結論

インターホン・宅配ボックス・防犯カメラは、あとから足したくなる設備の代表です。ところが玄関まわりは屋外へ配線を出す工事になるため、後付けは急に高くつきます。新築でやっておくべきことは1つだけ。門柱・玄関まわりまで、電源とLANの空配管を通しておくことです。機器そのものは、住んでから選んでも間に合います。

  • 玄関まわりは電気・通信・機器が集まる「弱電の交差点」
  • 新築でやるべきは機器選びより、門柱までの配管と電源の確保
  • 防犯カメラはPoE(LANで給電)にすると電源工事が要らない
  • 宅配ボックスは電源不要の機械式が主流。固定と設置場所が肝心
  • カメラの画角は敷地内に収める。表示とあわせて配慮する

「宅配ボックスを付けたい」「防犯カメラを検討している」——住みはじめてから相談を受けることが多い設備です。ところが工事の見積を見て驚かれます。機器は数万円なのに、工事費がそれ以上かかることがあるからです。

理由は単純で、屋外へ電気や通信を出すのは、屋内の配線とはまったく別の手間がかかるから。この記事では、玄関まわりの設備をまとめて整理し、新築で何を仕込んでおくべきかを解説します。

玄関まわりは「弱電の交差点」

玄関・門柱のまわりには、意外なほど多くの設備が集まります。

設備 必要なもの
インターホン(ドアホン) 屋内機の電源、屋外子機までの配線
宅配ボックス 電源不要の製品が多い。電子錠タイプは電源が要る
防犯カメラ 電源またはPoE給電、録画機やネットワーク
門灯・ポーチ灯 電源、明るさセンサーまたはタイマー
電気錠・スマートロック 電源または電池、通信
屋外コンセント 防水型、専用回路が望ましい
センサーライト 電源または電池・ソーラー
すべてを最初から付ける必要はありません。ただし「通り道」だけは先に確保しておきます。

インターホンの選び方

タイプ 特徴 注意点
有線(配線式) 動作が安定。画質も確保しやすい 屋内機と子機の間に配線が必要
ワイヤレス 配線不要。後付けしやすい 電波が届く距離。電池交換が要る機種も
録画機能付き 不在時の来訪者を確認できる 録画件数と保存方式を確認
スマホ連携 外出先で応答できる 屋内機がWi-Fiに届く場所にあるか
電気錠連動 屋内から解錠できる 錠と機器の組み合わせに制約がある
スマホ連携を考えるなら、屋内機の位置とWi-Fiの電波状況をセットで確認してください。

💡 ここがポイント

スマホ連携タイプでよくあるのが、屋内機の場所にWi-Fiが届いていないという失敗です。インターホンの屋内機はキッチンや玄関ホールに付けることが多く、ルーターから離れがち。屋内機の設置位置とルーター置き場は、セットで考えてください。詳しくは家のLAN・Wi-Fi配線の考え方にまとめています。

宅配ボックスで見るべきこと

確認項目 考えること
電源の要否 戸建て向けは電源不要の機械式が主流。電子錠タイプは電源が必要
容量 よく届く荷物のサイズで決める。大きいほど設置スペースが要る
固定方法 アンカーで固定しないと箱ごと盗まれることがある
設置場所 配達員が門扉の外から入れられるか。動線を確認
雨がかり 屋根のない場所では防水性能を確認
印鑑・サイン 押印機能の有無。最近は不要な配送も増えている
後付けの場合、基礎を打って固定する工事が必要になることがあります。


防犯カメラは「電源の取り方」で決まる

防犯カメラで最も設計に効くのが、どうやって電気を送るかです。ここを知っていると、工事の規模が読めます。

給電方式 仕組み 向いている場面
PoE(LAN給電) LANケーブル1本で通信と電源をまかなう 新築で配管を通せる場合。屋外コンセントが不要になる
屋外コンセント+Wi-Fi 電源をコンセントから、映像は無線で コンセントが近くにある場合
バッテリー・ソーラー 配線が一切不要 後付け。日当たりと充電の手間を要確認
電源直結 電線を直接つなぐ 電気工事が必要。恒久的な設置向け
PoEは「LANケーブル1本で済む」のが最大の利点です。屋外での電源工事を省けます。

映像の保存方法も選択肢があります。録画機(レコーダー)を屋内に置く方式、SDカードに記録する方式、クラウドに保存する方式。クラウドは月額費用がかかる一方、機器が壊れても映像が残るという利点があります。

プライバシーへの配慮

防犯カメラは、近隣トラブルの原因にもなりうる設備です。設置前に次の点を確認してください。

配慮すること 具体的に
撮影範囲 自分の敷地内に収める。隣家の窓・庭・玄関が入らない角度に
マスキング機能 特定の範囲を撮影しない設定ができる機種を選ぶ
設置の表示 「防犯カメラ作動中」の掲示。抑止効果にもなる
事前の声かけ 隣家に一言伝えておくと、あとの誤解を防げる
映像の管理 特定の個人が識別できる映像は個人情報にあたりうる。取り扱いに注意
機器のセキュリティ 初期パスワードのまま使わない。外部から覗かれる事故がある
自治体によってはガイドラインを定めている場合があります。設置前に確認しておくと安心です。

