この記事は、連載動力設備の設計マニュアル」第4回 ブレーカーとケーブルの選定第5回 動力盤の構成 の補足解説です。計画全体の流れは 設計・施工マニュアル(目次) からご覧いただけます。
📚 内線規程の解説シリーズ(全119条文+テーマ解説)|条文・テーマから探せる 総合インデックスはこちら →

出典:内線規程(JEAC8001-2022)より

電動機や加熱装置を安全に扱うには、機器のそばで操作できる手元開閉器や、状態を知らせる表示灯、電流を見張る電流計といった周辺機器の施設が欠かせません。この記事では、内線規程が定めるこれらの機器の施設ルールを整理して解説します。

手元開閉器・表示灯・電流計の施設に関する3つのポイントを整理した図解
結論
電動機・加熱装置・電力装置には操作しやすい位置に手元開閉器を施設します(定格出力0.2kW以下の電動機や1.5kVA以下の加熱装置等をコンセント使用する場合などは省略可)。表示灯の消費電力は15W以下を原則とし、電流計は普通目盛で最大使用電流の約150%(電動機用は約200%)の定格目盛を選定します。
この記事でわかること
✔ ① 手元開閉器と断路用器具
✔ ② 表示灯のルール
✔ ③ 電流計と電磁開閉器の制御回路
ペン太ペン太
分電盤ブレーカーがあるのに、手元開閉器って本当に要るんですか?
ハリタハリタ
機械のすぐそばで素早く電源を切るために必要です。省略できるのは0.2kW以下の電動機などに限られます。

① 手元開閉器と断路用器具

  • 電動機・加熱装置・電力装置には、操作しやすい位置に箱開閉器・電磁開閉器・配線用遮断器・カバー付ナイフスイッチ等のうち用途に適したものを手元開閉器として施設します。
  • 定格出力0.2kW以下の電動機や定格入力1.5kVA以下の加熱装置・電力装置をコンセントから使用する場合などは省略できます。
  • 手元開閉器は充電部を露出せず、外部から操作でき、最大負荷電流以上の定格電流を有する構造とします。
  • カバー付ナイフスイッチは原則として電動機の手元開閉器に不向きですが、対地電圧150V以下・400W以下の電動機で定格30Aのものを所定条件下で使う場合は差し支えありません。
  • 断路用器具にも最大負荷電流以上の定格電流が必要で、過電流遮断器の施設は不要です(電磁開閉器は断路用器具とはみなされません)。
ペン太ペン太
表示灯って、好きなワット数のランプを付けていいんですよね?
ハリタハリタ
消費電力は原則15W以下です。動作状況を示す指標なので小容量で十分なんです。

② 表示灯のルール

  • 対地電圧が150Vを超える回路に表示灯を付ける場合は、直接人が触れないように施設します(電気室等を除く)。
  • 電球受口は配線に直接接続し、コードで延長してはいけません。
  • 専用の点滅器及び過電流遮断器を取り付けます(ネオンランプ等で直列に抵抗器又はコンデンサを接続する場合は過電流遮断器を省略可)。
  • 表示灯の消費電力は15W以下を原則とします。

③ 電流計と電磁開閉器の制御回路

  • 普通目盛電流計は最大使用電流の約150%、電動機用は約200%の定格目盛を選定し、見やすい場所に取り付けます。
  • 電磁開閉器の制御回路には1.6mm以上の銅電線(300V以下で管又は線ぴに収める場合は1.2mm以上)等を用います。
  • 制御回路は専用の過電流遮断器で保護します。
  • 可搬形の電動機等で入力1.2kVA以下のものは、使用電圧が300Vを超える電路で使用してはいけません。
たとえ話
これらの機器は、車でいう「ハンドブレーキ・警告灯・スピードメーター」のような関係です。手元開閉器ですぐ止められ、表示灯で動作状況がわかり、電流計で負荷の大きさを把握する。三つそろってはじめて安心して機械を運転できるのです。
見習いペン太
見習いペン太
先輩、手元開閉器って分電盤のブレーカーがあれば要らないんじゃないですか?
はりた
はりた
分電盤は離れた場所にあることが多いだろう。機械のすぐそばで素早く止められる開閉器があると、トラブル時にすぐ電源を切れて安全なんだ。だから操作しやすい位置に手元開閉器を設けるんだよ。
見習いペン太
見習いペン太
なるほど。電流計の目盛は最大電流より大きめを選ぶんですね。
はりた
はりた
そう。普通目盛なら最大使用電流の約150%、電動機用は始動電流が大きいから約200%を選ぶ。針が振り切れず、ふだんの値も読みやすくなるんだ。

よくある質問(FAQ)

Q. 手元開閉器を省略できるのはどんな場合ですか?
A. 定格出力0.2kW以下の電動機をコンセントから使用する場合や、定格入力1.5kVA以下の加熱装置・電力装置をコンセントから使用する場合、機器側に相当する適切な開閉器がある場合、専用分岐回路から自動操作される場合などは省略できます。
Q. 表示灯の消費電力に決まりはありますか?
A. 表示灯の消費電力は15W以下を原則とします。これは電気事業者が定める供給条件に関連するものです。
Q. 電流計の定格目盛はどう選びますか?
A. 普通目盛電流計は最大使用電流の約150%の定格目盛を選びます。ただし電動機用のものは始動電流が大きいため約200%の定格目盛を選定します。

📘 この記事の根拠規程|解説の原文は内線規程(JEAC8001-2022)に掲載されています。実務で使う方は手元に1冊どうぞ → 電気設備の必携書籍おすすめ4選【2026年版】

ペン太ペン太
電流計の目盛は、どう選べばいいですか?
ハリタハリタ
定格の150%、電動機用は200%が選定基準です。三つの機器がそろえば安全な運転ができますよ。

📎 関連するおすすめアイテム

内線規程の実務では、規程集や技術資料を手元に置いておくと確認がぐっと早くなります。

次に読むならこれ内線規程の解説|接地工事の種類(A種・B種・C種・D種)と接地抵抗値について詳しく解説内線規程の解説
ABOUT ME
HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。