〜52%、材料費・消耗材料費等(労以外)9〜13%の2本立てになりました。電気設備工事は率対象が「労(電工)」だけの工種がほとんどだったため、材料費にも率が掛かるようになった点が大きな変化です。

新しい率は、いつから適用されますか?

令和8年4月以降に入札手続きを開始する官庁営繕工事からです。それ以前に手続きを開始した工事は、従来の考え方のままです。

改定理由は、どこかに書かれていますか?

理由を列挙した資料は公表されていません。報道発表の見出し「雇用に伴う必要経費の確保に向けて」、別紙の「実態調査の結果を踏まえ」「『労務費に関する基準』の指摘を踏まえ」といった記載、そして第三次・担い手3法や入札契約適正化法の改正から読み取ることになります。

公共建築設備数量積算基準の最新版はどれですか?

令和7年改定です。表記は「平成15年3月31日 国営計第196号/最終改定 令和7年3月19日 国営積第4号」。令和8年3月11日の改定では、この基準は対象になっていません。

改定はどこが変わったのですか?

第2編 第1章 第6節「直接仮設」の3項目です。①計測・計算の書き出しに「計画数量を求める必要がある場合は」が加わった、②内部足場の数量に「又は台数」が加わった、③資材搬入通路の養生の表記が「2m」から「2.0m」になった、の3つです。

電気設備工事(第3編)の拾い方は変わりましたか?

今回の改定に第3編の変更は含まれていません。変わったのは共通事項の直接仮設です。

「2m」が「2.0m」になっただけなら、実務に影響はありませんか?

数値そのものは同じです。基準類全体で数値の表記を揃える流れの一環と読めます。ただし社内様式や積算システムの表記を合わせておくと、照合のときに迷いません。

単価や共通費が去年と合いません。

令和8年3月11日に標準単価積算基準と共通費積算基準が改定されています。電気設備では絶縁ケーブルの単位施工単価が新たに導入され、共通費では一般管理費等率の算定式がひとつにまとめられました。

どこで最新版を確認できますか?

国土交通省 官庁営繕のサイトに、基準本体のPDFと改定内容の資料が掲載されています。版の表記(最終改定の日付と号数)で確認するのが確実です。

まとめ

トピック⑪:まとめ
ここまでのポイント
  • 「その他率」は公共建築工事標準単価積算基準の用語で、令和8年3月11日改定でなくなった
  • 改定後の名前は「専門工事業者等の諸経費」。労務費42〜52%/材料費・消耗材料費等9〜13%の2本立て
  • 電気設備工事は、これまで率が掛からなかった材料費にも率が掛かるようになった
  • 一般管理費等率も1本に統合。電気設備は17.49%→20.11%(工事原価3百万円以下)
  • 改定の見出しは「雇用に伴う必要経費の確保に向けて」。労務費を見えるようにする流れの一部
  • 一方、公共建築設備数量積算基準の最新版は令和7年改定(令和7年3月19日 国営積第4号)のまま
  • そちらの改定は第2編 第1章 第6節「直接仮設」の3項目だけ
  • ①「数量の記載がなく計画数量を求める必要がある場合は」と条件が明確化された
  • ②内部足場は「床面積又は台数」で拾えることが明示された
  • ③資材搬入通路の養生は「2m」→「2.0m」の表記統一
  • 令和8年3月11日の改定に、この基準は含まれていない
  • 代わりに標準単価積算基準・共通費積算基準・書式類が改定された
この記事の前提

本記事は2026年8月20日時点で国土交通省 官庁営繕のサイト等に公表されている情報をもとに整理しています。基準類は年度ごとに改定されます。実際の積算にあたっては、必ず最新版の本文と改定内容の資料を確認してください。

参考にした情報
国土交通省 報道発表「公共建築工事積算基準類の改定~雇用に伴う必要経費の確保に向けて~」(令和8年3月11日)および別紙/同 報道発表「公共建築工事積算基準類の改定~労務費等の見える化へ~」(令和7年12月10日)/国土交通省 官庁営繕「公共建築工事標準単価積算基準」(令和8年改定・本文および改定内容(新旧表))/同「公共建築工事共通費積算基準」(令和8年改定・本文および改定内容)/同「公共建築工事積算基準等資料」/同「公共建築工事内訳書標準書式(設備工事編)」/同「公共建築設備数量積算基準」(令和7年改定・本文および改定内容)/同「公共建築工事積算基準類の改定 よくある質問・回答集」(令和8年3月11日更新)/一般財団法人 建設物価調査会「令和8年度公共建築工事積算基準類とその改定について」(いずれも2026年8月20日確認)

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。