屋外用の照明やコンセントのカタログ、スマートフォンの説明書に出てくる「IP65」「IP67」「IPX4」。用語集では一言で説明されますが、2つの数字がそれぞれ何を表すのか、防雨形や防浸形とどう対応するのか、どう選べばよいのかまでは分かりにくい言葉です。この記事は、この3つだけにしぼって説明します。

ペン太ペン太
屋外用の照明のカタログに「IP65」って書いてあったんですけど、何の数字ですか?
ハリタハリタ
水やほこりが、どこまで入らないかを表す保護等級だよ。2つの数字で読むんだ。
はじめての方へ:まず言葉の意味
IPコードはIPのあとに2つの数字が続き、1つ目がほこりや指に対する保護で0から6、2つ目が水に対する保護で0から9を表すことを3コマで示す動く図解
ひとことで言うと
「IPコード」は、機器のケースが「ほこりや指」と「水」の入り込みを、どこまで防げるかを表す数字。IP65なら、6がほこり、5が水の段階です。
読み方
アイピーコード/ほごとうきゅう
どこで出てくる?
屋外用の照明器具やコンセント、防水形の機器のカタログ、図面の特記仕様、スマートフォンやイヤホンの説明書。

結論

IPコードは、機器のケースの保護等級です。1つ目の数字(0〜6)がほこりや指、2つ目の数字(0〜9)が水に対する保護を表し、決めていない項目はXと書きます。2つ目の数字は、3が防雨形、5が防噴流形、7が防浸形のように、昔からの呼び名と対応しています。

  • 1つ目:1手の甲、2指、3工具、4針金、5防じん、6耐じん
  • 2つ目:1・2防滴、3防雨、4防まつ、5防噴流、6耐水、7防浸、8水中
  • 2026年2月のJIS C 60529で、高圧・高温の噴流に耐える「9」が加わった
  • 7・8(水没)と5・6(噴流)は別の試験。使う場所で選ぶ
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。

この記事に出てくる言葉

読む前に、意味をざっと押さえておくと分かりやすくなります。

言葉 読み方 やさしい説明
保護等級 ほごとうきゅう 機器のケースが、外からの物や水をどこまで防げるかの段階。
特性数字 とくせいすうじ IPのあとに続く数字。1つ目を第一特性数字、2つ目を第二特性数字と呼ぶ。
外来固形物 がいらいこけいぶつ 外から入ってくる、手・指・工具・針金・ほこりなどの固いもの。
防じん形・耐じん形 ぼうじんけい・たいじんけい 防じんは「少し入っても動きに支障なし」、耐じんは「まったく入らない」。
噴流水 ふんりゅうすい ホースのノズルから勢いよく出る水。
浸漬 しんし 水の中に沈めること。
防雨形 ぼううけい 雨(60°までの角度で降る水)に耐える形。IPの2つ目の数字の3に当たる。
IEC アイイーシー 電気の国際規格を決める団体(国際電気標準会議)。IPコードはIEC 60529で決められている。
先に理解しておきたいこと

「IPコード」を理解するために、土台になる考え方を3つだけ押さえておきましょう。

1

機器の中には、電気が来ている部分がある

照明器具やコンセントのケースの中には、電気が来ている金属の部分があります。そこに指や工具が届いたり、水やほこりが入ったりすると、感電や故障、火事の原因になります。

2

ケースには「入らないようにする力」の差がある

屋内用のケースは雨を想定していませんし、屋外用でも、雨に耐えるものと水に沈めても大丈夫なものがあります。その差を段階で表したのが保護等級です。

3

数字は「試験で確かめた条件」

IPコードの数字は、決められた試験(ほこりを吹きつける、水をかける、沈めるなど)で確かめた条件を表します。書かれていない条件まで大丈夫とは限りません。

IP65の読み方 ― 1つ目は「ほこり・指」、2つ目は「水」

ペン太ペン太
1つ目の6は、どういう意味なんですか?
ハリタハリタ
ほこりがまったく入らない、いちばん上の段階さ。1つ目は、ほこりや指がどこまで入らないかなんだ。

