この記事は、連載コンセント設備の設計マニュアル」第3回 回路分割 の補足解説です。計画全体の流れは 設計・施工マニュアル(目次) からご覧いただけます。
全体像:分岐回路の設計|電線の太さと施設位置

分岐回路の設計は、分電盤から各部屋へ電気を分ける回路の設計です。過電流遮断器(ブレーカ)の容量によって、使う電線の太さやコンセントの容量、施設位置、必要な回路数が決まります。数字が多いところですが、表と図でスッキリ整理できます。

この記事では、種類別の表施設位置(3m/8m/制限なし)分岐回路数の計算を、図解・計算例・計算ツールで解説します。

🐧 見習いペン太:「分岐回路って、家のブレーカが並んでるあれですか?」
🦔 はりた:「そう!分電盤から各部屋へ伸びる1本ずつの回路が分岐回路。ブレーカの大きさで電線の太さやコンセントが決まるんだ」
🐧 見習いペン太:「数字がいっぱいで覚えられる気がしません…」
🦔 はりた:「大丈夫。“20A→1.6mm”“30A→2.6mm”みたいに表でセットにすれば、出るところは限られてるよ」
⚡ 先に結論だけ言うと
  • 20Aブレーカの分岐回路 → 電線は 1.6mm以上
  • 開閉器・過電流遮断器原則 分岐点から3m以内
  • 電線の許容電流IBの35%以上→8m以下55%以上→距離制限なし
  • 分岐回路数 = 負荷容量 ÷ 1回路の容量(切り上げ)

分岐回路の設計の要点早見表

💡 たとえで覚える
分岐回路は、家の中で各部屋へ枝分かれするコンセント系統。1回路で使える量に上限があるので、家全体の容量を1回路ぶんで割れば「いくつ回路が必要か」が出ます。太いブレーカ(太い電線)の回路ほど、強い機器をつなげます。

分岐回路を家庭にたとえた図

この記事でわかること
✔ 過電流遮断器の容量で決まる分岐回路
✔ 開閉器・過電流遮断器の施設位置(3m/8m/制限なし)
✔ 分岐回路数の求め方
✔ 分岐回路数 自動計算ツール

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ペン太ペン太
分電盤から部屋への回路って、電線もコンセントも好きに選べるんじゃないんですか?
ハリタハリタ
過電流遮断器の容量で決まるんです。20Aなら電線1.6mm以上・コンセント20A以下、が代表例ですよ。

この3つ、すぐ答えられますか

  • 20Aの分岐回路で、電線の太さとコンセントの定格はいくつか
  • 分岐点から3mを超えて開閉器を置けるのは、どんなときか
  • 分岐回路数は、どう計算して端数をどう扱うか
この記事の道案内
数字だけ確認したい方は、要点早見表と各項目の表をご覧ください。

過電流遮断器の容量で決まる分岐回路

トピック1:過電流遮断器の容量で決まる分岐回路

コンセントや照明など50A以下の分岐回路は、分岐ごとに施設する過電流遮断器の定格電流の大きさによって、電線の太さコンセントの定格電流が定められています。下の表が全体像です。

分岐回路の種類(過電流遮断器の容量で決まる表3-9)

ここがポイント
頻出は「20A配線用遮断器→電線1.6mm以上・コンセント20A以下(コンセント数は無関係)」「30A→電線2.6mm以上・コンセント20〜30A」。この2つを最優先で覚えましょう。
ペン太ペン太
分岐回路の遮断器って、どこに付けても動けば同じですよね?
ハリタハリタ
位置に決まりがあります。原則は分岐点から3m以内。許容電流が35%以上で8m以下、55%以上なら制限なしです。
取り違えやすい思い込み正しくは
コンセントの数で回路の条件が変わるコンセントの数は無関係。条件を決めるのは定格電流
開閉器はどこに付けても同じ原則は分岐点から3m以下。割合しだいで8m以下・制限なし
分岐回路の過電流遮断器は省略できる省略できない
ここまでのポイント
  • 50A以下の分岐回路は、過電流遮断器の定格電流で電線の太さとコンセント定格が決まる
  • 20A配線用遮断器の回路なら、電線1.6mm以上・コンセント20A以下
  • 30Aの回路なら、電線2.6mm以上・コンセント20〜30A

開閉器・過電流遮断器の施設位置(3m/8m/制限なし)

トピック2:開閉器・過電流遮断器の施設位置(3m/8m/制限なし)

分岐回路には、原則として幹線の分岐点から3m以下の場所に開閉器(開閉器および過電流遮断器)を施設します。ただし、分岐した電線の太さで決まる許容電流と、幹線の過電流遮断器の定格電流 IB との割合によって、3mを超える場所でも取り付けられます。

具体的には、分岐電線の許容電流が IBの35%以上なら 8m以下に、IBの55%以上なら 距離の制限なしで取り付けられます。なお、分岐回路の過電流遮断器そのものは省略できません

