この記事は、連載「動力設備の設計マニュアル」の 第4回 ブレーカーとケーブルの選定・第5回 動力盤の構成 の補足解説です。計画全体の流れは 設計・施工マニュアル(目次) からご覧いただけます。
全体像:内線規程【067】低圧電動機・各装置類への電路に施設する機器類
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出典:内線規程(JEAC8001-2022)より

電動機や加熱装置を安全に扱うには、機器のそばで操作できる手元開閉器や、状態を知らせる表示灯、電流を見張る電流計といった周辺機器の施設が欠かせません。この記事では、内線規程が定めるこれらの機器の施設ルールを整理して解説します。

手元開閉器・表示灯・電流計の施設に関する3つのポイントを整理した図解
結論
電動機・加熱装置・電力装置には操作しやすい位置に手元開閉器を施設します(定格出力0.2kW以下の電動機や1.5kVA以下の加熱装置等をコンセント使用する場合などは省略可)。表示灯の消費電力は15W以下を原則とし、電流計は普通目盛で最大使用電流の約150%(電動機用は約200%)の定格目盛を選定します。
この記事でわかること
✔ ① 手元開閉器と断路用器具
✔ ② 表示灯のルール
✔ ③ 電流計と電磁開閉器の制御回路
ペン太ペン太
分電盤にブレーカーがあるのに、手元開閉器って本当に要るんですか?
ハリタハリタ
機械のすぐそばで素早く電源を切るために必要です。省略できるのは0.2kW以下の電動機などに限られます。

この3つ、すぐ答えられますか

  • 手元開閉器を省略できるのは、どんな場合ですか。
  • 表示灯の消費電力は、原則として何W以下ですか。
  • 電動機用の普通目盛電流計は、最大使用電流の何%の定格目盛を選びますか。
この記事の道案内
内線規程(JEAC8001-2022)にそって、電動機や各装置類の電路に施設する機器のルールを4つの視点で整理します。

① 手元開閉器と断路用器具

トピック1:手元開閉器と断路用器具
  • 電動機・加熱装置・電力装置には、操作しやすい位置に箱開閉器・電磁開閉器・配線用遮断器・カバー付ナイフスイッチ等のうち用途に適したものを手元開閉器として施設します。
  • 定格出力0.2kW以下の電動機や定格入力1.5kVA以下の加熱装置・電力装置をコンセントから使用する場合などは省略できます。
  • 手元開閉器は充電部を露出せず、外部から操作でき、最大負荷電流以上の定格電流を有する構造とします。
  • カバー付ナイフスイッチは原則として電動機の手元開閉器に不向きですが、対地電圧150V以下・400W以下の電動機で定格30Aのものを所定条件下で使う場合は差し支えありません。
  • 断路用器具にも最大負荷電流以上の定格電流が必要で、過電流遮断器の施設は不要です(電磁開閉器は断路用器具とはみなされません)。
ペン太ペン太
表示灯って、好きなワット数のランプを付けていいんですよね?
ハリタハリタ
消費電力は原則15W以下です。動作状況を示す指標なので小容量で十分なんです。
機器手元開閉器の扱い
定格出力0.2kW以下の電動機をコンセントから使用省略できる
定格入力1.5kVA以下の加熱装置・電力装置をコンセントから使用省略できる
機器側に相当する適切な開閉器がある省略できる
専用分岐回路から自動操作される省略できる
上記以外操作しやすい位置に施設する
ここまでのポイント
  • 電動機・加熱装置・電力装置には、操作しやすい位置に用途に適した手元開閉器を施設する。
  • 0.2kW以下の電動機や1.5kVA以下の加熱装置・電力装置をコンセントから使用する場合などは省略できる。
  • 手元開閉器は充電部を露出せず、外部から操作でき、最大負荷電流以上の定格電流を有する構造とする。
  • 断路用器具にも最大負荷電流以上の定格電流が必要で、過電流遮断器の施設は不要(電磁開閉器は断路用器具とみなされない)。

② 表示灯のルール

トピック2:表示灯のルール
  • 対地電圧が150Vを超える回路に表示灯を付ける場合は、直接人が触れないように施設します(電気室等を除く)。
  • 電球受口は配線に直接接続し、コードで延長してはいけません。
  • 専用の点滅器及び過電流遮断器を取り付けます(ネオンランプ等で直列に抵抗器又はコンデンサを接続する場合は過電流遮断器を省略可)。
  • 表示灯の消費電力は15W以下を原則とします。
ここまでのポイント
  • 対地電圧150Vを超える回路の表示灯は、直接人が触れないように施設する(電気室等を除く)。
  • 電球受口は配線に直接接続し、コードで延長しない。
  • 専用の点滅器及び過電流遮断器を取り付ける(ネオンランプ等で直列に抵抗器又はコンデンサを接続する場合は過電流遮断器を省略可)。
  • 表示灯の消費電力は15W以下を原則とする。

