ここからが本題です。第三次判断基準が設計実務に与える最大のインパクトは、省エネでも法令でもなく、「同じ容量なのに、変圧器が大きく・重くなる」ことです。第4回は、メーカーが公表しているカタログの実数値でその増加量を確認し、キュービクル・基礎・搬入にどう跳ね返るかを見ていきます。

ペンタ

ペンタ(新人)
「既設と同じ300kVAに更新するだけ」の案件です。サイズは同じですよね? 盤も基礎もそのままで……
はりた

はりた
残念ながら、その前提はもう成り立たない。ダイヘンのカタログで三相300kVA・50Hzを比べると、質量が950kg → 1,305kg+37%だよ。
ペンタ

ペンタ(新人)
さ、37%……!?

なぜ大きく重くなるのか|物理の話

原因はシンプルです。損失を下げる方法が、基本的には「材料を増やす」だからです。

更なる低損失化 ← 鉄心断面積の増加/コイル導体断面積の増加 → 変圧器の寸法・質量の増加

これを抑えるための技術が、低損失電磁鋼板の適用、コイル内の導体占積率向上、アモルファス鉄心の採用など。(JEMA 講演会資料の整理より)

JEMAもFAQで「省エネ度の向上に伴い損失特性が変更されています。寸法重量についても大きくなる機種もあります」と明言しています。

実データ①|油入変圧器(三相 6kV-210V・50Hz)

同一メーカーで世代だけを揃えて比較するのが、いちばん正確です。ダイヘンの TOP ECO Ⅱ(第二次)と TOP ECO Ⅲ(第三次)のカタログ公表値を並べます。

定格容量 第二次 W×D×H (mm) 第三次 W×D×H (mm) 第二次 質量 第三次 質量 質量増
50kVA 550×490×685 610×490×740 270 kg 310 kg +14.8%
75kVA 750×465×915 825×495×950 370 kg 465 kg +25.7%
100kVA 770×490×955 890×540×970 445 kg 580 kg +30.3%
150kVA 800×530×990 900×555×1080 585 kg 760 kg +29.9%
200kVA 885×540×1055 905×600×1130 700 kg 885 kg +26.4%
300kVA 950×560×1170 1020×665×1230 950 kg 1,305 kg +37.4%
500kVA 1115×700×1325 1250×795×1285 1,530 kg 1,720 kg +12.4%
750kVA 1460×860×1555 1460×860×1555 2,400 kg 3,000 kg +25.0%
1000kVA 1490×890×1755 1720×1005×1775 3,000 kg 4,350 kg +45.0%

表① 油入変圧器の寸法・質量比較/高さは全高(ZH・ZLの大きいほう)/出典:ダイヘン TOP ECO Ⅱ/TOP ECO Ⅲ カタログ(三相6kV-210V・50Hz)

この表からわかることは3つあります。

  • 質量の増加が寸法の増加より大きい。100〜300kVA帯で+26〜37%、1000kVAでは+45%。中身が詰まったぶんだけ、外形以上に重くなる。
  • 高さは必ずしも増えない。500kVAでは逆に −40mm。「全方向に一律に大きくなる」という説明は実データと合わない。
  • 幅と奥行きは増える傾向がはっきりしている。幅+60〜230mm、奥行+25〜115mm。キュービクルの平面計画に効くのはこの2方向。

なお60Hz品は50Hz品と質量が違います(例:ダイヘン300kVAは50Hz 1,305kg/60Hz 1,380kg)。西日本の案件で50Hzの表を流用しないよう注意してください。

