クラフティアの業務内容・業績・投資の全体像

1社ずつの深掘り、第3回はクラフティア。九州電力系の総合設備工事会社で、2025年10月に『九電工』から社名を変えたばかりの会社だ。

売上・時価総額とも業界3位で、関電工・きんでんに次ぐ規模を持つ。会社が何をやっていて、どう稼ぎ、どこに投資しているのかを、株主・投資家向け資料(決算短信・統合報告書・中期経営計画)だけを使って読み解く。

この記事の結論

2025年10月に「九電工」から「クラフティア」へ社名変更。証券コード1959・上場はそのまま継続で、持株会社化ではなくブランド刷新。『Craft(匠・技術)』に由来する新社名で、フロンティアを切り拓く決意を込めたとする。

事業の柱は屋内線工事(約50%)と空調管工事(約34%)。ビル・工場の電気設備に加え、空調・給排水などの空調管工事が約1,624億円と大きく、電気だけでなく空調・管まで手がける総合力が特徴だ。配電線工事は約12%。

業績はこの5年で拡大し、直近は過去最高益。連結売上高は3,766→4,761億円、営業利益は331→546億円、営業利益率は8.8→11.5%。2026年3月期は営業利益+31.9%・純利益+38.7%と大きく伸び、ROEは12.2%だ。

『累進配当』と大型の成長投資。中期経営計画で配当を減らさない累進配当(配当性向40%目安)を掲げ、5年で配当+自社株買い800億円+αを還元。あわせて5年で約2,000億円を成長投資・ストックビジネス等に投じる計画だ。

この記事でわかること
✔ 会社の基本情報
✔ 1. 「九電工」から「クラフティア」へ
✔ 2. 何をやっている会社か
✔ 3. 業績-5年で拡大、直近は過去最高益
ペン太ペン太
九電工が「クラフティア」に社名変更していたなんて知りませんでした!
ハリタハリタ
2025年10月の変更です。上場や証券コードはそのまま続いていますよ。

この3つ、すぐ答えられますか

  • 「九電工」と「クラフティア」は、別の会社か、同じ会社か
  • この会社の第2の柱になっている工事は何か
  • 累進配当とは、どういう方針のことか

会社の基本情報

トピック1:会社の基本情報

クラフティアは1944年12月1日設立、本社は福岡市中央区天神(2025年5月にONE FUKUOKA BLDG.へ移転)。資本金125.6億円(12,561百万円)、連結子会社60社で構成され、連結従業員は約11,122人(2026年3月末)。

筆頭株主は九州電力で、持株比率は約22.55%(2025年3月末)。有価証券報告書上は「その他の関係会社」にあたる。提出会社(単体)の平均年間給与は約713万円(2025年3月期の有報。平均39歳・勤続15.8年)。平均年齢が39歳と9社のなかでは若いのも特徴だ。

連結売上高
(2026年3月期)
4,761億円
連結従業員数
(2026年3月末)
約11,122
ROE
(2026年3月期)
12.2%
平均年間給与
(単体・2025年3月)
約713万円
ここまでのポイント
  • クラフティアは1944年12月設立、本社は福岡市中央区天神
  • 資本金125.6億円、連結子会社60社、連結従業員は約11,122人(2026年3月末)
  • 売上・時価総額とも業界3位で、関電工・きんでんに次ぐ規模

1. 「九電工」から「クラフティア」へ

トピック2:1. 「九電工」から「クラフティア」へ

この会社を語るうえで外せないのが2025年10月1日の社名変更だ。

1944年設立の『九電工(KYUDENKO)』は、九州電力の配電工事を担う会社として長い歴史を持つが、前業80年を機に社名を『クラフティア(KRAFTIA)』へ一新した。新社名は『Craft(匠・技術)』などに由来し、技術と実行力で新たな領域を切り拓くという決意を込めたものだという。

ここで就活生・転職者が押さえておきたいのは、これは持株会社化や上場廃止ではなく、あくまで社名(ブランド㼉の変更だという点だ。

証券コード1959も、東証プライム・福岡証券取引所への上場もそのまま継続している。求人サイトや古い口コミで『九電工』と表記されていても、同じ会社のことだと理解しておけばよい。会社としての中身(九州電力系・福岡本社・総合設備工事)は変わっていない。

クラフティアの工事種類別 完成工事高(2026年3月期)
ここまでのポイント
  • 2025年10月に「九電工」から「クラフティア」へ社名変更
  • 証券コード1959・上場はそのまま継続で、持株会社化ではなくブランド刷新
  • 求人サイトや古い口コミの「九電工」表記も同じ会社。会社の中身は変わっていない

2. 何をやっている会社か

トピック3:2. 何をやっている会社か

クラフティアの会計上の報告セグメントは「設備工事業」と「その他」の2区分だが、投資家向け資料では設備工事業を工事種類別に開示している。図1のとおり、最大は屋内線工事で約50%(2,385億円)。ビル・工場・データセンターなどの電気設備がここに入る。