③ 電流計と電磁開閉器の制御回路

トピック3:電流計と電磁開閉器の制御回路
  • 普通目盛電流計は最大使用電流の約150%、電動機用は約200%の定格目盛を選定し、見やすい場所に取り付けます。
  • 電磁開閉器の制御回路には1.6mm以上の銅電線(300V以下で管又は線ぴに収める場合は1.2mm以上)等を用います。
  • 制御回路は専用の過電流遮断器で保護します。
  • 可搬形の電動機等で入力1.2kVA以下のものは、使用電圧が300Vを超える電路で使用してはいけません。
たとえ話
これらの機器は、車でいう「ハンドブレーキ・警告灯・スピードメーター」のような関係です。手元開閉器ですぐ止められ、表示灯で動作状況がわかり、電流計で負荷の大きさを把握する。三つそろってはじめて安心して機械を運転できるのです。
見習いペン太
見習いペン太
先輩、手元開閉器って分電盤のブレーカーがあれば要らないんじゃないですか?
はりた
はりた
分電盤は離れた場所にあることが多いだろう。機械のすぐそばで素早く止められる開閉器があると、トラブル時にすぐ電源を切れて安全なんだ。だから操作しやすい位置に手元開閉器を設けるんだよ。
見習いペン太
見習いペン太
なるほど。電流計の目盛は最大電流より大きめを選ぶんですね。
はりた
はりた
そう。普通目盛なら最大使用電流の約150%、電動機用は始動電流が大きいから約200%を選ぶ。針が振り切れず、ふだんの値も読みやすくなるんだ。
取り違えやすいところ正しくは
手元開閉器はどんな機器にも必ず必要0.2kW以下の電動機や1.5kVA以下の加熱装置等をコンセント使用する場合などは省略できる
電磁開閉器があれば断路用器具になる電磁開閉器は断路用器具とはみなされない
断路用器具にも過電流遮断器がいる断路用器具に過電流遮断器の施設は不要。必要なのは最大負荷電流以上の定格電流
表示灯の受口はコードで延長してもよい電球受口は配線に直接接続する
電流計は電動機でも最大使用電流の約150%でよい電動機用は始動電流が大きいため約200%の定格目盛を選ぶ
可搬形は電圧が高くても入力が小さければよい入力1.2kVA以下の可搬形の電動機等は、300Vを超える電路で使用しない
ここまでのポイント
  • 普通目盛電流計は最大使用電流の約150%、電動機用は約200%の定格目盛を選び、見やすい場所に取り付ける。
  • 電磁開閉器の制御回路には1.6mm以上の銅電線(300V以下で管又は線ぴに収める場合は1.2mm以上)等を用いる。
  • 制御回路は専用の過電流遮断器で保護する。
  • 入力1.2kVA以下の可搬形の電動機等は、300Vを超える電路で使用しない。

よくある質問(FAQ)

トピック4:よくある質問(FAQ)
Q. 手元開閉器を省略できるのはどんな場合ですか?
A. 定格出力0.2kW以下の電動機をコンセントから使用する場合や、定格入力1.5kVA以下の加熱装置・電力装置をコンセントから使用する場合、機器側に相当する適切な開閉器がある場合、専用分岐回路から自動操作される場合などは省略できます。
Q. 表示灯の消費電力に決まりはありますか?
A. 表示灯の消費電力は15W以下を原則とします。これは電気事業者が定める供給条件に関連するものです。
Q. 電流計の定格目盛はどう選びますか?
A. 普通目盛電流計は最大使用電流の約150%の定格目盛を選びます。ただし電動機用のものは始動電流が大きいため約200%の定格目盛を選定します。

まとめ|止める・知らせる・見張るの3役で機器を選ぶ

電動機や各装置類の電路に施設する機器は、手元開閉器で止め、表示灯で知らせ、電流計で見張るという3つの役割で整理すると選びやすくなります。

機器規程が示す主な要件
手元開閉器箱開閉器・電磁開閉器・配線用遮断器・カバー付ナイフスイッチ等から用途に適したものを、操作しやすい位置に
手元開閉器の構造充電部を露出せず、外部から操作でき、最大負荷電流以上の定格電流
カバー付ナイフスイッチ原則として電動機の手元開閉器に不向き(対地電圧150V以下・400W以下の電動機で定格30Aのものを所定条件下で使う場合を除く)
断路用器具最大負荷電流以上の定格電流。過電流遮断器の施設は不要。電磁開閉器は該当しない
表示灯(150V超の回路)直接人が触れないように施設(電気室等を除く)
表示灯の受口配線に直接接続し、コードで延長しない
表示灯の付属器具専用の点滅器及び過電流遮断器(ネオンランプ等で直列に抵抗器又はコンデンサを接続する場合は過電流遮断器を省略可)
表示灯の消費電力15W以下を原則とする
普通目盛電流計最大使用電流の約150%の定格目盛(電動機用は約200%)、見やすい場所に取り付け
電磁開閉器の制御回路1.6mm以上の銅電線(300V以下で管又は線ぴに収める場合は1.2mm以上)等、専用の過電流遮断器で保護
可搬形の電動機等(入力1.2kVA以下)300Vを超える電路で使用しない

手元開閉器で押さえること

  • 省略できる条件に当てはまるかどうか。
  • 充電部が露出せず外部から操作できる構造か。
  • 最大負荷電流以上の定格電流があるか。

表示灯で押さえること

  • 対地電圧150V超の回路での接触防止。
  • 受口を配線に直接接続しているか。
  • 消費電力15W以下と、専用の点滅器・過電流遮断器。

計測と制御で押さえること

  • 電流計の定格目盛の選び方(電動機用は別)。
  • 制御回路の電線の太さ。
  • 制御回路を保護する専用の過電流遮断器。

これらの機器は主役の電動機や加熱装置に比べると目立ちませんが、日常の操作性と安全性を左右する部分です。盤の設計や現場確認では、上の表を機器ごとのチェックリストとして使うと確認が早くなります。

📘 この記事の根拠規程|解説の原文は内線規程(JEAC8001-2022)に掲載されています。実務で使う方は手元に1冊どうぞ → 電気設備の必携書籍おすすめ4選【2026年版】

ペン太ペン太
電流計の目盛は、どう選べばいいですか?
ハリタハリタ
定格の150%、電動機用は200%が選定基準です。三つの機器がそろえば安全な運転ができますよ。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。