技術図書館地面と同じ高さを走る、構内専用の電線路構内専用・交通に支障のない場所に限り施設できる。ケーブルを堅ろうな管やトラフに収め、電源側に専用の保護を置くこの資料をスライドで見る資料一覧を見る
この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。
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工場の構内で、仮設の機械やポンプへ電気を送るとき、地中に埋めず地面の上に電線を通すことがあります。これが地上に施設する電線路です。地面の上の電線は、踏まれたり車にひかれたりしやすいので、場所・電線の種類・電源側の保護が決められています。この記事では、電技解釈 第128条をもとに、内線規程の地上に施設する電線路の考え方を3つの質問と動く図で整理します。

①地上に施設する電線路は、1構内だけの電線路や構内専用の電線路などに限り、交通に支障のない場所に施設します。②電線はケーブルか3種・4種キャブタイヤケーブルで、ケーブルは鉄筋コンクリート製の開きょ・トラフに収めます。③キャブタイヤケーブルなら途中に接続点を設けず、電源側に専用の開閉器と過電流遮断器、300V超と高圧は地絡遮断装置を付けます。
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。全部を読まなくても、必要なところだけで解決します。

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先に言葉をそろえる

言葉 ひとことで言うと
地上に施設する電線路 地中に埋めず、架空でもなく、地表に施設する電線路
開きょ 上が開いた溝。ふたをして電線を収める
トラフ ケーブルを収める、ふた付きの溝形の入れ物
キャブタイヤケーブル 移動用の丈夫なゴム・ビニル被覆の電線。3種・4種は外装が厚い
地絡遮断装置 地絡(漏電)が起きたとき、自動で電路を切る装置。漏電遮断器など
電技解釈 第128条。

質問① どこに施設できる?

地上に施設する電線路は、1構内だけに施設する電線路、1構内専用の電線路の構内部分、地中電線路と橋などの電線路の間で取扱者以外が立ち入らない場所、のどれかに限られ、交通に支障のない場所に施設します。
施設できる場合 内容
1構内だけの電線路 構内だけに施設する電線路の全部・一部として
1構内専用の電線路 専用の電線路のうち、その構内にある部分として
地中と橋の間 地中電線路と、橋・電線路専用橋などの電線路の間で、取扱者以外が立ち入らないよう措置した場所
電技解釈 第128条第1項。低圧・高圧は、交通に支障を及ぼすおそれがない場所に施設します(第2項第一号)。

地上の電線路は、地中電線の規定(第123条 被覆金属体の接地、第124条 地中弱電流電線への誘導障害の防止、第125条 地中電線と他の電線等との接近・交差)に準じて施設します。地中電線と同じように扱いつつ、上から守るもの(ふた)を必ず付ける、と考えると整理しやすくなります。

たとえるなら
地上の電線路は、「床に這わせた延長コード」と同じ心配があります。
人が行き来する廊下に延長コードを置くと、つまずいたり踏んだりして傷みます。だから通路(交通)の邪魔にならない場所を選び、上からカバーをかけて守ります。
ひっかけ注意
「構内なら通路の上でもよい」ではありません。
構内の電線路でも、交通に支障を及ぼすおそれがない場所であることが条件です。フォークリフトや台車が通る場所を横切るなら、地中に埋めるなど別の方法を考えます。
ここまでのポイント
  • 1構内だけ・構内専用の電線路など
  • 地中と橋の間なら、取扱者以外が立ち入らない場所
  • 交通に支障のない場所に。地中電線の規定に準じる


質問② どんな電線?

地上に施設する電線は、低圧ならケーブルか3種・4種キャブタイヤケーブル、高圧ならケーブルか高圧用3種キャブタイヤケーブルです。ケーブルは鉄筋コンクリート製の堅ろうな開きょ・トラフに収め、取扱者以外が容易に開けられない堅ろうなふたを設けます。
電圧 使える電線
低圧 ケーブル、3種・4種のクロロプレン/クロロスルホン化ポリエチレンキャブタイヤケーブル、3種耐燃性エチレンゴムキャブタイヤケーブル
高圧 ケーブル、高圧用の3種クロロプレン/クロロスルホン化ポリエチレンキャブタイヤケーブル
特別高圧 ケーブルだけ(1構内などの場合は100,000V以下)
電技解釈 第128条第2項第三号・第3項。