実データ②|モールド変圧器は「小さくなる容量」もある

モールドは油入と傾向が異なります。同じくダイヘンのカタログ値です。

定格容量 第二次 W×D×H (mm) 第三次 W×D×H (mm) 第二次 質量 第三次 質量 質量増
50kVA 620×450×710 645×435×695 260 kg 330 kg +26.9%
100kVA 735×500×820 805×475×830 410 kg 540 kg +31.7%
150kVA 880×470×1055 810×490×970 620 kg 660 kg +6.5%
200kVA 920×485×1075 865×520×985 785 kg 820 kg +4.5%
300kVA 990×525×1175 1080×615×1195 1,030 kg 1,330 kg +29.1%
500kVA 1150×625×1240 1270×685×1250 1,520 kg 1,810 kg +19.1%
750kVA 1310×670×1335 1340×705×1440 1,870 kg 2,400 kg +28.3%
1000kVA 1340×730×1570 1460×755×1595 2,350 kg 2,800 kg +19.1%

表② モールド変圧器の寸法・質量比較/高さは全高(ZL側)/出典:ダイヘン TOP ECO Ⅱ/TOP ECO Ⅲ カタログ(三相6kV-210V・50Hz)

注目すべきは150〜200kVA帯。幅がむしろ縮み(880→810mm、920→865mm)、質量増も+5〜7%程度に収まっています。一方で50・100・300kVAは+27〜32%。容量ごとに傾向がバラバラなので、「モールドだから」「油入だから」という一般化はできません。案件の容量で個別に確認するしかありません。

実データ③|4社の最大値で見る安全側の設計

実務では、どのメーカーの製品が納まるか決まっていない段階で盤を計画することがあります。東和電機工業は、ダイヘン・東芝・富士電機・日立産機の4社の最大寸法を集約したキュービクル盤概略寸法表を公開しており、これが安全側の計画に使えます。

定格容量(三相200V) モールド 増減(W/D/H/重量) 油入 増減(W/D/H/重量)
20〜50kVA +120/+55/+14/+105kg +20〜−45/±0〜+30/±0〜−140/−95〜+15kg
75kVA +55/+10/+20/+45kg +35/+35/−80/±0kg
100kVA +6/+10/+20/−15kg +70/+15/−90/+55kg
150kVA +11/−22/−75/+20kg +95/+5/−110/+40kg
200kVA −40/+25/−80/+5kg +85/+30/−100/−20kg
300kVA −65/+30/+20/−5kg +80/+35/−64/+180kg
500kVA +20/+75/−14/+125kg +70/+75/−89/+300kg
750kVA +20/−65/+10/−60kg +130/+40/±0/+330kg
1000kVA +100/+60/+15/+160kg +90/−5/+20/+890kg

表③ 4社最大値ベースの変圧器寸法・重量の増減(第二次比)/出典:東和電機工業 キュービクル盤概略寸法表

4社最大値で見ると、「盤寸法は必ず大きくなる」とは限らないが、重量は確実に増える方向というのが実像です。特に油入の500kVA以上は+300〜890kg。ここは基礎と搬入計画に直結します。

本題|「既存の筐体品番に、同じ容量が入らない」

ここが第三次でいちばん実害の出るポイントです。日東工業が公開している標準キュービクル「ニパック」の収納可否表を見てください。

1面体・変圧器縦置き(H=2300) W800×D1600 W800×D1900 W900×D1900
単相150kVA ○ → × ○ → ○ ○ → ○
単相200kVA ○ → × ○ → ○ ○ → ○
単相300kVA × → × × → × ○ → ×(注1)
三相150kVA ○ → × ○ → ○ ○ → ○
三相200kVA ○ → × ○ → ○ ○ → ○
三相300kVA × → × × → × ○ → ×(注1)

表④ 現行(第二次)→ 2026(第三次)での収納可否/注1:1面体不可だが2面体横置収納は可/出典:日東工業 BQ-2025-02 改5(2025年11月時点の各社変圧器情報に基づく暫定値)

さらに小型シリーズPSP-1610Lでは、現行基準でほぼ全て○だった組み合わせのうち、三相75kVA・100kVAの列が全て×、単相75kVA・100kVAの行も全て×に変わっています。

ペンタ

ペンタ(新人)
つまり……同じ品番の盤に、同じ容量の変圧器が入らなくなるってことですか。
はりた

はりた
そういうこと。「W800×D1600の1面体に三相200kVA」って、いちばん出てくる組み合わせだよね。それが×になった。既設更新でも新設でも、第二次の寸法で描いた図面は全部見直しが必要なんだ。

