この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。
腐食性ガスや溶液がある場所の電気設備を内線規程に基づき解説。ガス・溶液の種類に応じた配線方法、がいし引き配線での絶縁電線・裸電線の条件、電線管への防食塗料、合成樹脂管の気密、腐食に強い機器選定と接地工事のポイントを図解で整理します。
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全体像:内線規程【079】腐食性ガスなどのある場所
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出典:内線規程(JEAC8001-2022)より

アンモニアや塩素などの腐食性ガス、酸・アルカリなどの溶液がある場所では、電線被覆や金属部が腐食し、絶縁低下・感電・火災を招きます。内線規程では配線方法・防食対策・接地について基準が定められています。本記事では要点を図解で整理します。

腐食性ガスのある場所の電気設備の3つのポイント(配線方法・防食対策・機器と接地)を示した図解

結論

腐食性ガスのある場所では、①ガス・溶液の種類に応じがいし引き・金属管・合成樹脂管・二種金属製可とう・ケーブル・キャブタイヤケーブルのいずれかで配線し、②電線管や附属品に防食塗料を施し合成樹脂管は接合部を気密にし、③機器は腐食性ガスが入らない構造とし規定に準じて接地工事を施します。

この記事でわかること
✔ 配線方法とがいし引き配線
✔ 配管・ケーブルの防食対策
✔ 機器と接地工事
ペン太ペン太
アンモニアや塩素のある場所だと、電線ってそんなに傷むんですか?
ハリタハリタ
被覆や金属部が腐食して絶縁低下や火災につながります。配線・防食・接地の3つの対策が要点です。

この3つ、すぐ答えられますか

  • がいし引き配線を施設できるのは、どんな場所か
  • 裸電線を使用できるのはどんな場合で、床上いくつ以上に施設するか
  • 裸電線と造営材との距離は、いくつ以上離すか
この記事でわかること
防食の具体策は、2つ目の項にまとめています。

配線方法とがいし引き配線

トピック1:配線方法とがいし引き配線
  • 腐食性ガスや溶液がある場所の配線は、がいし引き配線・金属管配線・合成樹脂管配線(厚さ2mm未満の合成樹脂製電線管及びCD管を除く)・金属製可とう電線管配線(二種金属製可とう電線管に限る)・ケーブル配線・キャブタイヤケーブル配線のいずれかで行います。
  • がいし引き配線は、簡易接触防護措置を施し、露出場所に限って施設します。電線は絶縁電線(DV電線及びDE電線を除く)または同等以上の絶縁効力のあるものを使用します。
  • 電線の絶縁物が害される場所では裸電線を使用でき、その場合は床上2.5m以上に施設するか、さくを設けるなどして取扱者以外が立ち入れないようにします。裸電線を使用する場合は造営材との距離を4.5cm以上離します。
ペン太ペン太
金属管なら丈夫だから、そのまま通しても平気だと思ってました!
ハリタハリタ
腐食性ガスの場所では防食塗料が必要です。合成樹脂管も接合部を気密にして浸入を防ぎます。
ここまでのポイント
  • 配線は、がいし引き配線・金属管配線・合成樹脂管配線(厚さ2mm未満の合成樹脂製電線管およびCD管を除く)・金属製可とう電線管配線(二種に限る)・ケーブル配線・キャブタイヤケーブル配線のいずれかで行う
  • がいし引き配線は、簡易接触防護措置を施し、露出場所に限って施設する
  • 電線は絶縁電線(DV電線およびDE電線を除く)または同等以上の絶縁効力のあるものを使用する
  • 電線の絶縁物が害される場所では裸電線を使用でき、その場合は床上2.5m以上に施設するか、さくを設けるなどして取扱者以外が立ち入れないようにする
  • 裸電線を使用する場合は造営材との距離を4.5cm以上離す

配管・ケーブルの防食対策

トピック2:配管・ケーブルの防食対策
  • 金属管配線・金属製可とう電線管配線では、電線管・二種金属製可とう電線管及びその附属品に防食塗料を施し、内部に腐食性ガスや溶液が浸入しないように施設します。
  • 合成樹脂管配線では、管相互または管と附属品との接合部を気密とし、内部に腐食性ガスや溶液が浸入しないように施設します。
  • ケーブル配線・キャブタイヤケーブル配線では、腐食性ガスや溶液によって外装が侵されないよう予防方法を施し、その種類に応じて外装が侵されないものを選びます。
配線方式防食のしかた
金属管・二種金属製可とう電線管管と附属品に防食塗料を施し、ガスや溶液の浸入を防ぐ
合成樹脂管管相互または管と附属品の接合部を気密とする
ケーブル・キャブタイヤケーブル外装が侵されない種類を選び、予防方法を施す
ここまでのポイント
  • 金属管配線・金属製可とう電線管配線では、電線管・二種金属製可とう電線管およびその附属品に防食塗料を施す
  • 内部に腐食性ガスや溶液が浸入しないように施設する
  • 合成樹脂管配線では、管相互または管と附属品との接合部を気密とする
  • ケーブル配線・キャブタイヤケーブル配線では、腐食性ガスや溶液によって外装が侵されないよう予防方法を施し、その種類に応じて外装が侵されないものを選ぶ

