この記事の要点

5山以上
電線管のねじ込み
3段階
点検の深さ
1か所
本安シールドの接地
  • 防爆は機器だけでは成立しない。工事の方法まで含めて初めて成立する。
  • 金属管工事では、ねじ込みの山数とシーリングフィッチングの位置が要点になる。
  • 引渡しで終わりではない。点検の周期と深さを決めて回すところまでが防爆である。

金属管工事 ── 山数と、シールの位置

ひとことで言うと:電線管は薄鋼電線管以上、ねじ込みは完全ねじ部で5山以上。IICの場所では6山以上になる。

可燃性ガスが存在する場所の低圧屋内配線は、金属管工事かケーブル工事によることとされている。金属管工事では、電線管そのものと、継手の作り方に条件が付く。

金​属​管​工​事​と​シ​ー​リ​ン​グ​フ​ィ​ッ​チ​ン​グ金​属​管​工​事​の​要​点ね​じ​込​み​の​山​数​と​、​シ​ー​リ​ン​グ​フ​ィ​ッ​チ​ン​グ​の​位​置防​爆​機​器耐​圧​防​爆​容​器S​FS​F機​器​の​直​近危​険​場​所​と​非​危​険​場​所​の​境​界​(​隔​壁​)境​界​の​近​く薄​鋼​電​線​管ね​じ​込​み​は​完​全​ね​じ​部​で​5​山​以​上爆​発​等​級​3​お​よ​び​I​I​C​の​場​所​で​は​6​山​以​上カ​ッ​プ​リ​ン​グ​に​よ​る​送​り​接​続​は​行​わ​な​いユ​ニ​オ​ン​カ​ッ​プ​リ​ン​グ​な​ど​、​外​せ​る​継​手​を​使​う境​界​に​は​必​ず​シ​ー​リ​ン​グ​フ​ィ​ッ​チ​ン​グ隔​壁​が​あ​る​場​合​は​い​ず​れ​か​一​方​の​3​m​以​内電​動​機​の​可​と​う​部​は​フ​レ​キ​シ​ブ​ル​フ​ィ​ッ​チ​ン​グ耐​圧​防​爆​型​ま​た​は​安​全​増​防​爆​型​を​指​定​す​る※​S​F​=​シ​ー​リ​ン​グ​フ​ィ​ッ​チ​ン​グ​。​図​は​考​え​方​を​示​し​た​も​の​で​、​実​際​の​位​置​は​指​針​と​機​器​の​仕​様​に​よ​る​。

シーリングフィッチングは、管の中を通ってガスや爆発の圧力が伝わるのを止めるための継手である。位置には考え方があり、分岐や端末処理を行う防爆機器との間、そして危険場所どうしの境界や危険場所と非危険場所の境界に設ける。境界に隔壁がある場合は、いずれか一方の3m以内に設けることとされている。

現場で問題になりやすいのが、充てん材の入れ忘れと入れ方である。フィッチングを取り付けただけで充てんしていなければ、シールとして何も働いていない。外からは見えないので、施工中の写真を残しておきたい。


ケーブル工事 ── グランドと保護

ひとことで言うと:ケーブルグランドは機器と一体で評価されている。現場で汎用品に替えてはいけない。

ケーブル工事では、機器の引込口に使うケーブルグランドが要点になる。多くの場合、グランドは機器に付属し、型式検定のときに機器の一部として評価されている。汎用のグランドに交換すると、その機器は防爆として成立しなくなる。

項目 要点
ケーブルの種類 キャブタイヤケーブル以外のケーブルによる。使用条件に応じた外装を選ぶ。
機械的保護 外傷を受けるおそれのある場所では、鋼板製のダクトやラック、保護管で保護する。露出のサドル留めだけの配線は認められない。
引込口 機器付属のグランドを使い、締付けはメーカーの指定トルクによる。未使用の引込口は、指定の閉止プラグで塞ぐ。
貫通部 異なる危険場所の間、危険場所と非危険場所の間は、シール材や砂詰めなどでガスの流動を止める。防火区画の貫通は認定工法による。