特徴的なのは空調管工事が約34%(1,624億円)と大きいことだ。空調・給排水・衛生といった『管』の工事は、電気工事とは別の専門技術を要するが、クラフティア(九電工)はこれを事業の第2の柱に育ててきた。

電気だけでなく空調・管まで一社で手がける総合力が、この会社の強みといえる。配電線工事(約12%)は九州電力向けなどの送配電インフラだ。なお海外(シンガポール・台湾・タイなど東南アジア)にも展開しているが、セグメントとして独立開示されておらず売上規模は非公表となっている。

クラフティアの連結売上高と営業利益の推移
ペン太ペン太
業績って、売上さえ伸びていれば良い会社と見ていいんですよね?
ハリタハリタ
利益率も見てください。ここは営業利益率が8.8%から11.5%に改善しているのが強みです。
工事種類比率中身
屋内線工事約50%(2,385億円)ビル・工場・データセンターなどの電気設備
空調管工事約34%(1,624億円)空調・給排水・衛生。電気とは別の専門技術を要する第2の柱
配電線工事約12%九州電力向けなどの送配電インフラ
海外非公表シンガポール・台湾・タイなどに展開。独立開示なし
ここまでのポイント
  • 最大は屋内線工事で約50%。ビル・工場・データセンターの電気設備が入る
  • 空調管工事が約34%と大きく、電気とは別の専門技術を第2の柱に育ててきた
  • 配電線工事は約12%で、九州電力向けなどの送配電インフラ

3. 業績-5年で拡大、直近は過去最高益

トピック4:3. 業績-5年で拡大、直近は過去最高益

図2は連結の売上高と営業利益の推移だ。売上高は5年で3,766億円→4,761億円、営業利益は331億円→546億円。営業利益率も8.8%から11.5%へ改善した。

とくに2026年3月期は営業利益が前年比+31.9%、純利益が+38.7%と大きく伸び、過去最高益を更新した。データセンターや再生可能エネルギー関連の工事需要の高まりが背景にある。

将来の売上につながる受注高(連結)も約4,790億円まで伸びている。クラフティアは、多くの同業が単体でしか受注高を開示しないなか、連結ベースの受注高・受注残を開示しており、グループ全体の仕事量を把握しやすい。会社は2027年3月期に売上5,000億円・営業利益555億円を見込んでいる。

クラフティアの中期経営計画の投資計画 約2,000億円
ここまでのポイント
  • 5年で売上3,766→4,761億円、営業利益331→546億円、営業利益率8.8→11.5%
  • 2026年3月期は営業利益+31.9%・純利益+38.7%と大きく伸び、過去最高益を更新
  • 背景にはデータセンターや再生可能エネルギー関連の工事需要の高まりがある
  • 受注高(連結)は約4,790億円。連結ベースで開示しており、グループ全体の仕事量を把握しやすい

4. これからの投資と株主還元

トピック5:4. これからの投資と株主還元

会社の「これから」を映すのが投資だ。クラフティアは中期経営計画「Challenge & Grow 2029」(2025〜2029年度)で5年間に約2,000億円を投じる計画を掲げる。

図3のとおり、内訳は成長投資(再エネ・データセンター・M&A等)約800億円ストックビジネス(蓄電池卒FIT・PPAなど継続収益事業)約800億円、設備更新・環境約220億円、DX・研究開発約180億円だ。

工事を請け負って終わりではなく、発電・売電などの『ストック型』の収益を積み上げようとしているのが特徴的だ。

株主還元では『累進配当』を掲げている点が目を引く。累進配当とは、原則として配当を減らさない(維持または増配する)方針のことで、配当性向40%を目安に、5年間で配当+自社株買いをあわせて約800億円+α還元する計画だ。

実際、1株配当は2024年3月期120円→2025年3月期140円→2026年3月期220円と増配してきた。中期経営計画では、2029年度に連結経常利益600億円、45歳平均年収1,000万円という人材面の目標も掲げている。

5年で約2,000億円の内訳金額中身
成長投資約800億円再エネ・データセンター・M&Aなど
ストックビジネス約800億円蓄電池・卒FIT・PPAなど継続収益事業
設備更新・環境約220億円
DX・研究開発約180億円
ここまでのポイント
  • 中期経営計画で5年間に約2,000億円を投じる計画
  • 工事を請け負って終わりではなく、発電・売電などのストック型の収益を積み上げようとしている
  • 株主還元は累進配当(原則として配当を減らさない方針)で、配当性向40%を目安にしている
  • 1株配当は2024年3月期120円→2025年140円→2026年220円と増配してきた

主要指標の5年推移

トピック6:主要指標の5年推移
指標2022年3月期2023年3月期2024年3月期2025年3月期2026年3月期
連結売上高(億円)3,7663,9584,6914,7404,761
連結営業利益(億円)331321380414546
営業利益率8.8%8.1%8.1%8.7%11.5%
経常利益(億円)368355424444582
当期純利益(億円)262263280289401
受注高(連結・億円)3,7564,4054,4094,5214,790
1株配当(円)非公表非公表120140220
出典:クラフティア(旧・九電工)決算短信・決算説明会資料(連結)。受注高は連結ベース。1株配当の2022・2023年3月期は本稿の参照資料では未取得のため「非公表」と表記した。億円は百万円を100で除して四捨五入。2027年3月期は会社予想で売上5,000億円・営業利益555億円・1株配当220円。