新築で仕込んでおくこと

ここが、この記事でいちばん伝えたい部分です。機器は後から選べますが、配線の通り道は後から作れません

仕込むもの 理由
門柱までの空配管 電源・インターホン・LANを通す道。これが最重要
門柱の電源 門灯・電子錠・カメラ用。防水仕様で
玄関外の防水コンセント 掃除・イルミネーション・カメラ
カメラ設置予定位置へのLAN PoEを使うなら電源工事が不要になる
屋内機の位置と電源 Wi-Fiが届く場所に。コンセントも確保
録画機の置き場 ルーター置き場と兼ねると配線がまとまる
宅配ボックスの基礎 アンカー固定できる土間・基礎があるか
「今は付けないが、将来やるかもしれない」なら、配管だけでも通しておく価値があります。

💡 ここがポイント

外構工事は、建物の工事とは別の業者になることがよくあります。そのため「門柱まで配管を通す」という話が、どちらの担当からも抜け落ちることがあります。打ち合わせでは「門柱までの配管は、どちらの工事に含まれますか」と、はっきり聞いておいてください。土を掘り返す前でないと、あとが大変です。


後付けする場合の考え方

やりたいこと 配線なしでできる方法
インターホンを新しくしたい ワイヤレスタイプ。既存配線を使える機種もある
宅配ボックスを置きたい 電源不要の機械式。土間があれば固定できる
防犯カメラを付けたい バッテリー式・ソーラー式、または屋外コンセント+Wi-Fi
玄関を明るくしたい ソーラー式・電池式のセンサーライト
鍵をスマート化したい 既存の錠に後付けするタイプ(電池式)
後付けは無線・電池・ソーラーが基本になります。ただし電池交換や充電の手間は残ります。

よくある失敗

失敗 対策
門柱まで配管がなく、後付けが高額に 外構工事の前に配管の有無を確認する
スマホ連携のインターホンにWi-Fiが届かない 屋内機の位置とルーター置き場をセットで検討
宅配ボックスごと持ち去られた アンカーで固定する
カメラに隣家が写り込んで気まずくなった 画角を敷地内に収める。マスキング機能を使う
カメラの初期パスワードのままだった 設置時に必ず変更する
屋外コンセントが遠く、延長コードを常設 使う位置に防水コンセントを設ける
いずれも、間取りと外構の打ち合わせで防げるものです。

よくある質問

新築で、まず何をしておけばいいですか?

門柱・玄関まわりまでの空配管と電源です。機器は住んでから選んでも間に合いますが、配線の通り道は後から作れません。とくに門柱までの配管は、外構工事で土を掘り返す前でないと難しくなります。

防犯カメラのPoEとは何ですか?

LANケーブル1本で通信と電源の両方をまかなう仕組みです。屋外に電源コンセントを設ける工事が不要になり、配線も1本で済みます。新築でLAN配管を通せるなら、有力な選択肢になります。

宅配ボックスに電源は必要ですか?

戸建て向けは電源不要の機械式が主流です。ダイヤルや押印で完結するため、電気工事は要りません。ただし電子錠タイプや、スマホで開閉を管理するタイプは電源が必要になります。

防犯カメラに隣の家が写っても大丈夫ですか?

トラブルの原因になりやすいため、撮影範囲は自分の敷地内に収めるのが基本です。マスキング機能で特定範囲を撮影しない設定にできる機種もあります。特定の個人が識別できる映像は個人情報にあたりうるため、保存や共有の扱いにも注意してください。設置前に隣家へ一言伝えておくと、誤解を防げます。

インターホンは有線とワイヤレス、どちらがいいですか?

新築で配線を通せるなら有線が安定します。画質や動作の確実性で有利です。既存住宅で配線を通せない場合は、ワイヤレスが現実的な選択になります。既存のインターホン配線を流用できる機種もあるので、交換時は確認してみてください。

門柱の配管は、建物と外構のどちらの工事ですか?

会社によって扱いが分かれます。だからこそ抜け落ちやすい部分です。打ち合わせで「門柱までの配管はどちらに含まれるか」を明確にし、含まれていない場合はどちらかに追加してもらってください。

電力会社の見直しは、あなたの家に効くのか
「乗り換えれば安くなる」は、条件によります。電気設備の設計側から見ると、先にやるべきことがある家と、比較が効く家ははっきり分かれます。当てはまるものを見てください。
A契約アンペアが大きすぎる家
一人暮らしや二人暮らしなのに50A・60A契約、という家は珍しくありません。基本料金は契約アンペアで決まるので、下げるだけで毎月効きます。工事は電力会社が無料で行うのが一般的です。乗り換えより先に、こちらを確認してください。
B使用量が多い家・オール電化・EVがある家
月400kWhを超える、オール電化、EVを自宅で充電している——このあたりから単価と時間帯プランの差が大きく出ます。基本料金より従量料金のほうが金額として大きいので、プランと会社を比べる価値があります。
C関西・中国・四国・沖縄エリアの家
これらのエリアは最低料金制で、そもそも契約アンペアという区分がありません。Aの手が使えないので、比べるならプランと会社そのものになります。
比べるときに見落としやすいところ
  • 燃料費調整額の上限。大手電力の規制料金には上限がありますが、新電力の多くは上限を設けていません。燃料価格が上がった局面では、単価が安いはずのプランが逆転することがあります
  • 解約金・契約期間の縛り。1年未満の解約で費用がかかるプランがあります
  • 停電したときの連絡先は変わりません。設備の保安は送配電会社の担当なので、乗り換えても対応する会社は同じです(責任分界点の記事
ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。内線規程電気工事士資格・住宅の電気設備を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

次に読むならこれ賃貸の電気でできること・できないこと|アンペア変更・コンセント増設・原状回復の線引き家庭の電気設備の設計
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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。