【新人講座 第7回】受電から末端まで ― 電気の流れを1本でたどる「電気の流れ1枚図」

こんにちは、HARITAの設計室です。ここから第3部「建物に電気が届くまで」が始まります。第1部で電気の性質、第2部で図面の読み方を学びました。第3部では、その2つを使って建物全体を1つのシステムとして見られるようになります。
初回のテーマは、電柱からコンセントまで、電気の通り道を1本の線でたどること。これが頭に入ると、第2部で読めるようになった単線結線図が「建物の地図」として立体的に見えてきます。
ペン太
ハリタこの3つ、すぐ答えられますか
- 電柱の電気は、そのままコンセントまで届いているのでしょうか。
- 「コンセントが使えない」と言われたら、どこから調べますか。
- 落ちたブレーカーは、そのまま入れ直してよいのでしょうか。
- 電気の旅の5区間 ― 引込から末端まで
- 逆にたどる ― 不具合の切り分け5ステップ
- 実務での使いどころ ― 現地調査と波及チェック
- 素朴なギモン ― 電柱の電圧、キュービクルのない建物
- 深掘りQ&A ― 高圧で送る理由、盤の呼び分け、停電作業
- 注意ポイント ― 触らない、入れ直さない、末端だけ見ない
電気の旅は5つの区間でできている
まずは主役の図から。電柱を出発した電気がコンセントに届くまでを、①引込 → ②受変電 → ③幹線 → ④分電盤 → ⑤末端の5区間で追いかけます。
ペン太
ハリタ| 区間 | たとえるなら | ここでやっていること |
|---|---|---|
| ① 引込 | 仕入れの入口 | 電力会社から建物へ電気を受け取る |
| ② 受変電 | 小分けにする作業場 | 高圧を建物で使える電圧へ落とす |
| ③ 幹線 | 店内の太い通路 | 変圧した電気を各階の盤まで運ぶ |
| ④ 分電盤 | 仕分けポスト | 主幹から照明・コンセント・空調へ配る |
| ⑤ 末端 | 棚の商品 | 器具やコンセントとして使われる |
- 電柱を出発した電気は、①引込→②受変電→③幹線→④分電盤→⑤末端の5区間をたどる。
- ある程度の規模の建物は高圧6,600Vで受電し、キュービクルで210Vや105Vに変圧してから配る。
- 幹線は変圧した電気を各階の分電盤まで運ぶ太い通路。
- 分電盤は仕分けポスト。主幹ブレーカーから照明・コンセント・空調へ配る。
流れを覚える本当の理由 ―「逆にたどれる」ようになるから
この1本の流れ、実は順方向より逆方向にたどる場面のほうが実務では多いんです。代表例が「コンセントが使えない!」という問い合わせ。末端から上流へ、1段ずつ切り分けていきます。

| 消えた範囲 | 原因がいる高さ | まず見るところ |
|---|---|---|
| 1個のコンセントだけ | 末端 | 器具と配線の状態 |
| 部屋ごと | 分岐回路 | その回路の分岐ブレーカー |
| 盤ごと | 幹線や主幹 | 主幹ブレーカーと幹線 |
| 建物ごと | 受変電 | 受電設備の状態(主任技術者へ連絡) |
- 実務では順方向より、逆方向にたどる場面のほうが多い。代表例が「コンセントが使えない」という問い合わせ。
- 末端から上流へ、1段ずつ「生きているか」を切り分けていく。
- 影響範囲の広さが原因の高さを教えてくれる。1個だけなら末端、部屋ごとなら分岐回路、盤ごとなら幹線や主幹、建物ごとなら受変電。
- ブレーカーは回路を守るために落ちている。過負荷か漏電か見当をつけてから復旧する。
💼 実務でこう生きる
- 改修工事の現地調査では、キュービクル→幹線→各階分電盤→末端と、系統の上から下へ順に確認する。
- この順番で見れば調査漏れがなくなり、報告書もそのまま系統順で書ける。
