受変電設備の入口に設置されるPAS(気中負荷開閉器)は、いわば需要家の心臓部ともいえる重要な装置です。「200A300Aはどう選ぶの?」「VTやLAは必要?」と迷う場面も多いのではないでしょうか。

結論として、PASの定格電流は「負荷電流から算出した値」と「受電点の短絡電流から算出した値」を比較し、大きい方を採用します。本記事では、定格電圧定格電流の計算方法から仕様選定のポイントまでを、計算例つきで詳しく解説します。

 

PAS需要家の心臓である

 

今回の疑問

 

PASの定格電流ってどうやって求めるの?

その他の機能ってどうやって決めてるの?

 

⚡ 先に結論だけ言うと

定格電流は次の要素より算出し求めたサイズの大きいほうを採用します

  1. 負荷電流より算出する方法
  2. 受電点の短絡電流により算出する方法

PASの仕様の選定方法は下記項目から確認しましょう!

定格電圧定格電流 温度計無料アイコン
制御装置の電源の取り方(VT内蔵の要否) ツールボックス
地絡リレーの方向性の要否 順番
LA内蔵の要否 稲妻
ケースの選定 ボックス
設置環境の確認 太陽のないアイコン

 

PAS定格電流の選定フロー(負荷電流と短絡電流の2方式で大きい方を採用)とPAS仕様選定のチェック項目
▲ 定格電流の選定フローと仕様選定項目

見習いペン太
見習いペン太
PASの200Aとか300Aって、どうやって決めるんですか〜?

はりた
はりた
それはね、負荷電流からちゃんと計算して決めることができるんだよ📐

見習いペン太
見習いペン太
うぅ…なんだか難しそうです~💦

はりた
はりた
大丈夫!今から計算式と手順をわかりやすく説明していくから、一緒にやってみよう💪

本記事のおすすめの方
  • PASの電流値の計算方法を知りたい方
  • PASの電圧の計算方法を知りたい方
  • PASのVTの基準について知りたい方…など
この記事でわかること
  1. PASの定格電流の求め方
  2. PASの定格電圧の求め方
  3. 方向性の選定方法
  4. LAの選定方法
  5. VTの選定方法
  6. 一般防水・SUSの選定方法

PAS(気中負荷開閉器)の用途について

PAS 設置基準

見習いペン太
見習いペン太
PASって、そもそも何のために使うんですか〜?

はりた
はりた
PASはね、万が一電気事故が起きたときに、被害が広がらないようにするための機器なんだ⚡

見習いペン太
見習いペン太
波及事故っていうのがちょっとピンとこないんですけど…😅

はりた
はりた
簡単に言うとね、事故が起きたときに回路を遮断して、他の建物や工場にまで事故の電流が流れないようにしてくれてるんだよ!だから電力引込口に設置されてるんだ⚠️

PASの役割とは?|地絡事故から配電線を守る重要な装置

高圧受電設備において重要な役割を担うPAS(気中負荷開閉器)
名前は聞いたことがあっても、「どこに使われるの?」「何のためにあるの?」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか?

この記事では、PASの基本的な用途と働きについて、わかりやすく解説します。


✅ PASの主な用途とは?

PASは、需要家設備で地絡事故などの電気事故が発生した際、事故の波及を防ぐために設置される装置です。

特に、キュービクル(高圧受電設備)と電力会社の配電線の間に設置され、事故電流の遮断を担当します。


⚡ なぜPASが必要なの?

通常、高圧ケーブルに地絡や短絡などの事故が発生した場合は、キュービクル側の保護装置だけでは対応できません

その理由は次の通りです:

  • 高圧ケーブル内での事故は、受電設備側では検知しづらい

  • このまま放置すると、事故が配電用変電所(電力会社側)まで波及する危険性がある

→ このような事故の波及を電力会社の供給系統に影響させないために、PASが設置されます。


🔍 PASの内部機能:SOGとの連動

PASには、**SOG(静止形地絡方向継電器)**が搭載されています。

  • SOGが地絡電流を検知すると、信号をPASに送る

  • PASはその信号を受けて、遮断器を作動させ、回路を遮断

これにより、キュービクルの手前で事故電流がストップされ、事故が配電線側に伝わるのを防ぎます。


🏢 電力会社との「責任分界点」にもなる

PASは、**電力会社との責任分界点(責任の境界)**になることが多いです。
なぜなら、PASが遮断に成功すれば、配電用変電所では遮断動作を行わずに済むからです。

