電気設備設計の仕事の全体像
📚 この記事は連載「図解&会話で学ぶ 電気設備設計の基礎」の1本です。→ 全カリキュラム(目次)はこちら
今回の内容を1枚にまとめたグラレコ
📝 今日の全体像を1枚で。まずこのグラレコ、詳しくは本文で!

「電気設備設計」に配属されたけど、正直まだ何をする仕事かピンとこない――そんな新人さんのためのシリーズ第0回(導入)です。むずかしい話はまだ出てきません。まずは仕事の全体像1日の流れ、そしてあなたの役割を、はりた先輩といっしょにつかみましょう。

ペン太ペン太
電気設備設計って、一日中黙々と図面を描く仕事なんですよね?
ハリタハリタ
作図は一部です。客先や建築、施工をつなぐハブ役としての調整が大きいんですよ。

この3つ、すぐ答えられますか

  • 電気設備設計の仕事をひとことで言うと、何を決める仕事か
  • 設計者が関わる登場人物には、どんな相手がいるか
  • 「設計」と「施工」は、何がどう違うのか

電気設備設計ってどんな仕事?

トピック1:電気設備設計ってどんな仕事?
ペンタ
ペンタ(新人)
はりたさん…僕、今日から電気設備設計の部署なんですけど、そもそも「電気設備設計」って何を作る仕事なんですか?図面を描くのは、なんとなく分かるんですけど…。
はりた
はりた(先輩)
おっ、いい入り方!ひとことで言うと、「建物のなかで電気が“安全に・過不足なく・使いやすく”行き渡るように、図面と計算で決める仕事」だよ。まずはこの図を見てみよう。動いている矢印が“つながり”ね。
図1 登場人物マップ:電気設備設計者を中心に客先・建築・空調衛生・メーカー・施工・審査がつながる
図① 登場人物マップ ― 設計者は“真ん中”で、みんなをつなぐハブ役
ペンタ
ペンタ(新人)
えっ、こんなにたくさんの人と関わるんですか。ずっと一人で黙々と図面を描くイメージでした…。
はりた
はりた(先輩)
そこ、新人さんがいちばん誤解するところ!もちろん作図も大事だけど、実は「客先の要望を形にして、他の設備とぶつからないように調整して、施工しやすい図面に落とす」という“つなぐ仕事”がすごく多いんだ。
まぎらわしい相手 その人の役割
電気店(街の電気屋さん) 販売・修理をする
電気工事士 現場で実際に作る
電気設備設計者 決めて・描く
設計と施工の関係 設計図は施工する人への“指示書”。現場を想像して描けると「いい設計」になる
ここまでのポイント
  • ひとことで言えば「建物のなかで電気が安全に・過不足なく・使いやすく行き渡るように、図面と計算で決める仕事」
  • 作図も大事だが、実際は「要望を形にし、他の設備とぶつからないよう調整し、施工しやすい図面に落とす」つなぐ仕事が多い

設計者の「1日」をのぞいてみる

トピック2:設計者の「1日」をのぞいてみる
ペンタ
ペンタ(新人)
じゃあ…設計者って、1日どんなふうに過ごしてるんですか?急にリアルな質問ですけど(笑)。
はりた
はりた(先輩)
いい質問!赤いカーソルを目で追ってみて。1日の流れがざっくり分かるよ。
図2 設計者の1日タイムライン:朝の確認→作図→打合せ・調整→積算→夕方の図面チェック
図② 設計者の1日タイムライン(一例)― 作図だけでなく確認・打合せ・積算・見直しが散らばる
ペンタ
ペンタ(新人)
思ったより、打合せとかチェックの時間が多いんですね。作図だけの日じゃないんだ…。
はりた
はりた(先輩)
そう。図面はゴールに向けた“手段”。逆に言うと、「今どの工程をやっているか」が分かると自分の作業の意味が見えて、ぐっと動きやすくなるよ。

設計の“成果物”はこんな図面たち

最終的に仕上げるのは、配置図(どこに何を置くか)、単線結線図(電気の系統を1本の線で表す図)、幹線器具表など。いまは名前だけでOK。図面の読み方は第2部(第4〜6回)でじっくり練習します。

💼 この回が実務でこう生きる

  • 先輩の指示や打合せの会話についていける(「どの工程の話か」が分かる)。
  • 自分の作業が全体のどこか見えて、質問の粒度が上がる
  • 「誰のための、何のための図面か」が分かり、手戻りが減る
成果物 何を表す図か
配置図 どこに何を置くか
単線結線図 電気の系統を1本の線で表す
幹線図 建物を通る太い電気のルート
器具表 使う器具の名前と数量
ここまでのポイント
  • 1日は作図だけでなく、確認・打合せ・積算・見直しが散らばる
  • 図面はゴールに向けた“手段”
  • 「今どの工程をやっているか」が分かると、打合せの会話についていける


