強電設備の設計|照明の「四角(格子)配置」とは?4台合成で間隔を最大化
広い部屋やフロアの照明を、何台・どの間隔で並べればいいのか。大空間の配置図を前に、手が止まったことはありませんか。単灯・直線ときて、次に出てくるのが面でカバーする「四角(格子)配置」です。
🤔 こんなモヤモヤ、ありませんか?
・広い部屋は、器具をどう並べるのが正解?
・なぜ格子(四角)だと間隔を広げられるの?
・一番暗いのはどこ?どこで“足りている”と判断する?
カギは「4台で合成する」しくみと、判定ポイントになる「対角の中心」。この記事では、なぜ格子だと間隔を一番広げられるのか、そしてどこを見て配置OKと判断するのかを、順番にほどいていきます。
「単灯配置」「直線配置」ときたら、広い部屋を面でカバーする本命が四角(格子)配置です。器具を縦横にそろえて格子状に並べ、照度範囲の円(等照度線)を平面いっぱいに重ねていきます。この記事では、なぜ格子だと器具間隔を一番広げられるのか、そしてどこで「足りているか」を判定するのかを、ハリタ先生とペン太の会話でほどいていきます。

1. 四角(格子)配置とは
器具を縦横そろえて等間隔(ピッチ D)で並べる配置です。上から見ると碁盤の目のような格子状。廊下のような「1列」(直線配置)を、そのまま面に拡張したイメージです。オフィスの居室、店舗、倉庫といった広い空間の全般照明・非常照明で基本になる置き方です。
🐧 ペン太:直線配置を、縦にも並べただけですか?
🦔 ハリタ先生:そう、見た目はね。でも“縦にも並べる”ことで、ある1点を照らす器具が2台から4台に増えるのがミソなんだ。ここが格子配置の強みにつながるよ。
🦔 特に有効な場面|大空間・工場
格子配置が本領を発揮するのは、天井が高く床面積の広い大空間——工場・倉庫・体育館・大型店舗などです。1台ずつ点で照らすより、格子で「面」を均一に埋めるほうが、少ない台数でムラなく必要照度を確保できます。天井が高いぶん円は小さくなりますが、4台合成で間隔を稼げる格子なら、台数を抑えつつ均斉度(明るさのムラの少なさ)も保てるのが強みです。
2. なぜ間隔を最大化できるのか

ポイントは「一番暗い点を、何台で明るくしているか」です。単灯ならある点を1台で。直線なら中央を2台で合成。そして格子は、4台に囲まれた中心を4台で合成します。合成する台数が増えるほど、一番暗い点でも必要照度に届くので、同じ器具でも器具間隔を広げられる——これが格子で間隔を最大化できる理由です。
実際、照度範囲の円の記事で見た天井高2.6mの参考例では、最大取付間隔が 単灯 約5〜6m → 直線 約12m → 格子 約14m と、合成台数が増えるほど広がっていきます。
2.5 「2lx・1lx・0.5lxの円」で足し算を見える化
合成の考え方は、器具1台の等照度線を2lx・1lx・0.5lxの同心円で描くと一気に見えやすくなります。器具に近いほど明るいので、内側から 2lx → 1lx → 0.5lx と円が広がります。あとは、重なった場所で明るさを足し算(合成照度)して、どこでも2lx以上になるよう配置するだけです。

同じ「合計2lx」でも、分担のしかたが3通りあるのがポイントです。単灯は2lx円の中に点を収める(1台)、直線は1lxの円どうしを中間で重ねる(1lx+1lx=2lx、2台)、格子は0.5lxの円を中心で4枚重ねる(0.5lx×4=2lx、4台)。合成する台数が増えるほど、1台あたりの負担(必要な円の明るさ)が小さくて済むので、器具間隔を広げられるわけです。
💡 補足:最大取付間隔=「合成した明るさ」を距離にしたもの
円の半径は「その明るさに届く距離」です。だから複数の円を足し合わせて2lxを保てる範囲=“2lxを確保できる最大の距離”が、そのまま器具の最大取付間隔(配置ピッチ)になります。言いかえると、表の「約12m」「約14m」といった値は、合成した明るさ(合計2lx)を距離に翻訳した結果です。台数を増やして合成を厚くするほど、この“距離”を長くできます。
3. 判定ポイントは「対角の中心」

