電気設備の経済ニュース|2026年7月27日号

為替・資材価格・納期・制度・新技術を、電気設備の実務目線で毎朝1本。数値はすべて速報値・出典付きです。

今号まるわかりグラレコ 電気設備の経済ニュース 2026年7月27日号

今号のポイント3点

  1. ドル円は163円台後半まで円安が進み、39年ぶりの水準に。輸入資材の値上げ圧力が続いています。
  2. 電気銅建値は1トン237万円で過去最高値を更新。ケーブル・電線の単価に直接効いてきます。
  3. トップランナー変圧器の新基準と低濃度PCBの処分期限が重なり、受変電設備の長納期化リスクが高まっています。
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為替:ドル円は163円台後半、39年ぶりの円安水準

円安

7月24日のドル円は163.83円(東京市場終値ベース)

前日比は0.45円のドル高・円安。同日は163円台後半まで進み、報道では39年ぶりの円安水準と伝えられています。七十七銀行の対顧客電信売買相場仲値でみると、7月24日は164.01円で、年初(1月1日 156.56円)から約7.5円の円安です。

出典:OANDA証券「ドル/円見通し(2026年7月24日)」、七十七銀行「米ドル対円相場(仲値)一覧表(2026年)」

米ドル/円 仲値の推移(2026年1月1日〜7月24日)

実務への影響:海外製の変圧器・PCS・EV充電器など輸入比率の高い機器は、見積の有効期限を短めに設定しておくと安全です。長期案件は為替スライドの条項を発注者と早めに握っておきましょう。

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株式:日経平均は急落、業種別では非鉄金属が独歩高

ウォッチ

日経平均は7月24日終値 64,611.15円(前日比 −1,811.45円/−2.73%)

米ハイテク株安を受けてAI・半導体関連が売られ、中東情勢を背景とした原油高・金利上昇も重なりました。一方、業種別では7月22日時点で非鉄金属が上昇率トップ(+5.35%)、建設業はほぼ横ばい(+0.01%)と、銅高の恩恵が非鉄に集中する構図です。

出典:THE GOLD ONLINE「7月24日の国内株式市場概況」、株探ニュース「東証業種別ランキング(2026年7月22日)」

※個別株価は日々変動するため、本欄では終値の点数値を掲載せず、証券コードのウォッチ表として整理しています。

区分 ウォッチ銘柄(証券コード) 今号の着眼点
ゼネコン 大林組 1802/鹿島 1812/大成建設 1801/清水建設 1803 建設業指数はほぼ横ばい。資材高の価格転嫁が焦点
サブコン きんでん 1944/関電工 1942/クラフティア 1959 データセンター・半導体工場向け電気工事の受注動向
電線 古河電工 5801/フジクラ 5803/住友電工 5802/SWCC 5805 銅建値の最高値更新と値上げ浸透の度合い
業種別指数 東証33業種「建設業」「非鉄金属」 7/22は非鉄金属が上昇率トップ(+5.35%)

実務への影響:株価そのものより「値上げが通っているか」のシグナルとして見るのが実務的です。非鉄の堅調は、来月以降のケーブル見積が上がりやすいことを示唆します。※本欄は投資判断を目的としたものではありません。

資材価格:電気銅建値が237万円で過去最高値、企業物価も+7.1%

値上がり

JX金属の電気銅建値は7月22日に6万円上げ、1トン237万円

6月3日に付けた最高値233万円を上回りました。海外相場の大幅続伸と円安ドル高を受け、前日の2万円上げに続く異例の連日改定です。7月は3日に223万円へ下げた後、7日に226万円、21日に231万円、22日に237万円と、月内で14万円の上昇となりました。

出典:日本経済新聞「銅建値6万円引き上げ、最高値に JX金属」(2026年7月22日)、日刊産業新聞「銅建値最高値237万円 6万円上げ」

JX金属 電気銅建値の推移(2026年 主要改定日)

企業物価指数(2026年6月速報)は前年比+7.1%

前月比は+0.4%。前年比は2023年3月(+7.4%)以来の高い伸びです。寄与が大きかったのは非鉄金属(前年比+39.2%)、石油・石炭製品(同+22.8%)、化学製品(同+14.4%)で、銅・アルミの市況上昇と中東情勢による原油高が反映されています。

出典:日本銀行「企業物価指数(2026年6月速報)」(2026年7月10日公表)

企業物価指数(2026年6月速報)前年比の主な内訳

実務への影響:ケーブル・電線は銅建値連動の色が濃く、見積提出から発注までの期間が長いほどリスクが増します。材料費の前提日を見積書に明記し、月をまたぐ案件は再見積の条件を先に決めておくのが安全です。

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納期・調達:トップランナー新基準とPCB期限が重なる2026〜27年

要注意

キュービクルは標準仕様で約3か月、特殊仕様は6〜10か月

2026年3月時点の市況として、変圧器200kVA以下の標準仕様であれば約3か月と落ち着く一方、特殊仕様を含む場合は6〜10か月を要するとされています。2026年4月からトップランナー変圧器の新基準が適用され、旧基準機を搭載したキュービクルは多くのメーカーで2026年3月末に出荷終了となりました。

出典:電材ゼウス「2026年3月現在の最新キュービクルの納期」、日東工業「2026トップランナー変圧器の対応」(BQ-2025-02 改5/2026年1月)