☑️「PASより内側(キュービクル側)」は需要家責任
☑️「PASより外側(電柱・配電線)」は電力会社責任


✍️ まとめ:PASの役割と設置理由

内容 説明
主な用途 地絡・短絡事故の遮断と波及防止
設置位置 電力会社の引込点とキュービクルの間
SOG機能 地絡電流を検知し、PASへ遮断信号を送る
重要性 配電線側の広範囲停電を防止できる
責任分界点 電力会社と需要家の設備境界に設置されることが多い

PAS(気中負荷開閉器)って何の略?

見習いペン太
見習いペン太
なるほど〜、この頭文字で「PAS(気中負荷開閉器)」って呼ばれてるんですね!📝

はりた
はりた
そうそう!ちなみに仕様が変わると「PGS(ガス封入形)」とか名前も変わるから、ざっくりでも覚えておくと役に立つよ🔍

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PAS及び関連機器の選定【ポイント

見習いペン太
見習いペン太
PASって、どんな仕様があるんですか?いろいろあってよくわからなくて…🌀

はりた
はりた
まずは定格電流の違いがあるし、避雷器付きのタイプとか、電圧検出端子付きなんて仕様もあるんだよ⚙️

見習いペン太
見習いペン太
えぇ〜!そんなにあるんですね…どれを選べばいいか迷っちゃいます💦

はりた
はりた
じゃあ今から、代表的な仕様の種類と、どうやって選定すればいいかを一緒に見ていこう!ポイントを押さえれば大丈夫だよ✨

PASの仕様項目

PASには定格電流やLA・VTなどといった関連機器の仕様を選定する必要があります。各項目には選定の基準があり設置条件によって内容が異なってきます。

選定方法をよく理解し設置状況にそぐわない仕様のものを選定しないよう注意しましょう。

見習いペン太
見習いペン太
うわぁ…PASって思ったより種類が多くて迷っちゃいますね〜💦

はりた
はりた
そういうときは、まず気になるポイントをひとつずつチェックしてみよう!用途や環境に合った仕様が見えてくるよ🔍✨

規格容量の計算方法について

定格電圧の選定

見習いペン太
見習いペン太
PASの本体の規格って、どうやって決めるんですか?🤔

はりた
はりた
いい質問だね!じゃあこれから、本体の定格値の算出方法について、順番に説明していくよ📘

PASの定格電圧

6.6[kV]×1.2/1.1=7.2[kV]

定格電圧の標準値は、常時の系統電圧の変動を考慮し、公称電圧の1.2/1.1倍としている。

見習いペン太
見習いペン太
6.6kVで受電してると思ってたけど、機器の定格は7.2kVになるんですね!⚡

はりた
はりた
そうなんだよ!実際の受電電圧が6.6kVでも、機器の定格は安全率を見込んで7.2kVで設計されてるんだ。これは標準的な規格になってるよ📏

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定格電流の選定(200A・300A・400A)

見習いペン太
見習いペン太
定格電流って…毎回どれを選べばいいのか迷っちゃうんです!😫

はりた
はりた
わかるよ~!定格電流はね、2つの計算結果をもとに選定するから、ちょっとややこしいんだ。でも大丈夫!今から一つずつ丁寧に解説していくよ💡

定格電流の選定
  1. 負荷電流より算出する方法
  2. 受電点の短絡電流により算出する方法

PASの定格電流は、次の2つの項目より選定する必要が各々の計算結果の電流値が大きいほうに合わせてPASの定格電流を選定します。

負荷電流より算出する方法

負荷電流の計算方法

申請建物全体の負荷電流値を算出し負荷電流以上の定格電流値の容量を選定しましょう

I[A]={契約電力/(√3×6.6×0.9)}×1.5

  • I:負荷電流
  • 0.9:回路力率
  • 1.5:負荷の変動率等を考慮した安全係数

※契約電力が決定していない場合、変圧器総容量から負荷電流を算出する

(最大負荷容量となるため負荷電流が大きくなるため要検討)

