【新人講座 第0回】電気設備設計ってどんな仕事? ― 1日の流れと、あなたの役割
「電気設備設計」に配属されたけど、正直まだ何をする仕事かピンとこない――そんな新人さんのためのシリーズ第0回(導入)です。むずかしい話はまだ出てきません。まずは仕事の全体像と1日の流れ、そしてあなたの役割を、はりた先輩といっしょにつかみましょう。
電気設備設計ってどんな仕事?
はりたさん…僕、今日から電気設備設計の部署なんですけど、そもそも「電気設備設計」って何を作る仕事なんですか?図面を描くのは、なんとなく分かるんですけど…。
おっ、いい入り方!ひとことで言うと、「建物のなかで電気が“安全に・過不足なく・使いやすく”行き渡るように、図面と計算で決める仕事」だよ。まずはこの図を見てみよう。動いている矢印が“つながり”ね。

えっ、こんなにたくさんの人と関わるんですか。ずっと一人で黙々と図面を描くイメージでした…。
そこ、新人さんがいちばん誤解するところ!もちろん作図も大事だけど、実は「客先の要望を形にして、他の設備とぶつからないように調整して、施工しやすい図面に落とす」という“つなぐ仕事”がすごく多いんだ。
設計者の「1日」をのぞいてみる
じゃあ…設計者って、1日どんなふうに過ごしてるんですか?急にリアルな質問ですけど(笑)。
いい質問!赤いカーソルを目で追ってみて。1日の流れがざっくり分かるよ。

思ったより、打合せとかチェックの時間が多いんですね。作図だけの日じゃないんだ…。
そう。図面はゴールに向けた“手段”。逆に言うと、「今どの工程をやっているか」が分かると自分の作業の意味が見えて、ぐっと動きやすくなるよ。
設計の“成果物”はこんな図面たち
最終的に仕上げるのは、配置図(どこに何を置くか)、単線結線図(電気の系統を1本の線で表す図)、幹線図、器具表など。いまは名前だけでOK。図面の読み方は第2部(第4〜6回)でじっくり練習します。
💼 この回が実務でこう生きる
- 先輩の指示や打合せの会話についていける(「どの工程の話か」が分かる)。
- 自分の作業が全体のどこか見えて、質問の粒度が上がる。
- 「誰のための、何のための図面か」が分かり、手戻りが減る。
📋 実務活用事例|「コンセント1つ」の依頼でも、地図があると動ける
ケース:テナントの会議室に「コンセントを1か所増やしたい」と依頼が来た。
全体像を知らない新人:図面にコンセント記号を1つ描いて提出 → 施工段階で「分電盤に空き回路がない」「天井内はダクトで通せない」と発覚し、やり直し。
地図を持っている新人:①分電盤の空き回路を確認(図面)→②天井内の他設備を空調・衛生に確認(調整)→③配線ルートを施工会社に相談(施工性)→④図面化。関係者それぞれに“聞くべきこと”が見えているので、手戻りゼロで進む。
※ 第0回で覚えた「登場人物マップ」が、そのまま実務のチェックリストになる、という例です。
🐣 いまさら聞けない素朴なギモン
「こんなこと聞いていいのかな…」という質問ほど大事。ここで拾います。
Q.電気設備設計って、数学がすごく得意じゃないと無理ですか?
→ 実務で毎日使うのは四則演算と比率がほとんど。公式も「決まった型に当てはめる」形が多く、文系出身で活躍している設計者もたくさんいます。
Q.街の「電気屋さん」や電気工事士さんとは、何が違うんですか?
→ 販売・修理をするのが電気店、現場で作るのが電気工事士、そして「決めて・描く」のが設計者。同じ“電気”でも役割分担が違います。
🔎 深掘りQ&A ― もう一歩、聞いてみよう
Q.「設計」と「施工」って、何が違うんですか?
A.ざっくり言うと、設計は「決める・描く」/施工は「実際に作る」。設計図は施工する人への“指示書”。だから設計がふわっとしてると現場が困る。逆に、現場を想像して描けると「いい設計」になるよ。
Q.設計をやるのに、電気工事士の資格って要りますか?
A.設計そのものに必須ではないよ。でも資格の勉強をすると図面のリアリティが段違いになる。資格の順番や勉強法は最終回(第22回)でロードマップにするね。
Q.で、まず何から覚えればいいですか?
A.この講座の順番でバッチリ。次回は電気の超基礎「電圧・電流・抵抗(オームの法則)」。図面の「200V」「20A」が読めるようになる最初の一歩だよ。
⚠️ ここだけ注意
最初から全部を理解しようとしなくて大丈夫。まず“地図”を持つことが第0回のゴールです。知らない用語はこの講座で1つずつ潰していけば、必ず読めるようになります。
まとめ
- 電気設備設計=建物に電気が安全に・過不足なく・使いやすく行き渡るよう、図面と計算で決める仕事。
- 設計者は“みんなをつなぐハブ役”。作図だけでなく調整が多い(図①)。
- 1日は作図だけでなく確認・打合せ・積算・見直しが散らばる(図②)。
- 全体像を持つと初日から迷子にならず、質問の質が上がる。
▶ 次回・第1回
電圧・電流・抵抗(オームの法則)を身近な例で
図面の「200V・20A」がなぜそう書いてあるのか。水の流れの例えで、電気の“いちばん基本”をつかみます。





