①並べたケーブルの熱がこもり、1本あたり流せる電流が減るため低減します。②低減率はケーブルの中心間隔と条数で変わり、間隔が広いほど、条数が少ないほど1に近づきます。③許容電流×低減率で負荷電流と比べ、足りなければ太くするか間隔を広げます。
ペン太ペン太
ケーブルラックって、詰めて並べたほうが省スペースで良くないですか?
ハリタハリタ
密集は熱がこもり絶縁劣化を招きます。だから低減率で許容電流を補正するんです。

この3つ、すぐ答えられますか

  • ケーブルを密集させると、何が起きて何が損なわれるか
  • 敷設方法によって変わるのは、ケーブルの何か
  • 間隔をあけると、許容電流の低減率はどう変わるか
この記事でわかること
低減率の根拠を探している方は、法令と指針の項からご覧ください。
この記事の内容を、ツールで計算するケーブルラック選定表(Excel体験版)ケーブルの外径から、4つの考え方でラックの幅を選定します
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ケーブルラックに間隔が必要な理由とは?〜幹線ケーブルの敷設ポイント〜


🔌 なぜケーブルは間隔をあけるの?

ケーブルに電流が流れると、電気抵抗による発熱(I²R)で温度が上がります。密集させると熱がこもって温度が上がり、間隔をあけるとまわりへ熱が逃げます。許容電流は絶縁物が耐えられる温度で決まるので、熱が逃げにくいほど流せる電流は減ります。

幹線ケーブルに電流が流れると、「電線が熱くなる」って知っていましたか?
これは電気抵抗による発熱(I²R)が原因です。

もし、ケーブルを密集して配置してしまうと…

  • 熱がこもって放熱できない!

  • 許容温度を超えてしまう!

  • 結果的にケーブルの絶縁が劣化・損傷する危険が!


配置 熱の逃げ方 起きること
密集させた場合 周囲に熱がこもって放熱できない 許容温度を超え、絶縁の劣化・損傷につながる
間隔をあけた場合 周囲へ放熱できる 許容温度内に収まり、絶縁を保てる
たとえるなら
ケーブルの密集は、満員電車のようなものです。
1人ずつなら涼しくても、ぎゅうぎゅうに詰めると体温で車内が暑くなります。間を少しあけるだけで、ずいぶん楽になります。ケーブルも同じで、となりの熱を受けない距離をとると許容電流が戻ってきます。
ひっかけ注意
「ラックに載せられれば、並べ方は自由」ではありません。
同じケーブルでも、すき間なく並べるか、間隔をあけるかで許容電流が大きく変わります。多段に積むと、さらに熱がこもります。ラック幅と並べ方は、低減率とセットで決めます。
ここまでのポイント
  • 幹線ケーブルに電流が流れると、電気抵抗による発熱(I²R)で電線が熱くなる
  • 密集して配置すると熱がこもり、放熱できなくなる
  • 許容温度を超えると、ケーブルの絶縁が劣化・損傷する


🔥 図で見る:ケーブル密集 vs 間隔ありの違い

フジクラ・ダイヤケーブルの資料の例では、中心間隔がケーブル外径と同じ(すき間なし)で低減率はおよそ0.30〜0.70、外径の2倍でおよそ0.60〜0.95、3倍でおよそ0.85〜1.00です。条数が増えるほど、同じ間隔でも低減率は小さくなります。

間隔で低減率はどれくらい変わる?

ケーブルラックでは、ケーブルの中心間隔 Sをケーブルの外径 d の何倍にするかで、許容電流にかける低減率が変わります。フジクラ・ダイヤケーブルの資料の例では、次のような幅になっています(条数や段数で変わります)。

中心間隔 S 低減率のおよその幅 ようす
S=d 約0.30〜0.70 すき間なく並べる。熱がこもりやすい
S=2d 約0.60〜0.95 外径1本分のすき間をあける
S=3d 約0.85〜1.00 外径2本分のすき間。1に近づく

同じ間隔でも、条数が増えるほど、多段に積むほど低減率は小さくなります。設計では、許容電流×低減率(周囲温度の補正も含む)が負荷電流以上になるかを確かめ、足りなければケーブルを太くするか、間隔を広げます。数値は、使うケーブルと敷設条件に合った資料で確かめます。

ラックに載せる条数と並べ方を決め、ケーブルの中心間隔を決め、条数と間隔から低減率を読み(周囲温度の補正も含めて)、許容電流×低減率が負荷電流以上になるかを判定します。
ひっかけ注意
「低減率は内線規程の表だけ見ればよい」ではありません。
低減率はケーブルの種類や敷設条件で変わるため、内線規程の補正係数に加えて、ケーブルメーカーの資料や、公共工事なら電気設備工事監理指針もあわせて確かめます。

📘 法令と指針に基づいた設計

この問題は、以下の基準に基づいて評価・対策されています:

つまり、ケーブルの敷設方法によって、許容電流が変わるんです!