IPコードは、IPのあとに2つの数字を並べて書きます。1つ目の数字は、固形物やほこりがどこまで入らないか(0〜6)、2つ目の数字は、水がどこまで入らないか(0〜9)を表します。その項目を決めていないときは、数字のかわりにXと書きます。

IP保護等級の印
1つ目固形物・ほこり 0〜6
2つ目水 0〜9
X決めていない
表示 1つ目(ほこり・指) 2つ目(水) こんな所で見かける
IP20 指が入らない 保護なし 屋内の盤の中の機器
IPX4 決めていない あらゆる方向のしぶき 浴室まわりの器具、スマートフォン
IP65 ほこりが入らない 噴流水 屋外の照明・ケース
IP67 ほこりが入らない 一時的に水没 屋外の地面近くの器具、スマートフォン

IPコードは国際規格IEC 60529で決められていて、日本ではJISで決められています。2026年2月に、それまでのJIS C 0920に代わってJIS C 60529が発行され、国際規格と同じ番号・同じ内容になりました。

たとえるなら
IPコードは、レインコートと防塵マスクの「性能表示」
同じ雨具でも、小雨用の上着と、どしゃぶり用のカッパ、潜水用のウェットスーツでは性能がまったく違いますよね。IPコードは、機器のケースがどこまでの雨やほこりに耐えるかを、数字1つで伝えるラベルです。
ここに注意!
「IP67は、IP65より何でも上」ではありません。
1つ目の数字は同じ6です。2つ目の7(水没)と5(噴流水)は、試す内容がちがいます。どちらにも耐える機器には「IP65/IP67」のように両方が書かれます。
ここまでのポイント
  • IPのあとの1つ目はほこり・指、2つ目は水
  • 決めていない項目はX
  • 規格はIEC 60529。日本では2026年2月からJIS C 60529


1つ目の数字(0〜6) ― 何が入らないか

ペン太ペン太
2つ目の5は、雨に強いってことですか?
ハリタハリタ
雨どころか、ホースで水をかけられても大丈夫、という段階だよ。雨なら3の防雨形からが目安なんだ。

1つ目の数字は、外からどのくらいの大きさのものが入らないかを表します。数字が大きいほど、小さなものまで止めます。1〜4は、手や指、工具が中の危ない部分に届かないかも表しています。

1・2手の甲・指
3・4工具・針金
5防じん形
6耐じん形
数字 入らないもの 目安
0 保護なし ―
1 直径50mm以上のもの 手の甲
2 直径12.5mm以上のもの 指
3 直径2.5mm以上のもの 工具
4 直径1.0mm以上のもの 針金
5 ほこり(少し入っても、動きに支障なし) 防じん形
6 ほこり(まったく入らない) 耐じん形
たとえるなら
1つ目の数字は、だんだん細かくなる「網戸」
手が入らない柵(1)、指が入らない網(2)、工具が入らない網(3)、針金も入らない細かい網(4)、ほこりもほぼ通さないフィルター(5)、完全にふさいだ壁(6)。数字が大きいほど、小さなものまで止めます。
ここに注意!
「1つ目の数字が小さいと、感電しやすい」とだけ読むのはまちがいです。
1〜4は、手や指、工具が中の危ない部分に届かないかも表しています。ただし、5・6は「ほこり」の保護で、届くかどうかの目安としては4までと考えます。
ここまでのポイント
  • 1手の甲、2指、3工具、4針金
  • 5は防じん形、6は耐じん形
  • 数字が大きいほど、小さなものまで止める

2つ目の数字(0〜9) ― どんな水に耐えるか

ペン太ペン太
数字が大きいほど、全部強いってことですよね?
ハリタハリタ
水の7・8は「沈める」試験で、5・6の「噴流」とは別なんだ。使う場所に合った数字を選ぶのがコツさ。

