待遇シリーズ、今回は「休み」だ。電気設備サブコン大手9社の年間休日数と有給休暇を、各社の採用サイト・統合報告書と、厚生労働省「就労条件総合調査」の全国平均を突き合わせて見る。建設・電気工事は休みが取りにくいというイメージがあるが、大手の実際はどうか。

先に断っておくと、休日・有給の開示は会社によってバラバラだ。年間休日を日数で出す会社もあれば出さない会社もあり、有給も「取得率(%)」で出す会社と「平均取得日数」で出す会社が混在する。そこは基準を明記しながら、比較できる範囲で並べる。

この記事の結論

年間休日数を公表する6社は124〜131日で、全国の大企業平均117.7日・産業計116.6日を上回る。最多はクラフティアの131日、最少のトーエネックでも124日。大手電気設備の休日は、全国平均より6〜13日多い水準にある。

有給の平均取得日数を公表する7社は12〜15日で、建設業平均11.1日・産業計12.1日を上回る。ユアテック15.0日・住友電設14.9日が高い。建設業は「付与日数は多いのに取得が進まない」業種だが、大手9社は取得が進んでいる。

ただし開示指標はそろっていない。年間休日を日数で出さない会社(きんでん・住友電設・日本電設工業)、有給を取得率で出す会社(関電工72.3%)と日数で出す会社が混在し、きんでんは有給の実績を公表していない。

休日が多くても残業が多い会社もある。月平均の所定外労働は会社により18〜28時間台と差が大きく、休日数だけで働きやすさは測れない。

電気設備サブコン9社の年間休日数と全国平均の比較

1. 年間休日数:6社が124〜131日、全国平均を上回る

図1は、年間休日数を公表している6社を並べたものだ。クラフティア131日、中電工130日、関電工128日、ユアテック・四電工127日、トーエネック124日と、いずれも全国の大企業平均(1,000人以上)117.7日、産業計の116.6日を上回る。厚生労働省の就労条件総合調査で見る全国水準より、6〜13日多い休日を確保している計算だ。

建設業は「4週8休(現場を4週間で8日閉じる)」がなお目標として語られる業種で、現場仕事は休みが取りにくいというイメージがある。実際、就労条件総合調査には建設業だけの年間休日総数は掲載されていない(産業別は非公表)が、少なくとも今回の大手6社は、全国の大企業平均を上回る年間休日を公式に掲げている

最多(クラフティア)
131
最少でも(トーエネック)
124
全国の大企業平均
117.7

注記:3社は年間休日の「日数」を公表していない

きんでん・住友電設・日本電設工業は、採用情報で休日制度(いずれも完全週休2日制)は明記するが、年間休日の具体的な日数は公表していない。制度が同等でも、日数を出すかどうかは会社によって差がある。図1・本稿の比較は、日数を公表している6社に限ったものである。

電気設備サブコン9社の有給平均取得日数と全国平均の比較

2. 有給休暇:7社が建設業平均を上回る、ただし「率」と「日数」が混在

次に有給休暇だ。ここで開示のバラつきが効いてくる。9社のうち、有給を「取得率(%)」で公表しているのは関電工と住友電設の2社だけで、残りは「平均取得日数」で開示している。まず取得日数を公表する7社を並べたのが図2だ。

7社の平均取得日数は12.3〜15.0日で、いずれも建設業平均11.1日・産業計12.1日を上回る。ユアテック15.0日、住友電設14.9日、トーエネック14.2日、日本電設工業14.0日が高い。建設業は付与日数こそ18.3日と産業計(18.1日)並みなのに、取得は11.1日(取得率60.7%)にとどまる「付与は多いが取得が進まない」業種だが、大手9社はその平均より取得が進んでいる。

取得率で開示する2社を見ると、関電工は2024年度72.3%で、全国の大企業平均69.0%を上回る。同社の取得率は2019年度の56.5%から一貫して上昇してきた。住友電設は65.3%で、建設業平均60.7%は超えるが大企業平均69.0%には届かない。なおきんでんだけは、年間休日数・有給とも実績を公表していない

有給取得日数の最多
(ユアテック)
15.0
建設業の平均取得日数
11.1
関電工の取得率
(2024年度)
72.3

3. 休日が多くても、残業が多い会社もある

休日と有給がそろっていても、それだけで働きやすさは決まらない。月平均の所定外労働時間(残業)を公表している会社を見ると、クラフティア18.8時間から、トーエネック28.2時間まで、月あたり10時間近い差がある。トーエネックは年間休日124日・有給14.2日を確保しつつ、残業は月28.2時間と今回で最も長い。休日・有給・残業はセットで見て初めて、実際の働き方が見えてくる。

