エアコン2027年問題で工事費も上がる?|買い替え前に確認したい家側の準備
エアコン2027年問題では、価格や機種選びに注目が集まりがちです。でも電気設備の設計の現場で見落とされやすいのは「あなたの家が新しいエアコンを受け入れられる状態か」。本体選びとあわせてここを確認しておくと、買い替え時の想定外の追加費用を防げます。工事する側の実務は第2部(工事者向け)で扱います。
ペン太
ハリタエアコン2027年問題とは?30秒でわかる要点
2027年問題のスケジュール(全体像)
| 2026年〜(今) | 駆け込み需要が増える時期。安さ重視・使用10年超なら早めが安心。工事枠は例年夏前に1か月待ちが常態で、今後さらに混む見込み。 |
|---|---|
| 2027年4月 | 新しい省エネ基準(2027年度基準)が開始。まず家庭用の壁掛形が対象。APF基準が引き上げられ、廉価モデルは実質的に縮小していく見込み。 |
| 2029年度 | 対象がさらに拡大。壁掛形以外・マルチタイプなどにも基準が広がる予定。買い替え計画は早めの見通しを。 |
省エネ基準(APF)はどれくらい上がる?

とくに14畳用クラスは基準の引き上げ幅が大きく、各メーカーとも中〜上位機並みの省エネ性能が求められるようになります。
※出典:資源エネルギー庁/容量区分別のAPF改善率はエアコンセンターAC調べ。数値は目安です。経済産業省の試算ベースでは、新基準相当のエアコンに替えると年間の電気代はおよそ次のように下がります。
- 6畳用:約2,760円/年 お得(14年使用の累計で約4万円)
- 14畳用:約12,600円/年 お得(14年使用の累計で約18万円)
ここは誤解しないで(大事なところ)
壊れても修理できます。部品は通常、製造終了から約10年は保有されます。
安い機種が2027年に即・販売禁止、ではありません。1台ずつ禁止するのではなく、メーカーが1年間に出荷する製品全体の平均で基準を達成する仕組みだからです。
本体より見落とされがちな「大型化」問題
省エネ性能を上げるため、エアコンは中の熱交換器が大きくなる傾向があります。つまり本体(特に室外機)のサイズが上がりやすい。全機種が必ずではありませんが、「新しいエアコンが今の場所に収まらない」ケースがこれから増えます。


収まらないリスクが高い家:ベランダが狭い/共用廊下に室外機を置いている(マンション)/壁面金具・屋根置き・二段置き/室内機がカーテンレールや梁とギリギリ/壁の中を配管が通る「隠蔽(いんぺい)配管」の家。
ペン太
ハリタ買い替え時に発生しやすい電気工事5つと費用相場
エアコンの買い替えでは、本体と標準取付のほかに「電気工事」が乗ることがあります。特に築年数の経った家や、200V機に替えるときに起きやすい代表例がこの5つ。
| 工事内容 | 目安 |
|---|---|
| ① 専用回路(専用コンセント)の増設 エアコンは消費電力が大きく専用回路が必要。古い家だと専用コンセントが無かったり他家電と共用していたり。詳細は「エアコンに専用コンセントが必要な理由と増設費用」へ。 | 22,000〜55,000円 |
| ② 100V → 200V への電圧切替 省エネ上位機は200Vが中心になりがち。分電盤での切替とコンセント交換が必要。 | 機器・現場による |
| ③ コンセントの形状交換 電圧・アンペアで差込口の形が違う(下図)。機種に合う形状への交換が要ることがある。 | 機器・現場による |
| ④ 分電盤・契約アンペアの見直し 回路の空きが無いと、分電盤の交換や電力会社との契約アンペア変更まで広がることも。 | 現場による |
| ⑤ 配管・据付まわりの追加工事 標準工事(配管の長さは4mまで等)の範囲超過、高所設置、隠蔽配管対応などで別途費用。 | 現場による |

