住まいづくりシリーズ(全3回)

  1. 第1回:住まいづくりで後悔しない電気設備の決め方(総まとめ)
  2. 第2回:共働き4人家族の家づくり密着|18か月の記録
  3. 第3回:電気の打ち合わせチェックリスト【部屋別・印刷対応】(この記事)

電気の打ち合わせは、たった1〜2回で家の使い勝手が決まってしまう場面です。ところが当日は図面を次々にめくりながら、その場で判断を求められるため、家に帰ってから「あれを言い忘れた」と気づくことがほとんどです。

この記事は、それを防ぐためのチェックリスト集です。フェーズ別・部屋別・質問集の3構成にまとめ、そのまま印刷して持っていける形にしています。

使い方

  1. このページをブラウザで開き、印刷(Windows:Ctrl+P/Mac:⌘+P)すると、チェックリスト部分だけが印刷されます
  2. 打ち合わせの1週間前に「STEP 1〜3」を家族で記入する
  3. 打ち合わせ当日は「STEP 4〜5」を手元に置いて確認する
  4. 上棟後の現場確認では「STEP 6」を使う

STEP 1|まず書き出す:現在の暮らしの棚卸し

いきなり図面に向かわないでください。今の暮らしを言語化することが、いちばんの近道です。

1-1. 今の住まいの不満リスト

思いついた順で構いません。「電気に関係ないかも」と思うことも書いてください。動線や収納の不満が、実は電源の問題であることは非常に多いです。

場所 不便に感じていること 原因(推測でOK)
例:洗面所 朝、ドライヤーとアイロンが同時に使えない コンセントが1口
     
     
     
     
     
     

1-2. 家電の棚卸し表

「今あるもの」と「新居で買う予定のもの」を分けて書き出します。消費電力(W)は本体の裏や取扱説明書に書かれています。1,000Wを超えるものは要注意です。

家電 消費電力 今ある/買う 置く場所・使う時間帯
例:電子レンジ 1,400W 買う キッチン背面/朝・夜
冷蔵庫      
電子レンジ・オーブン      
炊飯器      
電気ケトル・トースター      
食器洗い乾燥機      
洗濯機・乾燥機      
ドライヤー・ヘアアイロン      
エアコン(部屋ごと)      
テレビ・ゲーム機      
PC・モニター・プリンタ      
掃除機・ロボット掃除機      
電動自転車の充電器      
その他      

1-3. 平日の1日タイムライン

家族それぞれの動きを時間順に書き出します。「その時間、どこで、何を使うか」が見えると、電源の位置は自然に決まります。

時刻 誰が どこで 何をする/何を使う
例 6:30 洗面所 ドライヤー+ヘアアイロン
       
       
       
       
       
       
       

STEP 2|フェーズ別チェックリスト

電気の話は「配線打ち合わせの日」だけではありません。その前の各段階で押さえておくべきことを整理しました。

2-1. 土地探しの段階

  • 前面道路の電柱の位置を確認した
  • 引き込み線が敷地上空をどう横切るか把握した
  • 南面の屋根が取れるか(太陽光の可能性)を確認した
  • 隣家・隣地の建物による日影の影響を確認した
  • 駐車場の予定位置を決めた(EV充電の検討材料)
  • 分譲地の場合、引込方式(架空/地中)の指定を確認した

2-2. 会社選び・契約前の段階

  • 電気の打ち合わせは何回・何時間あるか聞いた
  • コンセント・スイッチの標準数量を確認した
  • 追加1か所あたりの単価を書面でもらった
  • 着工後の変更がどこまで可能か確認した
  • 配線工事中に現場を見せてもらえるか確認した
  • 使える補助金と、その会社が登録事業者かを確認した
  • 照明器具は施主支給が可能か確認した

2-3. 間取り確定の段階(ここが最重要)

  • 分電盤の設置場所を図面上で決めた(手が届き、日常的に入る場所か)
  • ルーター置き場を家の中央付近に確保した(電源+光回線引込)
  • 将来の間仕切り位置を伝え、両側に照明・スイッチ・コンセントを配置した
  • エアコンを設置する部屋をすべて申告した(将来設置予定も含む)
  • 駐車場から建物までの距離を確認し、EV用の空配管を検討した
  • 給湯機・室外機・パワコンの設置場所を確認した
  • 階段や吹抜けの照明を、どうやって交換・清掃するか確認した

2-4. 仕様決定の段階

  • IH/ガスを確定させた(配線打ち合わせより前に)
  • 給湯方式(エコキュート/エコジョーズ等)を確定させた
  • 太陽光を載せるかどうかを決めた
  • 蓄電池・V2Hを「今やる/将来やる/やらない」で仕分けた
  • 床暖房の有無と範囲を決めた
  • 食洗機・浴室乾燥機・宅配ボックスなど、電源が要る設備を洗い出した
  • 「将来やるかもリスト」を作り、配管・配線だけ先行するものを選んだ