会社年間休日数有給・平均取得日数有給取得率月平均所定外労働
関電工128日
2023年度
非公表72.3%非公表
きんでん非公表非公表非公表
クラフティア131日
2026年度
12.3日
2025年度
18.8時間
トーエネック124日
2025年度
14.2日
2025年度・全体
28.2時間
住友電設非公表14.9日
2024年度
65.3%非公表
中電工130日
2025年度
12.3日
2024年度
22.9時間
ユアテック127日
2026年度
15日
2025年度
23.4時間
日本電設工業非公表14日
2024年度
23時間
四電工127日
2026年度
13.6日
2025年度
21.4時間
各社の採用サイト・統合報告書・ESGデータ・有価証券報告書(最新の公表値、2026年7月26日取得)。年度・集計基準は会社により異なる。「-」は取得率を非公表(日数で開示)、「非公表」はその指標自体を公表していないことを示す。

表にすると、開示のモザイクがよく見える。年間休日を日数で出す会社・出さない会社、有給を率で出す会社・日数で出す会社、残業を出す会社・出さない会社が入り混じる。きんでんのように大半を非公表とする会社もあれば、トーエネックや四電工のように休日・有給・残業を年度推移まで細かく開示する会社もある。

4. 就活・転職でどう読むか

年間休日は、大手電気設備なら全国平均以上が期待できる

今回のデータでは、日数を公表する大手6社はいずれも124日以上で、全国の大企業平均を上回っていた。「建設・電気工事は休めない」という一般的なイメージと、大手サブコンの実際にはギャップがある。気になる会社が年間休日を公表していないなら、説明会や面接で直接聞くのが確実だ。

有給は「率」か「日数」か、見せ方の違いに注意

有給を取得率で出す会社と日数で出す会社があり、単純な横並びはできない。取得率は「付与された休みをどれだけ消化できているか」、取得日数は「実際に何日休めたか」を表す。両方の観点で、できれば付与日数もあわせて確認すると、実態に近づける。

休日数だけでなく、残業とセットで実働を見る

年間休日が多くても、残業が月28時間の会社と18時間の会社では、実際の忙しさはかなり違う。休日・有給・残業を一緒に見て、初めて「休める会社か」が判断できる。所定外労働を公表していない会社もあるので、そこも確認したいポイントだ。

5. このデータの限界

以下は本稿が示していないこと

休日・有給の開示指標が各社で異なる(年間休日を日数で出す/出さない、有給を取得率/取得日数で出す)。本稿は基準を添えて並置したもので、非公表の会社を含めた完全な9社横並びではない。

年度・集計基準が会社でそろっていない。関電工の年間休日128日は2023年度、他は2025〜2026年度など、時点にずれがある。有給の取得日数も年度が混在する。

ベンチマークの就労条件総合調査には、建設業だけの年間休日総数が掲載されていない(産業別は非公表)。年間休日の全国比較は産業計・企業規模別の値を用いた。

年間休日数は制度上・公表上の日数で、実際に取得できた休日ではない。現場の繁忙期には休日出勤や振替もありうる。有給取得日数・残業時間とあわせて実態を見る必要がある。

きんでんは年間休日数・有給の実績とも公表しておらず、比較に含められない。住友電設・日本電設工業は年間休日の日数を非公表としている。

転職・就活メディアが独自に集計・推定した休日・残業情報は使用していない。数値はすべて各社の公式開示と厚生労働省の公的統計にもとづく。

出典

各社の休日・有給・残業データ:関電工きんでんクラフティアトーエネック住友電設中電工ユアテック日本電設工業四電工(各社の採用サイト・募集要項・統合報告書・ESGデータ集・有価証券報告書。いずれも2026年7月26日取得)。

全国のベンチマーク:厚生労働省「令和7年就労条件総合調査の概況」(年間休日総数:大企業=1,000人以上の1企業平均117.7日・産業計の労働者1人平均116.6日、年次有給休暇:産業計の取得日数12.1日・取得率66.9%、建設業の取得日数11.1日・取得率60.7%、大企業の取得率69.0%。いずれも令和6年=2024年の1年間)(2026年7月26日取得)。