技術図書館弱い電気だから自由ではない|数値は電圧で分かれる対地300V以下の絶縁変圧器から供給し、短絡電流は8A・5A・3Aの3段階。浴室は24V以下この資料をスライドで見る資料一覧を見る
この記事は、連載「弱電設備の設計マニュアル」の 第1回 全体フローと工事区分・第2回 配管・配線ルート・第5回 放送・IP の補足解説です。計画全体の流れは 設計・施工マニュアル(目次) からご覧いただけます。
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出典:電気設備の技術基準の解釈 第181条

小勢力回路は、消費電力が小さく人体への危険性が低い機器に用いる、安全性を重視した低電圧の回路です。電源の変圧器・電流・配線の決まりが解釈第181条にあります。本記事では、電気設備の技術基準の解釈にもとづいて要点を3つに整理します。

最大使用電圧、60V以下 第1項本文。
絶縁変圧器、1次側300V以下 第二号。
電流は、181-1表 第一号・第二号ハ。
浴室の24Vは、内線規程 内線規程で確かめる。
ペン太ペン太
小勢力回路って、インターホンみたいな弱い電気の回路のことですか?
ハリタハリタ
はい。最大使用電圧60V以下の回路で、絶縁変圧器の1次側は対地300V以下、電圧区分ごとに使える電流まで決まっています。

この記事で押さえる3つのこと

  • 最大使用電流は5A・3A・1.5A、短絡電流は8A・5A・3A。
  • 地中30cm(重量物1.2m)、架空は硬銅線で道路6m。
  • 危険な場所は管・ケーブル工事、浴室24Vは内線規程。
この記事の道案内
数値が多い項目です。必要なところから拾って読んでも大丈夫です。

1. 最大使用電流と絶縁変圧器

15V以下は、5A・8A 181-1表。
30V以下は、3A・5A 181-1表。
60V以下は、1.5A・3A 181-1表。
遮断器があれば、短絡電流は除外 第二号ハ。
  • 小勢力回路は、電磁開閉器の操作回路や呼鈴・警報ベルなどにつなぐ、最大使用電圧60V以下の電路です(解釈第181条第1項)
  • 最大使用電流は、15V以下で5A、30V以下で3A、60V以下で1.5Aです(第一号・181-1表)
  • 電気を送る電路には絶縁変圧器を施設し、1次側の対地電圧は300V以下です。2次短絡電流は15V以下で8A、30V以下で5A、60V以下で3A以下です(第二号)
  • 2次側に最大使用電流以下の過電流遮断器を施設するなら、2次短絡電流の制限はかかりません(第二号ハただし書)
最大使用電圧最大使用電流 / 2次短絡電流
15V以下5A / 8A
30V以下3A / 5A
60V以下1.5A / 3A
たとえるなら
小勢力回路は、家の中の小さな電池回路
ドアチャイムやインターホンは、乾電池くらいの小さな電圧で動きます。小勢力回路は最大使用電圧60V以下で、流せる電流も電圧区分ごとに決まっています。
たとえるなら
2次短絡電流の制限は、ホースの細い口金
ホースの口金を細くしておけば、破れても水は少ししか出ません。変圧器の2次短絡電流を8A・5A・3A以下に抑えておくのも同じ考え方です。
ここに注意!
「5A・3A・1.5Aは、遮断器を付けるときだけ」ではありません。
5A・3A・1.5Aは小勢力回路の最大使用電流で、いつも守る値です。2次側にこの値以下の過電流遮断器を施設すれば、2次短絡電流8A・5A・3Aの制限がかからなくなります(解釈第181条第1項第一号・第二号ハ)。
ここに注意!
「変圧器は、普通の変圧器でよい」ではありません。
小勢力回路に電気を送る電路には絶縁変圧器を施設し、1次側の対地電圧は300V以下です(第二号イ・ロ)。
ここまでのポイント
  • 小勢力回路は最大使用電圧60V以下、電源は絶縁変圧器(1次側の対地300V以下)
  • 最大使用電流は15V以下5A、30V以下3A、60V以下1.5A
  • 2次短絡電流は8A・5A・3A以下
  • 最大使用電流以下の遮断器を施設すれば短絡電流の制限は外れる
  • 5A・3A・1.5Aは遮断器の定格ではなく最大使用電流