STEP 3|部屋別チェックシート

ここからは部屋ごとの確認項目です。「何を置くか」を先に書いてから、電源の位置を考えるのがコツです。

3-1. 玄関・土間

確認項目 記入欄
ここに置くもの  
電動自転車の充電はどこで?  
宅配ボックス・インターホンの電源  
人感センサー照明にするか  
玄関からLDKへの通り道の照明操作(3路)  
シューズクロークの照明・電源  

3-2. LDK

確認項目 記入欄
テレビの位置と設置方法(床置き/壁掛け)  
テレビ裏の配線処理(空配管の有無)  
ソファのサイズと向き  
ソファ横のコンセント(FL+400mm推奨)  
ダイニングテーブルのサイズと位置  
ペンダントライトの吊り位置(ダクトレール検討)  
ホットプレート用の床近くコンセント  
照明の系統分け(全体/部分/間接)  
調光を入れる系統  
スイッチの操作位置(リビング入口/キッチン側)  
掃除機用のコンセント  
エアコンの位置と専用回路  
スタディコーナー・在宅ワークの電源とLAN  

3-3. キッチン

確認項目 記入欄
カウンター上で同時に使う家電の数  
カウンター上のコンセント(2口×2か所以上/回路分け)  
冷蔵庫の位置と専用回路・アース  
電子レンジ・オーブンの位置と専用回路  
食洗機の電源とアース  
IHの200V回路(またはガスコンロの電源)  
レンジフードの電源とスイッチ  
手元灯の有無と操作位置  
パントリー内のコンセント(充電・ストック家電)  
ゴミ箱・浄水器・生ゴミ処理機の電源  

3-4. 洗面脱衣室・浴室

確認項目 記入欄
朝、同時に使う人数  
鏡横のコンセント(2口×左右)  
電動歯ブラシ・シェーバーの充電場所  
洗濯機の専用回路とアース付きコンセント  
乾燥機・除湿機の電源  
浴室乾燥暖房機の有無と操作パネル位置  
スイッチが扉に隠れないか  
室内干しスペースの照明・換気  

3-5. 寝室

確認項目 記入欄
ベッドのサイズと配置  
枕元のコンセント(左右それぞれ)  
入口+枕元の3路スイッチ  
照明の調光・常夜灯  
加湿器・空気清浄機の置き場と電源  
エアコンの位置(ベッドに直接風が当たらないか)  
ウォークインクローゼットの照明(人感センサー)  

3-6. 子ども部屋

確認項目 記入欄
将来の間仕切り位置  
分割後、両側に照明・スイッチ・コンセントがあるか  
机の予定位置と、その高さのコンセント  
有線LANを入れるか  
ベッド側のコンセント  
エアコン(分割後は2台必要になる可能性)  
小さい子の安全対策(カバー・位置)  

3-7. 廊下・階段・トイレ

確認項目 記入欄
掃除機がどこまで届くか(コンセントの間隔)  
階段の3路スイッチ(上下)  
足元灯・常夜灯の有無  
トイレの人感センサー(1階・2階とも)  
温水洗浄便座の電源とアース  
2階ホールのコンセント(掃除機・アイロン)  

3-8. 屋外・駐車場

確認項目 記入欄
屋外コンセントの数(玄関側/庭側)  
設置高さ(FL+500〜700mm推奨)と防水型か  
屋外用途(高圧洗浄機・電動工具・イルミネーション)  
ポーチ灯・門灯の点滅方法(センサー/タイマー)  
防犯カメラの電源と配線  
EV充電の予定(今/将来/なし)  
駐車場までの空配管(CD管)の先行埋設  
ウッドデッキ・物置の電源  

3-9. 分電盤・全体設備

確認項目 記入欄
分電盤の設置場所と高さ  
契約容量(アンペア/kVA)  
回路数と予備回路の数  
専用回路になっている機器の一覧  
ルーター置き場(電源・光回線・各室LAN)  
2階アクセスポイント用の配線  
太陽光パワコンの設置場所(音・発熱)  
蓄電池の将来設置スペース  
HEMS・スマート分電盤の有無  
雷サージ対策(避雷器の有無)  


STEP 4|打ち合わせ当日の持ち物

  • 家具・家電を実寸で書き込んだ間取り図(A3印刷推奨)
  • 家電の棚卸し表(STEP 1-2)
  • 平日の1日タイムライン(STEP 1-3)
  • 今の住まいの不満リスト(STEP 1-1)
  • 将来やりたいことリスト(EV・部屋分割・蓄電池など)
  • このチェックリストの印刷版
  • 色ペン(決まったこと/保留を色分けする)
  • スマホ(図面を撮影して持ち帰るため)

STEP 5|担当者にする質問リスト

5-1. 全体について

  • この図面で、専用回路になっているのはどの機器ですか?
  • 分電盤の予備回路はいくつ残りますか?
  • 契約容量は何アンペアですか?その根拠は?
  • 標準に含まれる数量と、追加分はいくつですか?
  • 追加分の見積はいつもらえますか?
  • 今日決めきれない部分は、いつまでに返事すればいいですか?
  • 確定図面はいつもらえますか?