2つ目の数字は、どんな水に耐えるかを表します。しずく、雨、しぶき、噴流、水没と、数字が大きいほど厳しい水になります。日本では、昔から防雨形や防浸形といった呼び名が使われていて、照明器具などのカタログではいまもこの呼び名をよく見かけます。

1〜3滴・雨
4〜6しぶき・噴流
7・8水没
9高圧・高温
数字 耐える水 昔からの呼び名
1 真上から落ちる水滴 防滴Ⅰ形
2 15°まで傾けたときの水滴 防滴Ⅱ形
3 鉛直から60°までの雨(散水) 防雨形
4 あらゆる方向からの水しぶき 防まつ形
5 あらゆる方向からの噴流水 防噴流形
6 あらゆる方向からの強い噴流水 耐水形
7 決められた深さ・時間の一時的な水没 防浸形
8 IPX7より厳しい条件での続けての水没 水中形
9 高圧・高温の水の噴流 (2026年のJISで追加)

選ぶときは、使う場所の水を思い浮かべます。雨がかかる屋外なら防雨形(3)以上、ホースで水をかけて洗う場所なら防噴流形(5)以上、水に沈むおそれがある場所なら防浸形(7)や水中形(8)が目安です。屋外のコンセントの考え方はガレージ・屋外コンセントの設置基準、湿気や水気のある場所の配線は内線規程【081】で説明しています。

ここに注意!
「IPX7なら、水しぶきや噴流水にも当然耐える」とは限りません。
7・8は「水に沈める」試験で、5・6の「噴流水」の試験とは別です。洗車場や水洗いする場所なら、5や6も表示されているかを確かめます。
ここまでのポイント
  • 1・2防滴、3防雨、4防まつ、5防噴流、6耐水
  • 7防浸(一時的に水没)、8水中(続けて水没)、9高圧・高温
  • 7・8と5・6は別の試験。両方必要なら両方の表示を確かめる


まとめ|結論

結論

IPコードは、1つ目の数字がほこりや指、2つ目の数字が水に対する保護を表します。2つ目の数字は防雨形・防噴流形・防浸形などの呼び名と対応していて、2026年2月のJIS C 60529で「9」が加わりました。水没(7・8)と噴流(5・6)は別の試験なので、使う場所に合った数字を確かめます。

カタログでIPコードを確かめるときは、この順で見ます。

  1. 使う場所の水(雨・しぶき・水洗い・水没)とほこりを思い浮かべる
  2. 2つ目の数字が、その水に足りているか(雨なら3以上)
  3. 水洗いと水没の両方があるなら、5・6と7・8の両方が表示されているか
  4. 1つ目の数字が、ほこりや人の手が届くかに足りているか

よくある質問

IPコードとは何ですか?

電気機器のケースが、固形物やほこり、水の入り込みをどこまで防げるかを表す保護等級です。IP65のように、IPのあとに2つの数字を並べて表します。国際規格IEC 60529にもとづき、日本ではJISで決められています。

IP65・IP67・IP68の違いは何ですか?

1つ目の6はどれも同じで、ほこりがまったく入らない(耐じん形)という意味です。2つ目が、5は噴流水に耐える、7は一時的に水に沈めても大丈夫、8はIPX7より厳しい条件で続けて沈めても大丈夫、という違いです。

IPX4の「X」は、どういう意味ですか?

その項目を決めていない(試験していない)という意味です。IPX4なら、ほこりについては決めておらず、水については、あらゆる方向からの水しぶきに耐えることを表します。

防雨形・防浸形とIPコードは、どう対応しますか?

2つ目の数字の昔からの呼び名で、1が防滴Ⅰ形、2が防滴Ⅱ形、3が防雨形、4が防まつ形、5が防噴流形、6が耐水形、7が防浸形、8が水中形に当たります。

IPコードの規格は変わりましたか?

2026年2月に、それまでのJIS C 0920に代わってJIS C 60529が発行され、国際規格に合わせて、高圧・高温の水の噴流に対する保護等級「9」が加わりました。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。