電気設備サブコン9社の新卒採用と女性比率|採用人数の推移と「女性が増える現場」のいま
この連載では年収・単価と、電気設備サブコン大手9社の「お金」を見てきた。今回は入口――新卒採用だ。9社が毎年何人採っているのか、その推移と、男性中心とされるこの業界で女性採用がどこまで広がっているかを、各社の統合報告書・有価証券報告書と、女性活躍推進法にもとづく公表データから見る。
先に断っておくと、採用人数は各社の開示基準がバラバラで、9社を同じ物差しで単純比較するのは難しい。
「定期採用(高卒技能職を含む)」で出す会社もあれば、「総合職だけ」「新卒だけ」で出す会社もある。だから本稿は絶対数の優劣を競わせるのではなく、各社の推移と、比較可能な範囲での女性比率を、基準を明記しながら並べる。
この記事の結論
① 採用規模は会社の大きさにおおむね比例する。きんでん(最新418人)・クラフティア(402人)・関電工(331人)は年300〜400人規模の新卒定期採用、ユアテック・中電工・日本電設工業は年100〜150人規模。ただし開示基準が各社で異なり、絶対数の単純比較はできない。
② 採用数は近年おおむね横ばい〜微増。きんでんは400人超を維持、クラフティアは299→402人と増加基調。四電工は新卒総数を非公表としている。
③ 女性採用割合は各社おおむね5〜17%。トーエネック17.0%が高く、中電工は6.8→10.4%と上昇。男性中心の業界で各社が女性採用を増やそうとしている。ただし「採用者全体(中途含む)」と「新卒総合職」で基準が混在し、横比較には注意がいる。
④ 採用の入口で女性が増えても、女性管理職比率はまだ1〜3%台。登用が実績として表れるのはこれからで、採用の数字だけで「女性が活躍している」とは読めない。
✔ 1. まず「開示基準がバラバラ」という話から
✔ 2. 採用数の推移:規模は会社の大きさに比例、多くは横ばい〜微増
✔ 3. 女性採用の広がり:おおむね5〜17%、上昇している会社も
✔ 4. 採用では増えても、管理職はまだ1〜3%台
ペン太
ハリタこの3つ、すぐ答えられますか
- 採用人数を9社で単純比較できないのは、何が違うからか
- 女性採用割合を横並びにするとき、そろっていないのはどこか
- 採用の女性比率が二桁でも、管理職比率はどのくらいか
1. まず「開示基準がバラバラ」という話から
会社の採用人数を調べようとすると、最初にぶつかるのが各社で数え方が違うという壁だ。
たとえば関電工・きんでん・クラフティアは統合報告書で「定期採用者数」を出しており、これは大卒だけでなく高卒の技能職も含んだ新卒全体の数だ。一方トーエネックや中電工が採用サイトで出すのは総合職(技術系・事務系)や大卒等が中心で、技能職・高卒を含まない。同じ「採用人数」でも中身が違う。
さらに、新卒だけの数字を出す会社もあれば、中途を含む数字を出す会社もある。集計が単体(提出会社)か連結かも会社によって異なる。
だから「A社は400人、B社は130人だからA社のほうが積極的」とは単純に言えない。本稿の図1は、各社の公表ベースをそのまま、基準を添えて並べたものだ。数の大小そのものより、各社の推移を見てほしい。

| 数え方の違い | 中身 |
|---|---|
| 定期採用者数 | 大卒だけでなく高卒の技能職も含んだ新卒全体 |
| 総合職・大卒等 | 技術系・事務系が中心で、技能職・高卒を含まない |
| 新卒か中途込みか | 新卒だけの数字を出す会社と、中途を含む数字を出す会社がある |
| 単体か連結か | 集計範囲も会社によって異なる |
| 読み方 | 数の大小そのものより、各社の推移を見る |
- 最初にぶつかるのが各社で数え方が違うという壁
- 「定期採用者数」は高卒の技能職も含んだ新卒全体、「総合職」は技能職・高卒を含まない
- 新卒だけの会社と中途を含む会社、単体と連結も混在する
- だから絶対数の優劣ではなく、各社の推移を見る
2. 採用数の推移:規模は会社の大きさに比例、多くは横ばい〜微増
図1を見ると、採用規模はおおむね会社の従業員規模に沿っている。
従業員数が8千人規模のきんでん(最新418人)・関電工(331人)や、同じく大規模なクラフティア(402人)が年300〜400人を採る一方、従業員2〜4千人規模のユアテック(145人)・日本電設工業(121人)・中電工(120人)は年100人台、従業員1,823人と最も小さい住友電設は年58人と、規模相応の水準だ。
推移としては多くの会社が横ばい〜微増だ。
きんでんは400人超を維持し、クラフティアは2022年度の299人から2024年度402人へと増やしている。住友電設は年55〜70人で安定的に推移。
四電工だけは新卒採用の総数を公表しておらず(採用サイトは募集予定人数のみ、統合報告書は「年100人規模の採用を継続」と定性的に記すにとどまる)、図1でも唯一データが引けなかった。
注記:数字の大小を会社の「積極性」と読まない