見習いペン太
見習いペン太
なるほど、結局は電流値から選べばいいんですね?🔌

はりた
はりた
そのとおり!まずは契約電力をもとに負荷電流を計算して、その結果から適切な定格を選んでいこう💡📐

定格電流の計算例|契約電力から算出する場合

契約容量から電流値を求める場合

契約容量500[kVA]の場合・・・

I={500/(√3×6.6×0.9)}×1.5

 =(500/10.2884)×1.5

=72.9[A]

見習いペン太
見習いペン太
じゃあ、この72.9Aって計算結果より大きい容量を選べばいいんですね?🧐

はりた
はりた
そのとおり!72.9Aだから、余裕を持って200A以上のPASを選定すればOKだよ💡🔧

定格電流の計算例(契約電力が不明な場合)

あにまるさん
あにまるさん
契約電力が決まっていない場合はどうするんだ?

はりた
はりた
その場合は変圧器容量から負荷電流を求めるようにしよう!
契約電力が不明の場合の求め方

建物の最大負荷電流はトランス容量によって選定することができます。

各トランスごとの電流値を計算し合計したものが建物の最大負荷電流値になります。

変圧器容量による負荷電流値の計算方法
  • 単相変圧器一次電流=変圧器容量÷6.6kV
  • 三相変圧器一次電流=変圧器容量÷√3×6.6kV

計算例

  • 単相変圧器 300KVA×2台
  • 三相変圧器 200kVA×3台

単相変圧器の電流値を算出

  1. 単相トランス300KVA÷6.6kV=45.5A
  2. 単相トランス300KVA÷6.6kV=45.5A

三相変圧器の電流値を算出

  1. 3相トランス200KVA÷(√3×6.6kV)=17.5A
  2. 3相トランス200KVA÷(√3×6.6kV)=17.5A
  3. 3相トランス200KVA÷(√3×6.6kV)=17.5A

合計すると・・・

最大負荷電流値=45.5+45.5+17.5+17.5+17.5126A

各トランス容量から一次側電流値を計算し合計値を建物の最大負荷電流値と仮定します。

見習いペン太
見習いペン太
なるほど!この計算結果なら、200AのPASを選べばよさそうですね!💡

はりた
はりた
そのとおり!でも変圧器の容量とのバランスもあるから、そこもちゃんと確認して選定しようね📐⚡

受変電設備の設計|変圧器二次側の電圧計及び電流計の選定方法について詳しく解説受変電設備の盤に付く電圧計・電流計。「容量はいくつを選べばいいの?」と迷うことはないでしょうか。電流計は変圧器二次側に流れる定格電流を計...

はりた
はりた
変圧器の二次側電流を知りたいときは、次の式で計算できるよ!📘この電流値も、機器の定格選定にとって大事なポイントだよ!

変圧器二次側電流の計算方法

🔸 I[A]= 容量(kVA) × 1000 ÷ (√3 × 電圧[V])

例:容量100kVA、電圧210Vの場合
→ I = 100×1000 ÷(√3 × 210)≒ 275A

受電点の短絡電流による算出

見習いペン太
見習いペン太
もう一つの方法って、短絡電流から選ぶやつでしたよね!

はりた
はりた
そうそう!そのためには、まず管轄の電力会社に「短絡容量」を問い合わせる必要があるんだ📞

見習いペン太
見習いペン太
なるほど~。まずは短絡容量を確認するんですね!

はりた
はりた
その通り!聞き取った短絡容量をもとに、短絡電流を計算して、選定表に当てはめれば適切なPASの定格がわかるよ📊

短絡電流毎のPASの定格電流値
受電点の短絡電流[kA](MVA) PAS定格電流[A]
8未満(100) 200
8以上12.5以下(160) 300、400

 

短絡容量は変電所が近いと大きくなる傾向にあります。

計画建物の近くに変電所・発電所ある場合、特に注意して確認しましょう。

受電点の短絡容量の確認

短絡容量の確認方法

短絡電流を求めるために受電点の短絡容量を確認する必要があります。引込点の最寄りの電柱等に記載されている電柱番号を管轄の電力会社に問い合わせ短絡容量の確認を行いましょう。電柱番号の見分け方については各電力会社のホームページに記載されています。

