雷からの被害を防げ
PASのLAの選定方法を教えて!
PASに内蔵される避雷器(LA)は、電気設備技術基準の解釈 第37条にて、以下のいずれかに該当する箇所に設置が義務付けられています。
📌 LAの設置が必要な4つのケース
① 発電所・変電所またはそれに準ずる場所の架空電線の引込口および引出口
(※需要場所の引込口は除く)
② 架空電線路に接続される配電用変圧器の高圧側または特別高圧側
(技術基準第26条に該当する変圧器)
③ 高圧架空電線路から電気を受ける需要場所で、
受電容量が500kW以上の引込口
④ 特別高圧架空電線路から電力を受ける需要場所の引込口

- PASをLA内蔵にするべきか悩んでいる方
- 設置基準について気になる方
- LAの選定方法
- 接地極の種類
- 接地線のサイズ
クイックトピックス
高圧引込の避雷器については、電気設備の技術基準に記載されています。
法規制(技術基準の解釈他)【避雷器等の施設】(省令第49条)第37条
- 他の接地極から1m以上離す
- 接地抵抗を10Ω以下とする
- 接地線サイズは14mm2以上にする
引込点の避雷器(LA)の設置基準
避雷器の設置基準|高圧引込におけるルールとは?
高圧引込における避雷器(サージアレスタ)の設置については、
「電気設備技術基準の解釈」にて明確に定められています。
📘【法令根拠】
電気設備技術基準 第49条(避雷器等の施設)
→ 解釈条文 第37条
✅ 設置が求められる場所(抜粋)
以下の箇所、またはそれに接近する箇所では、原則として避雷器を設置する義務があります。
🔸 1. 発電所・変電所またはそれに準ずる場所の架空電線引込口および引出口
(※需要場所の引込口は除く)
🔸 2. 架空電線に接続される配電用変圧器(技術基準第26条)の高圧側・特別高圧側
🔸 3. 高圧架空電線路から供給を受ける受電容量500kW以上の需要場所の引込口
🔸 4. 特別高圧架空電線路から電力を受ける需要場所の引込口
⚠ 設置が必須でも「すべてのケースではない」
避雷器は、上記のような場所に原則必要とされていますが、
実際の設計や運用では、省略可能なケースも存在します。
たとえば以下のような状況では設置を見送ることが可能です。
-
架空電線路ではなく地中電線路(ケーブル)経由の引込の場合
-
受電点が低圧受電であり高圧に該当しない場合
-
需要場所が500kW未満である場合
避雷器|設置の免除方法について

法規制(技術基準の解釈他)【避雷器等の施設】(省令第49条)第37条より
📘 電気設備技術基準の解釈に基づく設置条件
避雷器(LA)は、電気設備技術基準(省令第49条)第37条にて、
以下のように設置が義務付けられています。
「高圧架空電線路から供給を受ける受電電力の容量が500kW以上の需要場所引込口には避雷器を設置すること。」
つまり、受電容量が500kW未満の場合は、法規上の設置義務はありません。
⚠ 500kW未満でも設置が推奨される理由
たとえ法的な設置義務がなくても、雷による機器の損傷リスクを考慮すれば、
避雷器を設置する価値は十分にあります。
特に雷害が懸念される地域や、電子機器・制御機器の多い設備では、
電力トラブルが重大な損失につながる可能性があります。
✅ 実務での一般的な対応
こうした背景から、現在の多くの現場では次のような対応が主流です。
🔹 PAS(高圧気中開閉器)を避雷器(LA)内蔵型にする設計
→ 法的義務の有無にかかわらず、雷対策を標準装備化してリスクを軽減しています。
⚡ 避雷器の役割とは?
避雷器(LA:Lightning Arrester)は、配電線路から侵入する雷サージ電流を安全に大地へ逃がすことで、
受電設備への雷電圧の侵入を防ぎ、絶縁破壊や機器損傷を防止する重要な機器です。
🔍 サージ電圧の抑制と反射の仕組み
避雷器は雷サージの電流を通すことで電圧を制限しますが、避雷器から保護対象までの距離が長いと、反射波や共振現象によって過電圧が再発生するおそれがあります。
このため、避雷器を設置する際には次の点を考慮する必要があります。
✅ 避雷器の設置基準と保護範囲
📏 有効な保護距離はおおむね50m以内が目安です。
避雷器と受電設備(高圧機器や盤類)との距離が50mを超えると、雷サージ電圧が抑えきれず、機器絶縁を破壊するリスクが高まります。
そのため、設置にあたっては次のように対応することが推奨されます。
状況 | 対応例 |
---|---|
避雷器と受電設備の距離が50m以内 | 通常通り設置で良好な保護性能が期待できる |
距離が50mを超える | 中継地点や機器近傍に追加の避雷器を設置するなどの対策が必要 |
LAの接地極仕様

LAの接地極のサイズおよび基準は下記内容となっているため引込点に避雷器を設置する際図面に必ず記載するようにしましょう、
- 他の接地極から1m以上離す
- 接地抵抗を10Ω以下とする
- 接地線サイズは14mm2以上にする
(高圧受電設備規程P68、69より)
その他の接地極との共用方法

📌 PAS本体と避雷器の共用|A種接地工事
**PAS(高圧気中開閉器)**の外箱は金属製であるため、
「装柱例および接地について」にも記載の通り、A種接地工事が必要です。
同様に、避雷器(LA)もA種接地が求められています。
✅ ここで重要なポイントは…
→ PAS本体と避雷器は、同一のA種接地工事で“共用”が可能ということです。
そのため、それぞれ別々に接地極を設ける必要はありません。
⚡ SOG制御器との共用|D種接地工事
一方で、SOG制御器(地絡継電器)に対してはD種接地工事が必要となります。
しかし、以下のような場合はA種接地との共用も認められています。
-
PASが避雷器(LA)内蔵型である
-
SOG制御器も同一柱上に設置されている
-
接地抵抗値がD種の基準(100Ω以下)を満たしている
✅ このような条件がそろえば、A種とD種の接地工事は1系統にまとめてOKということになります。
🧾 実務での注意点
-
図面上でA種・D種が別々に記載されていても、実際の接地はA種だけで良いケースがあります。
-
特にLA内蔵型のSOG制御器の場合、**扉部分に注意銘板(共用の可否を示す表示)**が貼られていることがあるので、
既存改修や更新工事時には現地確認が必須です。
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まとめ
規定
電気設備の技術基準【法規制(技術基準の解釈他)【避雷器等の施設】(省令第49条)第37条】
- 1.発電所又は変電所若しくはこれに準ずる場所の架空電線の引込口(需要場所の引込口を除く)及び引出口
- 2.架空電線路に接続する、第26条に規定する配電用変圧器の高圧側及び特別高圧側
- 3.高圧架空電線路から供給を受ける受電電力の容量が500kW以上の需要場所引込口
- 4.特別高圧架空電線路から電気の供給を受ける需要場所の引込口
設置免除
- 受電電力の容量が500kW以上の需要場所引込口であれば免除可能
避雷器の接地工事
- 他の接地極から1m以上離す
- 接地抵抗を10Ω以下とする
- 接地線サイズは14mm2以上にする