この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。
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ホームセンターやネット通販で買ったスイッチやコンセントを、そのまま現場で使ってよいのか。答えは「PSEの表示があるものだけ」です。電気用品安全法は、表示のない電気用品を売ることも、電気工事に使うことも禁じています。内線規程はこれを「電気用品の使用制限」として扱っています。この記事では、電気用品とは何か、マークの2種類、工事で何が制限されるのかを、3つの質問に分けて動く図で確かめます。

①電気用品は政令で決めた電線・配線器具・家電など(特定116+特定以外341品目)、②ひし形は第三者の検査、丸は自主検査、③PSEの表示がない電気用品は電気工事に使えません。
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。全部を読まなくても、必要なところだけで解決します。

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先に言葉をそろえる

言葉 ひとことで言うと
電気用品安全法 電気用品による火災や感電を防ぐため、製造・輸入・販売・使用を決めた法律。略して電安法、PSE法
電気用品 電安法の対象になる機械・器具・材料。政令で品目と範囲が決まっている
特定電気用品 電気用品のうち、とくに危険や障害が起きやすい品目。ひし形のマーク
届出事業者 電気用品を製造・輸入する事業を国に届け出た事業者
登録検査機関 国に登録された第三者の検査機関。特定電気用品の適合性検査を行う
PSE Product Safety, Electrical Appliances and Materials の略。表示の中のマーク
電気用品安全法 第2条・第9条・第10条。

質問① 電気用品って何? ― 政令で決めた品目のリスト

電気用品安全法でいう電気用品は、次のものです(第2条)。

  • 一般用電気工作物等(住宅や小さな店の電気設備など)の部分となり、またはこれに接続して使われる機械・器具・材料で、政令で定めるもの
  • 携帯発電機で、政令で定めるもの
  • 蓄電池で、政令で定めるもの

具体的な品目は施行令の別表に並んでいて、特定電気用品が116品目、特定電気用品以外が341品目あります。電線・ヒューズ・スイッチ・コンセント・ブレーカーといった工事の材料から、照明器具や家電まで入っています。

この法律の役割は、危ない製品を、つくる段階・売る段階・使う段階の3か所で止めることです。つくる人・輸入する人は技術基準に合わせて検査し、表示を付けます。売る人は表示のない品を売れません。そして電気工事をする人は、表示のない品を工事に使えません。

たとえるなら
PSEの表示は、車のナンバープレートのようなものです。
ナンバーのない車は、公道を走れません。同じように、PSEの表示のない電気用品は、店に並べることも、電気工事に使うこともできません。「検査を通って、国の基準に合っている」という印が、表示です。
ひっかけ注意
「コンセントに差して使う製品のほとんど」が電気用品、ではありません。
対象は政令のリストに載った品目と範囲です。差し込んで使う家電だけでなく、壁の中に入る電線やスイッチ、電線管も電気用品です。反対に、高圧の機器や太いケーブルのように、リストの範囲から外れるものは電気用品ではありません。
ここまでのポイント
  • 電気用品は、政令で決めた機械・器具・材料(特定116+特定以外341品目)
  • 電線・配線器具・ブレーカー・電線管など、工事の材料も入る
  • つくる・売る・使うの3か所で、表示のない品を止める


質問② PSEマークの2種類 ― ひし形と丸

特定電気用品はひし形のPSEマークで、登録検査機関の適合性検査が必要。特定電気用品以外は丸のPSEマークで、届出事業者の自主検査で表示します。
区分 検査 主な品目
特定(ひし形) 届出事業者の検査+登録検査機関の適合性検査 電線(22mm²以下のケーブルなど)・ヒューズ・スイッチ・コンセント・ブレーカー(100A以下)
特定以外(丸) 届出事業者の自主検査 電線管・ボックス・線ぴ、22〜100mm²のケーブル、LED照明器具・LEDランプ・テレビ
電気用品安全法 第8条〜第10条、施行令 別表第一・第二。