- 末端の追加でも、逆にたどれば分電盤の空き回路→幹線の余裕→変圧器容量と波及確認が必要と分かる。
- 1枚図が頭にあれば、どの図面を直すとどこに影響するかを先回りできる。
🐣 いまさら聞けない素朴なギモン
- 街中の配電線は基本的に6,600Vの高圧で、その下に低圧線や通信線が並んでいる。
- どれも直接触れれば危険だが、特に高圧は近づくだけでも放電の恐れがある。
- 戸建てや小さい店舗は、電柱の上の柱上変圧器で低圧に下げてから引き込む。
- 変圧を建物の中でやるか電柱の上でやるかの違いだけで、流れの構造は同じ。
🔎 深掘りQ&A ― 会話だから、もっと分かる
先輩とのやり取りで、理解をもう一段深めましょう。こういう追い質問ができる新人は伸びます。
- 同じ電力なら電圧が高いほど電流が小さくて済み、細い電線で送れて途中のロスも少ない。
- だから「運ぶときは高圧、使うときは低圧」が電気の世界の物流ルール。
- 配電盤は幹線レベルの大元の盤、分電盤は各エリアに配る盤、制御盤は機械を動かすための盤。
- 電気を切るときは下流から上流へ、戻すときは上流から下流へ。順番を間違えると危険。
⚠️ 新人がやりがちな注意ポイント
- キュービクルを勝手に開けない・触らない:高圧部は電気主任技術者の管理領域。新人の仕事は「異常に気づいたら報告」です。
- ブレーカーを“とりあえず”入れ直さない:落ちた原因の見当をつけてから。繰り返し落ちるなら回路に問題があります。
- 末端だけ見て回答しない:「コンセント増やせますか?」に即答せず、分岐→盤→幹線の余裕まで遡って確認する癖を。
ペン太
ハリタ- キュービクルを勝手に開けない、触らない。高圧部は電気主任技術者の管理領域で、新人の仕事は異常に気づいたら報告すること。
- ブレーカーを「とりあえず」入れ直さない。繰り返し落ちるなら回路に問題がある。
- 末端だけ見て回答しない。「コンセント増やせますか」には、分岐→盤→幹線の余裕まで遡って確認する。
まとめ ― 今日の1枚
この1枚図の価値は、覚えることではなくどちら向きにもたどれるようになることです。順に見れば調査になり、逆に見れば切り分けになります。
| 場面 | たどる向き | 見ていく順番 |
|---|---|---|
| 現地調査 | 上流から下流へ | 受変電→幹線→分電盤→末端 |
| 不具合の切り分け | 下流から上流へ | 末端→分岐→盤→幹線→受変電 |
| 設計変更の波及確認 | 下流から上流へ | 盤の空き回路→幹線の余裕→変圧器容量 |
| 停電作業 | 切るのは下流から、戻すのは上流から | 順番を崩さない |
旅のかたち
- 電気の旅は引込→受変電→幹線→分電盤→末端の5区間。
- 運ぶときは高圧(6,600V)、使うときは低圧(210V/105V)。変圧するのがキュービクル。
逆にたどる
- 不具合の切り分けは末端から上流へ。影響範囲の広さ=原因の高さ。
- ブレーカーは回路を守るために落ちている。原因に見当をつけてから復旧する。
第3部の地図として
- この1枚図が、第3部で学ぶ各設備(受変電・幹線・分電盤・負荷)の“地図”になる。
- 現地調査も設計変更の波及確認も、この地図の上をたどる作業になる。
建物の電気は、1本の道でつながっています。その道が頭に入ると、単線結線図の1本1本が建物の中の場所として見えてきます。
次回・第8回は、旅の最初の関門「引込・受変電」へ。キュービクルの中身をのぞいて、なぜ変圧するのか/受電方式のちがいを図解で見ていきます。お楽しみに!
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