分電盤を開けると、似たようなブレーカーがいくつも並んでいる。どれが漏電ブレーカーなのか、「30mA」とは何なのか、落ちたらどうすればいいのか――。この記事は、その3つだけにしぼって説明します。

結論

漏電ブレーカーは、テストボタン・漏電表示ボタン・「30mA 0.1秒」の表示の3つで見分けます。30mAは漏れた電流の大きさ、0.1秒は切るまでの時間です。漏電で落ちたら、分岐を全部切ってから1つずつ入れて、漏電している回路を探します。

  • 普通のブレーカーには、テストボタンも漏電表示ボタンもない
  • 住宅の標準は、30mA以下で動き0.1秒以内に切る高感度・高速形
  • 漏電表示ボタンが出ていなければ、使いすぎかショート
  • 何度も入れ直さず、漏電した回路は電気工事店に点検を頼む
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。

漏電ブレーカーはどれ? ― テストボタン・漏電表示・30mAで見分ける

住宅の分電盤では、いちばん大きな主幹ブレーカーが漏電ブレーカーを兼ねていることが多くあります。最近の分電盤では、浴室や屋外、洗濯機などの回路の分岐ブレーカーにも漏電保護付きのものが使われます。見た目は似ていますが、漏電ブレーカーには次の3つの目印があります。

テストボタンわざと漏電を流して切る
漏電表示ボタン漏電で切れたら飛び出す
30mA・0.1秒定格感度電流と動作時間
普通のブレーカーボタンがなくA表示だけ
目印 漏電ブレーカー 普通のブレーカー(配線用遮断器)
テストボタン ある ない
漏電表示ボタン ある(漏電で切れたら飛び出す) ない
本体の表示 「30mA」「0.1秒」など 「20A」など電流の大きさだけ
見ているもの 漏れた電流(と、兼用形は使いすぎ・ショート) 使いすぎとショート

ボタンの色や位置はメーカーによって違います。たとえばパナソニックの住宅用分電盤では、漏電で切れると黄色の漏電表示ボタンが飛び出し、レバーが真ん中(中立)の位置で止まります。

たとえるなら
テストボタンは、火災警報器の点検ボタンのようなもの
住宅用の火災警報器にも、押すと警報が鳴る点検ボタンが付いていますよね。いざというときに働くかを、ふだんから確かめるためのものです。漏電ブレーカーのテストボタンも同じで、押すとわざと小さな漏電を起こし、本当に切れるかを確かめます。
ここに注意!
「テストボタンで、電気を切ればいい」ではありません。
テストボタンは、漏電を検出して切る仕組みが働くかを確かめるためのボタンです。ふだん電気を切るときは、レバー(ハンドル)を「切」に倒します。テストボタンで切ると、漏電表示ボタンも飛び出します。
ここまでのポイント
  • テストボタン・漏電表示ボタン・「30mA 0.1秒」の表示が目印
  • 主幹が漏電ブレーカーを兼ねる分電盤が多い
  • テストボタンは点検用。ふだんはレバーで切る


30mA・0.1秒の意味 ― 漏れた電流がいくつで、どれだけ速く切るか

漏電ブレーカーは、行きの電流と帰りの電流の差、つまりどこかへ漏れた電流を見張っています。「30mA」は、漏れた電流がこの大きさになったら切るという定格感度電流、「0.1秒」は、検知してから切るまでの動作時間です。1mAは1/1000Aなので、30mAは0.03Aという小さな電流です。

30mA漏れた電流がここで切る
0.1秒検知してから切るまで
高感度30mA以下で動く
高速形0.1秒以内に切る
分け方 種類 意味
感度(定格感度電流) 高感度形 30mA以下で動く
感度(定格感度電流) 中感度形 30mAを超え1,000mA以下で動く
動作時間 高速形 0.1秒以内に切る
動作時間 時延形 わざと少し遅らせて切る

人の体に流れる電流が数十mAになると、命に関わるおそれが高くなります。そこで、人が触れる機器を守る住宅の回路では、高感度・高速形(30mA・0.1秒)が標準として使われます。どの回路に漏電遮断器が必要かは、漏電遮断器の施設と省略で説明しています。

もう1つ見ておきたいのが、漏電専用か、過負荷・短絡保護兼用かです。住宅の主幹に使われる漏電ブレーカーの多くは兼用形で、使いすぎやショートでも切れます。漏電専用のものは漏電でしか切れないので、配線用遮断器と組み合わせて使います。

