地震と停電にそなえる家の電気【第2回】停電の夜を乗り切る「明かり」と「電源」|モバイルバッテリー・ポータブル電源の選び方
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本連載は、ふだんは電気設備の設計・施工に携わるプロが、「家の電気の防災」を暮らし目線でやさしく解説するシリーズです。第1回(通電火災と感震ブレーカー)はこちら。
停電は「3日間」を想定してそなえる
大きな災害のあと、電気はどれくらいで戻るのでしょうか。2019年の台風15号では千葉県を中心に最大約93万戸が停電し、おおむね復旧までに約2週間かかった地域もありました。2024年の能登半島地震でも、停電の解消まで長い時間を要しています。
もちろん多くの停電は数時間〜1日で復旧します。ただ防災の世界では、大規模災害では「最低3日間、できれば1週間」を自力でしのげる備えが定石とされています。この連載でも「停電3日間」を目安に考えていきます。
まずは「明かり」から ― 数千円でそろう安心
停電の夜にいちばん最初に困るのが明かりです。おすすめは次の組み合わせです。
- LEDランタン:部屋全体を照らす「置く明かり」。リビングに1台+人数分あると安心
- ヘッドライト:両手が空く「動く明かり」。片付けやトイレ移動に必須級
- 乾電池の備蓄:ライト類は電池式をそろえて、単3・単4を多めにストック
注意したいのはろうそくです。余震で倒れて火災になった例が実際にあり、地震後の停電では使わないのが原則。第1回で紹介した感震ブレーカーを付けた家では夜間の地震で照明が一斉に消えるため、寝室や廊下に停電すると自動で点く足元灯を置いておくと安心です。
電源は「3段構え」でそろえる
明かりの次はスマホや家電を動かす電源です。高価な機器をいきなり買う必要はありません。段階的にそろえましょう。

災害時にいちばん困るのは「情報が取れないこと」と言われます。安否連絡・避難情報・給水情報、すべてスマホ頼みです。まずはSTEP1のモバイルバッテリーを家族の人数分、常に充電して備えることから始めてください。
防災用に選ぶなら ― 定番の2本
防災用のモバイルバッテリーは、「1人1個の10,000mAh」を基本に、家族でシェアする分の「20,000mAh」を1本足すのがおすすめです。台風接近など「停電するかも」という夜に本体をすばやく満充電できるよう、急速充電対応を選びましょう。
軽さ重視のモデルや、電動工具のバッテリーをモバイル電源に変える方法などは現場向けモバイルバッテリーおすすめ4選で比較しています。
ポータブル電源の選び方 ― 見るのは「Wh」と「W」の2つだけ
ポータブル電源のカタログには数字がたくさん並びますが、見るべきは2つだけです。Wh(ワットアワー)=電気をためられる量(タンクの大きさ)、W(ワット)=一度に使える電気の大きさ(蛇口の太さ)。ドライヤーや電子レンジのような消費電力の大きい家電は、容量が足りていても「W(定格出力)」が足りないと動きません。
容量ごとの目安を、スマホ充電の回数に換算してみます。変換ロスがあるため、実際に使えるのは表示容量の7〜8割程度です。

防災目的ならまず300Whクラスで十分戦えます。家族が多い・在宅避難を本格的に考えるなら700Wh〜1,000Whクラス、冷蔵庫まで視野に入れるなら1,000Wh以上+ソーラーパネル併用が目安です。
ポータブル電源は「災害の前」に買っておく
ポータブル電源は、大きな災害が起こるたびに品切れと価格高騰が起きる典型的な商品です。備えとして買うなら、在庫と価格が落ち着いている平時に、メーカー公式ストアや正規販売店で入手しておくのがおすすめです。筆者が現場でも使っているBLUETTI(ブルーティ)は、300Wh級から家庭用蓄電池クラスまで防災向けのラインアップがそろっています。
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🔋 ポータブル電源・家庭用蓄電池の専業メーカー
BLUETTI(ブルーティ)公式ストア|ポータブル電源・家庭用蓄電池
容量・出力のラインナップが広く、公式ストアはセール時の値引き幅が大きいのが特徴です。
機種選びで迷ったら、定格出力(W)・容量(Wh)・波形まで踏み込んで解説した現場で使えるポータブル電源の選び方もあわせてどうぞ。仕事道具と防災を兼ねると投資回収しやすくなります。
冷蔵庫は「動かす」より「開けない」
停電すると冷蔵庫が心配になりますが、実は扉を開けなければ2〜3時間程度は冷気が保たれます。保冷剤やペットボトル氷を普段から冷凍庫に入れておき、停電したらクーラーボックスと組み合わせる。ポータブル電源で冷蔵庫を動かすのは、大型クラスを持っている場合の選択肢と考えましょう。
リチウムイオン電池は「安全」もセットで
モバイルバッテリーやポータブル電源の中身はリチウムイオン電池です。NITE(製品評価技術基盤機構)によると、リチウムイオン電池搭載製品の事故は2021〜2025年の5年間で2,140件。製品別ではモバイルバッテリーが最多で、気温が上がる8月が事故のピークです。次の3点を守ってください。
- 賢く選ぶ:PSEマークの表示と、メーカー・リコール情報を確認してから買う
- 丁寧に使う:真夏の車内など高温になる場所に置かない。強い衝撃を与えない。膨らみ・発熱などの異常があれば使用をやめる
- 正しく捨てる:ゴミ収集車での発火事故が多発。自治体の回収区分やメーカー回収に従う
まとめ ― 第2回の持ち帰りポイント
- 大規模災害では停電3日間を想定。まず明かり(LEDランタン+ヘッドライト+乾電池)
- 地震後の停電にろうそくは使わない。感震ブレーカーには足元灯をセットで
- 電源は3段構え。最優先はモバイルバッテリーを人数分
- ポータブル電源はWh(容量)とW(出力)の2つを見る。防災ならまず300Whクラスから
- リチウムイオン電池は高温・衝撃・捨て方に注意
次回・第3回は「在宅避難の家電運用」。冷蔵庫とスマホを中心に、停電中の家電との付き合い方をさらに具体的に解説します。
参考資料:経済産業省「台風15号に伴う停電復旧プロセス等に係る検証について」/NITE「リチウムイオン電池搭載製品の事故防止(3つのC)」