電線がケーブルなら、鉄筋コンクリート製の堅ろうな開きょまたはトラフに収め、取扱者以外の者が容易に開けられない鉄製・鉄筋コンクリート製などの堅ろうなふたを設けます。樹脂製の管に通すだけ、ふたを載せただけ、では条件を満たしません。

ひっかけ注意
「ケーブルもキャブタイヤも同じ決まり」ではありません。
ケーブルは開きょ・トラフ+堅ろうなふたが条件です。キャブタイヤケーブルは、開きょ等に収めるほか、接続点なし・電源側の専用保護が条件になります(次の章)。電線の種類で、確かめる項目が変わります。
ここまでのポイント
  • 低圧はケーブルか3種・4種キャブタイヤ
  • 高圧はケーブルか高圧用3種キャブタイヤ
  • ケーブルはRC製の開きょ・トラフ+堅ろうなふた

質問③ キャブタイヤの追加条件は?

キャブタイヤケーブルは、途中に接続点を設けず、損傷しないよう開きょ等に収め、電源側に専用の開閉器と過電流遮断器を各極に施設します。300Vを超える低圧と高圧は、地絡遮断装置も施設します。
条件 内容
接続点 電線の途中に設けない
収め方 損傷しないよう開きょ等に収める(取扱者以外が出入りできない場所なら不要)
電源側の保護 専用の開閉器と過電流遮断器を各極に(過電流遮断器は多線式の中性極を除く)
地絡保護 300V超の低圧・高圧は、地絡時に自動で遮断する装置
電技解釈 第128条第2項第五号。電源側接続点から1km以内に専用の絶縁変圧器を置き、技術員駐在所へ地絡を警報する装置を設ければ、地絡遮断装置は省略できます。
たとえるなら
専用の開閉器と過電流遮断器は、「屋外の仮設コンセント盤の専用ブレーカー」のようなものです。
ほかの回路と共用にせず、その電線だけのブレーカーを付けておけば、傷んで短絡しても、その電線だけをすぐ切り離せます。
ここまでのポイント
  • キャブタイヤは途中に接続点を設けない
  • 電源側に専用の開閉器と過電流遮断器(各極)
  • 300V超・高圧は地絡遮断装置(例外あり)
ひとことで言うと:「地上の電線路は構内のためだけ、交通の邪魔にならない場所に。ケーブルはRC製の開きょ・トラフとふた、キャブタイヤは接続なし・専用保護・300V超は地絡遮断」。


よくある質問

地上に施設する電線路はどこに施設できますか?

1構内だけに施設する電線路、1構内専用の電線路の構内部分、地中電線路と橋などの電線路の間で取扱者以外が立ち入らない場所、のどれかに限られます。低圧・高圧は交通に支障のない場所に施設します。

どんな電線を使いますか?

低圧はケーブルか3種・4種のキャブタイヤケーブル、高圧はケーブルか高圧用3種キャブタイヤケーブル、特別高圧はケーブルです。

ケーブルはどう施設しますか?

鉄筋コンクリート製の堅ろうな開きょまたはトラフに収め、取扱者以外が容易に開けられない鉄製・鉄筋コンクリート製などの堅ろうなふたを設けます。

キャブタイヤケーブルの場合の追加条件は?

途中に接続点を設けず、損傷しないよう開きょ等に収め、電源側に専用の開閉器と過電流遮断器を各極に施設します。300V超の低圧と高圧は地絡遮断装置も施設します。

まとめ ― 取り違えやすいところ

取り違えやすいところ 正しくは
電線はケーブルだけ 3種・4種キャブタイヤケーブルも使える
樹脂管に通せばよい ケーブルはRC製の開きょ・トラフ+堅ろうなふた
接続点なしはすべての電線に キャブタイヤケーブルの条件
地絡遮断は300V超の低圧だけ 高圧も必要(絶縁変圧器+警報で省略可)
「施設できる場所 → 電線の種類 → ケーブルなら開きょ・トラフ、キャブタイヤなら接続・保護」の順で確かめます。

📘 この記事の根拠規程|解説の原文は内線規程(JEAC8001-2022)に掲載されています。実務で使う方は手元に1冊どうぞ → 電気設備の必携書籍おすすめ4選【2026年版】

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ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。引込・高圧受変電・幹線・接地を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。