5-2. 各部屋について

  • このコンセントは、どの家具の位置を想定していますか?
  • このスイッチは、扉を開けたときに隠れませんか?
  • この照明は、電球交換をどうやってしますか?
  • この照明は調光できますか?後から調光にできますか?
  • カーテンレールやブラインドと干渉しませんか?
  • エアコンの配管ルートはどこを通りますか?

5-3. 将来について

  • EV充電を後から付ける場合、いくらくらいかかりますか?
  • 今、空配管だけ通しておくといくらですか?
  • 蓄電池を後から入れる場合、どこに置きますか?
  • 子ども部屋を分割するとき、追加工事は必要ですか?
  • コンセントを1か所追加する場合の費用は?(今/着工後/引渡し後)

5-4. 補助金・制度について

  • この住宅は、どの補助金の対象になりますか?
  • 申請の締切と、間に合わせるための着工時期は?
  • 御社は補助金の登録事業者ですか?
  • 自治体独自の補助制度は使えますか?
  • 補助金の申請手続きは、どちらが行いますか?


STEP 6|上棟後の現場確認チェックリスト

配線が終わり、壁のボードを貼る前が最後の修正チャンスです。事前に担当者へ立会いを申し込んでください。

6-1. 持っていくもの

  • 電気配線図(確定版)
  • 家具のサイズを書いたメモ
  • メジャー(高さを実測するため)
  • スマホ(各部屋の配線状況を撮影)
  • ヘルメット・動きやすい靴(用意されていない場合に備えて)

6-2. 現場で見るポイント

  • スイッチボックスが扉の開き勝手と干渉していないか
  • コンセントが家具の裏に完全に隠れないか
  • 窓・カーテンレールとの干渉はないか
  • 高さの体感(図面のFL+250mmが実際どう見えるか)
  • テレビ裏の空配管が意図した位置にあるか
  • 屋外コンセントの位置・高さ
  • 駐車場までの空配管が埋設されているか
  • 分電盤の位置と、その前に立てるスペースがあるか

現場でのマナー
修正の要望は、必ず現場監督か営業担当を通してください。その場にいる職人さんに直接お願いすると、記録に残らず、後でトラブルになります。また、現場は工程が詰まっているので、必ず事前にアポを取ってから訪問しましょう。

STEP 7|引き渡し時の確認

  • すべてのコンセントに通電しているか(スマホ充電器などで確認)
  • すべてのスイッチと照明の対応が合っているか
  • 3路スイッチが両方から操作できるか
  • 人感センサーの反応範囲と点灯時間
  • 分電盤の回路名称ラベルが正しく書かれているか
  • 予備回路が図面どおり残っているか
  • 屋外コンセントの防水カバーが正しく閉まるか
  • アース付きコンセントに、実際にアースが接続されているか
  • 配線図(竣工図)を受け取ったか ← 将来のリフォームで必ず必要になります

竣工図は必ず保管を
引き渡し時にもらう電気配線図(竣工図)は、10年後・20年後のリフォームやトラブル対応で必ず役に立ちます。紙で保管しつつ、スマホで撮影してクラウドにも保存しておくことを強くおすすめします。「壁のどこに配線が通っているか」がわかるだけで、後の工事の安全性と費用が変わります。


まとめ|完璧を目指さなくていい

ここまで多くの項目を並べましたが、すべてを埋める必要はありません。優先順位をつけるなら、次の順です。

  1. STEP 2-3(間取り確定の段階):後から絶対に変えられない項目。ここだけは全部確認してください
  2. STEP 1(暮らしの棚卸し):これがあるだけで、打ち合わせの質が変わります
  3. STEP 6(現場確認):無料でできる最後の修正チャンス
  4. 残りは、余力のある範囲で

家づくりは決めることが膨大で、電気の打ち合わせのころには誰もが疲れきっています。だからこそ、この紙を1枚持っていくだけで、判断の質はぐっと上がります。印刷して、当日のテーブルに置いてください。

次に読むならこれ共働き4人家族の家づくり18か月密着|電気の打ち合わせで何を決めたか【モデルケース】家庭の電気設備の設計
ABOUT ME
HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。