ケーブル工事でも、ガスの流動を止めるという考え方は金属管工事と同じである。

本質安全回路と接地

ひとことで言うと:本安回路は、非本安回路と分けて配線する。シールドの接地は非危険場所の1か所に集める。

本質安全防爆の回路は、回路のエネルギーが抑えられていることが前提になっている。したがって、外部から余計なエネルギーが入り込まないように配線する必要がある。

  • 本安ケーブルと非本安ケーブルは、離して敷設するか、仕切りを設けるか、遮へい付きのケーブルを使う。
  • 本安回路であることがわかるように、明青色で識別する。
  • シールドの接地は、原則として非危険場所側の1か所とする。両端接地は循環電流の原因になる。
  • 本安回路と非本安回路の間には、規定の絶縁耐力が求められる。

接地は防爆全体の土台でもある。耐圧防爆の容器も、金属管も、ラックも、確実に接地されていなければ、地絡時に容器そのものが着火源になりうる。接地線断面積と接続方法は、機器の仕様と社内基準の両方を確認したい。静電気対策としてのボンディングも、同じ考え方で見ておく。


引渡しで終わらない ── 点検の深さと周期

ひとことで言うと:目視・近接・詳細の3段階を使い分ける。全部をばらす点検を毎回やる必要はない。

防爆設備は、据え付けたあとの状態が保たれて初めて機能する。ボルトが1本欠けた耐圧防爆容器は、もはや耐圧防爆ではない。点検には深さの段階があり、対象と周期を分けて回すのが実務的である。

防​爆​設​備​の​点​検​の​深​さ点​検​は​3​つ​の​深​さ​で​行​うす​べ​て​を​毎​回​ば​ら​す​の​で​は​な​く​、​深​さ​を​使​い​分​け​る目​視​点​検深​さ​ ​1工​具​を​使​わ​ず​、​外​か​ら​見​て​わ​か​る​範​囲見​る​も​の​:​容​器​の​変​形​、​腐​食​、​表​示​の​判​読​、​未​使​用​口​の​閉​止近​接​点​検深​さ​ ​2扉​を​開​け​る​な​ど​、​近​づ​い​て​見​る​範​囲見​る​も​の​:​ボ​ル​ト​の​欠​品​、​グ​ラ​ン​ド​の​緩​み​、​汚​れ​、​水​の​侵​入詳​細​点​検深​さ​ ​3分​解​し​、​必​要​な​測​定​を​行​う​範​囲見​る​も​の​:​合​わ​せ​面​の​状​態​、​端​子​の​締​付​け​、​絶​縁​抵​抗​、​接​地​抵​抗※​点​検​の​周​期​は​設​備​の​使​わ​れ​方​と​環​境​で​決​め​る​。​腐​食​性​の​雰​囲​気​や​振​動​の​あ​る​場​所​で​は​短​く​す​る​。

周期は一律ではない。腐食性の雰囲気にさらされる場所、振動の大きい場所、屋外で日射と雨を受ける場所では短くする。点検の記録は、次の点検の周期を決める根拠になるので、判定だけでなく測定値と写真を残しておきたい。

CHECK 01
未使用の引込口が空いていないか
工事の途中で使わなかった引込口が、テープだけで塞がれている例がある。指定の閉止プラグでなければ意味がない。
CHECK 02
ボルトが全数そろっているか
耐圧防爆容器のボルトは、本数と種類が指定されている。1本でも欠ければ、火炎が外へ抜ける経路になる。
CHECK 03
グランドが緩んでいないか
振動でグランドが緩み、ケーブルが動くようになると、シール性能が落ちる。増し締めの記録を残す。
CHECK 04
表示が読めるか
塗装や腐食で銘板が読めなくなると、次の点検で機器の適合性を確認できなくなる。

防爆工事は、機器・工事・保守の3つがそろって初めて成立する。どれかが欠けたところに着火源が残る。図面と検定合格証がそろっていても、現場で1本のボルトが欠けていれば、その容器は防爆として機能しない。

一次資料で確認するには

  • 電気設備技術基準の解釈 第176条 ── 可燃性ガス等の存在する場所の工事方法を確認する。
  • 工場電気設備防爆指針(国際整合技術指針)── 施工と点検の要求事項を確認する。
  • 機器メーカーの取扱説明書 ── 付属品の指定、締付トルク、点検周期の目安を確認する。

本記事は公開情報にもとづく一般的な解説です。実際の施工と検査にあたっては、適用される指針の版、発注者の仕様書、および所轄官庁の指導に従ってください。

出典

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。