機器と接地工事

トピック3:機器と接地工事
  • 開閉器コンセント過電流遮断器などは、原則として腐食性環境への露出を避けます。やむを得ない場合は防水ソケットも有効で、器具の金属部分には防食塗料を塗布します。
  • 電動機その他の電力装置は、内部に腐食性ガスや溶液が浸入しない構造の製品を選び、表面に防食塗料を塗布するなどの腐食対策を行います。
  • 機械器具の鉄台・金属製外箱・鉄わくなどには、規定に準じて接地工事を施します。

たとえ話で理解しよう

腐食性ガスのある場所は、潮風がいつも吹きつける海辺のようなもの。金属も電線の被覆も少しずつ傷んでいきます。だから「腐食に強い材料を選び、防食塗料で守る」ことが欠かせないのです。

見習いペン太
見習いペン太
先生、腐食性ガスのある場所では何に気をつけますか?
はりた
はりた
ガスや溶液の種類に合った配線方法を選び、電線管や附属品には防食塗料を施すんだ。合成樹脂管なら接合部を気密にするよ。
見習いペン太
見習いペン太
機器はどう選べばいいですか?
はりた
はりた
腐食性ガスが内部に入らない構造のものを選び、表面に防食塗料を塗る。鉄台や金属外箱には規定に準じて接地工事を施すんだよ。
取り違えやすいところ正しくは
がいし引き配線はどこでも使える簡易接触防護措置を施し、露出場所に限って施設する
裸電線は使えない絶縁物が害される場所では使用でき、床上2.5m以上またはさくで立入を防ぐ
裸電線は造営材に沿わせてよい造営材との距離を4.5cm以上離す
開閉器やコンセントも普通に設けてよい原則として腐食性環境への露出を避ける
防食は配管だけ考えればよい機器の表面や金属部分にも防食塗料を塗布する
ここまでのポイント
  • 開閉器・コンセント・過電流遮断器などは、原則として腐食性環境への露出を避ける
  • やむを得ない場合は防水ソケットも有効で、器具の金属部分には防食塗料を塗布する
  • 電動機その他の電力装置は、内部に腐食性ガスや溶液が浸入しない構造の製品を選ぶ
  • 表面に防食塗料を塗布するなどの腐食対策を行う
  • 機械器具の鉄台・金属製外箱・鉄わくなどには、規定に準じて接地工事を施す

よくある質問(FAQ)

トピック4:よくある質問
Q. 腐食性ガスや溶液がある場所ではどんな配線方法が使えますか?
A. がいし引き配線、金属管配線、合成樹脂管配線(厚さ2mm未満の合成樹脂製電線管及びCD管を除く)、金属製可とう電線管配線(二種金属製可とう電線管に限る)、ケーブル配線、キャブタイヤケーブル配線のいずれかを、腐食性ガスや溶液の種類に応じて選びます。
Q. がいし引き配線で裸電線を使うときの条件は?
A. 電線の絶縁物が害される場所では裸電線を使用できます。その場合は床上2.5m以上の高さに施設するか、さくを設けるなど取扱者以外が立ち入れないようにし、電線と造営材との距離を4.5cm以上離します。
Q. 配管や機器の防食はどうすればよいですか?
A. 金属管や金属製可とう電線管及びその附属品には防食塗料を施し、合成樹脂管は接合部を気密にして腐食性ガスや溶液の浸入を防ぎます。機器は内部に腐食性ガスが浸入しない構造のものを選び、表面に防食塗料を塗布し、鉄台等には規定に準じて接地工事を施します。

まとめ|材料を選び、塗り、気密にする

腐食性ガスのある場所では、電線も金属も少しずつ傷んでいきます。だから「腐食に強い材料を選ぶ」「防食塗料で守る」「接合部を気密にしてガスを入れない」の3点が要になります。

確認する順番見るところ基準
Step1配線方式6つの方式から選ぶ(薄い樹脂管とCD管は除く)
Step2がいし引きの可否簡易接触防護措置を施した露出場所か
Step3裸電線の使用絶縁物が害される場所か。床上2.5m以上、造営材と4.5cm以上
Step4防食対策防食塗料、接合部の気密、外装が侵されないケーブル
Step5機器と接地露出を避けた選定、防食塗料、鉄台・外箱への接地工事

腐食は時間をかけて進むため、竣工時には問題が見えません。材料の選定と防食処理を記録に残しておくと、数年後の点検で判断の手がかりになります。

📘 この記事の根拠規程|解説の原文は内線規程(JEAC8001-2022)に掲載されています。実務で使う方は手元に1冊どうぞ → 電気設備の必携書籍おすすめ4選【2026年版】

ペン太ペン太
がいし引きで裸電線を使うときは何に気を付ければ?
ハリタハリタ
床上2.5m以上の高さか立入制限が条件です。条件を守れば選択肢になりますよ。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。