はりた
はりた
引込点での短絡容量は、設計者が勝手に決められないからね。必ず管轄の電力会社に確認しないといけないよ📞

見習いペン太
見習いペン太
そっか、じゃあ電話で問い合わせすれば教えてくれるんですね!今度聞いてみます!📲

短絡容量の確認の主な流れ

電柱番号の確認

電柱

管轄の電力会社に問い合わせ
短絡容量の聞き取り)

Eメール

短絡容量により短絡電流の算出

Maths free icon

受電点の短絡電流による定格電流の求め方

受電点の短絡電流による定格電流の求め方

受電点の短絡電流が

  • 8[kA]未満の場合       =200[A]
  • 8以上12.5[kA]以下の場合 =300[A]

仮に受電点の短絡電流値が9.0[kA]の場合、

8以上12.5[kA]以下の範囲に該当するため300[A]を選定します。

計算結果を比較

上記検討結果を基に

上記2つの項目から値の大きいほうをPASの定格電流として選定します

  • 負荷電流より算出した値(契約容量より)

72.9[A]=200[A]

  • 受電点の短絡電流により算出した値

 9.0[kA]=300[A]

のため、②の短絡容量より選定した300[A]を定格電流となります。

見習いペン太
見習いペン太
PASの定格電流って、やっぱり大事なんですね~⚡

はりた
はりた
うん、特に短絡容量から選定する場合は、管轄の電力会社に確認しないと正確な値がわからないから注意が必要だよ📞📋

 

メーカーの選定方法の記載のある通りPASの定格電流値は、開閉器の定格電流若しくは適用系統短絡容量のいずれかの大きいほうを選定しましょう。

カタログ | 戸上電機製作所 (togami-elec.co.jp)

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PAS規格容量の計算式まとめ(定格電圧7.2kV・変圧器二次側電流の計算式・短絡電流による選定・比較例で300A採用)
▲ 規格容量の計算式まとめ

よくある質問(FAQ)

Q. PASの定格電流はどうやって決めますか?

A. 「負荷電流から算出する方法」と「受電点の短絡電流から算出する方法」の2つで求め、値の大きい方を採用します。標準値は200A300A400Aです。

Q. PASの定格電圧7.2kVなのはなぜですか?

A. 機器の定格電圧は、常時の系統電圧変動を考慮し公称電圧の1.2/1.1倍とするためです。6.6kV×1.2/1.1=7.2kVとなり、受電電圧が6.6kVでも機器定格は7.2kVになります。

Q. 短絡電流からの定格電流はどう求めますか?

A. 管轄の電力会社に受電点の短絡容量を問い合わせ、短絡電流を算出して選定表に当てはめて定格電流を決めます。たとえば短絡電流9.0kAなら300Aが目安です。

Q. PAS選定で確認すべき項目は?

A. 定格電圧定格電流のほか、制御電源の取り方(VT内蔵の要否)、地絡リレーの方向性の要否、LA(避雷器)内蔵の要否、ケースの選定、設置環境の確認などを確認します。

まとめ

PASの選定方法

PASの仕様一覧

  1. 定格電圧定格電流
  2. 制御装置の電源の取り方(VT内蔵の要否)
  3. 地絡リレーの方向性の要否
  4. LA内蔵の要否
  5. ケースの選定
  6. 設置環境の確認

定格電流の選定

  1. 負荷電流より算出する方法
  2. 受電点の短絡電流により算出する方法

負荷電流の求め方

  • I={契約電力/(√3×6.6×0.9)}×1.5[A]
  • I:負荷電流
  • 0.9:回路力率
  • 1.5:負荷の変動率等を考慮した安全係数

受電点の短絡電流による求め方

  • 8[kA]未満の場合       =200[A]
  • 8以上12.5[kA]以下の場合 =300[A]

今回は、PASの規格における定格電圧と定格電流の選定方法について解説しました。

定格電圧は、6.6[kV]の場合、7.2[kV]と固定ですが、

定格電流は負荷容量若しくは短絡電流値により変動するので選定には注意が必要です。

PAS選定の際は、特に定格電流に注意し選定を行うようにしましょう。

 

 

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