キュービクル外形と重量の実例

河村電器産業は、盤単位での外形・重量の変化を公表しています。

2014トップランナー搭載 2026トップランナー搭載
三相300kVA盤 W×D×H 1600×1000×2000 mm 1600×1600×2200 mm
三相300kVA盤 重量 1,600 kg 2,400 kg(+50%)
三相500kVA盤 W×D×H 1600×1600×2000 mm 2000×1600×2200 mm
三相500kVA盤 重量 2,460 kg 2,950 kg(+20%)

表⑤ キュービクル盤の外形・重量の変化例/出典:河村電器産業 お知らせ S20404(2025年4月)

波及する4つのコスト

日東工業は、第三次対応に伴う留意点として次の3点を公式に挙げています。

  • キュービクルのサイズ(盤面数)増加 ― 変圧器の寸法増大に伴う変更
  • 基礎の延長・補強 ― 盤面数増加による基礎の延長、質量増加による基礎補強工事など
  • 輸送コスト ― 質量増加に伴うチャータートラックの変更・追加、クレーン手配など

これに加えて、意外な形で効いてくるのが盤メーカー側の工場設備の制約です。東和電機工業は寸法表の備考で、

1500kVA以上のTRは工場クレーンの吊り上げ制限により弊社工場に入荷できません
(東和電機工業 キュービクル盤概略寸法表 備考より)

として、三相1500・2000kVAは「変圧器は盤外設置とし、ブレーカ盤が別途必要」と明記しています。日東工業の表でも三相750kVAが「実装出荷不可・取外し同送出荷」となっており、大容量帯では工場実装ができず現地据付になるケースが生まれています。

⚠️ ここだけ注意

「そのまま交換」という前提を、まず捨ててください。

既設更新案件で確認すべきは、変圧器の外形寸法・重量だけではありません。

  • 2026年対応カタログを早期に入手し、CADで寸法整合を照合する
  • 外形寸法・重量に加えて接続口・端子の位置を確認する
  • 床荷重・基礎補強とケーブルルートを再計算する
  • 搬入経路・据付工法(クレーン、開口、床養生)の見直し予算を確保する
  • 防振装置を入れる場合は別途スペースが要る(例:3φ500kVAで奥行+600mm、3φ750kVAで+800mm)

💼 この回が実務でこう生きる

  • 既設更新の見積段階で、盤の作り替え・基礎補強・搬入費を漏れなく計上できる。
  • 「W800×D1600の1面体に三相200kVA」のような定番の組み合わせが不成立になったことを、根拠つきで説明できる。
  • メーカー未定の段階でも、4社最大値ベースで安全側の盤スペースを確保できる。
  • 1500kVA以上は盤外設置になり得ることを、計画初期に建築側と調整できる。
💬 はりたから現場へ:この回でいちばん伝えたいのは「図面を描く前にカタログを取り寄せる」という順番です。第二次時代の寸法が頭に入っている人ほど危ない。手戻りのコストは、カタログを1本ダウンロードする手間の何百倍にもなります。

まとめ

  • 第三次対応機は、低損失化のため鉄心・コイルの断面積が増え、寸法・質量が増える。
  • 油入は質量の増加が寸法の増加より大きい。300kVAで+37%、1000kVAで+45%(ダイヘン公表値)。
  • 高さは減る容量もある。増えるのは主に幅と奥行。
  • モールドは容量ごとに傾向がバラバラ。150〜200kVA帯はむしろ小さく・軽くなっている。
  • 日東工業の収納表では、W800×D1600の1面体で三相・単相150/200kVAが○→×に。
  • 盤単位では、三相300kVA盤の重量が1,600→2,400kg(+50%)という公表例がある。
  • 波及するのは盤面数・基礎・搬入・輸送。1500kVA以上は盤外設置になるケースも。

