この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。
全体像:内線規程【102】集電式自走搬送装置の施設
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出典:内線規程(JEAC8001-2022)より

工場や倉庫などで自動搬送に使われる「集電式自走搬送装置」は、走行路の導体から電気を受け取りながら自走する機器です。設置場所の制限・走行路の施設基準・接地や電源の安全対策など、内線規程で押さえるべきポイントを図解で整理します。

集電式自走搬送装置の施設ポイント3点の図解
結論:設置できない場所を避け、走行路は支持点間3m以下で異極導体間を絶縁し、外箱・支持物にはD種接地、電源には漏電遮断器・絶縁変圧器を施すのが基本です。
この記事でわかること
✔ 設置できない場所と走行路の施設基準
✔ 接地と電源装置の安全対策
ペン太ペン太
走行路の導体から電気を取って走る搬送装置って、どこにでも置けますか?
ハリタハリタ
乾燥していない場所、隠ぺい場所、粉じん爆発の危険がある場所には設置できません。

この3つ、すぐ答えられますか

  • 集電式自走搬送装置を設置できない場所は、どこか
  • 走行路を造営材に取り付けるとき、支持点間の距離はいくつ以下か
  • 絶縁変圧器の二次側電路は、接地するかしないか
この記事でわかること
感電防止の考え方は、電源装置の項にまとめています。

設置できない場所と走行路の施設基準

トピック1:設置できない場所と走行路
  • 乾燥していない場所・点検が困難な隠ぺい場所・粉じん爆発のおそれがある場所には設置できません。
  • 異極導体間には絶縁性の隔壁や絶縁物を挿入し、感電を防止します。
  • 走行路はJIS C 3305-8(低圧クレーン・ホイスト等)4項に準拠し、堅牢かつ電気的に完全に接続します(条件を満たせば例外あり)。
  • 造営材への取り付けは支持点間の距離を3m以下とし、確実に固定します。
  • 走行路にはじんあい(微細な粒子)を除去する装置を設け、動作不良の防止や品質確保に役立てます。
ペン太ペン太
電源側は普通に接地した変圧器でいいんですよね?
ハリタハリタ
絶縁変圧器を使い、二次側は接地しません。漏電遮断器とD種接地も併せて施設します。
場所の条件設置の可否
乾燥していない場所設置できない
点検が困難な隠ぺい場所設置できない
粉じん爆発のおそれがある場所設置できない
ここまでのポイント
  • 乾燥していない場所・点検が困難な隠ぺい場所・粉じん爆発のおそれがある場所には設置できない
  • 異極導体間には絶縁性の隔壁や絶縁物を挿入し、感電を防止する
  • 走行路はJIS C 3305-8(低圧クレーン・ホイスト等)4項に準拠し、堅牢かつ電気的に完全に接続する(条件を満たせば例外あり)
  • 造営材への取り付けは支持点間の距離を3m以下とし、確実に固定する
  • 走行路にはじんあいを除去する装置を設け、動作不良の防止や品質確保に役立てる