2. 造営材・地中・架空の配線

直径0.8mm以上の、軟銅線 第三号イ。
損傷のおそれは、防護装置 第三号ハ。
メタルラスは、がいしで6mm 第三号ニ。
水管・ガス管と、接触しない 第三号ヘ。
  • 造営材に取り付ける電線は、ケーブルを除き直径0.8mm以上の軟銅線と同等以上で、コード・キャブタイヤケーブル・ケーブル・決まった絶縁電線・通信用ケーブルです。乾燥した造営材で30V以下なら被覆線も使えます(第三号イ・ロ)
  • 損傷のおそれがあれば防護装置を施します。メタルラス張りなどの木造の造営材に取り付けるなら、がいしで支持して6mm以上離し、貫通部は第145条に準じます(第三号ハ〜ホ)
  • 金属製の水管・ガス管などと接触しないように施設します(第三号ヘ)
地中は、30cm以上+覆い 第四号。
地上は、トラフか開きょ 第五号。
架空は、1.2mm硬銅線 第六号イ。
道路横断は、6m以上 第六号ハ。
  • 地中は、重量物に耐える管やトラフに収めるか、埋設深さ30cm(重量物の圧力を受ける場所は1.2m)以上として、上部を堅ろうな板やといで覆います(第四号)。地上は堅ろうなトラフや開きょに収めます(第五号)
  • 架空は、引張強さ508N以上か直径1.2mm以上の硬銅線を使い、高さは道路横断で路面上6m、鉄道・軌道横断でレール面上5.5m、その他は地表上4m(道路以外は2.5m)以上です。支持点間は15m以下が原則です(第六号)
  • 造営材を貫通する部分をがい管やテープで保護するという書き方は、内線規程で確かめます
ペン太ペン太
浴室での24V以下も、解釈の決まりですか?
ハリタハリタ
解釈第181条にはありません。24V以下や二重絶縁は内線規程で確かめましょう。
思いこみ正しくは
5A等は遮断器の定格最大使用電流
変圧器は普通でよい絶縁変圧器
地中はどこでも30cm重量物は1.2m
架空は硬鋼線硬銅線
道路以外も4m2.5mまで減らせる
たとえるなら
地中の覆いは、植木鉢の下の受け皿
あとで掘り返したときにスコップが電線に当たらないよう、30cm以上埋めて上部を板やといで覆います。
ここに注意!
「電線は、どんな細さでもよい」ではありません。
造営材に取り付ける電線は、ケーブルを除き直径0.8mm以上の軟銅線と同等以上です。金属製の水管やガス管と接触しないようにします(第三号)。
ここに注意!
「地中は、30cm埋めればどこでもよい」ではありません。
重量物の圧力を受けるおそれがある場所は1.2m以上で、上部を堅ろうな板やといで覆います。重量物に耐える管やトラフに収める方法もあります(第四号)。
ここに注意!
「架空の電線は、硬鋼線」ではありません。
架空の電線は、引張強さ508N以上か直径1.2mm以上の「硬銅線」です(第六号イ)。道路以外の箇所なら、高さは地表上2.5mまで減らせます(第六号ハ)。
ここまでのポイント
  • 造営材の電線は0.8mm以上、損傷のおそれは防護装置
  • メタルラスはがいしで6mm以上、水管・ガス管と接触しない
  • 地中は30cm(重量物1.2m)以上で上部を覆う、地上はトラフか開きょ
  • 架空は508N以上か直径1.2mm以上の硬銅線
  • 高さは道路6m・鉄道5.5m・その他4m(道路以外2.5m)
  • 他の工作物と30cm以上、裸電線と植物も30cm以上

