結論

電気料金プランは「安いプラン」ではなく「自分の使い方に合うプラン」を選ぶものです。判断の軸は、電気を使う時間帯が昼型か夜型か、そして太陽光・蓄電池・EVがあるかの2つ。乗り換えは工事不要で費用もかかりませんが、市場連動型プランと燃料費調整の上限だけは、仕組みを理解してから選んでください。

  • まず検針票で「契約種別・契約容量・使用量」の3つを確認する
  • 夜型ならオール電化・夜間割安プラン、昼型なら従量電灯が基本
  • 太陽光があるなら「昼は自家消費、夜が安い」プランが合いやすい
  • 市場連動型は安い時期もあるが、高騰時の上振れを許容できるかで判断
  • 自由料金は燃料費調整に上限がないものが多い。ここが規制料金との差

電気代が上がった、というニュースを見るたびに「うちのプラン、これでいいのかな」と気になる。でも比較サイトを開くと会社もプランも多すぎて、結局そのまま——という方は多いはずです。

この記事では、電気料金の中身から、プランの種類、そして自分の家にどれが合うのかの見分け方までを整理します。太陽光やEVがある家は、選び方が変わる点もあわせて解説します。

まず、電気料金の中身を知る

毎月の請求額は、次の4つを足したものです。ここを分けて見られるようになると、比較の精度が上がります。

項目 中身 プランで変わるか
基本料金(最低料金) 契約容量に応じた固定費 ○ 会社・プランで違う
電力量料金 使った量×単価。時間帯で変わるプランもある ◎ ここがいちばん差が出る
燃料費調整額 燃料価格の変動を反映する調整分 上限の有無がプランで違う
再エネ賦課金 全国一律。2026年度は4.18円/kWh × どの会社でも同じ
再エネ賦課金は2026年5月分〜2027年4月分の単価です。どこと契約しても変わりません。

💡 ここがポイント

見落とされやすいのが燃料費調整額の上限です。大手電力の規制料金(従量電灯B・Cなど)には上限が設けられていますが、自由料金のプランは上限がないものが多く、燃料価格が高騰すると請求額がそのまま上がります。単価表の安さだけで比べると、ここを見落とします。

契約容量の決め方には2つの方式がある

意外と知られていませんが、基本料金の考え方は地域によって違います。

方式 仕組み 主な地域
アンペア制 契約アンペア(30A・40A…)で基本料金が決まる 北海道・東北・東京・中部・北陸・九州
最低料金制 一定使用量までは定額。契約アンペアの区分がない 関西・中国・四国・沖縄
最低料金制の地域では「アンペアを下げて基本料金を節約」という方法が使えません。

アンペア制の地域なら、契約容量の見直しが基本料金の削減につながります。ただし下げすぎるとブレーカーが落ちるので、考え方は契約アンペアの決め方を参考にしてください。

プランのタイプを整理する

タイプ 特徴 向いている家
従量電灯(標準) 使用量に応じて3段階の単価。時間帯で変わらない 在宅時間がまちまち、まず基準にしたい家
時間帯別(夜間割安) 夜が安く、昼が高い。オール電化向けが代表 エコキュート・蓄電池を夜に使う家
昼間割安型 日中の単価が抑えられている 在宅ワーク中心で昼に電気を使う家
市場連動型 卸市場の価格に単価が連動する 価格変動を許容でき、使う時間を動かせる家
基本料金ゼロ型 基本料金がなく、単価はやや高め 使用量が少ない世帯、別荘・単身
セット割引型 ガス・通信とのセットで割引 他サービスをまとめたい家
同じ「オール電化プラン」でも会社によって時間帯の区切りと単価が違います。


わが家に合うプランの見つけ方

ここがこの記事の核心です。設備の有無と、電気を使う時間帯の2軸で考えると整理できます。

わが家のタイプ 合いやすいプラン 理由
ガス併用・日中は不在 従量電灯/夜間割安 使用の中心が朝晩に寄る
オール電化(太陽光なし) オール電化・夜間割安 エコキュートの沸き上げが深夜
太陽光あり 昼が高くても不利になりにくい 昼は自家消費でまかなうため、夜の単価が効く
太陽光+蓄電池 夜間割安の効果が大きい 安い時間にためて、高い時間に使える
EVがある 夜間割安、またはEV向けプラン 充電を安い時間帯に寄せられる
在宅ワーク中心 従量電灯/昼間割安 昼の使用量が大きい
使用量が少ない単身 基本料金ゼロ型も選択肢 固定費の比重が大きいため
実際には各社の単価と時間帯の区切りで結果が変わります。必ず検針票の数字で試算してください。

💡 ここがポイント

太陽光がある家でよくある誤解が、「昼が高いプランは損」というものです。実際には昼の電気は自家消費でまかなうため、買う量そのものが少なくなります。むしろ夜の単価が家計に効くので、夜間割安のプランと相性が良くなります。売電単価が5年目から8.3円に下がる構造も踏まえると、この考え方はさらに重要になります。詳しくは太陽光は「何kW載せるか」より「何%自分で使えるか」をご覧ください。

市場連動型プランの注意点

市場連動型は、卸電力市場の価格にそのまま単価が連動するプランです。市場価格が低い時期は割安になりますが、高騰した時期には請求額が大きく跳ねます

選ぶ前に、次の3点を確認してください。

  • 上限(キャップ)があるか——上限付きのプランもあります
  • 価格を確認する手段があるか——翌日の単価が見られるアプリなどがあるか
  • 使う時間を動かせるか——洗濯・食洗機・EV充電を安い時間に寄せられるか

