📚 この記事は連載「図解&会話で学ぶ 電気設備設計の基礎」の1本です。→ 全カリキュラム(目次)はこちら
今回の内容を1枚にまとめたグラレコ
📝 今日の全体像を1枚で。まずこのグラレコ、詳しくは本文で!

こんにちは、HARITAの設計室です。施工実務編⑥は機械室・共用部・バックヤードの主役たち——ケーブルラック・レースウェイ・露出配管。隠す配線(前回)に対して、今回は見せて運ぶ配線の世界です。

ペンタ

先輩、機械室の天井って配線がむき出しですよね。居室はあんなに隠すのに、なんで機械室は見せてOKなんですか?
はりた

いい観察!機械室やバックヤードは美観より保守性の世界だから。見える=点検できる・増設しやすい。そして大量のケーブルを効率よく運ぶために、専用の“道”が用意されてる。まずは道具のカタログから。

運ぶ・並べる・守る ― 4つの支持材

ケーブルラック・レースウェイ・金属管・プリカチューブの使い分け
【図1】4つの支持材。運ぶ→ラック/並べる→レースウェイ/守る→金属管/動く相手→プリカ
ペンタ

プリカチューブって、モーターへの最後のひと繋ぎに使うんですね。なんで直接金属管でつながないんですか?
はりた

モーターは振動するからね。硬い管で直結すると振動が配管に伝わって、接続部が緩んだり割れたりする。だから最後だけ“柔らかい管”で縁を切る。機器が動く・振れる相手には可とう管——覚えておくと機械設備との打合せでも通じるよ。

ラック敷設の段取りと「取り合い」

ラック敷設4ステップと天井裏の取り合い調整
【図2】ラック敷設の段取り。接続部のボンド線で“電気的にも”1本につなぐ
ペンタ

ラックの接続部にボンド線(アースの継ぎ)…。ラック自体もアースするんですか?
はりた

そう。金属のラックや金属管は、万一ケーブルが傷ついて漏電したとき金属部分が帯電して感電源になる可能性がある。だから金属の通り道は全部つないで接地する。第4回で予告した「露出配管のアース」の答えがこれ。金属=接地とセット、と覚えよう。

💼 実務でこう生きる

📋 実務活用事例:ルート設計は「通せるか」まで見る
図面上は最短でも、現場では梁下の高さ・ダクトとの交差・吊り代で通せないことがあります。ラック幅と段数、曲がりのスペース、ケーブルの曲げ半径——施工の寸法感覚を持ってルートを引くと、現場からの手戻り質疑が激減します。
📋 実務活用事例:天井裏の断面調整会議
設備が混み合う廊下天井裏では、断面図に各設備の高さを割り付ける調整が行われます。勾配必須の配管が最優先、大物ダクトは動かしにくい、ケーブルは融通が利く——この力学を知っていれば、電気の譲り所と譲れない所(曲げ半径・離隔)を主張できます。

🐣 いまさら聞けない素朴なギモン

🐣 ケーブル「ラック」と「ダクト」って何が違うの?
ラックは、はしご状で上が開いた棚。ダクトは金属の閉じた箱(フタ付き)です。放熱と施工性はラックが有利、ケーブルの保護と美観はダクトが有利。屋内の大量輸送はラック、見える場所や保護重視の区間はダクト、と使い分けます。
🐣 プリカチューブの「プリカ」って何?
金属製可とう電線管の通称で、製品名に由来する呼び名が一般名詞化したものです。現場では「プリカ」で通じますが、図面や仕様書では「二種金属製可とう電線管」のように正式名で書かれることも。通称と正式名の対応を知っておくと書類で迷いません。

🔎 深掘りQ&A ― 会話だから、もっと分かる

🔎 「ラックの吊りボルトはどのくらいの間隔で吊るんですか?」と聞いてみた
はりた「ラックの規格・載せる重量で支持間隔の基準が決まっていて、直線部で一定間隔+端部や曲がり部の近くは必ず支持、が基本。地震時の揺れ対策(耐震支持)も要求される。設計図には支持条件まで特記しておくと親切だよ」
🔎 「金属管ってどうやって曲げるんですか?」と聞いてみた
はりた「ベンダーという工具で管を少しずつ送りながら曲げる。職人技の見せどころで、きれいな曲げは現場の名刺代わり。無理に小さく曲げると中のケーブルが引けなくなるから、曲げ半径には規定がある——ルート設計にも効いてくる話だね」
🔎 「レースウェイはどんな場所で使うんですか?」と聞いてみた
はりた「天井を張らない駐車場・倉庫・バックヤードで、照明を一直線に並べたい場所が定番。配線路と照明の取付けレールを兼ねられるのが強み。照明のピッチ(間隔)と吊り位置をセットで設計するのがコツだよ」

⚠️ 新人がやりがちな注意ポイント

  • アンカーの母材を確認しない:デッキプレートの薄い山に打ったアンカーは効きません。打てる場所・打てない場所がある。
  • ラックに乗らない・載せすぎない:ラックは人が乗る足場ではありません。ケーブルの積載にも上限があります。
  • ボンド線の付け忘れ:接続部のアース継ぎは検査の定番チェック項目。金属=接地とセット。

まとめ ― 今日の1枚

  • 使い分けは運ぶ→ラック/並べる→レースウェイ/守る→金属管/動く相手→プリカ
  • 敷設は墨出し→吊り→連結(ボンド)→敷設。金属の道は接地とセット。
  • 露出エリアは美観より保守性。見える=点検できる。
  • 天井裏は取り合いの主戦場。譲り所と譲れない所を知って調整に参加する。

次回・施工実務編⑦は「盤の据付・結線と器具付け」——品質が手元で決まる仕上げの工程です。

✅ 振り返りチェック ― 今日の理解度をセルフ確認

3つ以上チェックできたら合格!あやしい項目は、その見出しまで戻ってサッと復習しよう。
📖次に読むならこれ【新人講座 第18回】消防・防災設備の設計のさわり ― “防災の電気”は用途×規模で決まる新人教育