電気設備の基本知識 #015【過電流遮断器】
電気を使いすぎると、ブレーカーが「パチン」と落ちます。あれは、電線を熱から守るための見張り番が働いた証拠です。この記事では、過電流遮断器の役割、切れるまでの時間、ヒューズとブレーカーの違い、動作時間の決まり、中性線と「極・素子」を、図とたとえで1つずつ解説します。
※本欄はアフィリエイト広告(PR)を含みます
📚 第二種電気工事士 対策の定番テキスト
役割 ― 電線を流れすぎから守る
電線には、安全に流せる電流の上限(許容電流)があります。それを超える電流を過電流といい、原因は大きく2つです。1つは、電気を使いすぎたときの過負荷。もう1つは、電線どうしが直接つながってしまう短絡(ショート)です。
過電流遮断器は、たとえるなら川の堤防の水門です。水があふれそうになったら門を閉じて、下流を守ります。守っているのは電線で、電線が熱で傷む前に電気を止めます。許容電流の考え方は「電気設備の基本知識 #014【絶縁電線の許容電流】」で解説しています。
- 過電流には過負荷と短絡がある
- 過電流遮断器は電線を熱から守る
- 電線の許容電流とセットで考える
切れるまでの時間 ― 大きいほど早い
ブレーカーは、定格電流を少し超えただけではすぐには切れません。電流が大きいほど早く、小さいほどゆっくり切れるようにつくられています。
- 電流が大きいほど早く切れる
- 短い大電流(始動電流など)ではすぐ切れない
- 短絡では一瞬で切れる
ヒューズとブレーカー ― 使い切りか、何度でもか
| 項目 | ヒューズ | 配線用遮断器(ブレーカー) |
|---|---|---|
| しくみ | 過電流の熱で中の金属がとける | 過電流を感じてスイッチが切れる |
| 切れたあと | 交換が必要 | レバーを戻せば復帰できる |
| 主な使われ方 | 機器の中・古い設備など | 今の住宅・ビルの分電盤 |
- ヒューズは自分がとけて電路を切る
- ブレーカーは何度でも使える
- 今の分電盤はブレーカーが主流
動作時間の決まり ― 1.25倍と2倍
| 定格電流 | 1倍 | 1.25倍 | 2倍 |
|---|---|---|---|
| 30A以下 | 動作しない | 60分以内 | 2分以内 |
| 30A超 50A以下 | 動作しない | 60分以内 | 4分以内 |
| 50A超 100A以下 | 動作しない | 120分以内 | 6分以内 |
ヒューズの場合は、定格電流の1.1倍に耐え、1.6倍と2倍の電流で決まった時間内にとけることが求められます(30A以下なら2倍で2分以内)。
- 1倍では切れない
- 30A以下は1.25倍で60分以内、2倍で2分以内
- ヒューズは1.1倍に耐え、1.6倍・2倍でとける
中性線 ― 過電流素子を入れない
家庭の単相3線式では、2つの100V回路が中性線を共有しています。もし中性線だけが切れると、2つの回路が直列につながった形になり、200Vを負荷の大きさの比で分け合うことになります。
⚠️ 計算してみよう
片側に1,000W、もう片側に250Wの機器がある場合、中性線が切れると、1,000W側は約40V、250W側は約160Vになります。軽い負荷の側に100Vより高い電圧がかかり、機器が壊れるおそれがあります。
そこで、単相3線式の主幹には、中性線に過電流素子のない3極2素子(3P2E)のブレーカーを使います。中性線だけが切れることのないようにするためです。
- 中性線だけが切れると電圧がかたよる
- 軽い負荷の側に高い電圧がかかる
- 主幹は3極2素子(3P2E)を使う
極と素子 ― 回路に合わせて選ぶ
ブレーカーの極(P)は電線を切り離すスイッチの数、素子(E)は過電流を見張るセンサーの数です。
| 回路 | ブレーカー | ポイント |
|---|---|---|
| 単相100V | 2P1E(2極1素子) | 接地側の電線(白線)には素子を設けない |
| 単相200V | 2P2E(2極2素子) | 2本とも電圧線なので両方に素子 |
| 単相3線式の主幹 | 3P2E(3極2素子) | 中性線には素子を入れない |
幹線や分岐回路での過電流遮断器の選び方は「電気設備の基本知識 #017【屋内幹線と分岐回路】」「電気設備の基本知識 #018【分岐回路の設計】」で解説しています。
- 極はスイッチの数、素子はセンサーの数
- 100Vは2P1E、200Vは2P2E
- 単相3線式の主幹は3P2E
よくある質問
過電流遮断器とは何をする装置ですか?
電気の使いすぎ(過負荷)や短絡(ショート)で、電線の許容電流を超える電流が流れたときに、自動で電路を切って電線を熱から守る装置です。配線用遮断器(ブレーカー)とヒューズがあります。
配線用遮断器はどれくらいの電流で切れますか?
定格電流の1倍では切れません。定格電流30A以下のものは、1.25倍で60分以内、2倍で2分以内に切れるように決められています。30Aを超え50A以下なら、2倍で4分以内です。
ヒューズと配線用遮断器の違いは?
ヒューズは過電流の熱で自分がとけて電路を切るので、一度切れたら交換が必要です。配線用遮断器は中の仕組みが過電流を感じてスイッチを切り、レバーを戻せば何度でも使えます。
単相3線式の中性線に過電流素子を入れないのはなぜですか?
中性線だけが切れると、2つの100V回路の電圧がかたより、軽い負荷の側に100Vより高い電圧がかかって機器が壊れるおそれがあるためです。単相3線式の主幹には、中性線に素子のない3極2素子(3P2E)のブレーカーを使います。
2P1Eと2P2Eの使い分けは?
単相100V回路には2P1E(2極1素子)を使い、接地側の電線には素子を設けません。単相200V回路は2本とも電圧線なので、2P2E(2極2素子)を使います。
30秒アンケートこの記事は役に立ちましたか?
タップするだけで完了します。あなたの声でこのサイトは育ちます。
ご回答ありがとうございます!
よければ、あと3つだけ教えてください(任意・答えなくてもOK)
ありがとうございました。いただいた声は記事の改善に使わせていただきます。