接地と電源装置の安全対策

トピック2:接地と電源装置の安全対策
  • 金属製外箱・走行路の支持物にはD種接地工事を施します。
  • 電源装置はJIS C 3565-8に適合させ、安全・信頼性を確保します。
  • 漏電遮断器を設け、感電事故を未然に防ぎます。
  • 絶縁変圧器を導入して一次側と二次側を電気的に絶縁し、二次側電路は接地しません(地絡による感電を防止)。
  • 外箱の帯電対策として接地端子を設け、過電流遮断器開閉器とあわせて設置します。
たとえ話:床から電気をもらって走るおもちゃの電車のようなもの。レール(走行路)がしっかり固定され、むき出しの導体が触れないよう仕切られていてこそ安全に走れます。
工場内の自走装置ってどうやって動いてるの?勝手に走ってるように見えるけど…
地面の導体から電気をもらって走るんだ。だから走行路の作り方と絶縁がとても大事なんだよ。
基準がいっぱいあるけど、どれも現場の安全のためなんだね。
その通り。特に感電防止と設備トラブルの回避が大事。基準を守って安全に運用しようね!
集電式自走搬送装置の設置場所・走行路・電源の安全対策を示した図
集電式自走搬送装置は、乾燥していない場所・点検が困難な隠ぺい場所・粉じん爆発のおそれがある場所には設置できない。走行路は造営材への支持点間を3m以下として確実に固定し、異極導体間には絶縁性の隔壁や絶縁物を挿入する(走行路はJIS C 3305-8の4項に準拠)。じんあいを除去する装置を設け、金属製外箱と走行路の支持物にはD種接地工事を施す。電源は漏電遮断器と絶縁変圧器を備え、二次側電路は接地しない。
取り違えやすいところ正しくは
電源側は通常の接地した変圧器でよい絶縁変圧器を使い、二次側電路は接地しない
接地するほど安全になる二次側を接地しないことで地絡による感電を防いでいる
走行路の支持間隔は施工しやすい距離でよい造営材への取り付けは支持点間3m以下
湿気のある場所でも設置できる乾燥していない場所には設置できない
異極導体は離しておけばよい絶縁性の隔壁や絶縁物を挿入する
ここまでのポイント
  • 金属製外箱・走行路の支持物にはD種接地工事を施す
  • 電源装置はJIS C 3565-8に適合させ、安全・信頼性を確保する
  • 漏電遮断器を設け、感電事故を未然に防ぐ
  • 絶縁変圧器を導入して一次側と二次側を電気的に絶縁し、二次側電路は接地しない
  • 外箱の帯電対策として接地端子を設け、過電流遮断器を開閉器とあわせて設置する

よくある質問(FAQ)

トピック3:よくある質問
Q. 集電式自走搬送装置はどんな場所に設置できませんか?
A. 乾燥していない場所、点検が困難な隠ぺい箇所、粉じんが爆発の危険をもたらす場所などには設置できません。
Q. 走行路の支持点間の距離はどれくらいですか?
A. 造営材へ取り付ける場合、支持点間の距離は3m以下とし、確実に固定する必要があります。
Q. 接地工事はどの種類が必要ですか?
A. 金属製外箱および走行路の支持物には、いずれもD種接地工事が必要です。
Q. 電源装置にはどんな安全対策が求められますか?
A. JIS C 3565-8への適合、漏電遮断器の設置、絶縁変圧器の導入、二次側電路の接地禁止、接地端子・過電流遮断器の設置などが求められます。

まとめ|置ける場所を選び、絶縁で守る

集電式自走搬送装置は、走行路から電気を取る構造のため「設置できる環境が限られる」「絶縁変圧器で分離し、二次側は接地しない」という2点が特徴です。走行路そのものは、支持点間3m以下で確実に固定します。

確認する順番見るところ基準
Step1設置環境乾燥しているか、点検できるか、粉じん爆発のおそれがないか
Step2異極導体間絶縁性の隔壁や絶縁物を挿入しているか
Step3走行路JIS C 3305-8 4項に準拠、支持点間3m以下
Step4電源装置JIS C 3565-8適合、絶縁変圧器、二次側は非接地
Step5保護と接地漏電遮断器、金属製外箱と支持物にD種接地

二次側を接地しないという点は、他の設備の感覚とは逆になります。絶縁変圧器と組み合わせて初めて成立する構成なので、電源装置の仕様書と施工方法をあわせて確認しておくと確実です。

📘 この記事の根拠規程|解説の原文は内線規程(JEAC8001-2022)に掲載されています。実務で使う方は手元に1冊どうぞ → 電気設備の必携書籍おすすめ4選【2026年版】

ペン太ペン太
走行路の取り付けで守る数字はありますか?
ハリタハリタ
支持点間3m以下で堅ろうに固定し、異極導体間は絶縁で隔離します。これで安全に走らせられますよ。

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内線規程の実務では、規程集や技術資料を手元に置いておくと確認がぐっと早くなります。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。