【新人講座 第12回】幹線・ケーブルサイズの選び方 ― 許容電流は「発熱の限界」で決まる

こんにちは、HARITAの設計室です。第4部の2回目は、前回求めた容量を安全に流すための——ケーブルサイズ(太さ)の選び方。キーワードは許容電流です。


ペン太
ハリタこの3つ、すぐ答えられますか
- 図面の「CV 38sq」は、何を根拠に決まった太さでしょうか。
- 同じ38sqでも許容電流が変わるのはなぜでしょうか。
- ケーブルの許容電流とブレーカー定格、どちらが大きければ正しいでしょうか。
- サイズ決定の4ステップ ― 電流を求めてから表を引く
- 許容電流表の読み方 ― 条件で数字が変わる理由
- 実務での使いどころ ― 選定書と検算
- 素朴なギモン ― sqの意味、電線とケーブルの違い
- 深掘りQ&A ― CVとCVT、余裕の取り方、電圧と太さ
- 注意ポイント ― 前提条件・補正・ブレーカーとの整合
電流→太さの4ステップ



ペン太
ハリタ| STEP | やること | 使う知識 | つまずきやすい点 |
|---|---|---|---|
| STEP1 | 設計電流を求める | P÷V(三相は√3と力率) | 力率や相を取り違える |
| STEP2 | 敷設条件を確認する | 空中/管内、束ね本数、周囲温度 | 条件を見ずに表の最大値を使う |
| STEP3 | 表から太さを選ぶ | 許容電流(補正後)≧設計電流 | 補正(低減率)を掛け忘れる |
| STEP4 | 検算する | 許容電流≧ブレーカー定格 | サイズだけ決めて整合確認を飛ばす |
- サイズ決定は、電流を求める→条件で補正→表で選ぶ→検算、の4ステップ。
- STEP1のP÷V(三相は√3と力率)は、第1回・第3回の内容がそのまま実戦投入される場面。
- 主役はSTEP2〜3。許容電流は「安全に流せる電流の上限」で、正体は発熱の限界。
許容電流表の読み方 ― 条件で変わるのがミソ





- 電気が流れると電線は発熱する。絶縁体が耐えられる温度を超えないギリギリの線が許容電流。
- 束ねる・管に収めると放熱が落ちるため、同じ38sqでも155Aが92Aまで下がる。
- 許容電流≧ブレーカー定格が大原則。ケーブルより先にブレーカーが落ちない組み合わせはNG。
💼 実務でこう生きる
- 幹線の選定は、設計電流・敷設条件・選んだサイズ・主幹との整合まで計算書に残す。
- 計算書があれば、数年後の増設検討でも「あと何A余裕があるか」がすぐ分かる。
- 手計算で型を覚えたら、実務では計算ツールで効率化と検算をするのが定石。
🐣 いまさら聞けない素朴なギモン
| 用語 | 中身 | サイズ選定での意味 |
|---|---|---|
| sq(スケア) | 導体の断面積(mm²) | 数字が大きいほど通り道が広く、許容電流も大きい |
| 電線 | 導体に絶縁被覆をしたもの(IV線など) | 単線とより線があり、太いサイズはほぼより線 |
| CV | 3心をひとつの外装に入れたケーブル | 幹線でも使うが、放熱ではCVTに一歩ゆずる |
| CVT | 単心のCVを3本より合わせたもの | 放熱が良く許容電流が大きめ。曲げやすく施工性も良い |
- sqは導体の断面積の単位(mm²)。太いほど通り道が広く、許容電流も大きい。
- 細い電線は直径(1.6mm・2.0mm)で呼ぶ流儀もある。
- 「電線」は導体に絶縁被覆をしたもの、「ケーブル」はさらに外装で束ねて保護したもの。
🔎 深掘りQ&A ― 会話だから、もっと分かる
- CVは3心をひとつの外装に入れたもの、CVTは単心のCVを3本より合わせたもの。
- CVTは放熱が良く許容電流が大きめで、曲げやすく施工性も良い。幹線の主役。
- 許容電流ぴったりは避け、1〜2割の余裕か1サイズ上げるのが実務の相場。ただし太くしすぎは費用と施工性に跳ね返る。
- 同じ30kWでも単相100Vなら300A、三相210Vなら92A。電圧が高いほど電流が小さく、太さも細くできる。
⚠️ 新人がやりがちな注意ポイント
- 表の条件を確認せず数字だけ引用しない:空中の値?管内の値?周囲温度は?——列と前提条件までがワンセット。
- 低減率(補正)を忘れない:束ね本数・周囲温度の補正を飛ばすと、現場で熱いケーブルができあがります。
- ブレーカーとの整合を最後に必ず確認:許容電流≧ブレーカー定格。サイズだけ決めて終わりにしない。
ペン太
ハリタ- 表は数字だけでなく、空中か管内か・周囲温度は何度かという前提条件までがワンセット。
- 束ね本数や周囲温度の補正(低減率)を飛ばさない。
- 最後に必ず許容電流≧ブレーカー定格を確認する。サイズだけ決めて終わりにしない。
まとめ ― 今日の1枚
ケーブルの太さは、経験や勘ではなく計算と表で決まります。決め手になるのは表の数字そのものより、その数字が成り立つ条件のほうです。
| 判定する場面 | 見る不等号 | 外したときに起きること |
|---|---|---|
| 太さを選ぶ | 補正後の許容電流 ≧ 設計電流 | ケーブルが想定より熱を持つ |
| ブレーカーと合わせる | ケーブルの許容電流 ≧ ブレーカー定格 | ケーブルが悲鳴を上げてもブレーカーが落ちない |
| 余裕を見る | 選定サイズ > 計算値ぴったり | 将来の負荷増や高温でいきなり限界に届く |
| 太さを決め切る | 太くしすぎない | 費用と施工性(曲げ・端子)に跳ね返る |
手順と正体
- サイズ選定は電流を求める→条件で補正→表で選ぶ→検算の4ステップ。
- 許容電流の正体は発熱の限界。放熱が悪い条件ほど流せる電流は減る。
整合の大原則
- 大原則:ケーブルの許容電流 ≧ ブレーカー定格。守られる側が強くないと意味がない。
- 許容電流ぴったりは避け、1〜2割の余裕か1サイズ上げるのが実務の相場。
記録と道具
- 計算書に条件と根拠を残す。ツールは意味が分かってこそ武器になる。
- 選定書に設計電流・敷設条件・選んだサイズ・主幹との整合まで残すと、数年後の増設検討がすぐできる。
図面の「CV 38sq」は、4ステップを通った結果の1行です。順番が身につくと、他人が描いた図面も根拠まで読めるようになります。
次回・第13回は、サイズ選定のもう一つの検算——電圧降下の計算。「長い距離を送ると電圧が痩せる」問題を図解します。お楽しみに!
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