第二種電気工事士 合格カリキュラム学科④ 電気工事の施工方法
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オフィスの床から、ぽこっとコンセントやLANが出てくるのを見たことはありませんか。あれを支えているのがフロアダクト工事です。床のコンクリートの中に配線の地下道を埋めておき、机の下の取り出し口から電線を出します。この記事では、フロアダクト工事のしくみ、主な部材、電力と通信の分け方、守るルールを、図とたとえで1つずつ解説します。

結論

フロアダクトは床に埋めた配線の地下道。インサートスタッドから電線を取り出し、使わない口はインサートキャップでふさぎます。使用電圧は300V以下、ダクトはD種接地です。

  • 床のコンクリートにダクトを埋め、取り出し口から配線する
  • 分岐・交差はジャンクションボックスで
  • 電力用と通信用はダクトを分ける
  • ダクト内では原則つながない(分岐で点検できる場合は可)
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。全部を読まなくても、必要なところだけで解決します。
床のコンクリートに埋めたフロアダクトと、ジャンクションボックス、床の上へ電線を取り出すインサートスタッド、その上の机への配線を示した断面図
フロアダクトは、床の中に埋めた配線の通り道です。

フロアダクト工事 ― 床下の配線の地下道

フロアダクト工事は、たとえるなら床下の地下道です。建物をつくるとき、床のコンクリートを打つ前に金属製のダクトを並べておき、コンクリートの中に埋め込みます。ダクトの上には一定の間隔で取り出し口を設けておき、そこから机の電源やLANの線を床の上へ出します。

床をはわせるコードがなくなるので、足を引っかけることがなく、見た目もすっきりします。

ペン太ペン太
床のコンクリートにダクトを埋めたら、あとから増やせないんじゃないですか?
ハリタハリタ
そのとおりで、ダクトの経路や取り出し口の位置は、建物をつくるときに決まってしまいます。だから設計の段階で、机の並びや将来の変更までよく考えて配置するんですよ。
ここまでのポイント
  • 床のコンクリートに金属製のダクトを埋める
  • 取り出し口から床の上へ電線を出す
  • 経路と取り出し口は、建物をつくるときに決まる

レイアウト変更 ― 別の口から取り出す

机を移動したとき、もとの取り出し口をふさぎ、新しい席の下の取り出し口を開けて配線し直す流れを示した動く図解
動く図解:机を動かしたら、近くの口から取り出し直します。

フロアダクトのいちばんの強みは、レイアウト変更に対応しやすいことです。机の位置が変わったら、新しい席の近くにある取り出し口を開けて、そこから電線を取り出します。使わなくなった口は、ふたをしてふさいでおきます。

ここまでのポイント
  • 机が動いても、近くの取り出し口から配線できる
  • 使わない口はふさいでおく
  • 床をはわせるコードが要らない

主な部材 ― スタッドは口、キャップはふた

フロアダクト工事の主な部材として、フロアダクト、ジャンクションボックス、インサートスタッド、インサートキャップ、ダクトサポート、ダクトエンドと役割を並べた図
部材は名前と役割をセットで覚えます。
部材 役割
フロアダクト 床に埋める配線の通り道
ジャンクションボックス ダクトが分岐・交差する所に設け、中で電線を分岐・接続する
インサートスタッド ダクトから床の上へ電線を取り出す口
インサートキャップ 使っていないインサートスタッドのふた
ダクトサポート コンクリートを打つとき、ダクトの高さと位置を固定する
ダクトエンド ダクトの終わりをふさぐ
一般的な部材の例
ここまでのポイント
  • インサートスタッドは取り出し口、インサートキャップはそのふた
  • 分岐・交差はジャンクションボックスで
  • ダクトサポートで高さを決めてからコンクリートを打つ


電力と通信 ― ダクトを分ける

フロアダクトを2列に並べ、電力用(コンセント)と通信用(LAN・電話)を別々のダクトに通すことを示した動く図解
動く図解:電力と通信は、別の通り道を通します。

オフィスの床には、コンセント用の電力線と、LANや電話の通信線の両方が必要です。フロアダクトでは、ダクトを2列・3列に並べて、電力用と通信用を分けます。電力線の近くに通信線を通すと、雑音(ノイズ)が入ったり、安全面の問題が出たりするためです。

