この記事は、連載「照明設備の設計マニュアル」第1回 全体フローと必要照度 の補足解説です。計画全体の流れは 設計・施工マニュアル(目次) からご覧いただけます。
電気図記号の読み方の全体像
📚 この記事は連載「図解&会話で学ぶ 電気設備設計の基礎」の1本です。→ 全カリキュラム(目次)はこちら
今回の内容を1枚にまとめたグラレコ
📝 今日の全体像を1枚で。まずこのグラレコ、詳しくは本文で!

前回、配置図は「場所を答える図」だと分かりました。でも開いてみると、丸や黒丸、線だらけ…。今日はその図面の“文字”=図記号を覚えます。頻出の記号さえ押さえれば、配置図の9割は読めるようになります

ペン太ペン太
配置図が記号だらけで、まるで暗号です。全部覚えないとダメですか?
ハリタハリタ
まず頻出8記号だけで大半が読めます。頻出20個まで広げれば実務の9割をカバーできますよ。

この3つ、すぐ答えられますか

  • 照明の「丸」とコンセントの「丸」は、どこで見分ける
  • コンセントの添字E と ETは、それぞれ何が付いているか
  • スイッチと照明を結ぶ点線は、図面で何を表しているか

まずは頻出8記号から

トピック1:まずは頻出8記号から
ペンタ
ペンタ(新人)
はりたさん、配置図を開いたんですけど、丸とか黒丸とか記号だらけで暗号にしか見えません…。これ、全部覚えるんですか?
はりた
はりた(先輩)
安心して。よく出る記号は実はひと握り。まずは図①の8つだけ覚えよう。これで配置図の大半は読めるようになるよ。
図1 頻出図記号8選:照明・コンセント・スイッチ・盤換気の記号がグループごとに光る
図① 頻出図記号8選 ― この8つで配置図の大半が読める(代表的な描き方)
  • 照明:丸=シーリングライト、細長=ベースライト(蛍光灯形)。
  • コンセント:丸+2本線。添字が仕様を表す(「2」=2口、「E」=アース付、「WP」=防水)。
  • スイッチ:黒丸。「3」が付けば3路スイッチ(階段など2か所で操作)。
  • 盤・換気:半分塗りの四角=分電盤、羽根マーク=換気扇。
対象記号の形(代表的な描き方)添字の例
照明丸=シーリングライト、細長=ベースライト(蛍光灯形)
コンセント丸+斜めの2本線2=2口、E=アース付、WP=防水
スイッチ黒丸3=3路スイッチ(階段など2か所で操作)
分電盤半分塗りの四角
換気扇羽根マーク
ここまでのポイント
  • よく出る記号はひと握り。まず8つで配置図の大半が読める
  • 照明は丸と細長、コンセントは丸+斜めの2本線、スイッチは黒丸
  • 仕様は記号の大きさではなく、形と添字に詰まっている

記号が読めると、図面が「文章」になる

トピック2:記号が読めると、図面が「文章」になる
ペンタ
ペンタ(新人)
お、たしかにこの8つなら覚えられそう…。でも記号を覚えたら、図面が読めるようになるんですか?
はりた
はりた(先輩)
なるよ。図②を見て。ひとつの部屋を記号で追っていくと、図面がまるで文章みたいに読めるから。特に注目してほしいのが、スイッチと照明を結ぶ点線だよ。
図2 部屋の配置図を記号で読む:照明→スイッチ→点線のひも付け→コンセント→換気扇と順に光る
図② 記号で読む1つの部屋 ― 点線は「このスイッチがこの照明を操作する」のひも付け

図②を文章にすると――「部屋の中央にシーリングライト。ドア横の片切スイッチで操作(点線でひも付け)。壁に2口コンセント、水回り側はアース付き。外壁に換気扇」。記号+添字+線の3点セットが読めれば、初めての図面でも部屋の電気設備を説明できます。

ペンタ
ペンタ(新人)
ほんとだ、文章になった…!点線がスイッチと照明の“ひも付け”っていうのは知りませんでした。
はりた
はりた(先輩)
この線が読めると「このスイッチはどこの照明?」という現場の質問に答えられる。あと大事なのが凡例(はんれい)。図面の最初にある記号の一覧表のことで、迷ったら必ず凡例に戻る。これが図面読みの鉄則だよ。

💼 この回が実務でこう生きる

  • 配置図を独力で読める → 図面チェック・現場対応のスピードが上がる。
  • 拾い出し(数量拾い)で器具を数え間違えない。添字(E・WP・口数)で仕様まで正確に拾える。
  • 「このスイッチはどの照明?」に点線のひも付けで答えられる。
ペン太ペン太
大きく描かれた記号は、大きい器具ってことでいいんですよね?
ハリタハリタ
記号の大きさに意味はありません。情報は形と添字に集約されています。凡例を見る習慣をつけましょう。
ここまでのポイント
  • 記号を追っていくと、図面は文章のように読める
  • 注目したいのはスイッチと照明を結ぶ点線=「このスイッチがこの照明を操作する」
  • 読めると図面チェック・現場対応のスピードが上がる

📋 実務活用事例|見積の「拾い出し」は記号読みが勝負

トピック3:実務活用事例|見積の「拾い出し」は記号読みが勝負

ケース:見積のため、配置図から器具を数える「拾い出し」を任された。

記号があいまいな新人:シーリングとダウンライトを混同して照明を数え間違い。コンセントも「個数」だけ数えて、アース付や防水の区別を落とす → 見積が合わない・材料の手配ミス。