裏を返せば、蓄電池やEVがあって「安い時間に電気を移せる」家とは相性が良いプランでもあります。一方、生活時間が固定されていて動かせない家には向きません。


乗り換えの手順と、確認しておくこと

ステップ やること
① 現状を把握 検針票やマイページで「契約種別・契約容量・月別の使用量」を12か月分そろえる
② 使う時間帯を確認 スマートメーターなら30分ごとの使用量が見られる会社もある
③ 試算する 候補プランの単価に、実際の使用量を当てはめる
④ 条件を確認 燃料費調整の上限、契約期間、解約金の有無
⑤ 申し込む 新しい会社に申し込むだけ。今の会社への解約連絡は不要
⑥ 切替 工事は不要。スマートメーター未設置なら無料で交換される
切替の際に停電することは基本的にありません(メーター交換時に数分停止する場合があります)。

💡 ここがポイント

新電力を選ぶときは、撤退・倒産の可能性も頭に入れておいてください。万一その会社が供給できなくなっても、送配電網は共通なのでいきなり電気が止まることはありません。一般送配電事業者による最終保障供給という仕組みがあり、その間に次の会社を選べます。ただし料金は割高になるため、早めの切替が必要です。

よくある誤解

誤解 実際は
乗り換えると電気の品質が下がる 送配電網は共通。停電のしやすさも変わらない
切替に工事費がかかる 原則不要。メーター交換も無料
今の会社に解約の連絡が必要 不要。新しい会社が手続きする
単価が安ければ必ず安くなる 基本料金・燃料費調整の上限・使う時間帯で逆転する
一度変えたら戻せない 大手電力に戻すこともできる
オール電化なら必ず夜間割安が得 太陽光の有無や在宅時間で変わる
「乗り換えのハードル」は、思われているより低い部分が多くあります。

よくある質問

まず何から確認すればいいですか?

検針票かマイページで「契約種別」「契約容量(アンペア)」「月ごとの使用量」の3つを確認してください。とくに使用量は12か月分そろえると、季節による変動まで見たうえで試算できます。この3つがないと、どのプランが合うかは判断できません。

オール電化なら夜間が安いプラン一択ですか?

一概には言えません。エコキュートの沸き上げが深夜なら夜間割安が有利ですが、太陽光があって昼に沸き上げる運用に変えている場合や、在宅時間が長く昼の使用量が大きい場合は、結果が変わることがあります。実際の使用量で試算してください。

市場連動型は危険ですか?

危険というより、価格変動を自分で引き受けるプランです。安い時間に洗濯やEV充電を寄せられる家、蓄電池がある家では有利に働きます。逆に生活時間を動かせない家には向きません。上限(キャップ)の有無を必ず確認してください。

新電力が倒産したら電気は止まりますか?

止まりません。送配電網は共通で、一般送配電事業者による最終保障供給という仕組みがあります。ただし最終保障供給の料金は割高なので、その間に次の契約先を決める必要があります。

太陽光を載せています。プラン選びで変わることはありますか?

あります。昼の電気は自家消費でまかなうため、買う量が少なくなります。したがって夜の単価が家計に効きます。「昼が高くても夜が安いプラン」が相性の良いケースが多く、蓄電池があればその傾向はさらに強まります。

解約金はかかりますか?

プランによります。契約期間の縛りがあるプランでは、期間内の解約に手数料がかかることがあります。申し込む前に契約条件を確認してください。多くの家庭向けプランでは縛りなしのものも選べます。

電力会社の見直しは、あなたの家に効くのか
「乗り換えれば安くなる」は、条件によります。電気設備の設計側から見ると、先にやるべきことがある家と、比較が効く家ははっきり分かれます。当てはまるものを見てください。
A契約アンペアが大きすぎる家
一人暮らしや二人暮らしなのに50A・60A契約、という家は珍しくありません。基本料金は契約アンペアで決まるので、下げるだけで毎月効きます。工事は電力会社が無料で行うのが一般的です。乗り換えより先に、こちらを確認してください。
B使用量が多い家・オール電化・EVがある家
月400kWhを超える、オール電化、EVを自宅で充電している——このあたりから単価と時間帯プランの差が大きく出ます。基本料金より従量料金のほうが金額として大きいので、プランと会社を比べる価値があります。
C関西・中国・四国・沖縄エリアの家
これらのエリアは最低料金制で、そもそも契約アンペアという区分がありません。Aの手が使えないので、比べるならプランと会社そのものになります。
比べるときに見落としやすいところ
  • 燃料費調整額の上限。大手電力の規制料金には上限がありますが、新電力の多くは上限を設けていません。燃料価格が上がった局面では、単価が安いはずのプランが逆転することがあります
  • 解約金・契約期間の縛り。1年未満の解約で費用がかかるプランがあります
  • 停電したときの連絡先は変わりません。設備の保安は送配電会社の担当なので、乗り換えても対応する会社は同じです(責任分界点の記事
ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。内線規程電気工事士資格・住宅の電気設備を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

次に読むならこれ賃貸の電気でできること・できないこと|アンペア変更・コンセント増設・原状回復の線引き家庭の電気設備の設計
ABOUT ME
HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。