内線規程の解釈と解説【006】|電気用品の使用制限など
ホームセンターやネット通販で買ったスイッチやコンセントを、そのまま現場で使ってよいのか。答えは「PSEの表示があるものだけ」です。電気用品安全法は、表示のない電気用品を売ることも、電気工事に使うことも禁じています。内線規程はこれを「電気用品の使用制限」として扱っています。この記事では、電気用品とは何か、マークの2種類、工事で何が制限されるのかを、3つの質問に分けて動く図で確かめます。
先に言葉をそろえる
| 言葉 | ひとことで言うと |
|---|---|
| 電気用品安全法 | 電気用品による火災や感電を防ぐため、製造・輸入・販売・使用を決めた法律。略して電安法、PSE法 |
| 電気用品 | 電安法の対象になる機械・器具・材料。政令で品目と範囲が決まっている |
| 特定電気用品 | 電気用品のうち、とくに危険や障害が起きやすい品目。ひし形のマーク |
| 届出事業者 | 電気用品を製造・輸入する事業を国に届け出た事業者 |
| 登録検査機関 | 国に登録された第三者の検査機関。特定電気用品の適合性検査を行う |
| PSE | Product Safety, Electrical Appliances and Materials の略。表示の中のマーク |
質問① 電気用品って何? ― 政令で決めた品目のリスト
電気用品安全法でいう電気用品は、次のものです(第2条)。
具体的な品目は施行令の別表に並んでいて、特定電気用品が116品目、特定電気用品以外が341品目あります。電線・ヒューズ・スイッチ・コンセント・ブレーカーといった工事の材料から、照明器具や家電まで入っています。
この法律の役割は、危ない製品を、つくる段階・売る段階・使う段階の3か所で止めることです。つくる人・輸入する人は技術基準に合わせて検査し、表示を付けます。売る人は表示のない品を売れません。そして電気工事をする人は、表示のない品を工事に使えません。
- 電気用品は、政令で決めた機械・器具・材料(特定116+特定以外341品目)
- 電線・配線器具・ブレーカー・電線管など、工事の材料も入る
- つくる・売る・使うの3か所で、表示のない品を止める
質問② PSEマークの2種類 ― ひし形と丸
| 区分 | 検査 | 主な品目 |
|---|---|---|
| 特定(ひし形) | 届出事業者の検査+登録検査機関の適合性検査 | 電線(22mm²以下のケーブルなど)・ヒューズ・スイッチ・コンセント・ブレーカー(100A以下) |
| 特定以外(丸) | 届出事業者の自主検査 | 電線管・ボックス・線ぴ、22〜100mm²のケーブル、LED照明器具・LEDランプ・テレビ |
表示には、マークのほかに届出事業者の名称や定格が入ります。特定電気用品では、検査をした登録検査機関の名称も表示されます。マークの形を見れば、どちらの手続きを通った製品かがわかります。
- ひし形=特定電気用品。登録検査機関の適合性検査が必要
- 丸=特定電気用品以外。届出事業者の自主検査
- 表示には事業者名・定格、特定は検査機関名も入る
質問③ 工事で何が制限される? ― 表示のない電気用品は使えない
電気工事にかかわるのが、電気用品安全法 第28条第1項の使用の制限です。次の人は、PSEの表示がない電気用品を、電気工作物の設置または変更の工事に使ってはならないと決められています。
さらに、電気工事業法(電気工事業の業務の適正化に関する法律)第23条は、電気工事業者にも同じ制限をかけています。つまり、工事をする個人にも、工事を請け負う会社にも、それぞれ義務があります。
| 決まり | 内容 |
|---|---|
| 電安法 第27条 | 製造・輸入・販売の事業者は、表示のない電気用品を販売・陳列できない |
| 電安法 第28条 | 電気工事士などは、表示のない電気用品を電気工事に使えない |
| 工事業法 第23条 | 電気工事業者は、表示のない電気用品を電気工事に使えない |
| 罰則 | 電安法:1年以下の拘禁刑か100万円以下の罰金(併科あり)。工事業法:10万円以下の罰金 |
- 表示のない電気用品は、電気工事に使えない(電安法 第28条)
- 電気工事業者にも同じ制限(電気工事業法 第23条)
- 自家用電気工作物の工事も対象。支給品・海外品も同じ
電線やブレーカーは、どこまでが対象?
