技術図書館過電流遮断器は電線を守る水門過負荷と短絡、ヒューズとブレーカー、1.25倍と2倍の動作時間、2P1E・2P2E・3P2Eの使い分けこの資料をスライドで見る資料一覧を見る
第二種電気工事士 合格カリキュラム学科③ 電気機器・配線器具・材料・工具
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電気を使いすぎると、ブレーカーが「パチン」と落ちます。あれは、電線を熱から守るための見張り番が働いた証拠です。この記事では、過電流遮断器の役割、切れるまでの時間、ヒューズとブレーカーの違い、動作時間の決まり、中性線と「極・素子」を、図とたとえで1つずつ解説します。

結論

過電流遮断器は過負荷や短絡から電線を守る装置。電流が大きいほど早く切れ、30A以下のブレーカーは2倍の電流で2分以内に切れます。単相3線式の中性線には過電流素子を入れないのが決まりです。

  • 守る対象は電線(許容電流を超えないように)
  • 過負荷は少し時間をおいて、短絡は一瞬で切れる
  • ヒューズはとけて交換、ブレーカーは復帰できる
  • 100Vは2P1E、200Vは2P2E、単相3線式の主幹は3P2E
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。全部を読まなくても、必要なところだけで解決します。
過電流の2つの種類として、定格より少し多い電流が長く流れ続ける過負荷と、電線どうしが直接つながって大きな電流が流れる短絡を比べた図
過負荷は「じわじわ」、短絡は「一瞬で大電流」。

役割 ― 電線を流れすぎから守る

電線には、安全に流せる電流の上限(許容電流)があります。それを超える電流を過電流といい、原因は大きく2つです。1つは、電気を使いすぎたときの過負荷。もう1つは、電線どうしが直接つながってしまう短絡(ショート)です。

過電流遮断器は、たとえるなら川の堤防の水門です。水があふれそうになったら門を閉じて、下流を守ります。守っているのは電線で、電線が熱で傷む前に電気を止めます。許容電流の考え方は「電気設備の基本知識 #014【絶縁電線の許容電流】」で解説しています。

ここまでのポイント
  • 過電流には過負荷と短絡がある
  • 過電流遮断器は電線を熱から守る
  • 電線の許容電流とセットで考える

切れるまでの時間 ― 大きいほど早い

過電流遮断器の動作特性として、定格の1倍では切れず、電流が大きくなるほど切れるまでの時間が短くなり、短絡では一瞬で切れることを示した動く図解
動く図解:電流が大きくなるほど、切れるまでの時間が短くなります。

ブレーカーは、定格電流を少し超えただけではすぐには切れません。電流が大きいほど早く、小さいほどゆっくり切れるようにつくられています。

ひっかけ注意
定格を超えたら一瞬で切れるわけじゃないんですね。
そうなんです。モータが動き出す瞬間のように、短い時間だけ大きな電流が流れることはよくあります。そのたびに切れていたら困るので、「続く過電流」や「短絡」で切れるようにしているんですよ。
ここまでのポイント
  • 電流が大きいほど早く切れる
  • 短い大電流(始動電流など)ではすぐ切れない
  • 短絡では一瞬で切れる

ヒューズとブレーカー ― 使い切りか、何度でもか

ヒューズは過電流の熱で自分がとけて一度切れたら交換が必要、配線用遮断器はスイッチが自動で切れてレバーを戻せば復帰できることを比べた図
ヒューズとブレーカーの違い。
項目 ヒューズ 配線用遮断器(ブレーカー)
しくみ 過電流の熱で中の金属がとける 過電流を感じてスイッチが切れる
切れたあと 交換が必要 レバーを戻せば復帰できる
主な使われ方 機器の中・古い設備など 今の住宅・ビルの分電盤
一般的な傾向
ここまでのポイント
  • ヒューズは自分がとけて電路を切る
  • ブレーカーは何度でも使える
  • 今の分電盤はブレーカーが主流


動作時間の決まり ― 1.25倍と2倍

低圧の配線用遮断器の動作時間の決まりとして、定格電流30A以下は1.25倍で60分以内・2倍で2分以内、30A超50A以下は60分以内・4分以内、50A超100A以下は120分以内・6分以内に動作し、1倍では動作しないことを示した表
配線用遮断器は、決まった時間内に切れなければなりません。
定格電流 1倍 1.25倍 2倍
30A以下 動作しない 60分以内 2分以内
30A超 50A以下 動作しない 60分以内 4分以内
50A超 100A以下 動作しない 120分以内 6分以内
電気設備技術基準の解釈(低圧の配線用遮断器)をもとに作成