採用人数の差は、多くが会社の規模の差だ。従業員8千人の会社と2千人の会社では、毎年入れ替わる人数がそもそも違う。また、定期採用(技能職・高卒を含む)で出す会社と、総合職だけで出す会社を並べれば、前者が大きく見えるのは当然である。
図1の縦軸は9社共通(0〜450人)にそろえているが、これは各社の推移を同じ物差しで見るためで、パネル間の高さをそのまま「採用力の順位」と読むのは適切ではない。

- 採用規模はおおむね会社の従業員規模に沿っている
- 8千人規模の会社は年300〜400人、2〜4千人規模は年100人台、最小規模の会社は年58人
- 推移は多くが横ばい〜微増。四電工だけは新卒総数を公表していない
- 採用人数の差の多くは会社の規模の差であり、「積極性」の順位ではない
3. 女性採用の広がり:おおむね5〜17%、上昇している会社も
次に女性採用だ。電気設備・建設は男性が多い業界だが、女性活躍推進法により、大企業は採用者に占める女性割合や男女別採用数の公表が義務づけられている。
各社が最新で公表している女性採用割合を並べたのが図2で、おおむね5〜17%の範囲に収まる。トーエネックの17.0%(新卒)が最も高く、中電工10.4%、きんでん・関電工が7%台、住友電設6.1%、日本電設工業5.0%と続く。
ここでも基準の違いに注意がいる。関電工・きんでんの数字は厚生労働省の女性活躍データベースにある「採用者・正社員(中途を含む)」の女性割合で、トーエネックや日本電設工業は「新卒」の女性比率だ。分母が違うため、数値の高低をそのまま横並びの優劣とは読めない。
それでも、いくつかの会社では推移が取れ、中電工が2024年度6.8%→2026年度10.4%、トーエネックが2023年度12.5%→2025年度17.0%と女性採用を明確に増やしていることが見える(日本電設工業は7.5→5.0%と下がっており、母数が小さく年ごとの振れも大きい)。
人数で見ても傾向は同じだ。関電工の新卒女性は2020年度16人から2022・2023年度は23人へ、きんでんの新卒女性は2020年度9人から2024年度18人へと増えている。絶対数はまだ小さいが、各社が女性の採用に力を入れ始めているのは確かだ。
ペン太
ハリタ| 女性の数字 | 分母 | 注意 |
|---|---|---|
| 採用者・正社員(中途含む)の女性割合 | 中途を含む採用者全体 | 厚労省の女性活躍データベースの区分 |
| 新卒の女性比率 | 新卒のみ | 分母が違うため、横並びの優劣とは読めない |
| 女性管理職比率 | 課長級以上 | 女性活躍推進法ベース。非公表の会社もある |
| 母数の小ささ | ― | 絶対数が小さいため、年ごとの振れも大きい |
- 女性採用割合はおおむね5〜17%の範囲
- トーエネック17.0%(新卒)が最も高く、中電工10.4%、きんでん・関電工が7%台
- 中電工は2024年度6.8%→2026年度10.4%、トーエネックは2023年度12.5%→2025年度17.0%と明確に増やしている
- ただし「採用者全体(中途含む)」と「新卒」で分母が違うため、横並びの優劣とは読めない
4. 採用では増えても、管理職はまだ1〜3%台
ただし、採用の入口の数字だけで「女性が活躍している」と結論づけるのは早い。下の表は、各社の最新の新卒採用数・女性採用割合・女性管理職比率を、基準つきで並べたものだ。
| 会社 | 最新の新卒採用数 (基準) | 女性採用割合 (基準) | 女性管理職比率 (課長級以上) |
|---|---|---|---|
| 関電工 | 331人 定期採用・2024年度 | 7.0% 採用者・正社員(中途含む) | 2.4% |
| きんでん | 418人 定期採用・2025年3月期 | 7.5% 採用者・正社員(中途含む) | 非公表 |
| クラフティア | 402人 定期採用・2024年度 | 非公表 | 1.3% |
| トーエネック | 135人 総合職・2026年入社 | 17.0% 新卒(業務職+技術職) | 3.1% |
| 住友電設 | 58人 新卒・2024年度 | 6.1% 新卒総合職 | 2.4% |
| 中電工 | 120人 大卒等・2026年入社 | 10.4% 新卒(女性採用比率) | 2.0% |
| ユアテック | 145人 新卒・2025年度 | 非公表 | 2.7% |
| 日本電設工業 | 121人 新卒・2025年度 | 5.0% 新卒 | 1.3% |
| 四電工 | 非公表 募集は年100人規模 | 非公表 | 3.4% |
女性管理職比率は四電工3.4%、トーエネック3.1%を筆頭に、多くが1〜3%台にとどまる。
採用の入口では女性比率が二桁に届く会社も出てきたが、それが管理職層に反映されるのはこれからだ。勤続を重ねて管理職になるまでには時間がかかるため、いまの管理職比率は「過去に女性が少なかった時代」の採用構成を映している面もある。採用の数字と登用の数字は、同じ「女性活躍」でも別の時間軸で見る必要がある。