電気用品は、品目ごとに定格電圧・定格電流・太さの範囲が決まっています。電気設備でよく使うものを整理します。
| 材料 | 電気用品になる範囲(主なもの) |
|---|---|
| ケーブル | 定格電圧100〜600V・線心7本以下。22mm²以下は特定、22mm²超〜100mm²は特定以外 |
| 絶縁電線 | 定格電圧100〜600V・100mm²以下(IVなど)は特定 |
| ブレーカー | 配線用遮断器・漏電遮断器で、100〜300V・100A以下は特定 |
| スイッチ・コンセント | 100〜300V。点滅器は30A以下、差込み接続器は50A以下で特定 |
| 電線管など | 内径120mm以下の電線管、幅100mm以下のフロアダクト、幅50mm以下の線ぴ、ボックスは特定以外 |
- 電線は太さで区分:22mm²以下は特定、100mm²以下は特定以外
- ブレーカーは300V以下・100A以下が特定
- 範囲外(太いケーブル・高圧・大きなブレーカー)はPSEの対象外
現場での確かめ方 ― 4ステップ
内線規程では1330節「電気用品の使用制限」として、この法律上の制限を扱っています。実務では、材料の受け入れのときに確かめるのがいちばん確実です。本体や包装の表示を見て、対象品に表示がないもの、表示が読めないものは使いません。細かな表現や付記は、内線規程の原文で確かめてください。
よくある質問
ひし形と丸のPSEマークは何がちがいますか?
ひし形は特定電気用品のマークで、届出事業者の検査に加えて登録検査機関の適合性検査が必要です。丸は特定電気用品以外のマークで、届出事業者の自主検査で表示します。どちらも同じく技術基準に適合していることが前提です。
PSEの表示がない電気用品を工事に使うとどうなりますか?
電気用品安全法 第28条の違反になり、1年以下の拘禁刑か100万円以下の罰金(またはその両方)の対象です。電気工事業者は電気工事業法 第23条にも違反し、10万円以下の罰金の対象になります。
高圧受電の建物でも、PSEの表示は必要ですか?
必要です。第28条の対象には自家用電気工作物を設置する者も含まれます。低圧側で使う電線・スイッチ・コンセント・ブレーカーなどが電気用品に当たるなら、表示のあるものを使います。
太いケーブルにPSEの表示がないのはなぜですか?
電気用品になるケーブルは、定格電圧100〜600V・線心7本以下で、太さ100mm²以下のものです。それより太いものや高圧のケーブルは電気用品ではないため、PSEの表示はありません。JISなどの規格で確かめます。
施主が用意した器具にPSEの表示がない場合は?
表示のない電気用品は、だれが用意したものでも工事に使えません。取り付けると、工事をした側が違反になります。受け取ったときに表示を確かめ、表示のある品に替えてもらいます。
まとめ ― 取り違えやすいところ
| 取り違えやすいところ | 正しくは |
|---|---|
| 差して使う家電だけが電気用品 | 電線・スイッチ・ブレーカー・電線管も入る |
| 丸はひし形より基準がゆるい | 検査の方法のちがい。基準は同じく満たす |
| 売る人だけの決まり | 工事で使う人・工事業者にも使用制限 |
| 自家用の建物は関係ない | 自家用電気工作物の工事も対象 |
| 支給品なら使ってよい | 表示がなければ、使った側の違反 |
| 表示のない太いケーブルは違反 | 100mm²超や高圧は電気用品ではない |
📘 この記事の根拠規程|解説の原文は内線規程(JEAC8001-2022)に掲載されています。実務で使う方は手元に1冊どうぞ → 電気設備の必携書籍おすすめ4選【2026年版】
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