【追補】全容量・全メーカーの寸法・質量データ

公開後、読者の方から「他の容量も知りたい」「メーカーによってどれくらい違うのか」というご要望をいただいたので、カタログから抽出した数値をまとめて追補します。あわせて、上の表①・表②の高さ寸法の取り方を修正しました(下の注意を参照)。

【重要】変圧器の「高さ」は1つではありません。

油入変圧器のカタログには高さが2つ載っています。ZH=高圧ブッシング側の高さ、ZL=低圧ブッシング側の高さ盤の内寸に効くのは、この2つのうち大きいほう(全高)です。当初の表①・表②はZH側の値を拾っていたため、大容量域で全高より小さく出ていました。現在は全高=max(ZH, ZL)に統一しています。自分でカタログを見るときも、必ず両方の数字を確認してください。

表⑥|油入・三相 6.6kV/210V・50Hz|全容量(20〜2000kVA)

定格容量 第二次 W×D×H 第三次 W×D×H 第二次
質量
第三次
質量
質量増 第三次
Wi / Wc
20kVA 490×425×685 510×440×685 160 kg 175 kg +9.4% 60 / 324 W
30kVA 510×450×685 550×485×685 190 kg 225 kg +18.4% 80 / 441 W
50kVA 550×490×685 610×490×740 270 kg 310 kg +14.8% 106 / 648 W
75kVA 750×465×915 825×495×950 370 kg 465 kg +25.7% 163 / 727 W
100kVA 770×490×955 890×540×970 445 kg 580 kg +30.3% 182 / 1,022 W
150kVA 800×530×990 900×555×1080 585 kg 760 kg +29.9% 241 / 1,334 W
200kVA 885×540×1055 905×600×1130 700 kg 885 kg +26.4% 310 / 1,552 W
300kVA 950×560×1170 1020×665×1230 950 kg 1,305 kg +37.4% 410 / 2,057 W
500kVA 1115×700×1325 1250×795×1285 1,530 kg 1,720 kg +12.4% 156 / 5,599 W
750kVA 1460×860×1555 1460×860×1555 2,400 kg 3,000 kg +25.0% 860 / 4,070 W
1000kVA 1490×890×1755 1720×1005×1775 3,000 kg 4,350 kg +45.0% 785 / 6,720 W
1500kVA 2020×960×1625 2290×1095×1625 4,250 kg 5,600 kg +31.8% 1,425 / 7,555 W
2000kVA 2200×1040×1725 2380×1095×1725 5,300 kg 7,400 kg +39.6% 1,285 / 12,310 W

高さは全高(ZH・ZLの大きいほう)/出典:ダイヘン TOP ECO Ⅱ(2024年9月時点)・TOP ECO Ⅲ(2026年2月時点)カタログ

あらためて全容量で並べると、300kVA・1000kVA・2000kVA が質量増の山になっているのが分かります。一方で500kVAだけ +12.4%と穏やかなのは、第5回で扱ったアモルファス鉄心の採用によるものです。幅は1000kVAで+230mm、1500kVAで+270mmと大きく増えるので、大容量帯ほど盤の平面計画への影響が深刻になります。

表⑦|油入・単相 6.6kV/210-105V|全容量

単相は50Hz品と60Hz品で寸法・質量が同一です(第三次・ダイヘン)。

定格容量 第二次 W×D×H 第三次 W×D×H 第二次 質量 第三次 質量 質量増
10kVA 360×425×630 390×455×645 85 kg 110 kg +29.4%
20kVA 390×455×685 440×475×645 125 kg 145 kg +16.0%
30kVA 410×470×685 460×495×685 155 kg 180 kg +16.1%
50kVA 480×515×685 470×520×725 215 kg 245 kg +14.0%
75kVA 590×505×945 670×560×905 320 kg 380 kg +18.8%
100kVA 620×550×945 670×560×1005 380 kg 455 kg +19.7%
150kVA 620×520×1050 720×590×1100 460 kg 600 kg +30.4%
200kVA 650×580×1090 795×590×1135 575 kg 760 kg +32.2%
300kVA 770×680×1175 865×690×1235 840 kg 1,045 kg +24.4%
500kVA 940×870×1455 1040×780×1555 1,480 kg 2,200 kg +48.6%