- 女性管理職比率は多くが1〜3%台にとどまる
- 採用の入口で女性比率が二桁に届く会社が出てきても、管理職層に反映されるのはこれから
- いまの管理職比率は、過去に女性が少なかった時代の採用構成を映している面もある
- 採用の数字と登用の数字は、別の時間軸で見る
5. 就活・転職でどう読むか
採用数の絶対比較より「自分の枠」を見る
採用人数の大小は、多くが会社の規模の差だ。就活で本当に知りたいのは全体の採用数ではなく、自分の職種・学歴の採用枠がどれくらいあるかだろう。会社ごとに開示基準が違うので、採用サイトの職種別・学歴別の実績や募集予定数を、自分の区分にあてはめて見るのが確実だ。
女性は各社が採りに来ている。ただし登用の実績は別に確認
女性採用割合は上昇傾向の会社が多く、女性にとって門戸は広がっている。一方で女性管理職比率はまだ1〜3%台だ。長く働いてキャリアを積めるかを見るなら、採用比率だけでなく、女性管理職比率や男女の平均勤続年数、育児休業の取得状況もあわせて確認したい。
開示の丁寧さ自体が、会社の姿勢を映す
採用人数や女性データをどこまで細かく・継続的に開示しているかは、会社ごとにかなり差がある。トーエネックのように女性採用比率を年度推移で示す会社もあれば、四電工のように新卒総数を非公表とする会社もある。開示の丁寧さそのものが、人材や多様性に対する会社の向き合い方を映す一つの手がかりになる。
6. このデータの限界
以下は本稿が示していないこと
① 採用人数は各社で開示基準が異なる(定期採用/総合職/新卒、単体、技能職・高卒を含むか)。図1・表は基準を添えて並置したもので、絶対数の単純比較・優劣づけはできない。
② 年度・入社年の対応も会社で異なる。図1のプロット位置は各社公表の年度・入社年を暦年に対応させたもので、厳密に同一時点の比較ではない。四電工は新卒総数を非公表、中電工は年度連続の推移が非公表のため点数が少ない。
③ 女性採用割合は分母が会社で異なる(採用者全体・中途含む/新卒総合職 など)。クラフティア・ユアテック・四電工は女性採用割合を公表しておらず、比較から外れる。
④ 女性管理職比率は女性活躍推進法ベース(課長級以上)だが、集計時点が会社で1年程度ずれることがある。きんでんは同比率を公表していない。
⑤ 厚労省「女性の活躍推進企業データベース」は自動取得が制限されており、一部は各社公式・有報の同法ベース公表値で代替した。定義は同じだが出典が各社側になる項目がある。
⑥ 転職・就活メディアが独自に集計・推定した採用数・倍率は使用していない。数値はすべて各社の公式開示(統合報告書・有報・採用サイト)と厚労省の公的データにもとづく。
結論。採用数は「会社の大きさ」、女性比率は「分母」を見る。どちらも、そのままの横並びでは読めません。
| 知りたいこと | 見るところ |
|---|---|
| 自分が入れる枠 | 全体の採用数ではなく、職種別・学歴別の実績や募集予定数 |
| 会社の採用姿勢 | 絶対数ではなく、数年の推移 |
| 女性の門戸 | 女性採用割合。上昇傾向の会社が多い |
| 女性の登用実績 | 女性管理職比率。多くが1〜3%台 |
| ギャップの理由 | いまの管理職比率は、過去に女性が少なかった時代の採用構成を映している面もある |
数字の前提
- 「定期採用」「総合職」「新卒」「中途含む」と、数え方が会社ごとに違う
- 採用規模は会社の従業員規模におおむね比例し、多くは横ばい〜微増
- 女性採用割合も、採用者全体か新卒かで分母が異なる
読み取れること
- 女性採用は上昇傾向の会社が多く、門戸は広がっている
- 一方で女性管理職比率はまだ1〜3%台で、登用の実績が表れるのはこれから
- 就活で本当に知りたいのは全体の採用数より、自分の職種・学歴の枠
出典
各社の採用数・女性採用データ:関電工、きんでん、クラフティア、トーエネック、住友電設、中電工、ユアテック、日本電設工業、四電工(各社の統合報告書・ESGデータ集・採用サイト・有価証券報告書。いずれも2026年7月26日取得)。
女性採用割合・女性管理職比率(女性活躍推進法にもとづく公表):厚生労働省「女性の活躍推進企業データベース」および各社公式・有価証券報告書の同法ベース公表値。
関電工・きんでんの採用者女性割合は同データベース(採用者・正社員/中途を含む)、トーエネック・住友電設・中電工・日本電設工業は各社公式(新卒等)による(2026年7月26日取得)。
採用規模の文脈に用いた従業員数(単体)は各社の有価証券報告書(2025年3月期)による。詳細は前回記事「電気設備サブコン大手9社の平均年間給与|有価証券報告書で読む実額」を参照。
ペン太
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