開閉器・過電流遮断器の施設位置(3m/8m/制限なし)と電線の許容電流表

🐧 見習いペン太:「35%とか55%って、どう使うんですか?」
🦔 はりた:「分岐電線の許容電流をIBで割るんだ。たとえば2.0mm(35A)でIBが50Aなら35÷50=70%。55%以上だから距離制限なし、ってわかるよ」
🐧 見習いペン太:「太い電線ほど遠くに置けるんですね」
ここがポイント
「3m=原則どんな電線でも」「8m=35%以上」「制限なし=55%以上」。電線が太い(許容電流が大きい)ほど遠くに置けます。

ここでは、幹線の過電流遮断器 IB を50Aと置いた場合を例に、上の割合を当てはめてみます。IBが変われば割合も変わります。

分岐電線許容電流幹線IBが50Aのときの割合置ける位置
1.6mm27A54%8m以下(35%以上55%未満)
2.0mm35A70%距離の制限なし(55%以上)
2.6mm48A96%距離の制限なし(55%以上)
ここまでのポイント
  • 原則は、幹線の分岐点から3m以下の場所に開閉器を施設する
  • 分岐電線の許容電流がIBの35%以上なら8m以下、55%以上なら距離の制限なし
  • 分岐回路の過電流遮断器そのものは省略できない

分岐回路数の求め方

トピック3:分岐回路数の求め方

電灯やコンセントの分岐回路の数は、全負荷容量 ÷ 1分岐回路あたりの容量で求めます。割り切れないときは切り上げます。

分岐回路数の求め方と計算例

ここまでのポイント
  • 分岐回路数は、全負荷容量を1分岐回路あたりの容量で割って求める
  • 割り切れないときは切り上げる
  • 端数を切り捨てると回路が足りなくなるので注意

分岐回路数 自動計算ツール

トピック4:分岐回路数 自動計算ツール

全負荷容量と1回路あたりの容量(VA)を入れると、必要な分岐回路数(切り上げ)を計算します。

⚙️ 分岐回路数 自動計算ツール

全負荷容量と、1分岐回路あたりの容量(VA)を入力してください。

ここに結果が表示されます。

よくある質問(FAQ)

トピック5:よくある質問(FAQ)

Q. 20Aの配線用遮断器の分岐回路の電線は何mm以上ですか?

A. 直径1.6mm以上の電線を使います。コンセントは20A以下(15Aまたは20A)で、コンセントの数に制限はありません。

Q. 分岐回路の開閉器・過電流遮断器はどこに施設しますか?

A. 原則、幹線の分岐点から3m以下の場所に施設します。分岐電線の許容電流がIBの35%以上なら8m以下、55%以上なら距離の制限なく取り付けられます(分岐回路の過電流遮断器は省略できません)。

Q. 分岐回路の数はどう求めますか?

A. 全負荷容量を1分岐回路あたりの容量で割り、端数は切り上げます。例:全負荷5,000VA÷1回路1,500VA=3.3 → 4回路です。

Q. 30Aの分岐回路の電線とコンセントは?

A. 電線は直径2.6mm以上(断面積5.5mm²)、コンセントは20〜30Aです。

ペン太ペン太
必要な回路数はどうやって出すんですか?
ハリタハリタ
全負荷容量を1回路分の容量で割って切り上げるだけです。記事の自動計算ツールで試してみましょう。

まとめ

分岐回路の設計の要点:

結論です。分岐回路の条件を決めるのは過電流遮断器の定格電流で、コンセントの数ではありません。そして開閉器の位置は、分岐電線の許容電流が幹線IBの何%にあたるかで、3m・8m・制限なしに分かれます。この2点を押さえれば、あとは表を引くだけです。

知りたいことこの記事での答え
条件を決めるもの分岐ごとに施設する過電流遮断器の定格電流
20Aの回路電線1.6mm以上、コンセント20A以下
30Aの回路電線2.6mm以上、コンセント20〜30A
開閉器の位置(原則)分岐点から3m以下
8m以下にできる条件分岐電線の許容電流がIBの35%以上
距離の制限がなくなる条件分岐電線の許容電流がIBの55%以上
分岐回路数全負荷容量÷1回路容量。割り切れなければ切り上げ

この記事の要点

  • 20A配線用遮断器の回路 → 電線1.6mm以上・コンセント20A以下(数は無関係)
  • 30Aの回路 → 電線2.6mm以上・コンセント20〜30A
  • 開閉器は原則3m以下35%以上で8m以下55%以上で制限なし
  • 電線の許容電流:1.6mm=27A・2.0mm=35A・2.6mm=48A
  • 分岐回路数=全負荷容量÷1回路容量(切り上げ)

設計のときに順番で確かめること

  • その回路の過電流遮断器の定格電流を決める
  • 定格に対応する電線の太さとコンセント定格を表から引く
  • 分岐電線の許容電流をIBで割り、置ける位置を判定する
  • 全負荷容量から回路数を出し、端数は切り上げる

分岐回路の規定は、数字が多く見えて実は入口がひとつです。まず過電流遮断器の定格が決まり、そこから電線とコンセントが決まり、許容電流と幹線IBの割合で位置が決まる。この流れさえ頭に入っていれば、表は暗記しなくても引けます。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。