全体像:わが家の分電盤を知ろう(3種類のブレーカーと、落ちたときの手順)

本連載は、電気設備の設計・施工に携わるプロが「家の電気の防災」を暮らし目線で解説するシリーズです。今回が最終回。これまでの回は記事末尾のリンクからどうぞ。

ペン太ペン太
ブレーカーが落ちたとき、どれを上げればいいのか毎回迷うんです…。
ハリタハリタ
分電盤の中身は3種類のブレーカー。どこが落ちたかで原因が分かるんですよ。

この3つ、すぐ答えられますか

  • 分電盤に並んでいるブレーカーは、基本的に何種類か。
  • 漏電ブレーカーが落ちたとき、最初にすることは何か。
  • 「一瞬消えてすぐ点いた」が頻発するのは、何のサインか。
この記事でわかること
※ 本記事は連載「地震と停電にそなえる家の電気」の最終回です。第1回〜第5回・番外編・深堀り編は記事末尾のリンクからご覧いただけます。

最終回は「そもそも分電盤って何?」に答えます

トピック1:最終回は「そもそも分電盤って何?」に答えます

連載を通して何度も登場した分電盤。第1回では「避難時に主幹ブレーカーを切る」と使い方だけ紹介してきました。最終回は一歩踏み込んで、分電盤の中身と、ブレーカーが落ちたときに自分でできることを解説します。ここまで分かれば、日常の「急に電気が消えた!」にも災害時にも、慌てず対応できるようになります。

ここまでのポイント
  • 連載を通して何度も登場した分電盤。第1回では「避難時に主幹ブレーカーを切る」と使い方だけ紹介してきた。
  • 最終回は一歩踏み込んで、分電盤の中身と、ブレーカーが落ちたときに自分でできることを扱う。
  • ここまで分かれば、日常の「急に電気が消えた!」にも災害時にも、慌てず対応できる。

分電盤の中身は「3種類のブレーカー」

トピック2:分電盤の中身は「3種類のブレーカー」

フタを開けると並んでいるのは基本的に3種類だけ。アンペアブレーカー(主幹)=電力会社との契約アンペアの門番、②漏電ブレーカー=電気が漏れたら家全体を止める安全装置、③分岐ブレーカー=部屋・回路ごとの小さな門番です(第1回の分電盤図もどうぞ)。

ブレーカー役割補足
① アンペアブレーカー(主幹)電力会社との契約アンペアの門番近年のスマートメーターの家では分電盤にない。契約容量を超えるとメーター側が遮断し、約10秒で自動復帰する
② 漏電ブレーカー電気が漏れたら家全体を止める安全装置落ちたときは、上げ直す前に原因回路の特定が先
③ 分岐ブレーカー部屋・回路ごとの小さな門番漏電している回路を1つずつ探すときに使う
ここまでのポイント
  • フタを開けると並んでいるのは基本的に3種類だけ
  • ①アンペアブレーカー(主幹)=電力会社との契約アンペアの門番、②漏電ブレーカー=電気が漏れたら家全体を止める安全装置、③分岐ブレーカー=部屋・回路ごとの小さな門番。

「どこが落ちたか」で原因がわかる

トピック3:「どこが落ちたか」で原因がわかる

電気が消えたら、まず停電の範囲を見ます。家全体か、一部の部屋だけか。それだけで見るべきブレーカーと原因がほぼ特定できます。

どのブレーカーが落ちたかで原因と対処がわかる図解。家全体の停電でアンペアブレーカーが落ちたら使いすぎ、漏電ブレーカーが落ちたら漏電の可能性、一部の部屋だけならその回路の分岐ブレーカーの使いすぎか機器故障。スマートメーターの家はメーターが遮断し約10秒で自動復帰

ちなみに近年のスマートメーターの家では、アンペアブレーカーが分電盤にありません。契約容量を超えるとメーター側が遮断し、約10秒で自動復帰します。「一瞬消えてすぐ点いた」が頻発するなら契約アンペアの見直しサインです。