記号が読める新人:照明24台(シーリング8・ベースライト16)、コンセント36個(うちE付き6・WP防水2)と、数量+仕様まで正確に拾い、器具表と突き合わせて検算。差異が出た2か所を発見して先輩に報告。

結論:拾い出しの精度=見積の精度。記号と添字が読めることが、そのままお金の精度につながります。

🐣 いまさら聞けない素朴なギモン

「こんなこと聞いていいのかな…」という質問ほど大事。ここで拾います。

Q.照明の「丸」とコンセントの「丸」、見分けがつかなくなりませんか?
→ コンセントには斜めの2本線が付き、照明には付きません。それでも迷ったら凡例へ。最初はみんな混同するので大丈夫。

Q.記号の大きさに意味はありますか?
→ 基本的にありません(見やすさ優先)。情報は大きさではなく「形」と「添字」に詰まっています。

🔎 深掘りQ&A ― もう一歩、聞いてみよう

トピック4:深掘りQ&A ― もう一歩、聞いてみよう

Q.図記号って、結局ぜんぶ暗記しなきゃダメですか?

A.全部は不要!記号はJIS(C 0303)で決まっているけど、頻出の20個くらいで実務の9割はカバーできる。残りは図面の最初にある凡例(記号一覧表)を引けばOK。「凡例に戻る」習慣の方が暗記より大事だよ。

Q.コンセントの「E」と「ET」って何が違うんですか?

A.E=接地極(アース線を差せる穴がある)、ET=接地端子付(ネジ式の端子)。洗濯機・冷蔵庫・電子レンジなど水回りや大型家電はE付きが基本。ちなみに「EET」なら両方付き。銘板ならぬ添字に仕様が全部詰まってるんだ。

Q.3路スイッチの「3路」ってどういう意味ですか?

A.スイッチの中の接点の数(電線をつなぐ端子が3つ)から来た呼び名。階段の上下や廊下の両端など、2か所から同じ照明をON/OFFしたいときに使う。ちなみに3か所以上で操作するときは真ん中に「4路スイッチ」が入るよ。

💬 はりたから新人さんへ:おすすめの練習は、自分の家や職場の部屋を1つ、記号で描いてみること。照明・スイッチ・コンセントを記号にして点線でひも付けるだけで、図面が「読める」から「描ける」に変わります。
添字意味
2口数(2口コンセント)
E接地極付(アース線を差せる穴がある)
ET接地端子付(ネジ式の端子)
EET接地極付と接地端子付の両方
WP防水
33路スイッチ
ここまでのポイント
  • 記号はJIS(C 0303)で決まっているが、頻出20個ほどで実務の9割をカバーできる
  • 残りは図面の最初にある凡例(記号一覧表)を引けばよい
  • E=接地極付、ET=接地端子付、EET=両方。水回りや大型家電はE付きが基本

⚠️ ここだけ注意

トピック5:ここだけ注意

図記号はJISが基本ですが、会社・CADの標準で形が少し違うことがよくあります。この記事の記号も「代表的な描き方」。実案件では必ずその図面の凡例を正とすること。凡例と違う記号を見つけたら、それは質問のチャンスです。

ペン太ペン太
記号と添字は覚え始めました。次のステップは何ですか?
ハリタハリタ
実図面で拾い出しの練習です。器具の数量と仕様を正確に拾えれば、見積の精度に直結しますよ。

まとめ

トピック6:まとめ

結論。図記号は暗記より、形・添字・凡例の3点セット。この順で見れば、初見の図面でも手が止まりません。

拾い出しの場面記号があいまいだと記号が読めると
照明シーリングとダウンライトを混同して数え間違い照明24台(シーリング8・ベースライト16)と内訳まで拾える
コンセント「個数」だけ数えて、アース付や防水の区別を落とす36個(うちE付き6・WP防水2)と仕様まで拾える
結果見積が合わない・材料の手配ミス器具表と突き合わせて検算し、差異を先に見つけられる

図面が読めるようになる3つ

  • 図記号は図面の“文字”。頻出8記号で配置図の大半が読める(図①)。
  • 添字が仕様:2=口数、E=アース付、WP=防水、3=3路。
  • 点線=スイッチと照明のひも付け。記号+添字+線で図面が文章になる(図②)。

迷ったときの2つ

  • 迷ったら凡例(記号一覧表)に戻るのが鉄則。
  • 記号読みの精度は、拾い出し=見積の精度に直結する。

おすすめの練習は、自分の家や職場の部屋をひとつ、記号で描いてみること。照明・スイッチ・コンセントを記号にして点線でひも付けるだけで、図面が「読める」から「描ける」に変わります。

▶ 次回・第6回

単線結線図の読み方・書き方の第一歩
受電から盤、負荷までを「1本の線」で表す考え方を、実例でたどります。第2部のクライマックス!

✅ 振り返りチェック ― 今日の理解度をセルフ確認
3つ以上チェックできたら合格!あやしい項目は、その見出しまで戻ってサッと復習しよう。
弱電設備の計画のなかで読む
この内容は、連載「弱電設備の設計マニュアル」の 第6回 図面化と拾い でも扱っています。
連載の目次は 設計・施工マニュアル からどうぞ。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。