出典:ダイヘン TOP ECO Ⅱ/TOP ECO Ⅲ カタログ(50Hz・60Hz共通)

単相で目を引くのは500kVAの +48.6%(1,480→2,200kg)。この連載で扱った全機種のなかで最大の増加率です。単相150・200kVAも +30%前後で、これは第4回の日東工業の収納表で「W800×D1600の1面体に単相150/200kVAが○→×」となった容量とぴったり一致します。

表⑧|モールド・三相 210V|全容量

定格容量 第二次 W×D×H 第三次 W×D×H 第二次 質量 第三次 質量 質量増
20kVA 620×450×710 645×435×695 260 kg 320 kg +23.1%
30kVA 620×450×710 645×435×695 260 kg 330 kg +26.9%
50kVA 620×450×710 645×435×695 260 kg 330 kg +26.9%
75kVA 735×500×820 805×475×830 400 kg 530 kg +32.5%
100kVA 735×500×820 805×475×830 410 kg 540 kg +31.7%
150kVA 880×470×1055 810×490×970 620 kg 660 kg +6.5%
200kVA 920×485×1075 865×520×985 785 kg 820 kg +4.5%
300kVA 990×525×1175 1080×615×1195 1,030 kg 1,330 kg +29.1%
500kVA 1150×625×1240 1270×685×1250 1,520 kg 1,810 kg +19.1%
750kVA 1310×670×1335 1340×705×1440 1,870 kg 2,400 kg +28.3%
1000kVA 1340×730×1570 1460×755×1595 2,350 kg 2,800 kg +19.1%

高さは全高(ZL側)/出典:ダイヘン TOP ECO Ⅱ モールド(2024年10月時点)・TOP ECO Ⅲ(2026年2月時点)カタログ

モールドの150・200kVAだけ幅も高さも縮んで質量増も+5〜7%という特異な挙動は、全容量を並べても変わりません。この2容量は設計が刷新されたと見るのが自然です。逆に75・100kVAは+32%前後で、こちらは日東工業の小型シリーズPSP-1610Lで「三相75/100kVAが全て×」となった原因そのものです。

メーカーによってこれだけ違う

ここまでダイヘンのカタログで統一してきましたが、メーカーが変われば寸法も質量も変わります。日立産機システムの技術資料で公表されている値と並べてみます。

容量(油入・三相・50Hz) 日立 SuperトップランナーⅢ ダイヘン TOP ECO Ⅲ 東芝 Sシリーズ
100kVA W×D×H 840×520×1040 890×540×970 890×540×970
100kVA 質量 590 kg 580 kg 580 kg
500kVA W×D×H 1150×840×1240 1250×795×1285 1250×795×1285
500kVA 質量 1,540 kg 1,720 kg 1,720 kg
1000kVA W×D×H 1570×980×1540 1720×1005×1775 1665×1085×1445
1000kVA 質量 2,900 kg 4,350 kg 3,460 kg

出典:日立産機システム SuperトップランナーⅢ 技術説明資料(2025年9月17日)/ダイヘン・東芝 各カタログ

1000kVAでは3社の質量差が最大1,450kg(日立2,900/東芝3,460/ダイヘン4,350)、幅の差も150mmあります。500kVAでも質量差180kg、幅差100mm。「どのメーカーが入るか決まっていない段階」で盤を計画するなら、必ず最大値で見る必要があります。第4回の表③(東和電機工業の4社最大値)が使えるのはこのためです。

東芝とダイヘンは、10〜500kVA帯で数値が完全一致している

カタログを突き合わせていて気づいた点です。第三次品では、東芝 油入Sシリーズとダイヘン TOP ECO Ⅲ が、油入・単相10〜300kVA/油入・三相20〜500kVA/モールド単相10〜200kVA・三相20〜150kVA の範囲で、外形寸法・据付寸法・油量・総質量・無負荷損・負荷損・%Iz のすべてが同一値になっています。