表示には、マークのほかに届出事業者の名称や定格が入ります。特定電気用品では、検査をした登録検査機関の名称も表示されます。マークの形を見れば、どちらの手続きを通った製品かがわかります。

たとえるなら
ひし形と丸は、「外部の先生の検定」と「学校の中の検定」のちがいです。
ひし形は、つくった会社の検査に加えて、外部の登録検査機関が確かめたしるし。丸は、会社が自分で基準どおりか検査したしるしです。どちらも同じ技術基準を満たしていることが前提で、事故が起きたときの影響が大きい品目ほど、外部の目を入れています。
ひっかけ注意
「丸はひし形より基準がゆるい」わけではありません。
形のちがいは検査の方法のちがいで、技術基準の高い・低いではありません。丸の製品も、技術基準に適合していることが表示の条件です。
ここまでのポイント
  • ひし形=特定電気用品。登録検査機関の適合性検査が必要
  • 丸=特定電気用品以外。届出事業者の自主検査
  • 表示には事業者名・定格、特定は検査機関名も入る

質問③ 工事で何が制限される? ― 表示のない電気用品は使えない

作る・輸入する人は検査して表示し、売る人は表示のない品を販売・陳列できず、工事する人は表示のない品を工事に使えません。

電気工事にかかわるのが、電気用品安全法 第28条第1項の使用の制限です。次の人は、PSEの表示がない電気用品を、電気工作物の設置または変更の工事に使ってはならないと決められています。

さらに、電気工事業法(電気工事業の業務の適正化に関する法律)第23条は、電気工事業者にも同じ制限をかけています。つまり、工事をする個人にも、工事を請け負う会社にも、それぞれ義務があります。

決まり 内容
電安法 第27条 製造・輸入・販売の事業者は、表示のない電気用品を販売・陳列できない
電安法 第28条 電気工事士などは、表示のない電気用品を電気工事に使えない
工事業法 第23条 電気工事業者は、表示のない電気用品を電気工事に使えない
罰則 電安法:1年以下の拘禁刑か100万円以下の罰金(併科あり)。工事業法:10万円以下の罰金
特定の用途で経済産業大臣の承認を受けた場合などは、例外があります(第27条第2項の準用)。
ひっかけ注意
「高圧受電の建物(自家用)だから、電安法は関係ない」は誤りです。
第28条の対象には「自家用電気工作物を設置する者」も入っています。高圧受電の建物でも、低圧側で使う電線・スイッチ・コンセント・ブレーカーなどが電気用品に当たるなら、表示のあるものを使います。
ひっかけ注意
施主の支給品や、海外で買った器具も同じです。
材料をだれが用意したかは関係ありません。工事に使うのは電気工事士や電気工事業者なので、表示のない電気用品を取り付けた時点で、使った側の違反になります。支給品は受け取ったときに表示を確かめます。
ここまでのポイント
  • 表示のない電気用品は、電気工事に使えない(電安法 第28条)
  • 電気工事業者にも同じ制限(電気工事業法 第23条)
  • 自家用電気工作物の工事も対象。支給品・海外品も同じ


電線やブレーカーは、どこまでが対象?

600V以下のケーブル(線心7本以下)は、22mm²以下がひし形、22mm²を超え100mm²以下が丸、100mm²を超えると電気用品ではありません。高圧のケーブルも対象外です。