ペン太ペン太
漏電ブレーカーが落ちたら、すぐ上げ直せばいいと思ってました…!
ハリタハリタ
まず原因回路の特定が先です。分岐ブレーカーを使う5ステップがあります。
ここまでのポイント
  • 電気が消えたら、まず停電の範囲を見る。家全体か、一部の部屋だけか。それだけで見るべきブレーカーと原因がほぼ特定できる。
  • 近年のスマートメーターの家では、アンペアブレーカーが分電盤にない。契約容量を超えるとメーター側が遮断し、約10秒で自動復帰する。
  • 「一瞬消えてすぐ点いた」が頻発するなら、契約アンペアの見直しサイン

漏電ブレーカーが落ちたら ― 5ステップで犯人捜し

トピック4:漏電ブレーカーが落ちたら ― 5ステップで犯人捜し

いちばん慌てるのが漏電ブレーカーです。ですが手順はシンプル。分岐ブレーカーを使って、漏電している回路を1つずつ探し出すだけです。

漏電ブレーカーが落ちたときの復旧手順5ステップの図解。分岐ブレーカーを全部切にし、漏電ブレーカーを入に戻し、分岐を1つずつ入に戻す。どれかで再び落ちたらその回路が漏電しており、その回路だけ切のままほかを使い、電気工事店へ点検を依頼する

犯人の回路が見つかったら、その回路の機器をコンセントから抜いて様子を見ます。機器を抜いても落ちるなら配線側の問題なので、必ず電気工事店へ点検を依頼してください。雨漏り・水濡れのあとに落ちた場合や、何度も繰り返す場合は、感電・火災につながるサインです。

ここまでのポイント
  • いちばん慌てるのが漏電ブレーカー。だが手順はシンプルで、分岐ブレーカーを使って漏電している回路を1つずつ探し出すだけ
  • 犯人の回路が見つかったら、その回路の機器をコンセントから抜いて様子を見る。
  • 機器を抜いても落ちるなら配線側の問題。必ず電気工事店へ点検を依頼する。

災害時の分電盤 ― 連載の総まとめ

トピック5:災害時の分電盤 ― 連載の総まとめ

分電盤は、災害のときだけ触る箱ではありません。避難するとき、停電したとき、電気が戻るとき——その3場面それぞれに、やることが決まっています。

場面分電盤でやること解説回
地震で避難するとき主幹ブレーカーを「切」にしてから家を出る。感震ブレーカーがあれば自動化できる第1回/深堀り編
停電したときまず分電盤を見て「わが家だけか、近所ごとか」を切り分ける。近所も消えていれば送電側の停電第2回(明かりと電源)/第3回(冷蔵庫とスマホ)
復電するとき倒れた機器・濡れた機器をコンセントから抜き、分岐を1つずつ戻す。異臭・異音があれば即「切」

避難するとき

  • 地震で避難するとき:主幹ブレーカーを「切」にしてから家を出る(第1回)。感震ブレーカーがあれば自動化できる(深堀り編

停電したとき

  • 停電したとき:まず分電盤を見て「わが家だけか、近所ごとか」を切り分ける。近所も消えていれば送電側の停電。明かりと電源は第2回、冷蔵庫とスマホは第3回

電気が戻るとき

  • 復電するとき:地震・水害のあとは、倒れた機器・濡れた機器をコンセントから抜き、分岐を1つずつ戻す。異臭・異音があれば即「切」

ここまでの6回で扱ってきたことは、結局この一枚の盤の前に集まります。主幹を切る、範囲を見る、分岐を1つずつ戻す。手順そのものは3つだけです。今夜フタを開けて、どのブレーカーがどの部屋かを1度見ておけば、次に慌てる場面は減ります。

連載を最後まで読んでくださった方へ

トピック6:連載を最後まで読んでくださった方へ

全6回+番外編・深堀り編、お付き合いありがとうございました。この連載で紹介した備えは、どれも「知っていれば数千円と数分でできること」ばかりです。まずは今夜、分電盤の場所を家族で確認するところから始めてみてください。

参考資料:北陸電力送配電「アンペアブレーカーを調べる」/京葉ガス「電気が消えた後10秒ほどで自動的に復旧する」

ペン太ペン太
連載を読み終えたら、まず家で何をすればいいですか?
ハリタハリタ
分電盤のフタを開けて中身の確認を。スマートメーターの家は構成が違いますよ。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。