一致の例(三相 6.6kV/210V・500kVA・50Hz)

両社とも W1250 / D795 / ZH1270 / ZL1285 / 油量355L / 総質量1,720kg / Wi 156W / Wc 5,599W / %Iz 4.1 / エネルギー消費効率 1,052W / 基準値 1,080W

一方、三相750kVA以上・単相500kVA・モールド300kVA以上は各社で数値が異なり、明確に別設計です(例:三相750kVA は東芝 1590×1020×1335・2,710kg、ダイヘン 1460×860×1555・3,000kg)。

両社ともこの点を公表していないので断定はできませんが、中小容量帯は共通設計またはOEM供給と考えるのが自然です。実務上の意味は明快で、この容量帯では「東芝かダイヘンか」で寸法・質量を悩む必要がない一方、750kVA以上は各社の実カタログを必ず個別に当たる必要がある、ということです。

アモルファス鉄心が採用されているのは、この4機種だけ

第5回でアモルファス鉄心に触れましたが、カタログの形式凡例をすべて確認したところ、東芝 油入Sシリーズで「AM(アモルファス鉄心)」を含む形式は次の4つだけでした。

  • HCTR-ASAM-S25TA-50500-YD ― 三相 500kVA 210V 50Hz(標準仕様)
  • HCTR-ASAM-S25TA-60500-YD ― 三相 500kVA 210V 60Hz(標準仕様)
  • HCTR-ASAM-S25TB-50500-DY ― 三相 500kVA 420/242V 50Hz(準標準)
  • HCTR-ASAM-S25TB-60500-DY ― 三相 500kVA 440/254V 60Hz(準標準)

単相は全容量ケイ素鋼板。三相も20〜300kVA・750〜2000kVAはケイ素鋼板。モールド(TOSMOLD NF)にはアモルファス採用機種なし。

ダイヘンのカタログには「アモルファス」の語が一度も出てきませんが、無負荷損が300kVA 410W →500kVA 156W→ 750kVA 860W と500kVAだけ不連続に落ち込むことから、同じ機種であることが読み取れます。該当は T3SP-0500K / T3SP-0500P / T3VS-0500K / T3VS-0500P。日立産機は別系列として「Super アモルファスZero」「奏」シリーズを持っており、こちらは全容量帯に展開されています。

⚠️ 調達先が1社減りました

三菱電機は配電用変圧器事業から撤退済みです。

事業は日立産機システムへ譲渡され、最終受注 2025年6月30日/最終出荷 2026年1月16日/事業終了 2026年3月31日。アフターサービスは2026年4月より日立産機システムへ移管されています。2026年8月現在、国産の配電用変圧器メーカーは日立産機システム・ダイヘン・東芝産業機器システム・富士電機の4社。「5社に相見積」という前提はもう成り立ちません。
出典:三菱電機「配電用変圧器 事業譲渡に伴う最終受注・出荷期限のお知らせ」BXN-11556-190(2024年10月)

📖 連載「2026トップランナー変圧器」全8回

  1. 第1回|2026年4月に何が変わった?|制度の全体像と「ユーザーに交換義務はない」の本当の意味
  2. 第2回|基準エネルギー消費効率の読み方|E=Wi+(m/100)²×Wc を自分で計算する
  3. 第3回|対象範囲と除外機種|「この変圧器はトップランナーの対象?」を判定する
  4. 第4回|キュービクルに入らない|寸法・質量の増加をメーカー公表値で確認する (この記事)
  5. 第5回|省エネ機なのに発熱が増える|換気設計とアモルファス鉄心の落とし穴
  6. 第6回|電気代はいくら下がる?|損失低減の試算・価格上昇・補助金の使い方
  7. 第7回|仕様書・見積書の書き方|「トップランナー基準適合品」では足りない
  8. 第8回|更新(リプレース)の判断|いつ・どれを・どう替えるか【連載まとめ】

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