ここに注意!
「漏電ブレーカーがあれば、アースはいらない」ではありません。
漏電ブレーカーは、漏電したときに電気を切る役目です。アースは、漏れた電気を地面へ逃がして、触れた人の体に流れる電流を小さくする役目です。働きが違うので、洗濯機や屋外の機器など水気のある場所の機器は、アースを取るのが基本です。
ここまでのポイント
  • 30mAは漏れた電流、0.1秒は切るまでの時間
  • 住宅の標準は高感度・高速形
  • 漏電ブレーカーとアースは役目が違う


漏電で落ちたら ― 分岐を1つずつ入れて、漏電している回路を探す

家じゅうの電気が消えたら、まず漏電表示ボタンが飛び出しているかを見ます。飛び出していなければ、使いすぎかショートです。使っている家電を減らしてから入れ直します。飛び出していれば漏電なので、次の順で、漏電している回路を探します。

1分岐を全部切る
2主幹を入れる
3分岐を1つずつ入れる
4主幹が落ちた回路が漏電
  1. 分岐ブレーカーを、全部「切」にする
  2. 主幹の漏電ブレーカーを「入」にする
  3. 分岐ブレーカーを、1つずつ「入」にしていく
  4. 主幹が落ちたら、そのとき入れた回路が漏電している。その回路だけ「切」にして、ほかの回路を「入」に戻す

分岐を全部切っても主幹がすぐ落ちるときは、分電盤の中か、ブレーカー自体の不具合が考えられます。どちらの場合も、何度も入れ直さず、電気工事店に点検を頼みます。漏電ブレーカーがはっきりした理由なく落ちる場合の原因は、ELCB(漏電遮断器)が誤動作する主な原因でまとめています。

たとえるなら
回路を1つずつ入れるのは、切れた電球を1つずつ外して探すのと同じ
直列につないだ飾り電球が消えたとき、1つずつ確かめていけば、どれが切れているかが分かります。分電盤も同じで、分岐を1つずつ入れていけば、主幹が落ちたところが漏電している回路です。
ここに注意!
「入れ直したら戻ったから、もう大丈夫」ではありません。
雨の日だけ屋外のコンセントで漏電する、古い家電の中で絶縁が傷んでいる、といった漏電は、条件がそろったときだけ起きます。一度でも漏電で落ちたなら、どの回路だったかを控えておき、電気工事店に点検を頼みます。
ここまでのポイント
  • 漏電表示ボタンが出ていなければ、使いすぎかショート
  • 分岐を全部切り、主幹を入れ、分岐を1つずつ入れて探す
  • 何度も入れ直さず、漏電した回路は電気工事店へ


まとめ|結論

結論

漏電ブレーカーは、テストボタン・漏電表示ボタン・「30mA 0.1秒」の表示で見分けます。30mA以下で動き0.1秒以内に切る高感度・高速形が住宅の標準です。漏電で落ちたら、分岐を全部切ってから1つずつ入れて回路を探し、その回路の点検を電気工事店に頼みます。

迷ったら、この順で確かめます。

  1. 分電盤で、テストボタンと漏電表示ボタンのあるブレーカーを探す
  2. 落ちたときは、漏電表示ボタンが飛び出しているかを見る
  3. 飛び出していたら、分岐を全部切ってから1つずつ入れ、漏電している回路を探す
  4. その回路だけ切っておき、電気工事店に点検を頼む

よくある質問

漏電ブレーカーと普通のブレーカーは、どう見分けますか?

テストボタンと漏電表示ボタンがあり、「30mA」「0.1秒」のような表示があれば漏電ブレーカーです。普通のブレーカー(配線用遮断器)にはこれらのボタンがなく、「20A」のような電流の大きさだけが書いてあります。

テストボタンはどのくらいの間隔で押せばいいですか?

メーカーは定期的に押して、切れることを確かめるよう案内しています。押しても切れないときは故障なので、電気工事店に点検・交換を頼みます。テストボタンは、ふだん電気を切る操作には使いません。

30mAとは何の数字ですか?

漏れた電流がこの大きさになったら切る、という定格感度電流です。1mAは1/1000Aです。住宅では、30mA以下で動く高感度形と、0.1秒以内に切る高速形を組み合わせたものが標準です。

漏電ブレーカーが落ちて、入れてもすぐ落ちます。どうすればいいですか?

分岐ブレーカーを全部切ってから主幹を入れ、分岐を1つずつ入れます。主幹が落ちたときに入れた回路が漏電しています。その回路だけ切っておき、電気工事店に点検を頼みます。何度も入れ直すのはやめます。

漏電ブレーカーがあれば、アースはいりませんか?

アースは取るのが基本です。漏電ブレーカーは漏電したら電気を切る役目、アースは漏れた電気を地面へ逃がす役目で、働きが違います。水気のない場所の機器に限って、条件つきで接地を省略できる場合があります(電技解釈 第29条)。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。