5. 就活・転職でどう読むか

トピック7:5. 就活・転職でどう読むか

電気+空調管の総合力

クラフティアの特徴は、電気だけでなく空調・管工事まで一社で手がける総合力だ。電気設備と空調設備の両方に関わりたい人や、幅広い設備の知識を身につけたい人には向いた環境といえる。どちらの分野に進みたいかを、決算資料の工事種類別データで規模感を確かめておくと、志望の解像度が上がる。

若さと成長、そして九州の基盤

平均年齢39歳と9社のなかでは若く、業績も過去最高益と勢いがある。九州電力系という安定した基盤を持ちつつ、社名変更に象徴されるように変化と成長に前向きな会社だ。中期経営計画で45歳平均年収1,000万円を目標に掲げるなど、処遇の引き上げにも意欲的で、成長が待遇に反映されることを期待しやすい。

株主還元の姿勢=財務の余裕

累進配当を掲げ、5年で800億円+αを株主に還元する計画は、それだけ稼ぐ力と財務の余裕があることの裏返しでもある。配当利回りや還元方針は投資家目線の指標だが、会社の体力を測る補助線として、働く先を選ぶときの参考にもなる。

ここまでのポイント
  • 特徴は電気だけでなく空調・管工事まで一社で手がける総合力
  • 平均年齢39歳と9社のなかでは若く、業績も過去最高益と勢いがある
  • 中期経営計画では45歳平均年収1,000万円という人材面の目標も掲げている
  • 株主還元の姿勢は、稼ぐ力と財務の余裕を測る補助線になる

このデータの限界

トピック8:このデータの限界

以下は本稿が示していないこと

「完成工事高」と「売上高」は範囲が異なる。工事種類別(屋内線・空調管・配電線)は設備工事業の完成工事高、業績推移の売上高はその他事業を含む連結売上で、集計範囲が違う。構成比は売上高合計に対する割合で示した。

海外事業の売上規模は非公表。シンガポール・台湾・タイなどに展開しているが、セグメントとして独立開示されておらず金額は把握できない。

2022・2023年3月期の1株配当・ROEは本稿の参照資料では未取得。該当箇所は「非公表」と表記し、推定・補完はしていない。正確な値は各期の有価証券報告書で確認できる。

中期経営計画『Challenge & Grow 2029』の投資計画の細目は統合報告書からの整理。各項目の金額は計画値で、最新の実行状況は今後の開示で更新される。原本での確認を推奨する。

平均年間給与は単体・全社員の平均で、2025年3月期の有報値。職種・年次・地域による差や手当の内訳は示されておらず、個人の実際の年収を保証するものではない。

本稿はクラフティアが公表した資料の範囲の事実整理であり、投資勧誘・投資助言ではない。将来の業績や株価を約束するものではない。転職・就活メディアが独自に集計・推定した数値は使用していない。

結論。名前は変わっても、読むべき数字は変わらない。電気と管の二本柱と、利益率の伸びが輪郭をつくっています。

資料で見るポイントクラフティアの場合
社名変更の中身2025年10月に九電工から変更。証券コード1959・上場は継続で、持株会社化ではない
事業の柱がどこにあるか屋内線 約50%と空調管 約34%。電気と管を一社で手がける総合力
売上と利益率のどちらが動いたか売上3,766→4,761億円に対し、営業利益率は8.8→11.5%
将来の仕事量受注高(連結)は約4,790億円。連結ベースで開示している
株主還元の姿勢累進配当(配当性向40%目安)。5年で配当+自社株買い約800億円規模

事業の輪郭

  • 2025年10月に九電工からクラフティアへ社名変更。証券コード・上場は継続
  • 事業の柱は屋内線工事(約50%)と空調管工事(約34%)。配電線工事は約12%
  • 電気だけでなく空調・管まで一社で手がける総合力が強み

数字の読みどころ

  • 5年で売上3,766→4,761億円、営業利益率は8.8→11.5%に改善
  • 2026年3月期は営業利益+31.9%・純利益+38.7%で過去最高益、ROEは12.2%
  • 5年で約2,000億円の投資と、累進配当による還元をあわせて掲げている

出典

トピック9:出典

すべてクラフティア(旧・九電工)の公式開示(2026年7月29日取得)。2026年3月期 決算短信・決算説明会資料有価証券報告書(第97期・2025年3月期)統合報告書2025・中期経営計画「Challenge & Grow 2029」商号変更のお知らせ(2025年10月1日)会社概要

売上高・利益・受注高は連結、平均年間給与・平均年齢は単体(提出会社)。工事種類別の完成工事高は2026年3月期の決算短信による。億円は百万円を100で除して四捨五入した。

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給与と投資です。約2,000億円の成長投資や45歳年収1,000万円目標も見てみましょう。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。