電気用品は、品目ごとに定格電圧・定格電流・太さの範囲が決まっています。電気設備でよく使うものを整理します。

材料 電気用品になる範囲(主なもの)
ケーブル 定格電圧100〜600V・線心7本以下。22mm²以下は特定、22mm²超〜100mm²は特定以外
絶縁電線 定格電圧100〜600V・100mm²以下(IVなど)は特定
ブレーカー 配線用遮断器・漏電遮断器で、100〜300V・100A以下は特定
スイッチ・コンセント 100〜300V。点滅器は30A以下、差込み接続器は50A以下で特定
電線管など 内径120mm以下の電線管、幅100mm以下のフロアダクト、幅50mm以下の線ぴ、ボックスは特定以外
電気用品安全法施行令 別表第一・第二。防爆型や、機械器具に組み込む特殊な構造のものなど、除かれるものがあります。
ひっかけ注意
「CV150mm²や高圧ケーブルにPSEの表示がない=違反」ではありません。
100mm²を超えるケーブル、600Vを超えるケーブル、100Aを超えるブレーカーなどは、そもそも電気用品ではないので、PSEの表示はありません。これらはJISなどの規格や、仕様書で指定した規格に合っているかで確かめます。
ここまでのポイント
  • 電線は太さで区分:22mm²以下は特定、100mm²以下は特定以外
  • ブレーカーは300V以下・100A以下が特定
  • 範囲外(太いケーブル・高圧・大きなブレーカー)はPSEの対象外

現場での確かめ方 ― 4ステップ

①電気用品に当たるか、②PSEの表示があるか、③マークの形が正しいか、④定格が用途に合うか、の順に確かめます。

内線規程では1330節「電気用品の使用制限」として、この法律上の制限を扱っています。実務では、材料の受け入れのときに確かめるのがいちばん確実です。本体や包装の表示を見て、対象品に表示がないもの、表示が読めないものは使いません。細かな表現や付記は、内線規程の原文で確かめてください。

ひとことで言うと:「電気用品は、表示のあるものだけを工事に使う。ひし形か丸か、定格まで見る」。


よくある質問

ひし形と丸のPSEマークは何がちがいますか?

ひし形は特定電気用品のマークで、届出事業者の検査に加えて登録検査機関の適合性検査が必要です。丸は特定電気用品以外のマークで、届出事業者の自主検査で表示します。どちらも同じく技術基準に適合していることが前提です。

PSEの表示がない電気用品を工事に使うとどうなりますか?

電気用品安全法 第28条の違反になり、1年以下の拘禁刑か100万円以下の罰金(またはその両方)の対象です。電気工事業者は電気工事業法 第23条にも違反し、10万円以下の罰金の対象になります。

高圧受電の建物でも、PSEの表示は必要ですか?

必要です。第28条の対象には自家用電気工作物を設置する者も含まれます。低圧側で使う電線・スイッチ・コンセント・ブレーカーなどが電気用品に当たるなら、表示のあるものを使います。

太いケーブルにPSEの表示がないのはなぜですか?

電気用品になるケーブルは、定格電圧100〜600V・線心7本以下で、太さ100mm²以下のものです。それより太いものや高圧のケーブルは電気用品ではないため、PSEの表示はありません。JISなどの規格で確かめます。

施主が用意した器具にPSEの表示がない場合は?

表示のない電気用品は、だれが用意したものでも工事に使えません。取り付けると、工事をした側が違反になります。受け取ったときに表示を確かめ、表示のある品に替えてもらいます。

まとめ ― 取り違えやすいところ

取り違えやすいところ 正しくは
差して使う家電だけが電気用品 電線・スイッチ・ブレーカー・電線管も入る
丸はひし形より基準がゆるい 検査の方法のちがい。基準は同じく満たす
売る人だけの決まり 工事で使う人・工事業者にも使用制限
自家用の建物は関係ない 自家用電気工作物の工事も対象
支給品なら使ってよい 表示がなければ、使った側の違反
表示のない太いケーブルは違反 100mm²超や高圧は電気用品ではない
「対象品か → 表示 → 形 → 定格」の順で見れば、迷いません。

📘 この記事の根拠規程|解説の原文は内線規程(JEAC8001-2022)に掲載されています。実務で使う方は手元に1冊どうぞ → 電気設備の必携書籍おすすめ4選【2026年版】

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ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。引込・高圧受変電・幹線・接地を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。