3. 危険な場所と移動電線

危険な場所は、管かケーブル工事 第2項。
移動電線は、コード・キャブなど 第七号。
絶縁電線は、防護装置に 第七号。
浴室の24Vは、内線規程 内線規程で確かめる。
  • 粉じん・可燃性ガス・危険物・火薬庫などの場所(第175条〜第178条)に施設するなら、合成樹脂管・金属管・可とう電線管・ケーブル工事(第158・159・160・164条)に準じます(第2項)
  • 移動電線は、コード・キャブタイヤケーブル・決まった絶縁電線・通信用ケーブルで、絶縁電線は適当な防護装置に収めます(第七号)
  • 浴室など水気の多い場所で2次側を24V以下にすること、操作部と充電部の二重絶縁、防湿形・防浸形などの器具の選び方は、解釈第181条にはありません。内線規程で確かめます
確認すること解釈の決まり
危険な場所管・ケーブル工事
移動電線コード・キャブなど
絶縁電線の移動電線防護装置に収める
浴室24V・二重絶縁内線規程で確認
ここに注意!
「浴室の24V・二重絶縁は、解釈の決まり」ではありません。
解釈第181条には、浴室での24V以下・二重絶縁・防湿形の選び方はありません。内線規程で確かめます。
ペン太ペン太
小勢力回路って、普通の回路と何が違うんですか?
ハリタハリタ
最大使用電圧60V以下の回路だよ。電源は絶縁変圧器で、1次側の対地電圧は300V以下なんだ。
ペン太ペン太
電圧によって電流の制限が変わるんですね。
ハリタハリタ
そう。電圧が高いほど、使える電流(5A・3A・1.5A)も短絡電流(8A・5A・3A)も小さくなるんだ。
ここまでのポイント
  • 危険な場所は管工事かケーブル工事に準じる
  • 移動電線はコード・キャブタイヤ・通信用ケーブルなど
  • 絶縁電線の移動電線は防護装置に収める
  • 浴室24V・二重絶縁・防湿形は内線規程で確かめる

よくある質問(FAQ)

Q1. 変圧器の決まりは? 絶縁・300V。
Q2. 電流の決まりは? 5A・3A・1.5A。
Q3. 地中の決まりは? 30cm・1.2m。
浴室の24Vは? 内線規程で確かめる。
Q. 小勢力回路の絶縁変圧器の対地電圧は?
A. 絶縁変圧器の1次側の対地電圧は300V以下です(解釈第181条第1項第二号)。
Q. 2次短絡電流の規定値は?
A. 最大使用電圧15V以下で8A以下、30V以下で5A以下、60V以下で3A以下です。2次側に最大使用電流以下の過電流遮断器を施設する場合は、この限りではありません(第二号ハ)。
Q. 最大使用電流はいくつですか?
A. 小勢力回路の最大使用電流は、15V以下で5A、30V以下で3A、60V以下で1.5Aです(第一号・181-1表)。過電流遮断器を施設するなら、定格電流をこの値以下にします。
Q. 地中・架空配線の基準は?
A. 地中は管やトラフに収めるか、埋設深さ30cm(重量物の場所は1.2m)以上で上部を覆います(第四号)。架空は引張強さ508N以上か直径1.2mm以上の硬銅線を使い、道路横断6m・鉄道5.5m・その他4m(道路以外2.5m)以上の高さにします(第六号)。
Q. 浴室に装置を設けるときの注意点は?
A. 解釈第181条には浴室だけの決まりはありません。2次側を24V以下にすることや二重絶縁、器具の構造の選び方は、内線規程で確かめます。

まとめ|電圧が上がるほど、守りを固くする

小勢力回路は「電圧を低く抑えて安全をつくる」回路で、電圧区分ごとに最大使用電流と変圧器の2次短絡電流が決まっています。配線は場所ごとの決まりで守り、水まわりの24V以下などは内線規程で確かめます。

確認する項目決まり
最大使用電圧60V以下
変圧器絶縁・1次300V以下
最大使用電流5A・3A・1.5A
2次短絡電流8A・5A・3A
造営材の電線0.8mm以上
地中30cm(重量物1.2m)
架空硬銅線・6m・5.5m・4m
危険な場所管・ケーブル工事

数値の多い分野ですが、電圧区分の表を1つ手元に置いておけば大半は判断できます。浴室まわりの要件は内線規程にあるので、機器選定の段階で分けて確かめるとわかりやすくなります。

ペン太ペン太
配線を地中に通すときの深さはどれくらいですか?
ハリタハリタ
通常30cm以上、重量物がかかる場所は1.2m以上で、上部を板やといで覆います。管やトラフに収める方法もありますよ。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。