たとえるなら車道と歩道です。同じ道でも、通るものを分けておけば安全です。ジャンクションボックスの中でも、仕切りで電力と通信を分けます。

ここまでのポイント
  • 電力用と通信用はダクトを分ける(2列式・3列式)
  • 雑音を防ぎ、安全に分けるため
  • ジャンクションボックスの中も仕切りで分ける

床の配線方式 ― フロアダクトの仲間

床の配線方式として、コンクリートに埋め込むフロアダクト、床の鋼板の溝を使うセルラダクト、床を二重にして下に配線するフリーアクセスフロアを比べた図
床の配線方式にはいくつかの仲間があります。
方式 しくみ 特徴
フロアダクト コンクリートの床にダクトを埋め込む 取り出し口の位置が決まる。古くからのオフィスに多い
セルラダクト 床の鋼板(デッキプレート)の溝を配線の通り道にする 鉄骨造のビルで使う
フリーアクセスフロア 床を二重にし、その下の空間に配線する どこからでも取り出せる。今のオフィスの主流
一般的な傾向

新しいオフィスではフリーアクセスフロア(OAフロア)が主流ですが、フロアダクトは今も多くのビルで使われていて、改修工事で出会う機会があります。

ここまでのポイント
  • フロアダクト・セルラダクト・フリーアクセスフロアが仲間
  • 今の主流はフリーアクセスフロア
  • フロアダクトは既存ビルの改修で出会う

守るルール ― 300V以下・乾燥した床・D種接地

フロアダクト工事で守るルールとして、使用電圧300V以下、屋内の乾燥したコンクリートなどの床内、OWを除く絶縁電線、ダクト内で接続しない、D種接地工事、ダクト内に水をためない・終わりをふさぐの6つを並べた図
フロアダクト工事で守るルールのまとめ。
項目 ルール
使用電圧 300V以下
施設場所 屋内の乾燥したコンクリートなどの床の中
入れる電線 絶縁電線(屋外用ビニル絶縁電線OWを除く)。単線は直径3.2mm以下(太い場合はより線)
接続 ダクト内では接続しない(分岐する場合で、接続点を容易に点検できるときは可)
接地 D種接地工事
ダクト 中に水がたまらないようにし、終わりはふさぐ
電気設備技術基準の解釈(フロアダクト工事)をもとに作成。細かな条件は条文で確認する

施工場所ごとに使える工事の一覧は「電気設備の基本知識 #020【施工場所と工事の種類】」、接地の種類は「電気設備の基本知識 #033【接地工事の要点 C種・D種】」で解説しています。次の#010は「電気設備の基本知識 #010【誘導電動機】」です。

ここまでのポイント
  • 使用電圧300V以下、屋内の乾燥した床の中で使う
  • OWを除く絶縁電線を入れ、ダクト内で原則つながない
  • D種接地。水をためず、終わりはふさぐ


よくある質問

フロアダクト工事とはどんな工事ですか?

床のコンクリートの中にあらかじめ金属製のダクトを埋め込み、床の上に設けた取り出し口から電源や通信の線を取り出す工事です。机の配置が変わっても、近くの取り出し口を開けて配線できるので、オフィスなどで使われてきました。

インサートスタッドとインサートキャップの違いは?

インサートスタッドは、フロアダクトから床の上へ電線を取り出すための口です。インサートキャップは、使っていないインサートスタッドをふさぐふたです。「スタッド」は口、「キャップ」はふたと覚えると区別できます。

フロアダクト工事は何Vまで使えますか?

使用電圧300V以下で使います。施設できるのは、屋内の乾燥したコンクリートなどの床の中です。

フロアダクトの中で電線をつないでもよいですか?

原則としてつなぎません。電線を分岐する場合で、接続点を容易に点検できるときは認められています。ふつうはジャンクションボックスの中で分岐・接続します。

フロアダクトの接地は?

フロアダクトにはD種接地工事を施します。ダクトの中に水がたまらないようにし、終わり(終端部)はふさいでおきます。

ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。内線規程・電気工事士資格・住宅の電気設備を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

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