📋 実務活用事例|「コンセント1つ」の依頼でも、地図があると動ける

トピック3:実務活用事例|「コンセント1つ」の依頼でも動ける

ケース:テナントの会議室に「コンセントを1か所増やしたい」と依頼が来た。

全体像を知らない新人:図面にコンセント記号を1つ描いて提出 → 施工段階で「分電盤に空き回路がない」「天井内はダクトで通せない」と発覚し、やり直し

地図を持っている新人:①分電盤の空き回路を確認(図面)→②天井内の他設備を空調・衛生に確認(調整)→③配線ルートを施工会社に相談(施工性)→④図面化。関係者それぞれに“聞くべきこと”が見えているので、手戻りゼロで進む。

※ 第0回で覚えた「登場人物マップ」が、そのまま実務のチェックリストになる、という例です。

🐣 いまさら聞けない素朴なギモン

「こんなこと聞いていいのかな…」という質問ほど大事。ここで拾います。

Q.電気設備設計って、数学がすごく得意じゃないと無理ですか?
→ 実務で毎日使うのは四則演算と比率がほとんど。公式も「決まった型に当てはめる」形が多く、文系出身で活躍している設計者もたくさんいます。

Q.街の「電気屋さん」や電気工事士さんとは、何が違うんですか?
→ 販売・修理をするのが電気店、現場で作るのが電気工事士、そして「決めて・描く」のが設計者。同じ“電気”でも役割分担が違います。

🔎 深掘りQ&A ― もう一歩、聞いてみよう

トピック4:深掘りQ&A ― もう一歩、聞いてみよう

Q.「設計」と「施工」って、何が違うんですか?

A.ざっくり言うと、設計は「決める・描く」/施工は「実際に作る」。設計図は施工する人への“指示書”。だから設計がふわっとしてると現場が困る。逆に、現場を想像して描けると「いい設計」になるよ。

Q.設計をやるのに、電気工事士の資格って要りますか?

A.設計そのものに必須ではないよ。でも資格の勉強をすると図面のリアリティが段違いになる。資格の順番や勉強法は最終回(第22回)でロードマップにするね。

Q.で、まず何から覚えればいいですか?

A.この講座の順番でバッチリ。次回は電気の超基礎「電圧・電流・抵抗(オームの法則)」。図面の「200V」「20A」が読めるようになる最初の一歩だよ。

💬 はりたから新人さんへ:ペンタみたいに「じゃあ何が違うの?」「まず何から?」とその場で聞けることが、いちばん伸びる新人の条件。分からないをそのままにしない――この講座も“質問しながら”読み進めてね。
ここまでのポイント
  • 設計は「決める・描く」、施工は「実際に作る」
  • 設計そのものに電気工事士の資格は必須ではないが、勉強すると図面のリアリティが上がる
  • 実務で毎日使うのは四則演算と比率がほとんど


⚠️ ここだけ注意

トピック5:ここだけ注意

最初から全部を理解しようとしなくて大丈夫。まず“地図”を持つことが第0回のゴールです。知らない用語はこの講座で1つずつ潰していけば、必ず読めるようになります。

ペン太ペン太
全体像は掴めました。第1回からは何を学ぶんですか?
ハリタハリタ
電圧・電流・抵抗の基礎からです。図面の200Vや20Aが読めるようになりますよ。

まとめ

トピック6:まとめ

結論。図面を描く仕事というより、決めてつなぐ仕事。だから最初に要るのは知識より“地図”です。

同じ「コンセント1か所増設」でも 全体像がないと 地図があると
最初の動き 図面に記号を1つ描いて提出 分電盤の空き回路を図面で確認
他設備との関係 見ていない 天井内の状況を空調・衛生に確認
施工性 見ていない 配線ルートを施工会社に相談
結果 施工段階で発覚してやり直し 聞くべきことが見えていて手戻りゼロ

仕事のかたち

  • 電気設備設計=建物に電気が安全に・過不足なく・使いやすく行き渡るよう、図面と計算で決める仕事。
  • 設計者は“みんなをつなぐハブ役”。作図だけでなく調整が多い(図①)。
  • 1日は作図だけでなく確認・打合せ・積算・見直しが散らばる(図②)。

地図を持つと変わること

  • 全体像を持つと初日から迷子にならず、質問の質が上がる。

最初から全部を理解しようとしなくて大丈夫です。知らない用語は、この講座で1つずつ回収していきます。

▶ 次回・第1回

電圧・電流・抵抗(オームの法則)を身近な例で
図面の「200V・20A」がなぜそう書いてあるのか。水の流れの例えで、電気の“いちばん基本”をつかみます。

✅ 振り返りチェック ― 今日の理解度をセルフ確認
3つ以上チェックできたら合格!あやしい項目は、その見出しまで戻ってサッと復習しよう。

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ABOUT ME
HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。