わが家は大丈夫?買い替え前セルフチェックリスト
見積もり前に確認すると話がスムーズ。答えをスマホのメモに控えて、そのまま業者さんに見せてもOKです。
- エアコン専用のコンセントがあるか(他の家電と共用していないか)
- コンセントの形状と電圧(100Vか200Vか)
- 分電盤に「エアコン」専用ブレーカーがあるか/空き回路はあるか
- 室外機まわりの寸法(幅・奥行き・高さ+周囲の余裕)を測ったか
- 室内機まわり(左右・上)に余裕があるか
- 壁の中を配管が通る「隠蔽配管」ではないか
- (マンション)管理規約で外壁の穴あけ・室外機置き場に制限はないか
- 今のエアコンの使用年数(10年超なら計画的な買い替えゾーン)
いつ買い替えるのが正解か(工事側から見た答え)
「安いうちに買い替える」という考え方に、工事する側の目線をひとつ加えておきたいところです。エアコン工事は例年でも夏前は1か月待ちが当たり前。2027年問題の駆け込み需要が重なると、2026年度末〜2027年はさらに混むと見られています。「安い機種を駆け込みで買ったのに追加工事で結局高くついた」「工事が真夏まで取れず暑い中で待った」——これがありがちな失敗です。
| ⏰ 早めに動く | 使用10年超・調子が悪いエアコン。駆け込みラッシュの前に、計画的に。 |
|---|---|
| ✅ 慌てなくてOK | まだ元気に動いている。ただし上のチェックリストだけは今のうちにやっておく。 |
こうしておけば、いざというとき「うちは専用回路も200Vもある、スペースもOK」と分かっていて、慌てず一番いい機種を選べます。
補助金・支援制度は使える?
国の「全国一律のエアコン補助金」は基本的にありません。ただし自治体ごとの制度はあります(例:東京都の「東京ゼロエミポイント」など。延長されることもあります)。金額・期限・条件は自治体でバラバラで変わりやすいので、「お住まいの自治体名+エアコン 補助金」で検索し、申し込む前に最新情報を必ず確認してください。
ペン太
ハリタまとめ+よくある質問
2027年問題は「本体価格だけの話」ではありません。「家側が新しいエアコンを受け入れられるか(スペースと電気設備)」こそ、早めに確認すべきポイント。慌てて買うより、まずチェックリストから。
よくある質問
2027年になると、今のエアコンは使えなくなりますか?
いいえ、そのまま使えます。新しい基準は、これから出荷される製品に対して適用されるものです。すでに設置済みの機器に遡って効くわけではありません。故障しても、部品は製造終了後おおむね10年は保有されるため、修理も可能です。
安いエアコンは本当に無くなりますか?
即座に販売禁止になるわけではありません。ただし、基準を満たすために入門クラスの機種は減っていくと見られており、最安価格帯そのものが上がると予想されています。「同じ性能を同じ価格で」買える保証はなくなります。
買い替えで、なぜ電気工事が必要になるのですか?
省エネ性能の高い機種は200Vが中心で、専用回路も必要になるためです。古い住宅では専用コンセントがない、他の家電と回路を共用している、コンセントの形状が合わない、といったケースが多くあります。本体だけ買い替えれば済む、とは限りません。
本体が大きくなると、何が問題になりますか?
既存の設置スペースに収まらないことがあります。カーテンレールや窓枠、梁との干渉、室外機の置き場所の確保などが問題になります。買う前に、いま付いている機種の寸法と、候補機種の寸法を比べておいてください。
いつ買い替えるのが得ですか?
使用10年を超えている、調子が悪い、という場合は早めが安心です。工事の枠は例年夏前に混み合い、1か月待ちが常態化しています。基準切り替え前後は駆け込み需要でさらに混雑が予想されるため、季節を外して計画的に動くほうが確実です。
見積もりでは何を確認すればいいですか?
標準工事に含まれる範囲(配管の長さの上限など)、200Vへの切替や専用回路の増設が必要かどうか、必要な場合の追加費用の3点です。設置当日になって「工事できません」と言われるのを防ぐため、購入前の現地確認を依頼してください。
賃貸の場合はどうすればいいですか?
備え付けのエアコンは建物の設備なので、買い替えや工事は自己判断せず、まず大家・管理会社に相談してください。専用回路の増設など配線を触る工事には、所有者の許可が必須です。
補助金は使えますか?
省エネ家電の買い替えを対象にした支援を行っている自治体があります。制度の有無・内容・予算枠は地域によって大きく異なり、年度ごとに変わります。お住まいの自治体の最新情報を確認してください。多くの制度では、購入前の申請や交付決定が条件になります。
あわせて読みたい
「更新ラッシュに備える現地調査・電源設計・施主説明の実務」。エアコンを工事する側・設計する側の視点で、現調チェック・電源設計(専用回路/200V化)・施主説明の勘所を解説しています。
関連記事:エアコンに専用コンセントが必要な理由と増設費用【設計者が解説】 / 電気設備の無料ツール一覧
- 燃料費調整額の上限。大手電力の規制料金には上限がありますが、新電力の多くは上限を設けていません。燃料価格が上がった局面では、単価が安いはずのプランが逆転することがあります
- 解約金・契約期間の縛り。1年未満の解約で費用がかかるプランがあります
- 停電したときの連絡先は変わりません。設備の保安は送配電会社の担当なので、乗り換えても対応する会社は同じです(責任分界点の記事)
30秒アンケートこの記事は役に立ちましたか?
タップするだけで完了します。あなたの声でこのサイトは育ちます。
ご回答ありがとうございます!
よければ、あと3つだけ教えてください(任意・答えなくてもOK)
ありがとうございました。いただいた声は記事の改善に使わせていただきます。