低濃度PCBの処分期限は2027年3月末、更新需要が集中

古いキュービクルに含まれる低濃度PCBの処分期限が2027年3月末に迫っており、更新需要の急増が見込まれます。新基準対応と更新需要が重なる2026〜2027年は製造キャパの逼迫による納期遅延が懸念されています。

出典:電材ゼウス「キュービクル納期」関連レポート

電線・ケーブルも値上げ、フジクラ・ダイヤケーブルは4〜7%

同社は各種電線・ケーブルを6月から順次4〜7%値上げすると発表。物流費の上昇と人件費・材料費の高騰が理由とされています。

出典:日刊鉄鋼新聞「フジクラ・ダイヤケーブル/各種電線・ケーブル値上げ」

実務への影響:受変電設備は「着工前倒しで先行手配」が基本方針になります。特殊仕様を減らして標準品に寄せるだけで数か月短縮できる場面もあるため、設計段階で仕様の標準化を検討する価値があります。

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制度・電気料金:電気・ガス料金支援は7〜9月使用分を継続

制度

8月分の値引き単価は低圧供給で3.50円/kWh

政府は2026年5月26日に予備費5,135億円の支出を閣議決定し、6月5日に補正予算が成立。経済産業省は6月12日に電気・都市ガス料金の値引きに関する特例認可・承認を公表しました。対象は2026年7月使用分(8月検針分)から9月使用分(10月検針分)までです。

出典:経済産業省「2026年7月、8月及び9月使用分の電気・ガス料金支援の実施に伴い、特例認可・承認を行いました」(2026年6月12日)、東京電力エナジーパートナー「燃料費調整のお知らせ(2026年8月分)」

実務への影響:省エネ改修の投資回収年数を試算するとき、支援期間中の単価をそのまま前提に置くと回収が甘く出ます。支援終了後の単価でも成立するかを併記して提案すると説得力が上がります。

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新技術:データセンター電源向けSiCパワーモジュール技術

新技術

東芝デバイス&ストレージ、高周波インバーター向けSiCモジュール技術を開発

データセンターの電源システムなどで用いられる高周波インバーター向けのSiCパワーモジュール技術を開発したと発表。2026年6月9〜11日にドイツで開催されたPCIM Europe 2026で公表されました。

出典:東芝デバイス&ストレージ「データセンターの電源システムなどで用いられる高周波インバーター向けSiCパワーモジュール技術を開発」(2026年6月12日)

三菱電機はトレンチ型SiC-MOSFETのサンプル提供を開始

EV用トラクションインバーターや太陽光発電などのパワーエレクトロニクス機器向けに、2026年1月21日からサンプル提供を開始。SiCパワー半導体の新工場棟は2026年4月に竣工式を行い、同年10月からの稼働を計画しています。

出典:三菱電機「パワー半導体『トレンチ型SiC-MOSFETチップ』サンプル提供開始」(2026年1月14日発表)

実務への影響:データセンター案件では電源効率が発熱・空調容量に直結します。SiC採用機器はまだ単価が高いものの、変換損失の低減分を空調負荷とセットで評価すると、トータルでは成立するケースが出てきています。

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住宅・建設需要:5月着工は前年比+33.9%、ただし反動増

需要

2026年5月の新設住宅着工戸数は57,877戸(前年同月比+33.9%)

国土交通省が6月30日に公表。大幅増に見えますが、これは省エネ基準適合義務化に伴い2025年4〜6月の着工が急減した反動によるものです。持ち家は一昨年比で約9%減と、過去10年で下から2番目の低水準にとどまっています。2025年通年の着工は74万戸と62年ぶりの低水準でした。

出典:国土交通省 建築着工統計調査(2026年5月分/2026年6月30日公表)、新建ハウジング、住宅産業新聞

実務への影響:戸建て系の電気工事は数量の実力値が戻っていません。住宅一本足では厳しく、非住宅(データセンター・物流・工場更新)や既設更新へ営業比重を移す判断が引き続き有効です。なお6月分の着工統計は7月31日に公表予定です。

出典一覧

  • 日本銀行「企業物価指数(2026年6月速報)」(2026年7月10日公表)
  • 七十七銀行「米ドル対円相場(仲値)一覧表(2026年)」
  • OANDA証券「ドル/円見通し」(2026年7月24日)
  • 日本経済新聞「銅建値6万円引き上げ、最高値に JX金属」(2026年7月22日)/日刊産業新聞
  • THE GOLD ONLINE「7月24日の国内株式市場概況」/株探ニュース「東証業種別ランキング」(2026年7月22日)
  • 経済産業省「電気・ガス料金支援に伴う特例認可・承認」(2026年6月12日)/東京電力エナジーパートナー「燃料費調整のお知らせ(2026年8月分)」
  • 国土交通省 建築着工統計調査(2026年5月分/2026年6月30日公表)
  • 東芝デバイス&ストレージ(2026年6月12日)/三菱電機(2026年1月14日)
  • 電材ゼウス/日東工業「2026トップランナー変圧器の対応」/日刊鉄鋼新聞

※本記事の数値は速報値・報道ベースであり、後日改定される場合があります。特定の銘柄の推奨や投資判断、補助金・制度の適用可否を示すものではありません。実際の適用にあたっては必ず公式発表をご確認ください。

※次回配信:2026年7月28日 朝7時