ヒューズの場合は、定格電流の1.1倍に耐え、1.6倍と2倍の電流で決まった時間内にとけることが求められます(30A以下なら2倍で2分以内)。

ここまでのポイント
  • 1倍では切れない
  • 30A以下は1.25倍で60分以内、2倍で2分以内
  • ヒューズは1.1倍に耐え、1.6倍・2倍でとける

中性線 ― 過電流素子を入れない

単相3線式で中性線が断線すると、1,000Wの機器側の電圧が約40V、250Wの機器側が約160Vにかたより、機器が壊れるおそれがあることを示した動く図解
動く図解:中性線が切れると、2つの回路の電圧がかたよります。

家庭の単相3線式では、2つの100V回路が中性線を共有しています。もし中性線だけが切れると、2つの回路が直列につながった形になり、200Vを負荷の大きさの比で分け合うことになります。

⚠️ 計算してみよう

片側に1,000W、もう片側に250Wの機器がある場合、中性線が切れると、1,000W側は約40V、250W側は約160Vになります。軽い負荷の側に100Vより高い電圧がかかり、機器が壊れるおそれがあります。

そこで、単相3線式の主幹には、中性線に過電流素子のない3極2素子(3P2E)のブレーカーを使います。中性線だけが切れることのないようにするためです。

ここまでのポイント
  • 中性線だけが切れると電圧がかたよる
  • 軽い負荷の側に高い電圧がかかる
  • 主幹は3極2素子(3P2E)を使う

極と素子 ― 回路に合わせて選ぶ

ブレーカーの極と素子の使い分けとして、単相100V回路は2P1E(接地側に素子なし)、単相200V回路は2P2E、単相3線式の主幹は3P2E(中性線に素子なし)であることを示した図
回路の種類で、ブレーカーの極と素子を選びます。

ブレーカーの極(P)は電線を切り離すスイッチの数、素子(E)は過電流を見張るセンサーの数です。

回路 ブレーカー ポイント
単相100V 2P1E(2極1素子) 接地側の電線(白線)には素子を設けない
単相200V 2P2E(2極2素子) 2本とも電圧線なので両方に素子
単相3線式の主幹 3P2E(3極2素子) 中性線には素子を入れない
一般的な使い分け

幹線や分岐回路での過電流遮断器の選び方は「電気設備の基本知識 #017【屋内幹線と分岐回路】」「電気設備の基本知識 #018【分岐回路の設計】」で解説しています。

ここまでのポイント
  • 極はスイッチの数、素子はセンサーの数
  • 100Vは2P1E、200Vは2P2E
  • 単相3線式の主幹は3P2E


よくある質問

過電流遮断器とは何をする装置ですか?

電気の使いすぎ(過負荷)や短絡(ショート)で、電線の許容電流を超える電流が流れたときに、自動で電路を切って電線を熱から守る装置です。配線用遮断器(ブレーカー)とヒューズがあります。

配線用遮断器はどれくらいの電流で切れますか?

定格電流の1倍では切れません。定格電流30A以下のものは、1.25倍で60分以内、2倍で2分以内に切れるように決められています。30Aを超え50A以下なら、2倍で4分以内です。

ヒューズと配線用遮断器の違いは?

ヒューズは過電流の熱で自分がとけて電路を切るので、一度切れたら交換が必要です。配線用遮断器は中の仕組みが過電流を感じてスイッチを切り、レバーを戻せば何度でも使えます。

単相3線式の中性線に過電流素子を入れないのはなぜですか?

中性線だけが切れると、2つの100V回路の電圧がかたより、軽い負荷の側に100Vより高い電圧がかかって機器が壊れるおそれがあるためです。単相3線式の主幹には、中性線に素子のない3極2素子(3P2E)のブレーカーを使います。

2P1Eと2P2Eの使い分けは?

単相100V回路には2P1E(2極1素子)を使い、接地側の電線には素子を設けません。単相200V回路は2本とも電圧線なので、2P2E(2極2素子)を使います。

ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。内線規程・電気工事士資格・住宅の電気設備を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

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