格子の中で一番暗いのは、4台に囲まれた正方形の中心(対角線の交点)です。ここは各器具から約0.71D(=D÷√2)離れた最遠点。この点の照度は、4台ぶんの逐点法照度の合計になります。この合計が LED2lx(蛍光灯・LEDは2lx、白熱灯は1lx)以上なら、その配置はOKです。
直線配置が「中央を2台で合成」だったのに対し、格子は「中心を4台で合成」。合成が増えるぶん、同じ器具でもピッチを広げられるわけです。
🐧 ペン太:じゃあ中心さえ足りれば、端っこは明るいってこと?
🦔 ハリタ先生:器具の直下やすぐ近くはもともと明るいからね。一番きびしいのが対角の中心だから、そこを押さえれば内側は基本OK。ただし“壁ぎわ”だけは別で、次で説明するよ。
4. 正方形配置と千鳥(互い違い)配置
格子にも2つのタイプがあります。正方形(碁盤目)配置は縦横を同じピッチでそろえるオーソドックスな形で、計算がシンプル。もう一つの千鳥(互い違い)配置は、1列ごとに半ピッチずらして並べる形です。同じ台数でも暗部を分散でき、均斉度(明るさのムラの少なさ)が上がることがあります。細長い空間や意匠上の理由で選ばれます。
どちらも「一番暗い点で基準を満たす」という判定の考え方は同じです。まずは正方形で必要台数を出し、必要に応じて千鳥を検討するのが実務的です。
5. 壁際・端部の納まり

部屋の端では、外側に器具が無いぶん合成が効かず、暗くなりやすいのが弱点です。目安は、端の器具を壁から D/2(間隔の半分)に置くこと。こうすると壁ぎわまで円のカバーが届きます。
6. 実務での最大取付間隔の目安
配置パターンごとの最大取付間隔を、天井高2.6mの参考例で並べると次のようになります。
| 配置パターン | 合成する台数 | 最大取付間隔(天井高2.6m例) | 単灯比 |
|---|---|---|---|
| 単灯配置 | 1台 | 約5〜6m | ×1.0 |
| 直線配置 | 2台 | 約12m | ×約2倍 |
| 四角(格子)配置 | 4台 | 約14m | ×約2.5倍 |
7. 「照度範囲の円」「逐点法」とのつながり
格子配置の判定は、結局のところ「1台ぶんの円(等照度線)を重ねて合成する」逐点法の延長です。円の半径の出し方や、円と円を足し合わせる合成照度の考え方は、照度計算の「照度範囲の円」とは?逐点法の基本で詳しく解説しています。あわせて読むと、格子配置の「対角の中心=4台合成」がすっと腑に落ちるはずです。
よくある質問(FAQ)
Q. 正方形と長方形(縦横でピッチが違う)、どちらでもいい?
A. どちらでも可能です。ただし長い方向のピッチが効くので、一番暗い点(対角の中心)で基準を満たすかを必ず確認しましょう。
Q. 天井が高いと、格子でも間隔を詰める?
A. はい。直下照度 E0=I0÷h² が下がって円が小さくなるため、取付高さが上がるほど間隔は狭くなります。
Q. 千鳥配置のほうが台数を減らせる?
A. 均斉度は上がりやすいですが、必要台数は必要照度しだいです。まず正方形で必要台数を出し、意匠・均斉度の観点で千鳥を検討するのが実務的です。
まとめ
四角(格子)配置は、器具を縦横そろえて円を面で重ねる配置です。判定は「4台に囲まれた対角の中心」——ここで LED2lx を満たせばOK。合成台数が単灯1→直線2→格子4と増えるぶん、同じ器具でも間隔を一番広げられます。端部は壁から D/2 に寄せて暗がりを防ぎましょう。基礎になる円の考え方は「照度範囲の円」の記事もあわせてどうぞ。





