全体像:屋外キュービクルの囲障の要否と既存遡及
ペン太ペン太
現場の屋外キュービクル、金網で囲われてないんです!違法じゃないですか?
ハリタハリタ
金網が無くても直ちに違法ではありません。基準に適合しているかが重要です。

この3つ、すぐ答えられますか

  • 屋外キュービクルに金網の囲いは、必ず必要か
  • 囲障が不要と解釈できるのは、どの規格のどんな条件を満たすときか
  • 既設のキュービクルに新基準が適用されるのは、どんな場合か
この記事でわかること
既設の扱いで迷ったときは、既存遡及の項からご覧ください。

屋外キュービクルが金網で囲まれていないけど問題ある?既存遡及の扱いは?

トピック1:囲障は必要か

✅ まず結論から!

トピック2:まず結論

金網で囲っていなくても、必ずしも法的問題になるわけではありません。


🔍 理由①:JIS規格に適合していればOK

トピック3:理由①JIS規格

屋外・屋上のキュービクルは JIS C 4620:2023 に定める以下の条件を満たしていれば、 金網で囲む必要はないとされています。

条件(抜粋):

  • 公称電圧:6.6kV、周波数:50/60Hz
  • 系統短絡電流:12.5kA 以下
  • 受電容量:4000kVA 以下
  • 金属製外箱でD種接地工事済み
  • かつ充電部が露出していない構造

👉 この場合、「囲障(=囲い)」は不要と解釈されます。


確認する項目 JIS C 4620:2023の条件
公称電圧 6.6kV
周波数 50/60Hz
系統短絡電流 12.5kA以下
受電容量 4000kVA以下
外箱と接地 金属製外箱でD種接地工事済み
充電部 露出していない構造であること
ここまでのポイント
  • 屋外・屋上のキュービクルは、JIS C 4620:2023の条件を満たせば金網で囲む必要はない
  • 条件は公称電圧6.6kV、周波数50/60Hz、系統短絡電流12.5kA以下、受電容量4000kVA以下
  • 金属製外箱でD種接地工事済みであり、充電部が露出していない構造であること
  • この場合、囲障(囲い)は不要と解釈される

🔍 理由②:各自治体の条例でも「金網」は明記なし

トピック4:理由②各自治体の条例

例えば東京都の火災予防条例では…

  • 他の建物から3m以上離すこと

  • または不燃材の壁・開口部の位置で対応可能

  • ただし金網で囲えとは明記されていません

➡️ 「囲いがない=違法」とは限らない!


ペン太ペン太
昔の基準で作られた設備は、新しい基準に合わせ直すんですか?
ハリタハリタ
原則は既設のまま使えます。ただし大規模改造時は新基準が適用され得ます。
ここまでのポイント
  • 東京都の火災予防条例では、他の建物から3m以上離すことが示されている
  • または不燃材の壁や開口部の位置で対応できる
  • 条例にも「金網で囲え」とは明記されていない


🔁 既存遡及とは?

トピック5:既存遡及とは

「昔の基準でOKだったものを、新しい法令に合わせなければならないのか?」
という問題に関わる重要ワードです。

✅ 原則:既存のまま使用可能!

技術基準の附則にて、

「すでに設置されているもの、工事中のものは従前の例によることができる」

と明記されています。


ここまでのポイント
  • 既存遡及は、古い基準の設備を新しい法令に合わせ直す必要があるかという論点
  • 技術基準の附則に「すでに設置されているもの、工事中のものは従前の例によることができる」と明記されている
  • したがって原則は、既存のまま使用できる

⚠ ただし例外あり!

トピック6:ただし例外あり
  • ✅ 大規模な模様替えや増設を行う場合

  • ✅ 不適格状態が重大な支障になる場合

このようなときは、新基準が適用され、「既存遡及の対象外」となることもあります。


ここまでのポイント
  • 大規模な模様替えや増設を行う場合は、新基準が適用されることがある
  • 不適格状態が重大な支障になる場合も、既存遡及の対象外になりうる

📝 まとめ表

トピック7:まとめ表
項目 内容
金網の囲いは必要? 基準に適合していれば、原則不要
囲いが必要になる例 露出充電部がある、JIS条件を満たしていない
既存遡及の対象? 原則:既設まま使用OK。ただし増改築時は再検討

取り違えやすいところ 正しくは
屋外キュービクルは金網で囲うのが法的義務 JISの条件を満たせば囲障は不要と解釈される
囲いがなければ即座に違法 条例にも金網の明記はない。条件を満たしているかで判断する
古い設備はすべて新基準に直さないといけない 技術基準の附則により、原則は従前の例によることができる
既存遡及があるから改修しても直さなくてよい 大規模な模様替えや増設では新基準が適用されうる

よくある質問(FAQ)

トピック8:よくある質問

Q. 屋外キュービクルは必ず金網で囲う必要がありますか?

A. いいえ。JIS C 4620:2023の条件(金属製外箱でD種接地工事済み、充電部が露出していない構造など)を満たしていれば、囲障(囲い)は不要と解釈されます。

Q. どんな場合に囲いが必要になりますか?

A. 充電部が露出している場合や、JISの条件を満たしていない場合です。これらに該当すると囲いが求められます。

Q. 「既存遡及」とは何ですか?

A. 古い基準で設置されたものを新しい法令に合わせる必要があるか、という論点です。技術基準の附則により、すでに設置されているものや工事中のものは、原則として従前の例によることができます。

Q. 既設キュービクルでも新基準が適用されることはありますか?

A. はい。大規模な模様替えや増設を行う場合、または不適格状態が重大な支障になる場合は、既存遡及の対象外となり新基準が適用されることがあります。

ペン太ペン太
確認するならどこからですか?
ハリタハリタ
JIS C 4620の条件、金属製外箱・D種接地・充電部非露出の確認からです。


まとめ|条件の適合と既存遡及の2段階で見る

「囲いがない=違法」ではありません。JIS C 4620:2023の条件を満たしているか、そして既設として従前の例によれるか、この2段階で判断します。

確認する順番 見るところ 判断
Step1 充電部が露出していないか 露出していれば囲いが必要
Step2 金属製外箱でD種接地工事済みか 満たしていれば囲障は不要と解釈できる
Step3 電圧・短絡電流・受電容量 JISの条件の範囲内か
Step4 自治体の条例 離隔距離や不燃材での対応ができているか
Step5 設置時期と改修予定 大規模な模様替えや増設があれば新基準を検討

現地で「囲いがない」と指摘を受けたときは、まず外箱の構造と接地、そして充電部の露出の有無を確認してみてください。条件を満たしていることを示せれば、そのまま使える場合がほとんどです。

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このテーマは、連載「高圧受変電設備の設計マニュアル(全14回+資料編)」で、単線結線図の読み方・書き方とあわせて基礎から解説しています。
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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。