ペン太ペン太
間隔って放熱のためだけだと思ってました!
ハリタハリタ
電磁誘導の抑制にも役立ちます。行きと帰りの電流が組になった回路の磁界は、離れるほど急に弱くなります。
ここまでのポイント
  • JEAC8001-2022「内線規程」にもとづいて評価する
  • 許容電流補正係数と温度、配置密度の関係を確認する
  • 令和4年版「電気設備工事監理指針 2.10.4.3」も参照する
  • ケーブルの敷設方法によって許容電流が変わる


🌪 磁界や電圧の影響も関係あり!

隣り合うケーブルに流れる電流は、

  • 電磁誘導や静電誘導の原因になります。

  • これがノイズや誤作動の原因に。

💡これらの影響は離れるほど小さくなるので(行きと帰りが組になった回路の磁界は、距離のおよそ2乗に反比例して弱まります)、 ケーブル同士の間隔をあけることが重要です!


取り違えやすいところ 正しくは
間隔は放熱のためだけのもの 電磁誘導・静電誘導の抑制も目的に含まれる
許容電流はケーブルの種類だけで決まる 敷設方法(配置密度)によって補正がかかる
少し離せば誘導の影響はなくなる 離れるほど小さくなるが、ゼロにはならない
ラックに載せられれば並べ方は自由 どう並べるかが安全・性能・寿命に関わる
ここまでのポイント
  • 隣り合うケーブルの電流は、電磁誘導や静電誘導の原因になる
  • これがノイズや誤作動につながる
  • 影響は離れるほど小さくなるため(往復の組の磁界は距離のおよそ2乗に反比例)、間隔をあけることが有効

よくある質問(FAQ)

Q1. なぜケーブルは間隔をあける必要があるの?
A. ケーブルを密集させると熱がこもって放熱できず、許容温度を超えて絶縁が劣化・損傷する危険があるためです。

Q2. ケーブルが発熱するのはなぜ?
A. 電気抵抗による発熱(I²R)が原因です。電流が流れると電線が熱を持ちます。

Q3. 低減率(許容電流補正)はどの基準に基づく?
A. JEAC8001-2022「内線規程」や、令和4年版「電気設備工事監理指針 2.10.4.3」に基づいて評価・設計します。

Q4. 間隔をあけると電磁誘導にも効果がある?
A. はい。電磁誘導・静電誘導の影響は離れるほど小さくなるため(行きと帰りの電流が組になった回路の磁界は、距離のおよそ2乗に反比例)、間隔をあけるとノイズや誤動作の抑制に役立ちます。


✅ まとめ

理由 内容
🔥 発熱の抑制 密集すると熱がこもり、絶縁劣化の原因に
⚡ 電磁誘導の抑制 ノイズや誤動作を防ぐため、距離を取る
📏 法令・指針に従った設計 許容電流の補正を正しく行うための前提

💬 POINT:

ケーブルの間隔は「安全・性能・寿命」すべてに関わる!
ただ配線するだけじゃなく、「どう並べるか」も超重要です。

ペン太ペン太
設計ではどの基準を見ればいいですか?
ハリタハリタ
JEAC8001-2022と電気設備工事監理指針2.10.4.3を確認して間隔と低減率を決めましょう。

ケーブルラックの間隔は、放熱と誘導という2つの理由から決まります。そしてその結果は、許容電流の補正(低減率)という形で設計値に返ってきます。

確認する順番 見るところ 決まること
Step1 ラックに載せる条数と配置 配置密度
Step2 許容電流補正係数 低減率をどれだけ見込むか
Step3 周囲温度 温度による補正
Step4 ケーブル間の間隔 放熱の余地と誘導の抑制
Step5 根拠の確認 JEAC8001-2022と電気設備工事監理指針2.10.4.3

ラックの寸法が決まってから条数を詰め込むと、低減率が効いてケーブルサイズを上げ直すことになります。条数と間隔を先に置いてからラック幅を決めると、あとの手戻りが減ります。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。