【新人講座 施工実務編③】躯体工事の仕込み ― タイムリミットはコンクリ打設日

こんにちは、HARITAの設計室です。施工実務編③は躯体工事の仕込み。用語編②で「コンクリの中は打つ前しか仕込めない」と学びました。今回はその“仕込み”の実際——締切(打設日)から逆算して動く仕事を見ていきます。


ペン太
ハリタこの3つ、すぐ答えられますか
- 配管は、コンクリートを打った後に通せばよいのでしょうか。
- 梁に開ける穴だけ扱いが特別なのは、なぜでしょうか。
- 打設の当日、電気の担当者は現場で何をしているのでしょうか。
- 打設日からの逆算 ― 承認から合番までの流れ
- 仕込み4点セットと、それぞれの急所
- 実務での使いどころ ― スリーブ図と打設前立会い
- 素朴なギモン ― 合番の語源、配管がつぶれる理由
- 深掘りQ&A ― ズレ、インサートの種類、あと施工
- 注意ポイント ― 承認前の指示・かぶり厚・記録
すべては打設日からの逆算



ペン太
ハリタ- コンクリートは固まったら二度と中身を触れない。電気の仕込みはすべて打設日がタイムリミット。
- 流れは承認→取付→確認→合番→打設。打設中の合番まで含めて電気の仕事。
- 打設時は圧力やバイブレータの振動で配管がつぶれたりズレたりする。
- 合番は打設に立ち会って見張り、その場で直す役目。埋まる瞬間まで気を抜けない。
コンクリートに仕込む4点セット



| 仕込む部材 | 役割 | 急所 |
|---|---|---|
| スラブ配管 | 床の中に配管ルートを通す | 固定の甘さとかぶり厚 |
| 梁スリーブ | 梁を貫通する穴を確保する | 構造承認を受けた位置・サイズ |
| 床貫通枠 | 床を貫く開口をあらかじめ確保する | 位置の実測と数量の確認 |
| インサート | 後付け機器の取付点を仕込む | 在来用とデッキ用の使い分け |
- 仕込みの4点は、スラブ配管・梁スリーブ・床貫通枠・インサート。
- スリーブは配管が通る穴、インサートは後付け機器の取付用。役割が違う。
- 梁は建物の骨なので、穴を開けてよい位置・大きさに構造上の制限がある(梁せいの1/3以下、端部を避けるなど)。
- 必ず構造設計の確認を受けた図面どおりに入れる。勝手に動かすのは絶対にしない。
💼 実務でこう生きる
| タイミング | やること | 残すもの |
|---|---|---|
| 打設のずっと前 | 貫通位置を拾い、構造設計へ確認を出す | 承認を受けたスリーブ図 |
| 取付が済んだ日 | 位置・数量・固定状態・かぶり厚を確認する | 打設前検査の写真 |
| 打設の当日 | 合番で配管の変形やズレを見張る | その場で直した記録 |
| 打設のあと | 中身は触れない | 竣工図への反映 |
- スリーブ・インサート図の作成は、新人が最初に任されがちな仕事。ルート図から貫通位置を拾い、構造設計へ確認を出す。
- 打設日程を工程表で確認し、承認→現場取付→検査の日数を逆算してスケジュールを引けると、工事を動かす設計者になれる。
- 打設前検査では、図面を持って位置(返り墨から実測)・数量・固定状態・かぶり厚を確認し、必ず写真を残す。
- 埋まったあとは写真だけが証拠になる。
🐣 いまさら聞けない素朴なギモン
- 合番は「番を合わせる」、つまり相手の作業に合わせてこちらも当番に立つという現場言葉。
- 他職種の作業に立ち会って自分の設備を守る・調整する場面で広く使われる。
- 生コンクリートは1㎥で約2.3トン。流し込む圧力と振動で、固定の甘い樹脂管は変形・移動する。
- つぶれた配管は通線できず、埋め殺しの失敗資産になる。だから結束・固定と合番が重要になる。
🔎 深掘りQ&A ― 会話だから、もっと分かる
- スリーブがずれて固まると、軽微なら配管ルートで吸収できるが、できなければあと施工になる。
- あと施工は構造検討、鉄筋の位置調査、補強と大ごとになる。数センチのズレが大きな費用に化ける。
- 在来用は合板の型枠に釘で打つ、デッキ用は波形の鋼板に取り付ける。現場の構造で使う金物が変わる。
- 打設後の貫通も正規の手順を踏めば不可能ではないが、時間も費用もかかる。だから設計段階の貫通計画が大事。
⚠️ 新人がやりがちな注意ポイント
- 承認前のスリーブを現場に指示しない:構造確認の済んでいない位置・サイズは「仮」。先行手配は事故のもと。
- かぶり厚を忘れない:配管が鉄筋やコンクリ表面に近すぎると強度・耐久性に影響します。
- 写真を撮らずに埋めさせない:位置・固定・全景。埋まる前の記録は保険であり証拠。
ペン太
ハリタ- 承認前のスリーブを現場に指示しない。構造確認の済んでいない位置・サイズは「仮」で、先行手配は事故のもと。
- かぶり厚を忘れない。配管が鉄筋やコンクリ表面に近すぎると強度・耐久性に影響する。
- 写真を撮らずに埋めさせない。位置・固定・全景の記録は保険であり証拠。
まとめ ― 今日の1枚
この工程には、動かせない締切があります。打設日という1点に向けて、承認も取付も記録も並んでいきます。
| 合言葉 | 中身 | 外したときの代償 |
|---|---|---|
| 図面で予約 | 承認を受けた位置に貫通を確保する | あと施工で構造検討と補強が必要になる |
| 打つ前に固定 | 結束と固定で圧力・振動に耐えさせる | つぶれた配管は通線できず埋め殺しになる |
| 埋まる前に記録 | 位置・固定・全景を写真に残す | 入っていたかどうかを証明できなくなる |
逆算のながれ
- 躯体仕込みは承認→取付→確認→合番→打設。すべて打設日からの逆算。
- 仕込み4点:スラブ配管・梁スリーブ・床貫通枠・インサート。梁スリーブは構造承認が必須。
埋まる瞬間まで
- 合番=打設中の見張り当番。埋まる瞬間まで配管を守る。
- 生コンクリートの圧力と振動は相当なもの。固定の甘い配管は変形・移動する。
合言葉
- あと施工は大ごと。「図面で予約→打つ前に固定→埋まる前に記録」。
- 打設前検査では、位置・数量・固定状態・かぶり厚を図面と照らして写真に残す。
コンクリートが流れ込んだ瞬間、その階の電気設備の骨格は確定します。締切のある仕事だからこそ、段取りがそのまま品質になります。
次回・施工実務編④は「接地工事と地中引込の実際」——建物の外、地面の下の電気工事です。
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